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キックバックは税務調査で指摘されるの?バレる理由や対策を解説

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キックバックは税務調査で指摘されるの?バレる理由や対策を解説

ビジネスにおいて、キックバックは販促活動の一環としても行われる合法的な金銭のやり取りであり、適正な会計処理を行えば、基本的に問題はありません。一方で、取り扱いを誤ると、税務調査で指摘されるケースや、重加算税などの重いペナルティが課されるといった危険な側面も持ち合わせています。さらに、キックバックを無申告でいるなどして「意図的な隠蔽」と判断されると、脱税などの厳しい処分を受ける事態になりかねません。本記事では、キックバックに関連した税務調査などのリスクを回避するための具体的な対策について詳しく解説します。

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キックバックとは

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キックバックとは、ビジネスシーンにおいて取引先や関係者に対し、「謝礼金」や「報奨金」として金銭や利益を還流させる行為や、還流させた金銭そのものを指す言葉です。キックバックには賄賂や「裏金」のような悪いイメージもありますが、実際には取引そのものは違法行為ではありません。どのような場合に危険なキックバック取引となるのか、正しく理解しておきましょう。

キックバックに該当する例

キックバックの具体的な例としては、以下のようなパターンが該当します。

【例】
メーカーが販売店に対し、「一定期間内に特定の商品を100個以上販売したら、売上の10%分を販売奨励金として支払います」といった契約を結ぶ。販売店はキックバックの条件を満たして謝礼金を受け取る。

上記のように、契約した当事者の双方が契約を通じてお得になるような仕組みでの取引は、キックバックと見なされます。なお、キックバックは取引先やビジネスパートナーとの企業間で行われる取引です。

キックバックの別名について

キックバックは別名「リベート」「売上割戻」「仕入れ割戻」「バックマージン」などとも呼ばれ、会計上では『割戻』として処理される場合もあります。一定期間に多額または多量で取引をした際に、後に代金の一部返還や減額が行われた場合なども、キックバックに該当します。

しかし、割戻は通常の会計処理であり、取引自体も違法行為ではないため、日常的に企業間で活用される販売促進活動の一環です。

キックバックが合法な理由

ビジネスにおける契約には『契約自由の原則』があり、誰とどのような契約を結ぶかについては自由です。そのため、あくまで「契約自由の原則の範囲内である」と見なされるケースであれば、キックバックの取引そのものは違法行為ではありません。

  • 販売店などの契約者の販売意欲を高めるための契約である
  • 自社の売上拡大を目的とした販促活動の一環として行われる契約である

上記のように捉えられる場合は、合法的な取引と見なされます。キックバックを受けた側であっても支払う側であっても、「契約自由の原則の範囲内」であれば、取引そのものは違法行為ではありません。

違法なキックバックに該当するケース

キックバックそのものは適法な取引ですが、違法に該当する取引とはどのようなケースなのでしょうか?違法となりうるキックバックは以下のような場合が該当します。

  • 両社で納得のいく価格ではなく、片方が一方的に得をする価格で取引をしている
  • 不当な価格で水増し請求をしている
  • 担当者などの個人が企業に支払われるべき金銭を受け取っている

上記のように、企業間の合意が明確でなく、特定の担当者個人に密かに金銭が渡されるなど、透明性を欠いた取引がなされた場合は、違法と判断される可能性があります。

キックバックは正しく会計処理を行う必要がある

適法なキックバックを行った場合、必ず正しい会計処理を行わなければなりません。なぜならキックバックは税務調査の指摘対象であり、税務署は企業間で行われた金銭の流れや金額に違法性がないかを確認する必要があるためです。

実際に、キックバックを通じて不正や脱税が行われるケースや、隠蔽行為や架空請求、さらには契約担当者個人が受け取る横領行為などが行われている場合もあります。そこで、キックバックされた金銭の流れや金額の妥当性を、確定申告を通じて正しく税務署に伝えなくてはなりません。

