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グローバル・ミニマム課税とは?仕組みや課税ルール、日本への影響を解説!

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グローバル・ミニマム課税とは?仕組みや課税ルール、日本への影響を解説!

経済協力開発機構(OECD)を中心に約140カ国が合意した「グローバル・ミニマム課税」は、国際的な税負担の公平性を確保するための課税ルールです。日本もこの枠組みに沿い、法人税の最低税率15%を適用する制度を導入しました。この記事では、グローバル・ミニマム課税の概要や導入背景、日本企業に求められる対応について解説します。

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グローバル・ミニマム課税とは

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「グローバル・ミニマム課税」は、国際的な法人税の引き下げ競争に歯止めをかけ、企業の公平な競争環境を確保するために導入されました。特定の大規模な多国籍企業に対し、世界的に最低法人税率を設定し、一定の基準を満たした企業に対して適用されます。OECDが主導した合意に基づき、各国がこの新たな課税ルールを採用し始めており、日本でも令和5年度の税制改正を皮切りに段階的な導入が進んでいます。

世界各国が合意したルール

グローバル・ミニマム課税は、OECDが主導する「BEPS(税源浸食と利益移転)包摂的枠組み」の一環として策定されました。

主に、経済のデジタル化に伴い生じた税務上の課題に対応するため、2021年10月に国際的な合意が成立し、140の加盟国のうち136の国と地域が支持しています。G20を含む主要な経済圏の間で統一された「最低法人税率」により、法人税率の過度な引き下げ競争に歯止めをかける狙いです。

「BEPS包摂的枠組み」には「第1の柱(Pillar1)」と「第2の柱(Pillar2)」があります。このうち、Pillar2はグローバル・ミニマム課税の核心となるルールです。各国が法人税率15%の基準を設け、それを下回る税負担の企業に対して、親会社が拠点を置く国や関連国で追加の課税が行われます。

例えば、日本企業が海外に子会社を設立し、現地の法人に対して10%の税率が適用された場合、表面的には15%の最低税率に対して5%の差が生じます。 ただし、対象となるのは法定税率ではなく、実効税率(各種控除や優遇措置などを反映した実際の納税負担)です。この実効税率が15%を下回った場合に、不足分についてトップアップ税として追加課税されます。

グローバル・ミニマム課税は低税率国を活用した利益移転を抑制し、各国の税収を安定させることを目指しています。

参考:グローバル・ミニマム課税への 対応に関する改正のあらまし|国税庁

年間総収入7.5億ユーロ以上の多国籍企業が対象

グローバル・ミニマム課税の適用対象となる企業は、一定の基準を満たした多国籍企業に限定されています。具体的には、過去4年間のうち2年以上で総収入が7億5000万ユーロ(約1,000億円)以上の企業グループが対象です。

多国籍企業の中でも特に規模の大きい企業に限定することで、国際的な税負担の公平性を確保しつつ、中小企業への影響を抑えるための措置とされています。

適用されるのは、世界規模で事業を展開しており、複数の国に拠点を持っている企業です。企業の収益規模が一定の基準に達しているかどうかは、企業の連結財務諸表を基に判断されます。

令和5年と令和7年の税制改正で段階的に導入された

日本では、このグローバル・ミニマム課税の導入が令和5年度税制改正から段階的に開始されました。

2023年(令和5年度)の税制改正では、「所得合算ルール(IIR)」が導入されています。日本の企業が海外子会社を持つ場合、現地での法人税率が15%を下回っていると、その差額が日本で課税される仕組みが確立しました。

2025年(令和7年度)税制改正では、「軽課税所得ルール(UTPR)」と「適格国内ミニマム課税(QDMTT)」が追加されました。UTPRは、日本に拠点を持つ企業が海外に親会社を持ち、その企業の税負担が基準以下である場合、日本がその税負担の調整を行う仕組みです。QDMTTは、日本国内での税負担が15%を下回る場合、日本国内で補填課税を行う制度であり、他国による課税を防ぐ役割を果たします。

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グローバル・ミニマム課税が導入された背景

企業が国境を越えて活動する現代、各国の法人税率の違いを利用した税回避が問題視されています。特に、多国籍企業が低税率の国に利益を移転することで、本来の税負担を軽減するケースが増え、税収の減少や公正な競争の妨げにつながっていたのです。

