共同経営において出資比率は非常に重要な項目です。そのため、会社設立に向けてビジネスパートナーとの出資比率について悩む方も多いのではないでしょうか?出資比率でパートナーとの関係性が左右されることがあります。ここでは、共同経営における出資比率の重要性や出資比率ごとの立場などについて解説します。
目次
共同経営とは

家族や友人、知人などと一緒に会社を設立するというケースは珍しくありません。事業を経営していくビジネスパートナーが二人以上いる場合、「共同経営」として会社を設立します。ただし、共同経営といっても複数の形態があります。まずは、どのような形態で共同経営をするのか決めることから始めましょう。
法人格として共同で設立する
一般的な方法として、株式会社など法人格として会社を設立するパターンが挙げられます。
法人として会社を設立すれば社会的に信頼性が高まるため、取引先との関係を築きやすくなることや、融資が受けやすくなる点などがメリットになるでしょう。
また、節税効果も得やすくなります。
ただし、法人として会社を設立するには費用がかかる点がデメリットです。
法人の資本金は1円からでも設立できますが、一般的には新規設立で100万~300万円、中小企業で300万~500万円が平均です。
会社設立にかかる費用に関しては、下記の記事を参考にしてください。
LLPやNPOとして設立する
会社の構成員が全員対等になるように会社設立をしたい場合は、LLP(有限責任事業組合)やNPO(特定非営利活動法人)で設立するという選択肢もあります。
株式会社の場合は決議権を持つ人の割合で経営の意思決定が行われていきますが、LLPやNPOは一人ひとりの意見が重視されます。
決議の方式は、NPOは多数決、LLPは全員一致での意思決定が原則です。
また、LLPやNPOは資本金がなくても設立が可能です。
LLPは資本金0円でも設立が可能ですし、NPOに関してはそもそも資本金の概念がありません。
コストをかけずに短期間で会社を設立したい場合に、LLPやNPOといった形態は向いているでしょう。
個人事業主として共同経営する
共同経営するには会社を設立しなければならないというわけではありません。
個人事業主として共同経営することも可能です。
個人事業主として共同経営する場合は、「各々が個人事業主として共同経営する方法」と「代表者のみが個人事業主になる方法」の2パターンがあります。
各々が個人事業主として共同経営をする場合、組織ではないためそれぞれの事業を持って対等に事業運営を行います。
一方で、代表者が個人事業主になる場合、それ以外の共同経営者は下請けもしくは従業員として事業運営に加わります。
個人事業主の共同経営に関する詳しいことは、以下の記事を参考にしてください。
株式会社の共同経営において出資比率が重要視される理由
共同経営にはさまざまな形態がありますが、株式会社で会社を設立する場合、誰がどれくらい出資するのかという「出資比率」が重要視されます。
「出資したいと思う人が自由に出せばいい」「お金がある方が出資すればいい」など考える人もいるかもしれませんが、出資比率は慎重に決める必要があります。
なぜならば、出資比率で会社の経営における影響力が左右されるからです。
株式会社で共同経営の会社を設立する場合、出資をすればその会社の株主になりますが、金額に応じてさまざまな権利が与えられます。
経営に関する意思決定の権限もそのひとつであり、出資比率が高いほど議決権が大きくなります。
株式会社の経営に関する一般的な決議(普通決議)は、総株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、その出席した株主の議決権の過半数の賛成を必要とすることが法律で定められています(会社法第309条1項)。
また、定款変更や合併、解散など重要なことを決める特別決議に関しては、議決権の3分の2以上の賛成が必要です(会社法第309条2項)。
こうした会社経営における決議権をどれくらい保有していたいのかによって出資比率は変わってくるでしょう。
出資比率ごとの立場の違い