税務調査で指摘されないためにも、企業は適法なキックバックの取引を行った事実を、正しい会計処理を通じて伝える義務があります。

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税務署にキックバックがバレる理由

実際にキックバックを隠していた場合、税務調査をされるのはどのようなケースなのでしょうか?税務調査においては『取引の透明性』が重要視されるため、不透明なキックバック取引や会計処理だと、税務署に指摘を受ける可能性があります。

それでは、キックバックがバレる理由や具体例を詳しく見ていきましょう。

契約書や請求書に取引が記載されていない

キックバックがバレてしまう最も典型的なパターンとしては、キックバックの存在が契約書や請求書などの正規の書類に記載がされていないケースです。取引先に発注した際に、契約書や請求書などの履歴となる書類が作成されていない場合は、不透明な取引と見なされます。

正規の処理がなされていない場合、税務署は「架空取引」や「収益の隠蔽」を疑う可能性があるためです。キックバックの根拠がなければ、取引の正当性が証明できないため、税務署に指摘される恐れがあります。

会社の取引に関連して個人的にキックバックを受け取っている

従業員が会社の取引に関連して、個人的にキックバックを受け取っている場合も、税務調査の対象です。例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 取引先に発注した際に、代金の一部が担当者個人に密かに支払われている場合
  • 従業員が取引先から金銭を受け取り、それを会社に報告せず、自分の所得としても申告していない場合

会社側で支払われたキックバックが適切に処理されていない場合は、『正しい会計報告ができていないもの』と見なされます。さらに、受け取った個人が「収入」として申告していない状況も想定されるため、取引に関する金銭の流れが把握できずに途絶えている状況です。

万が一、個人が金銭を受け取った事案が発生した際には、以下のどちらに該当するか、事実関係が調査されます。

  1. 会社に帰属(損益算入)と認定する場合
  2. 受領者個人の所得(給与・一時所得など)として課税される場合

たとえ、従業員個人が受け取った金銭であっても、税務当局は『会社が受け取ったもの』と判断する恐れもあります。そのため、企業の追加的な税負担や社会的な信用の失墜に繋がる恐れがあるため、注意しましょう。

キックバックの金額や計上時期が不自然

キックバックの金額や計上時期に不自然な点がある場合も、税務署からの指摘を受ける対象です。例えば、以下のような不適切な会計処理を行った場合、税務署に厳しく取り締まられる可能性が高まります。

  • 商品をまとめて仕入れて割引された際に、「仕入割戻」として処理すべき返還された代金であるキックバックを除外している
  • キックバックとなる金額を過少に申告している
  • 割戻の通知があったにも関わらず、該当の事業年度内に計上せず、翌年度に計上する

上記のように、キックバックの金額や時期の計上を不適切に処理していると、キックバックを利用した取引先との共謀による架空の経費を作り出している可能性が指摘される場合があります。さらに、架空の業務委託費や広告費などとしてキックバックを処理する『経費の水増し行為』と見なされた場合は、税務調査となる可能性がより高まるでしょう。

税務署は税務調査を通じて、企業が透明性のある正しい会計処理や申告をしているかを調査します。税務調査の対象であるキックバック取引に違法な点はないか、丁寧に調査しなくてはなりません。そのため、企業はキックバックの指摘を受けないように、会計処理や申告にてあらかじめ丁寧に処理することが重要です。

キックバックの無申告がもたらすリスク

リスク

企業がキックバックを適切に申告しないまま放置した場合、リスクを背負う状態となり危険です。ペナルティは税務上の問題だけでなく、企業の信用が失われる恐れや、さらには刑事罰に発展する可能性も否定できません。キックバックの無申告または過少申告がもたらすリスクを3つご紹介します。

