本業と副業の違い、副業による税金への影響について正しく理解していらっしゃいますか?収入増加やスキルアップなどを理由に副業を始める人が増えており、従業員の副業を認める企業も増加しています。副業で所定ের条件を満たしたとき、税金を納める義務が発生するため確定申告が必要です。この記事では、本業と副業の違い、税金への影響、確定申告の必要性と注意点まで詳しく解説します。
目次
副業とは

副業とは、本業以外の仕事で収入を得ることです。
- 飲食店での接客や調理
- 塾講師
- 治験
- アフィリエイト
- せどり
- ポイントサイト
- 株式
- FX
- 仮想通貨
- 不動産投資
- フリマアプリでの販売
上記はあくまでも一例であり、副業について法律上の定めがないことから多様な働き方が可能です。かつては、業務への影響や情報漏洩などのリスクを鑑み、副業を禁止している企業が大多数を占めていました。
しかし、近年は本業への支障がない範囲での副業を認める企業が増えています。また、収入増やキャリア形成などを理由に副業を始める会社員や個人事業主も増加しています。
本業と副業の違い
本業と副業の主な違いは、収入額、業務に対する優先度の高さ、費やす時間です。本業は生活を支える基盤となる収入を得るための仕事であり、収入全体に占める割合も大きいです。また、仕事に対する責任も大きいため、優先的に業務を行います。
生活の基盤となる収入を得るための本業に対して、一週間のうち5~6日間、一日8時間前後など費やす時間も長めです。
一方で、副業は本業で得る収入よりも金額が少なく、本業よりも業務の優先度は低いです。また、本業に支障のない空き時間や休日を使って副業に取り組むケースが多くみられます。
副業で得られる所得の種類
副業の業務内容は多岐にわたっており、業務の内容によって所得の種類が異なります。確定申告が必要な場合、正しい所得の種類で申告しなくてはいけないため、主な種類について理解しておきましょう。
| 所得の種類 | 主な業務内容 |
|---|---|
給与所得 | 企業や店舗、塾などでのパート、アルバイト |
雑所得 | 営利目的で行う衣類やバッグなどの売却益、FXや仮想通貨取引による収益 |
事業所得 | 記事作成に伴う原稿料、オークションやフリマアプリでの収益 |
不動産所得 | 不動産経営による家賃収入 |
譲渡所得 | 株式投資や不動産の売却益 |
配当所得 | 株式投資の配当による収益 |
会社員が副業をしている場合、退勤後や休日にアルバイトやパートで得た副業の収入は、本業の収入と同様に給与所得です。会社員が副業で株式投資をしている場合、配当などで得た収入は配当所得に分類します。
自身が副業をしており、その収入の種類が分からないときは税務のプロである税理士に相談してみましょう。
副業の確定申告の必要性を判断するポイント
原則、副業で20万円超の収入を得ている場合、本業とは別に税金(主に所得税と住民税)を納めなくてはいけません。しかし、住民税については確定申告が不要でも住民税の申告が必要です。
ここでは、副業での確定申告の必要性について詳しく説明します。
所得税の確定申告の必要性は課税所得で判断
副業における所得税の確定申告の必要性を判断するポイントは、課税所得(収入総額から経費を引いたもの)が20万円を超えるか否かです。
例えば、趣味のハンドメイド作品をインターネット販売して得た副業の収入は事業所得に該当します。副業で収入を得るには、材料や備品の購入、光熱費などさまざまな経費がかかっているはずです。
収入を得るためにかかった経費を差し引いた課税所得が20万円以上だったとき、確定申告が必要です。
ただし、副業で得た収入がアルバイトやパートによる給与所得である場合、かかった経費を差し引けません。そのため、給与支給額の合計が20万円を超えたときに確定申告が必要です。
また、複数の給与所得を得ていても、年末調整は一カ所でしかできません。本業で得た給与所得は勤務先で年末調整をしてもらえますが、副業で得た給与所得は自分で確定申告をします。
課税所得20万円以下でも住民税の申告は必要
副業での課税所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありませんが、住民税については、副業で利益が出ていれば所得額に関係なく申告が必要です。ただし、確定申告をしているなら、所得額に応じて住民税を計算してくれるため申告は不要です。
住民税の申告について、所得額が〇〇円以上といった申告義務に関する基準はありません。しかし、所得が20万円以下で所得税の確定申告の義務がなくても、住民税の申告をしなくてはいけません。