こうした状況を改善するため、OECDを中心に議論が進められ、国際的な法人税の最低税率を設定する「グローバル・ミニマム課税」が導入されるに至りました。

多国籍企業による税回避の増加

国によって税率が異なるため、企業が低税率国へ利益を移すことで税負担を抑える動きが広がっていました。

例えば、法人税率が高い国に本社を置く企業が、税負担の軽い「タックスヘイブン(租税回避地)」に子会社を設立し、利益をそちらに移転することで、実際の納税額を抑える方法が取られていたのです。企業はコスト削減を実現できる一方で、国側から見ると、本来得られる税収が減ってしまう問題が発生します。

特に、デジタル化が進んだことで、企業は物理的な拠点を持たなくてもビジネスを展開できるようになりました。その結果、課税対象となる企業の所在地が曖昧になり、適切な税収確保が難しくなったのです。

グローバル・ミニマム課税の導入後は、対象企業はどの国で事業を行っていても最低限15%の法人税を負担します。これにより、税回避行為を防ぎ、各国の公平な税収確保を目指す仕組みが整えられました。

各国の法人税収の減少

多国籍企業が低税率国へ利益を移すことで、法人税をほとんど支払わないケースが増え、各国の税収基盤が揺らぐ事態となっていました。特に、国際競争が激しい国々では、外国企業を誘致するために法人税率を引き下げる動きが活発化し、それが結果的に税収減少を引き起こす要因となっていたのです。

例えば、法人税を大幅に軽減する優遇税制を導入することで、海外企業を誘致する国が増えました。これは一見すると経済活性化に繋がる施策ですが、税率を引き下げすぎると、国内企業の税負担とのバランスが崩れるなどの問題も発生します。また、税収の減少により、政府が公共サービスやインフラ投資のための財源を確保しづらくなるという課題も浮上していました。

法人税率を一定基準に統一することで、企業が進出先を決める際に税制以外の要素も考慮しやすくなるでしょう。労働環境・市場規模・インフラ整備など、本来の事業運営に重要な要素を比較しながら進出先を選べるため、公平な競争環境が整うことにつながります。

「底辺への競争(Race to the bottom)」の防止

法人税率を下げることで海外企業を誘致しようとする国が増え、それが世界的な税率引き下げ競争を引き起こしていました。いわゆる「底辺への競争(Race to the bottom)」とは、各国が法人税率を下げ続けることで、最終的にどの国も適正な税収を確保できなくなる状況を指します。

底辺への競争の影響を受けた国々では、企業の税負担が著しく減少します。一部の国では法人税率を極端に低く設定することで、企業にとって「魅力的な拠点」となるような動きが進んでいました。

しかし、こうした動きが広がるほど、税収不足に陥る国が増え、政府の財源確保が難しくなる問題が発生しました。これにより、国際的な税制の整備が急務となり、仕組みの導入が必要とされたのです。

法人税率の最低ラインを15%に設定することで、税負担を極端に軽減することが難しくなり、企業の誘致競争が適正な範囲に収まります。その結果、特定の国だけが過剰に優遇される事態を防ぐことにつながりました。

グローバル・ミニマム課税における3つのルール

積町課税 加算税 延滞税 利子税

企業グループ全体で最低税率15%を確保するため、課税方法が異なる3つの主要なルールが導入されています。中でも、各国の税制への影響を考慮し、所得合算ルール(IIR)を最も優先的に適用する方向で国際的な議論が進められています。ここでは、主なルールについて詳しく見ていきましょう。

所得合算ルール(IIR)

「IIR(Income Inclusion Rule)」は、親会社が拠点を置く国で不足分を課税するルールです。子会社が低税率国で課税を受け、その税率が15%を下回る場合、親会社が拠点を置く国にて補填する形で課税します。

IIRが最も優先的に導入される背景として、企業グループの上位の事業体から課税する原則が国際的に支持されているためです。日本では令和6年4月1日以降の対象会計年度から適用されます。

例えば、日本企業が海外に子会社を設立し、現地国で法人税率10%の課税を受けた場合、本来求められる最低税率は15%であるため、日本の親会社は不足分5%の追加納税が必要です。IIRにより低税率国を利用した税逃れが難しくなるため、企業の税負担の公平性が確保されることにつながります。

軽課税所得ルール(UTPR)

「UTPR(Undertaxed Profits Rule)」は、子会社の所在国で親会社の不足分を課税するルールです。IIRは企業グループの上位事業体で課税を行いますが、UTPRは親会社自体が税率の低い国にある場合に適用されます。