税務上のペナルティ

キックバックの無申告や過少申告が税務調査で発覚した場合、納税者は重い税務上のペナルティを科されます。科される税務上のペナルティによる追徴課税は、以下の3つです。

  • 加算税(過少申告加算税、無申告加算税)
  • 重加算税
  • 延滞税

    上記の追徴課税がなされないケースは、以下のいずれかに該当した場合です。

    • 加算税が5,000円未満の場合
    • 更正を予知しないで修正申告をした場合(税務調査を受ける前に自主的に修正申告するなどした場合)
    • 正当な理由がある場合(税務署の誤った指導など)

    ただし、たとえ税務署側の判断ミスによって税務調査となった場合でも、「正当な理由があって税務申告ができなかった」という旨を納税者側が立証しなくてはなりません。

    さらに、「脱税」と見なされた場合は追徴課税より重いペナルティが科されます。どのようなペナルティが科されるのか、それぞれ具体的に確認しておきましょう。

    加算税(過少申告加算税、無申告加算税)

    正当な理由なく申告額を過少に申告した場合や、正しく確定申告をしていなかった場合は、本来納めるべき税額に加えた「加算税」を支払わなくてはなりません。主な「加算税」には過少申告加算税と無申告加算税があり、申告期限までに正しい申告書を提出したかどうかで分けられます。

    • 過少申告加算税:申告期限内に提出した申告書の納税額が過少であった場合のペナルティ
    • 無申告加算税:申告期限を過ぎても申告書を提出しなかった場合のペナルティ

    過少申告加算税で課される税額は、増差税額(本来支払うはずの税額と過少申告した税額の差)に対して原則10%を乗じます。ただし、新たに納付すべき税額が当初の申告納税額や50万円のいずれか高い金額を超えた場合は、超過分に15%が加算される仕組みです。

    そして、加算税の税率は税務署からの調査の事前通知より前に申告した場合と、後に申告した場合で納税額が変わります。それぞれの詳しい税額は、以下の表にてご確認ください。

    過少申告加算税無申告加算税
    課税要件①期限内申告について、修正申告・更正があった場合①期限後申告・決定があった場合
    ②期限後申告・決定後に、修正申告・更正があった場合
    税額区分50万円以下50万円超50万円以下50万円超~300万円300万円超
    原則の税率10%15%15%20%30%
    更正等
    予知前
    調査通知後5%10%10%15%20%
    調査通知前不適用5%

    更正とは、修正申告または期限後申告を指します。税務署からの通知が来る前に、過少申告だと気づいて自主的に申告した場合、過少申告加算税は不適用となるため、適正額の納税のみで済みます。

    申告時期の遅滞や増差税額が多額など、悪質と判断されるケースほど、科されるペナルティやかけられる税率が高くなるのが加算税の特徴です。

    参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁HP

    重加算税

    加算税よりもさらに深刻なペナルティが「重加算税」です。キックバックの意図的な隠蔽や、虚偽の申告を行うといった『仮装隠蔽行為』などに該当する場合は重加算税が課されます。過少申告課税や無申告加算税に代わり、高い税率が適用される「重加算税」が課され、さらに税負担が重くなります。

    過少申告加算税無申告加算税
    重加算税に代わる場合の税率35%40%

    キックバックが『仮装隠蔽行為』や『使途不明金および使途秘匿金の取扱い』などと見なされると、重加算税が発生します。重加算税に該当する事案の例としては、以下のような場合です。

    • 二重帳簿の作成
    • 帳簿書類の破棄・隠匿、改ざん・虚偽記載を行う
    • 帳簿書類に売上を記録せず、収入の脱漏や棚卸資産を除外して計上しない行為
    • 取引相手と共謀しての虚偽資料の作成

    上記の例のほか、不正な繰戻し還付を受けているケースなども重加算税が課されます。不正な事実と見なされる悪質な会計処理には、重いペナルティが用意されている点に留意しましょう。

    参考:法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁HP

    延滞税

    先ほどまでの加算税に加えて、本来納めるべき税額の納付期限が過ぎている場合には、さらに延滞税も追加で発生します。延滞税は、納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算されるため、発覚が遅れるほど、納税する金額が増大します。税の延滞に気づいた際は、1日でも早く納めるのがおすすめです。