住民税の申告や納付を怠った場合、ペナルティを受けることがあります。住民税は所得がある限り納税義務があることを理解し、課税所得の額だけで判断せずに確定申告をしましょう。
副業の確定申告で期待できるメリット

所得税が発生する課税所得を下回っていても、例えば、次のように確定申告をすることで税金が還付されるケースがあります。
- 給与所得者が一年間で一定額以上の医療費を支払ったとき(医療費控除)
- 給与所得者が災害や盗難で資産を失ったとき(雑損控除)
- 給与所得者の住宅ローン控除(初年度のみ)
- 予定納税をした個人事業主
- 給与所得者の源泉徴収額よりも副業にかかる税額が少ないとき
副業の収入額に関係なく確定申告をすることで、税金の還付を受けられることがあります。課税所得が20万円以下でも利益が出ていれば住民税の申告義務があるため、確定申告をしましょう。
会社員が副業の確定申告をするときの手順
会社員が副業で得た収入の確定申告をする場合、本業で得た収入と合わせて申告しなくてはいけないため、ここでは、会社員が副業の確定申告をする手順とポイントについて詳しく説明します。
確定申告の手続きは年末調整後
会社員の場合、毎年12月頃に勤務先で年末調整をしてもらえるため、年末調整後に確定申告手続きをしましょう。
年末調整では主に生命保険料などの各種控除を適用し、払いすぎた所得税を調整します。そこで、本業での所得税額が確定した後で、副業の確定申告を行います。また、医療費控除や雑損控除の適用を希望する際は、確定申告が必要です。
さらに、証明書の紛失などを理由に、年末調整で生命保険や地震保険などの所得控除を適用できなかったときも、確定申告で控除を申請すると、払いすぎた税金を取り戻せます。
年末調整後に源泉徴収票が交付されるはずです。確定申告時に必要な情報となるため、無くさないように保管しておきましょう。
必要書類を準備する
確定申告手続きをするために必要な書類を準備しておきます。
- 本人確認書類
- 銀行口座の情報
- 所得を証明する書類(源泉徴収票や支払調書など)
- 経費を証明する書類(レシートや領収書)
- 控除適用のための証明書(保険料の支払証明書、寄付金の受領書など)
また、所得の種類によって必要な書類が変わってきます。例えば、副業で株式投資をして収入を得ているなら年間取引計算書、不動産投資や不動産売買による副業収入は、売買契約書や領収書などが必要です。
書類が不足していると正しく税金の計算ができないため、必要な書類について調べ、無くさないようにまとめて保管しておきます。もし紛失してしまった場合は、早めに再発行を依頼しましょう。
課税所得から所得税を計算する
副業で得た収入から必要経費を差し引き、課税所得を計算します。副業の場合、主に次の所得の種類に、経費の計上が認められています。
- 雑所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 山林所得
- 一時所得
業務への関連性や必要性が高い出費が経費として認められます。また、経費として計上するには、支払いを証明する領収書やレシートが必要です。
所得税を計算する
計算した課税所得から所定の税率をかけて所得税を導き出します。会社員の場合、勤務先で年末調整を受けているため、以下の計算式を用います。
(全ての所得の合計額 – 所得控除額) × 所得税率 ー 税額控除額-納付済の所得税額 |
もし、副業で赤字が出ている場合、損益通算で所得税額を抑えられる可能性が高いです。損益通算とは、一年間で発生した損失とその他の所得を相殺することです。
損益通算により課税所得が減るため、所得税額を減らせます。ただし、副業の所得の種類が雑所得の場合は、損益通算の対象となりません。
確定申告書を作成する
課税所得や所得税額を計算できたら、申告用紙を作成します。申告用紙の作成方法として、次の手段があります。
- e-Tax
- 手書き
- 税理士に依頼
- 会計ソフト
該当欄に必要事項を漏れなく、正しく記入します。確定申告に慣れていないと、記載ミスや漏れが生じることがあります。申告書類の作成に不安があるときは、税理士のアドバイスやサポートを検討してみましょう。
また、e-Taxを通じて確定申告をすると、必要事項を入力するだけで自動的に税金を計算してくれるため、漏れやミスが起こるリスクが低いです。
複数のアルバイトをかけもちしている人の確定申告手順
本業となるアルバイトがあり、複数の会社や店舗で副業としてアルバイトをしている場合は、メインで収入を得ているアルバイト先で年末調整をしてもらいます。年末調整後に源泉徴収を発行してもらい、その他の所得についてはまとめて確定申告します。
会社や店舗などのアルバイト先と雇用関係があっても、年末調整手続きについては一か所でしかできないため、一カ所で年末調整を依頼しましょう。確定申告の手順は次の通りです。