例えば、日本の子会社が海外企業の親会社の傘下にあり、その親会社が低税率国(税率10%)に拠点を置いていた場合、本来支払うべき税率との差額5%は日本で課税されます。UTPRでは、低税率国の親会社の税負担が不当に軽減されることを防ぎ、公平な競争環境を整える狙いがあります。

国内ミニマム課税(QDMTT)

「QDMTT(Qualified Domestic Minimum Top-up Tax)」は、日本国内で最低税率を維持するための国内措置です。国内での税負担が15%未満の場合に、その不足分を国内で課税します。QDMTTが導入されていると、他国のIIRやUTPRによる課税を防ぎ、自国内で税負担を完結させられるのです。

仮に、日本国内の企業が税負担15%未満の場合、日本の税務当局がその不足分を国内で課税し、他国による追加課税を阻止できます。これにより、日本企業が他国で予期せぬ税負担を強いられることなく、日本国内における法人税収の安定化が見込めます。

グローバル・ミニマム課税の仕組み

一定の条件を満たす企業に適用される一方で、免除基準も設けられており、すべての企業に適用される訳ではありません。ここでは、その仕組みについて解説します。

最低税率15%が適用されるが控除制度もある

企業の税負担は、最低でも15%になるよう調整されます。多国籍企業が法人税率の低い国で事業を展開した場合でも、親会社が拠点を構える国で差分が追加課税される仕組みです。

また、課税対象とされる利益から一部の項目が控除される仕組みも導入されています。給与や有形資産に対する控除が設けられており、企業が実際に事業を展開している証拠としてこれらが考慮されるのです。初年度は、給与の9.8%、有形資産の7.8%を課税対象から除外し、その比率は段階的に5%まで引き下げられます。

有形資産を多く持つ企業ほど、控除額が大きくなり、追加課税額を抑えられる仕組みです。控除制度を活用することで、企業は過度な課税を避け、実態のある事業活動を評価してもらえます。

適用免除基準を満たす場合は課税されない

一定の免除基準を満たす場合、課税制度の適用を受けず、特定の企業は負担を免れることが可能です。特に、一定の売上規模に満たない企業や、実質的な事業運営の証拠がある企業に対しては、免除が認められています。

例えば、総収入が1,000万ユーロ(約16億円)未満、または税引前利益が100万ユーロ(約1.6億円)未満の企業については「デミニマス要件」により免除されることがあります。デミニマス要件とは、企業の収益規模が小さい場合に負担を回避できる仕組みで、事業規模の小さい企業への配慮として設けられています。

また、税負担が一定の割合を下回る場合には「簡素な実効税率要件」が適用され、2025年は16%以下、2026年は17%以下を基準として免除が認められる仕組みです。規模の小さい企業や特定の条件に当てはまる企業が不要な負担を強いられることなく、柔軟な事業運営ができるよう配慮されています。

さらに、移行期間の特例措置である「通常利益要件」として、企業の税引前利益が実質ベースの所得除外額(事業運営に必要な最低限のコスト)を上回らない企業は、2026年末まで課税を免除される制度も導入されています。

参考:Pillar2(グローバル・ミニマム課税)制度の概要|経済産業省

グローバル・ミニマム課税における対象企業の対応

インボイス登録の取り消しイメージ

日本に親会社を持つ多国籍企業は、新たな申告義務や税制の見直しが必要です。ここでは、対象企業が行うべき対応について解説します。

情報申告書を提出する

対象の企業は、税務当局に対して「情報申告書」を提出する義務があります。これは、構成会社の所在地や税負担状況を報告するための制度で、日本法人は会計年度最終日の翌日から1年3カ月以内(初年度は1年6カ月以内)に所轄税務署へ申告書の提出が必要です。

申告書には、企業名や国別の実効税率、国際最低課税額などを記載します。これをもとに、企業が適正に課税されているかを確認します。なお、企業グループ内に複数の日本法人が存在する場合、1社が代表して申告書を提出することも可能です。

たとえ課税対象とならない場合でも、情報申告が求められることがあります。事業規模が大きく海外拠点を多く持つ企業では、申告の準備に時間がかかる可能性があるため、早めの対応を心がけましょう。

参考:特定多国籍企業グループ等 報告事項等の記載要領|国税庁

外国子会社合算税制(CFC税制)が適用されるか確認する

「外国子会社合算税制(CFC税制)」は、経済的な実体が乏しい外国子会社を利用した租税回避に対応するため、日本の親会社にその所得を合算するルールです。世界的な最低法人税率の導入に伴い、CFC税制も一部改正が行われたため、対象となる企業はその適用状況を確認する必要があります。