    参考:No.9205 延滞税について|国税庁HP

    脱税と判断された場合

    万が一、キックバック行為が「脱税」と判断されると、法人税法や所得税法違反として懲役刑や罰金刑などの刑事罰が科されます。特に、多額の脱税や悪質な隠蔽行為が認められた場合、逮捕事例が報じられることもあります。キックバックの過少申告や無申告は危険な行為だと認識しておきましょう。

    企業への影響

    キックバックの無申告や過少申告が税務調査で発覚した場合、企業は税務上のペナルティだけでなく、多方面においてマイナスな影響を受けます。

    1. 社会的信用の失墜
    2. 取引先や関連企業との関係性が失われる
    3. 企業イメージの低下による企業の衰退
    4. コンプライアンス違反による監督責任が問われる

    上記の企業が受けるマイナスな影響について、さらに具体的に解説します。

    社会的信用の失墜

    キックバックによる無申告や脱税が発覚した場合、過去に築き上げてきた企業の社会的信用が失墜するでしょう。不正会計や脱税行為が公になると、顧客や取引先からの信頼は失われます。そのため、新規の契約獲得が困難になる場合や、既存の取引が打ち切られて事業継続に支障をきたす可能性も出てくるでしょう。

    取引先や関連企業との関係性が失われる

    キックバックは支払う側と受け取る側の双方の帳簿に影響を与えるため、自社の不正発覚の影響で、取引先にも税務調査によるペナルティが発生する可能性があります。そのため、取引先との関係が悪化し、今後のビジネスチャンスを失いかねません。

    双方に税務調査が及ぶケースの例としては、自社が経費を水増しするためにキックバックを支払っていた場合などが該当します。受け取った側の企業が、キックバック分の収入を適切に申告していなかった場合、ペナルティが与えられるでしょう。

    企業イメージの低下による企業の衰退

    不正会計や脱税がニュースで報じられ、世間に明るみに出ると企業イメージの大幅な低下を引き起こし、結果的に経営に悪影響を及ぼします。不正行為が報じられて企業の評判が地に落ちると、引き起こされる問題の例は以下の通りです。

    • 新規採用の応募者が減少し、優秀な人材の獲得が困難になる
    • 既存の従業員が離職し、運営が成り立たなくなる
    • 世間のイメージ低下により、不買活動が行われる
    • 取引先や関連企業との取引が停止され、新たな取引先を探す必要が出てくる

    企業イメージの低下は心理的な要素も含まれるため、人間関係にも影響します。企業の財務状況だけでなく、事業運営全体に被害が及ぶリスクをはらんでいる点も認識しておきましょう。

    コンプライアンス違反による監督責任が問われる

    従業員が個人でキックバックを受け取っていた場合、『従業員個人による企業資産の横領行為』と見なされる可能性があります。横領行為は刑法上の犯罪です。そのため、以下のような厳しい指摘を受けます。

    • 従業員個人については刑事責任が問われる
    • 従業員に対する懲戒解雇や損害賠償請求といった法的措置が必要となる
    • 企業としての内部統制の不備やコンプライアンス違反の指摘を受ける
    • 企業や幹部などの上層部の監督責任が問われる

    上記のように、個人のキックバック問題は従業員のみならず、企業にも責任が問われるため、社内にも混乱が生じます。たとえ、従業員個人が犯した罪であっても、雇っていた企業も責任が問われる点に留意しましょう。

    消費税への影響

    キックバックは「リベート」「割戻」とも呼ばれ、ビジネスでは頻繁に行われる一般的な取引のひとつです。ただし、会計上では『値引きや還付がなされたもの』と判断されるため、キックバックは所得税や法人税だけでなく、消費税の課税判定にも影響を与えます。

    そのため、キックバックの適切な処理を怠ると、消費税の申告漏れにも繋がる点に注意しましょう。申告漏れに繋がりやすいケースは以下の2パターンです。

    1. キックバックを受け取る以前から消費税の課税事業者であったが、正しく仕訳をしなかったケース
    2. キックバックの金額によって、消費税の課税事業者となる基準を満たしてしまったケース

