確定申告を終えた後に計上し忘れた売上が見つかった場合、内容を修正することはできるのでしょうか。結論からお話しすると、申告後の修正を申し出ることは可能です。このような場合は「修正申告」を行うことになり、自主的あるいは税務署からの指摘を通じて修正できます。しかし、場合によってはペナルティを受ける可能性もあることから、修正内容の申告を検討する際は、自身の状況を振り返ることが大切です。この記事では、確定申告の内容を修正する際に必要となる修正申告と取り組み方について解説します。
目次
修正申告とは

修正申告とは、確定申告書の内容に誤りがあった場合に、正しい税額に直して再提出する手続きのことです。本来の納税額(本税)に食い違いがあると、過少申告あるいは過大申告とみなされ、ペナルティを課されることがあります。なお、修正申告が必要になるものは、主に以下のようなケースです。
- 売上の計上漏れに気付いたとき
- 経費を多く計上していたとき
- 控除額を誤って計算していたとき
修正申告は個人の所得税だけでなく、法人税や消費税などさまざまな税金に適用されるため、必要に応じて本税との差額分を納付しなければなりません。
確定申告をやり直す3つの方法とそれぞれの違い
確定申告の内容を直す方法は修正申告だけでなく、状況によって異なります。具体的には、「修正申告」「訂正申告」「更正の請求」の3つです。
修正申告|申告期限後に税金を少なく申告したことに気付いたとき
修正申告は、確定申告期限後に当初の申告で計算した納税額が本来納めるべき金額よりも少なかった場合に行う手続きです。例えば、売上の一部を計上し忘れていたり、適用できない控除を誤って適用していたりしたケースが該当します。
この手続きでは正しい税額を再計算し、当初申告した税額との差額を追加で納付しなければなりません。なお、税務署から指摘を受ける前に自主的に申告すると、過少申告加算税はかかりません。誤りに気づいたときは、速やかに行動することをおすすめします。
訂正申告|申告期限内に間違いを直すとき
訂正申告は、確定申告の申告期限内に申告内容の間違いに気づいた際に行う手続きです。税務署では、申告期間内に複数の申告書が提出されても、最後に提出されたものを正本として受理する仕組みとなっています。
そのため、特別な書類は必要なく、正しい内容で作成した確定申告書類を改めて提出するだけで訂正できます。また、申告期限内であるため、延滞税や過少申告加算税といったペナルティは発生しません。
申告期限内に誤りに気付いた場合であれば、最も簡単で負担のない訂正方法と言えるでしょう。
更正の請求|申告期限後に税金を多く申告したことに気づいたとき
更正の請求は、申告期限後に本来の税額よりも多く申告していた、または還付される税金が少ないことに気づいた際に行う手続きです。例えば計上し忘れた経費があったり、適用できる控除を見落としていたりしたケース等が挙げられます。
更正の請求では「更正の請求書」を作成後、税務署に提出します。提出内容が認められれば、納め過ぎた税金が還付金として戻ってくる流れです。修正申告と更正の請求は、納税額が多い・少ないといった違いで必要な手続きを判断できます。
なお、請求する場合、原則として法定申告期限から5年以内のものに限り、期間を過ぎてしまった場合は還付を受けることができません。申請の際は、早めに対応しなければならない点に留意しましょう。なお、更正の請求等について税理士に相談したい方は、こちらまでお気軽にお問い合わせください。
修正申告が必要になる代表的な理由

修正申告が必要になる状況としては、申告内容に誤りがあった結果、本来納めるべき税額よりも少なく申告してしまった場合です。では、具体的にどのような理由で修正申告が必要になるのでしょうか。
売上や所得の計上漏れが発覚した
1つ目の理由は、売上や所得の計上漏れが発覚した場合です。例えば事業収入の一部を申告し忘れた、給与所得者が副業による雑所得を申告し忘れていた、などが挙げられます。売上が増加すれば課税対象となる所得も増えるため、それに伴って所得税の納税額も増加します。