適用対象となるのは、日本の企業が50%超の株式を保有する海外法人で、企業の規模に関係なく適用される可能性があるため、すべての海外展開企業は注意が必要です。外国子会社合算税制には収入基準がないため、より広範囲の企業に影響を与える可能性があります。

2024年4月1日以降、ペーパーカンパニーなどの特定外国関係会社については、適用免除となる税負担割合の基準が、現行の30%から27%に引き下げられました。通常の外国関係会社については20%の基準が維持されているため、これらの税率基準に該当するかどうかを確認することが不可欠です。

例えば、台湾のように税率が30%周辺の国に子会社を持つ企業は、これまで税率の判定や申告書の記載が必須でしたが、今後はどちらも不要となる可能性があります。税制改正の影響を精査し、自社の海外拠点がどのような影響を受けるのかを見極めることが重要です。

グローバル・ミニマム課税が日本にもたらす影響

今後、日本国内では税収の安定化や企業の競争力向上が期待できます。ここでは、日本への主な影響について見ていきましょう。

法人税収の安定化

法人税率の低い国に利益を移すことで税負担を抑える行為が制限されるため、日本の法人税収が安定することが期待されています。

これまで、一部の企業は低税率国で子会社を設立し、利益をそちらに移転することで、日本国内の納税額を抑えていました。しかし、最低税率15%が適用されるため、低税率国における納税額が不足している場合、日本国内で不足分を補う形で課税されます。

その結果、日本国内に利益を計上する企業の納税額が増え、法人税の徴収基盤が強化されることが見込まれます。特に、国際競争が激しい業界では、税負担の公平性が保たれることで、企業が適正な納税を行いながら事業戦略を立てる必要があります。

また、各国が最低税率を統一することで、法人税の引き下げ競争が抑制され、日本の財政基盤が安定する点も重要なポイントです。

国際競争力の向上

これまで欧米諸国の企業は、タックスヘイブンを活用することで税負担を軽減し、競争力を維持してきました。しかし、グローバル・ミニマム課税の導入により、低税率国を利用した税制メリットが制限されることで、日本企業の競争環境が改善される可能性があります。

例えば、法人税率の高い国に拠点を持つ企業は、税負担が相対的に不利になりやすい状況でした。しかし、すべての企業が最低15%の税負担を求められることで、税率を理由に特定の地域を選ぶメリットが減少し、進出先を税制以外の要因(労働環境・インフラ・技術力など)で選ぶ流れが強まります。これは、日本企業にとって国際市場での競争力を高める要因となるでしょう。

また、日本政府は法人税率の引き下げ競争を抑えることで、企業が適正な税負担を維持したまま、より事業拡大に注力できる環境を整える狙いがあります。将来的な法人税の見直しも議論されており、企業は今後の税制改革に対応するための準備を進めることが求められます。

企業の税務リスク軽減

これまで企業は、税率の低い国に拠点を持つことで税負担を抑えられるメリットがありましたが、一方で税務調査の対象となるリスクも伴っていました。特に、多国籍企業が税制優遇を受けるために、実態のない法人を設立するケースでは、各国の税務当局から厳しい指摘を受けることがあります。

しかし、最低税率15%の統一によって、どの国でも一定以上の法人税を支払う環境が整うため、企業の税務リスクは軽減されるでしょう。企業は税負担を適正に管理しながら、グローバル展開を進められるのです。また、日本国内でも、税制変更に伴い適用免除基準が設けられ、一部の企業には負担軽減措置が適用されることで、事務負担が過剰にならないよう配慮されています。

国際課税分野における今後の動向を注視しておこう

グローバル・ミニマム課税の導入により、企業は海外子会社の税負担状況をより慎重に確認する必要があります。法定税率が15%以上の国に拠点を持っていても、税制優遇措置などの影響で実際の税負担が基準を下回るケースがあるため、適用有無の精査が欠かせません。

また、多国籍企業だけでなく、海外拠点を持つ企業全体に関わる税制改正の動向を注視し、適切な対応を進めることが求められます。国際的な法人税の見直しにより、日本企業の競争力向上が期待される一方で、税務手続きの負担が増す可能性もあるため、早期の情報収集と対応準備が大切です。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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