    さらに、消費税法では企業がキックバックの授受のどちらに該当するかによって会計処理が変わるため、正しい処理についても確認しておきましょう。

    課税事業者が正しく仕訳をしなかったケース

    キックバックを受け取る以前から消費税の課税事業者である場合は、キックバックの正しい仕訳が義務付けられています。キックバックの仕訳を怠ると、後日税務署の調査で指摘され、本来支払うべき消費税に加え、延滞税や加算税が課されます。

    国内での取引において、仕入れで値引きを受けた場合や売上に値引きを行った場合に、消費税額を考慮した正しい金額で仕訳をしなければなりません。消費税法において、キックバックの勘定科目は、『受け取る側』と『支払う側』で処理が変わるため、それぞれ確認していきましょう。

    【受け取る側の場合】

    会計処理は2パターンあります。

    1. 「仕入割戻」として受け取り、課税仕入れに対する返還金として取り扱う
    2. 「雑収入」として処理する

    課税仕入れの金額からキックバック分を差し引いて、消費税の納税額を計算します。「仕入割戻」として適切に処理せずに仕入税額控除を行うと、過少申告に繋がる恐れがあるため、忘れずに処理しましょう。

    【支払う側の場合】

    キックバックを支払う際は、会計処理では「売上割戻」または「売上割戻引当金」として記帳します。「売上割戻」として計上すべき金額を「経費」に含めてしまった場合、過少申告に繋がる恐れがありますので、注意しましょう。

    参考:No.6363 値引き、返品、割戻しなどが行われた場合の税額の調整(仕入れに係る対価の返還等)|国税庁HP

    参考:No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上げに係る対価の返還等)|国税庁HP

    キックバックの金額によって課税事業者の基準を満たしたケース

    適格請求書発行事業者は除くなどの一定条件はありますが、基本的に、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税が免除となる免税事業者です。ただし、キックバックを含めた課税売上高が1,000万円を超えた場合は、免税事業者であっても、課税事業者として消費税の納税義務が生じます。

    キックバックの金額によって基準を満たした場合でも、無申告となればペナルティの対象です。課税対象業者となるために納税地の所轄税務署長に「消費税課税事業者届出書」を提出するとともに、勘定科目に応じた正しい会計処理も求められます。

    消費税の計算は課税事業者判定にも影響を及ぼします。そのため、キックバックの授受があった場合には、消費税の課税事業者となる基準を満たす可能性がないか、必ず確認しましょう。

    参考:No.6501 納税義務の免除|国税庁HP

    税務調査で指摘されないための対策

    ポイント、指差し

    税務調査において、キックバックが指摘されないために、企業側が準備できる対策を確認しておきましょう。

    • 適切な会計処理を行う
    • 日頃から記録の管理を徹底する
    • 税務署への自主的な対応(申告漏れなどの場合)
    • 専門家である税理士へ税務の相談をする

    各対策を、詳しく解説していきます。

    適切な会計処理

    税務調査で指摘されないためには、日常的に適切な会計処理を行う必要があります。会計処理における注意点は2点あり、会計帳簿への正確な記帳とキックバックの計上時期です。

    まず、会計帳簿の正確な記帳においては、キックバックを受け取った場合は「仕入割戻」または「雑収入」、支払う側であれば「売上割戻」として記帳しなくてはなりません。給与や個人の雑収入として処理する、または架空の経費として計上するなどすると、不適切な会計処理と見なされます。不適切な申告や過少申告と判断されると、加算税などの対象となるリスクがあるため、注意しましょう。

    次に、キックバックの計上時期にも注意しましょう。原則として、「仕入割戻」は割戻の通知が行われた時点で計上できます。事業年度をまたいで通知を受けた場合でも、契約書に算定基準が明確に記載されているのであれば、仕入れを行った事業年度に計上できます。