こうした状況下では正しい所得金額を計算し直し、差額の税金を納付するための修正申告が必要です。仮に繰越損失がある場合でも、所得額の変動によって損失の繰越額が変わる可能性があるため、納税額に影響がなくても修正が必要になります。
経費の計算に誤りが見つかった
2つ目の理由は、経費の計算に誤りが見つかった場合です。個人的な飲食代や生活費など、事業とは関わりのない支出を誤って経費計上した場合、修正申告をしなければなりません。
このほか、減価償却費の計算ミス、家事按分の割合が誤っていた場合なども対象です。なかでも車両費や通信費、自宅を事業所と兼用する場合の修繕費等は、合理的な基準で按分する必要があります。按分の割合について知りたい方は、最寄りの税務署に問い合わせることをおすすめします。
適用できない所得控除を適用していた
3つ目の理由は、適用できない所得控除を適用させていた場合です。例えば医療費控除や生命保険料控除等の所得控除は、要件を満たさなければ適用できません。
要件を満たしていないにもかかわらず適用させていた場合は、所得が少なく計算されるため、修正申告が必要です。また、配偶者控除や扶養控除を適用させる際に、扶養家族の合計所得金額を誤って計算していた場合も対象です。
【個人事業主向け】修正申告の方法
個人事業主が修正申告をする場合は、決められた手順に沿って手続きを進める必要があります。ここからは、修正申告の作成方法と、税務署へ提出する方法、追加で発生した税金の納付方法について解説します。
修正申告書の作成方法
修正申告書の作成方法は、国税庁公式ホームページにて公開されている「修正申告書」をダウンロードおよび印刷を行い、必要事項を記載します。修正後の所得額や税額等を再計算した後、適切な数字を記載しましょう。修正申告書とあわせて修正項目の根拠となる資料も提出する必要があります。持参・e-Tax、郵送いずれも必要な書類のため、忘れないよう用意しましょう。
なお、国税庁のWebサイトでは「確定申告書等作成コーナー」というページが公開されています。申告書の郵送費用が不要なほか、オンラインで提出できるため、税務署に出向くことが困難な方はWebページを利用すると良いでしょう。なお、修正申告書の記載方法について不明点等がある際は、お気軽にこちらまでご相談ください。
修正申告でお悩みの方は小谷野税理士法人までお問い合わせください
作成した修正申告書を税務署へ提出する方法
作成した修正申告書は、以下いずれかの方法で提出可能です。
- e-Tax
- 税務署窓口
- 郵送
e-Taxは、インターネットを通じてオンラインで書類提出や登録内容の変更等が行える方法です。スマートフォンやパソコンからいつでも提出できるため、時間や場所を気にせず速やかに提出できます。
スマートフォンやパソコンでの提出が難しい、あるいはe-Taxの使い方について分からないという方もいるでしょう。そのようなときは従来のように税務署窓口での提出や郵送も可能です。税務署窓口を訪ねることで、職員から適切な指示を受けながら正確な内容を提出できるでしょう。
なお、郵送については大型連休や年末年始等によって、配達(確認)時期が遅れる可能性があります。書類提出に緊急性がある場合は、e-Taxや来庁による提出をおすすめします。
参考:e-Tax
追加で発生した税金の納付方法
修正申告後、追加で税金を納めることになった場合は、以下いずれかの方法で納付可能です。
- e-Tax
- クレジットカード
- 金融機関および税務署窓口
- コンビニエンスストア
確定申告分における税金は振替納税を利用できますが、追加分には対応していません。納付書が必要なときは税務署職員にその旨を伝える、あるいは国税庁のサイトでキャッシュレス納付などを検討すると良いでしょう。
修正申告の提出期限はいつまで?