共同経営における出資比率が議決権の大きさに比例することを解説しましたが、どれくらいの出資比率がベストなのでしょうか?
出資比率ごとの立場の違いについて知り、自分や事業運営にとってベストな出資比率を検討しましょう。
出資率が100%
共同経営ですが一人だけが100%出資する場合、出資者がオーナーです。
この場合、オーナーは実務を行わず、ビジネスパートナーが実務を行うケースが多いです。
日常的な決定事項に関しては共同経営者が行いますが、最終的な議決権はオーナーにあります。
つまり、出資者と他方の共同経営者は対等とはいえず、上下関係が生まれます。
同額を出資する
出資者がそれぞれ同額を出資すれば、出資者は全員対等な立場です。
例えば、2人の出資者が50:50で出資する場合、議決権もそれぞれが平等に保有します。
会社設立時には対等な関係になれるというメリットがあるかもしれませんが、同額を出資する場合はトラブルが起こりやすいです。
なぜならば、経営における重要な決定を行う際に、2人の意見が割れれば結論を出すことができないからです。
どちらも同じだけの議決権を保有するため、一方の意見に決定するまでは話し合いを重ねることになり、スピードを持った経営を実現できません。
過半数以上の出資率
一人の出資者が、出資額の過半数以上(50%超)を出資するケースです。
この場合、過半数以上の出資率を持つ出資者に過半数以上の議決権が与えられます。
つまり、普通決議には過半数以上の賛成が必要になるため、普通決議は過半数以上を出資した出資者が単独で決めることが可能です。
単独の議決権があるため、経営に関する決定をスムーズに行いやすくなります。
ただし、特別決議に関しては、他の株主の賛成が必要です。
3分の2以上の出資率
一人の出資者が、出資額の3分の2以上を出資するケースです。
特別決議には3分の2以上の賛成が必要になるため、3分の2以上の出資をしている出資者は単独で特別決議を決定できます。
特別決議は、会社の定款や解散など重要なことを決めるための決議です。
この特別決議を単独で決定できるため、会社の実権を握る存在といえるでしょう。
3分の1超の出資率
出資額の3分の1超を出資するケースです。
この場合、経営に関する議決権はないものの、特別決議を単独で反対できる存在です。
普通決議の単独決定はできないものの、定款の変更や合併・解散など会社の経営に関する大切なことを決める特別決議では3分の1超の出資率を持つ出資者の意見が重要になってくるといえます。
3分の1未満の出資率
出資額の3分の1未満を出資するケースです。
この場合、決議において単独での議決権はありません。
しかし、他の株主と合わせて議決権が3分の2以上になれば、意思決定をすることができます。
共同経営において出資比率を決める際の注意点

共同経営における出資比率は非常に重要なものなので慎重に検討する必要がありますが、出資比率を決める際にはどのようなことに注意すべきなのでしょうか?
ここからは、出資比率を決める際の注意点を解説します。
同額出資は避ける
共同で起業するとなれば、ビジネスパートナーと同額出資で対等にしたいと考える方も少なくありません。
しかし、同額出資になれば、互いに同等の議決権を保有します。
そうなれば、経営方針に関して意見がぶつかった場合、なかなか決められずに話が進まなくなるリスクがあります。
ビジネスにおいてはスピードが重要であり、意見がまとまらずに時間がかかることでビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。
起業当初は互いに意見がぶつかるようなことはないと考えていても、将来的にどうなるかは分からないものです。
ビジネスパートナーと話し合ってどちらか一方をリーダーとして立て、同額出資は避けることを推奨します。
契約書や覚書として文書にまとめる
共同経営に関する出資比率を始め、役職や権限、責任、役員報酬の決め方、経理や報告に関するルール、職務分担などビジネスパートナーと最初に決めたことは全て契約書や覚書として文書にまとめておきましょう。
共同経営の出資比率を決めて起業をしても、いざ経営を始めると互いに上手くいかないこともあります。
共同経営で上手く経営を行っていくには、最初にルールを決めることが大切です。
文書にまとめておけば問題が起こった際に対処しやすくなるので、出資比率や出資額も含めて起業前にビジネスパートナーとしっかり話し合いましょう。
第三者にも相談する
共同経営の出資比率に関して、第三者に相談してみることも大切です。
第三者に相談することで客観的な視点で物事を捉えることができます。
ただし、相談する第三者は経営に詳しい人や税理士などの専門家を選びましょう。
会社設立から設立後のサポートを受けたい場合は、税理士に依頼するという選択肢もあります。
税理士は会社設立の手続きをサポートできるだけではなく、会社設立後の経営に関するアドバイスや税務処理などで助けを得られます。
また、ビジネスパートナーと意見が食い違った場合にも、第三者が加わることで冷静に話し合いを行うことができるでしょう。
共同経営で会社設立する場合は税理士に相談しよう
共同経営は、互いのスキルや経験を生かして事業を立ち上げることができるというメリットがある反面、出資比率で経営権への影響力の大きさが左右されるなど慎重に検討しなければならない部分もあります。
安易に出資比率を決めて会社を設立すれば、将来的に後悔したりトラブルになったりする可能性もあるでしょう。
共同経営で会社設立する場合は、まず税理士に相談しましょう。
小谷野税理士法人では、会社設立から設立後の経営サポートまでワンステップでの依頼が可能です。
まずは問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。