    あいまいな会計処理をしていると判断されないよう、細心の注意を払いましょう。

    記録の管理を徹底する

    税務調査が行われた際に、取引の正当性を主張するために、キックバックの取引についての根拠となる契約書や請求書を必ず作成し、厳重に保管しておかなくてはなりません。書類を保管していなかった場合、取引の正当性を証明することが困難になり、架空取引や収益の隠蔽を疑われる可能性があります。

    そこで、キックバックの取引を行う際は、あらかじめ以下の点に注意しましょう。

    • キックバックの条件や金額、支払日などを明確に記載した書類を整備する
    • 金銭の流れに透明性を持たせるため、事業用の銀行口座で取引を行う

    特に、銀行口座の取引履歴は税務調査において重要な書類となるため、求められた際にはいつでも提供できるよう、必ず保管しておきましょう。また、不審な個人口座への入出金は、裏金や個人的な収入と見なされる可能性があるため、避けた方が無難です。

    会計記録である取引の根拠となる書類は、税務調査に備えて、厳重に保管しておきましょう。税務上、キックバック取引に整合性がとれる証拠となる書類を残しておくと、金銭の透明性の保持に繋がるため、税務調査におけるリスクを最小限に抑えられます。

    税務署への自主的な対応

    万が一、過去の取引でキックバックの申告漏れに気づいた場合は、できるだけ税務署から指摘を受ける前に、自主的に申告しましょう。税務署への自主申告には、以下のようなメリットがあります。

    • 自主申告により、意図的な隠蔽ではないという証明となるため、税務署からの信頼が得られる
    • 悪意がない申告漏れの場合には税務署側の評価が好転する
    • 税務調査の通知が来る前に自主的に修正申告を行うと、過少申告加算税が免除される可能性がある
    • 延滞税がかかる場合は、早めに納税すると延滞税額が少なく済む可能性がある

    自主申告をする際は、当該取引の詳細を整理しキックバックの金額や内容を正確に把握し、間違いを修正するための「修正申告」を税務署に行いましょう。修正申告では、修正の証拠となる領収書や契約書などの関連資料を添付し、誠実に対応する姿勢を示すことが大切です。

    申告漏れやミスに気がついたら、できるだけ早く税務署に相談し、適切な手続きを踏めば、税務リスクを最小限に抑えられます。

    税理士へ税務面の相談を行う

    「キックバックの適切な処理を行う」とは言っても、実際の税務処理は複雑です。税務調査では、適切な勘定科目による仕訳による会計処理、計上漏れや計上時期にズレはないかなど、細かい箇所も確認がなされます。さらに、証拠となる契約書や請求書などの関係書類の提出も求められます。

    そこで、税務調査で指摘されないための対策として、税務の専門知識を持っている税理士に相談しましょう。税理士におまかせすると、以下のようなメリットがあります。

    • 帳簿や資料の確認を行い、正確な会計処理が実現できる
    • 税務面のリスク箇所の特定や、適切な税金対策が可能
    • 税務調査の際に、納税者の代理として税務署との交渉にあたる
    • 税務調査官からの質問に対する適切な回答や、資料の提出などのサポート
    • 不必要な指摘やペナルティを避けられる
    • 既にキックバックの申告漏れに気づいた場合でも、自主的な修正申告の手続きを円滑に進められる

    税理士に依頼すると、税務面における個別のケースに応じた正確な判断やアドバイスを受けられるため、税務面のリスクを避けながら節税にも繋げられます。キックバックの税務処理や税務調査に関する不安が少しでもある場合は、早めに税理士へ相談するのがおすすめです。

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    税務調査における対応の注意点

    個人事業主の労災保険のイメージ

    実際に税務調査に入られた場合、事業者は税務署からの指摘に応える必要があります。特にキックバックのような疑われやすい項目がある場合、求められた質問などには適切に対応をしなくてはなりません。