個人事業主も法人も、修正申告に提出期限はありません。そのため、提出内容に誤りがあり、過少申告の事実が判明したときは、自発的に申告し直すのがおすすめです。
仮に税務署から誤りを指摘された場合、重いペナルティとしてさらに税金が増える恐れがあります。次項では、修正申告におけるペナルティについて解説します。
修正申告で課される可能性のあるペナルティ
修正申告で課される可能性のあるペナルティは、「延滞税」「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」の4つです。ここからは、各税金の概要について解説します。
延滞税|遅れた日数分かかる税金
延滞税は、本来の納付期限(法定納期限)の翌日から、修正申告によって発生した追加の税金を納付する日までの日数に応じて課される税金です。納付が遅れた事実に対して発生するため、自主的な修正申告であっても原則として課されます。
税率は納付期限から2ヶ月を経過するかどうかで変動し、納付が遅れるほど負担額が増える仕組みです。なお、本税の納税が遅れたことに対する税金のため、税務調査の有無は問いません。
修正申告のなかでも延滞税は比較的発生しやすい税金です。修正申告後の延滞税についてお困りごとがある方は、お気軽にこちらまでお問い合わせください。
参考:延滞税 | 国税通則法
過少申告加算税|本来より少ない税額で申告したときにかかる税金
過少申告加算税は、確定申告で申告した税額が、本来納めるべき税額よりも少なかった場合に課される税金です。税率は原則として、追加で納めることになった税額の10%です。
ただし、追加の税額が当初の申告納税額と50万円のいずれか多い金額を超えている部分については15%の税率が適用されます。なお、税務署から指摘される前に自主的に修正申告を行った場合、加算税は5%に軽減されます。
無申告加算税|申告そのものを忘れていたときにかかる税金
無申告加算税は、確定申告の期限までに申告書を提出しなかった、いわゆる無申告の状態であった場合に課される税金です。具体的な税率は以下の通りです。
| 区分 | 調査前の割合 | 調査後の割合 |
|---|---|---|
| 50万円以下の部分 | 5% | 15% |
| 50万円超~300万円の部分 | 20% | |
| 300万円超の部分 | 30% |
税務調査前であれば、金額を問わず5%です。一方、調査後の修正申告の場合は金額によって割合が変動するため、所得額等の差異に気付いたときは、速やかに申告し直すことをおすすめします。
重加算税|意図的な仮装・隠蔽があったときにかかる税金
重加算税は、税金の計算を意図的にごまかす、売上を隠すなど、事実を仮装・隠蔽して納税額を少なく申告したとみなされた場合に課される税金です。
| 項目 | 税率 |
|---|---|
| 過少申告加算税に対する重加算税 | 35% |
| 無申告加算税に対する重加算税 | 40% |
| 不納付加算税に対する重加算税 | 35% |
ペナルティのなかでは最も重い課税であり、加算税の種類によって上記の税率が加算されます。重加算税はどの加算税と比べても割合が金額を問わず大きいため、税金の計算には細心の注意を払いましょう。
参考:重加算税 | 国税通則法
修正申告を行う前に知っておきたい注意点
修正申告の実施にあたっては、手続きを始める前にいくつかの注意点を押さえておくことが大切です。申告のタイミングや、修正申告の必要性について正しく見極めるためにも、以下の注意点に目を通しておきましょう。
税務調査の通知後に申告するとペナルティが重くなる
税務署から「税務調査の事前通知」が届いた後に自主的に修正申告したとしても、過少申告加算税の軽減措置は適用されません。申告内容に誤りがあったことに気付いたときは、速やかに修正申告を実施し、ペナルティの軽減につなげましょう。
税額に変更がない場合は修正申告の必要はない
修正申告は、本来納めるべき税金が増える場合に行う手続きです。そのため、申告内容に誤りがあっても、税額が変わらない場合の修正申告は必要ありません。ただし、繰越欠損金が減る場合は修正申告が必要です。
税務署から指摘される可能性を踏まえ、計算過程のメモを残したり帳簿を修正したりしておくことで冷静かつ適切に対応できるでしょう。
まとめ
修正申告は、確定申告の内容に誤りがあった場合に、正しい税額を納め直すために必要となる手続きです。仮に、税額が多く申告期限を過ぎた後は更正の請求を、申告期限内であれば訂正申告を選択しましょう。
税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告を行うことで、ペナルティである各課税率が軽減される場合もあります。
修正申告を検討する際は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。