    そこで、税務調査官の質問に対する回答の仕方や、質問応答記録書の扱いについて、あらかじめ確認しておきましょう。

    質問に対する回答の仕方

    税務調査官からの質問に対しては、冷静かつ誠実に回答しましょう。税務調査官は、納税者の態度や回答の内容から、隠蔽の意図があるかを判断する材料のひとつにします。そのため、不明確な回答や虚偽の答弁をすると、税務調査が不利に進んでしまいます。

    キックバックに関して質問された場合は、以下の内容を明確に説明できるように準備しておきましょう。

    1. 該当する金銭の授受がどのような目的で行われたのか
    2. 誰と誰の間で行われたのか
    3. 契約書や領収書などの証拠書類があるのか

    契約書や領収書などの証拠書類がないキックバックについては、根拠を明確に説明できるようにあらかじめ整理しておく必要があります。また、税務署に質問をされたときの対応は以下の通りです。

    • 質問に対して即座に回答できない場合は、無理にその場で答えようとせず、「確認して後日回答します」と伝える
    • 質問の内容が専門的で理解できない場合は、遠慮なく「もう少し詳しく説明してください」と尋ねる

    曖昧な情報や憶測で回答し、後に事実と異なる事案が判明した場合、税務署からの信頼を失い、調査がさらに厳しくなるリスクが発生します。また、無理に理解したふりをすると誤解が生じ、不正確な情報を提供してしまう恐れがあるため、その場しのぎの回答は避けましょう。

    税務署の対応においては、正直かつ誠実な姿勢で対応し、必要な情報を提供するための準備を整えましょう。不確定な要素については、リスクを避けて後日の回答が望ましいです。すでに税理士に依頼している場合は、税理士に対応してもらいましょう。

    質問応答記録書の扱い

    税務調査の終盤には、「質問応答記録書」という書類が作成される場合があります。調査官が納税者への質問に対する回答をまとめた書類で、税務署側が作成し、納税者は任意での署名が求められます。

    ただし、任意とはいえ質問応答記録書は、後に税務署との間で認識の齟齬が生じた際に、事実関係を確認するための重要な証拠書類となる大事な書類です。そのため、内容をよく確認せずに安易に署名するのは危険です。署名をする際の注意点としては、以下の通りです。

    • 内容を十分に確認し、事実と異なる点や誤解を招く表現がないかを慎重にチェックする
    • 内容に納得できない点や、自分の意図と異なる記述がある場合は、その場で修正を求める権利、または追記する権利があるため、必ず申し出る
    • 署名を求められた際には、税理士に同席してもらい、その場で書類の内容を精査してもらう
    • 税理士が同席できない場合でも、一度持ち帰って内容を検討する時間を求め、後日郵送で返送する形をとる
    • 最終的に署名する際には、必ずご自身の控えをコピーしておく

    特に、キックバックに関する内容が含まれた質問応答記録書は、税務署が重加算税を課すかどうかの重要な判断をするための書類として作成されます。万が一、事実と異なる内容に署名してしまった場合、後からの訂正が困難です。任意署名であることから、税理士に依頼している場合は、必ず税理士を通じて確認をした上で、書類に署名しましょう。

    キックバックは十分な注意が必要

    キックバックとは、契約した当事者の双方が契約して、経済的利益を得る仕組みで取引された金銭です。裏金のような悪いイメージを持たれるかもしれませんが、実際には根拠となる明確な理由があれば「割戻」として会計処理できる、正当なビジネスです。

    しかし、会計処理において、金額や計上時期などを間違えた不正確な会計処理をしていると、過少申告や脱税に繋がる恐れがあり、税務調査の対象となるケースもあります。キックバックを行う場合は必ず記録を残し、適切な会計処理を行いましょう。キックバックの会計処理や税務面に関して不安を感じる場合は、専門の税理士へ相談することをおすすめします。

    税務調査についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください.

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    この記事の監修者
    池田 大吾小谷野税理士法人
    カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
    会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
    銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
    • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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