- 源泉徴収票を発行してもらう
- 必要書類(マイナンバーカードなど)を準備する
- 税金を計算する
- 確定申告書類を作成する
- 書類を提出する
アルバイト先の都合や短時間勤務などを理由に年末調整をしてもらえないこともあるでしょう。もし、年末調整をしてもらえないなら、源泉徴収票だけを発行してもらいます。
全てのアルバイト先の源泉徴収票をまとめて課税所得を計算し、申告と納税手続きを行います。ただし、源泉徴収票は雇用関係のある人に対して発行する書類であるため、業務委託など直接の雇用関係がないときは、発行してもらえないことが多いです。
個人事業主が副業の確定申告をする手順

個人事業主が本業と副業といった複数の事業で収入を得ている場合、全ての所得を合算して確定申告を行います。手順は以下の通りです。
- 必要書類(支払調書やマイナンバーカードなど)を準備する
- 全ての所得を合算して税金を計算する
- 確定申告書類を作成する
- 書類を提出する
本業、副業と所得の種類が同一の場合は合算して同じ所得区分に、種類が異なる場合はそれぞれ適した所得区分に記載します。
また、個人事業主の場合、定められた業種に該当し、年間で290万円以上の所得があるときは、個人事業税の課税対象です。所得税、住民税と併せて、個人事業税の申告と納税手続きを忘れないようにしましょう。
副業の確定申告で納める税金を抑えるコツ
副業で得た収入は基本的に確定申告をします。少しでも自分の手元に使えるお金を残すためにも、節税対策を取り入れてみましょう。ここでは、副業の確定申告に適した節税対策を紹介します。
青色申告を選ぶ
確定申告のときに青色申告を選ぶことにより、節税効果が期待できます。確定申告の方法は白色申告と青色申告の2種類があり、申告方法の選択が可能です。
青色申告は、白色申告と比べて提出書類が多かったり、複式簿記による記帳を求められたりと、何かと手間がかかります。また、簿記の知識も必要です。しかし、青色申告を選ぶことで、下記メリットが期待できます。
- 青色申告特別控除の適用(最大65万円)
- 赤字の繰り越しが可能
- 家族への給与が経費計上可能
- 貸倒引当金の経費計上が可能
青色申告の控除や経費を最大限活用することで、納める税金を減らせる可能性が高いです。ただし、青色申告ができる所得の種類は、事業所得、不動産所得、山林所得に限られています。
また、青色申告を希望するなら、事前に副業の開業届と青色申告承認申請書の提出が求められます。
青色申告は複式簿記での記帳を求められるため、経理の知識が浅いなら会計ソフトや税理士の活用を検討してみましょう。
寄付金控除を活用する
ふるさと納税や寄付を行って、寄付金控除を適用し納める税金を抑えることも節税対策の一つです。
ふるさと納税を行った際の寄付金控除について、適用可能な所得の種類、事前申請などの条件がありません。しかも、寄付金控除適用時に必要な書類も寄付金受領証明書のみです。
出典:総務省 ふるさと納税
納める税金が増えることも!副業の確定申告における注意点
副業で確定申告をする際、いくつかの点に注意して手続きをしなければ、申告漏れや提出遅れによるペナルティを受けるなど、デメリットが生じます。ここでは、副業の確定申告で気を付けるべきポイントについて解説します。
期日までに確定申告をすること
確定申告をしなければいけないのにしなかった、もしくは申告期限を過ぎてしまった場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティの対象となり得ます。
特に注意したいのが住民税の申告漏れです。副業の課税所得が20万円以下だったとき、確定申告は不要と判断しがちですが、住民税の申告は必要です。申告期限が過ぎてしまっても、申告と納税は可能です。
提出期限からの期間が長くなるほど延滞税の額も増えます。できるだけ早めに申告と納税をすることにより、支払う税金の額を抑えられます。
勤務先に副業がバレることがある
副業を容認している勤務先であれば問題ありませんが、副業を禁止している勤務先の場合、確定申告で副業をしていることがバレることがあります。
住民税や所得税について、従業員の給与から源泉徴収している企業がほとんどです。住民税は前年度の所得から計算するため、従業員に支払った給与や賞与よりも所得が多いことが分かった場合、勤務先の担当者から副業の可能性を疑われるからです。
副業が禁止されている企業に務めている、容認されているが勤務先に副業を知られたくないときは、確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄の「自分で納付」にチェックを入れます。
副業の所得にかかる住民税については、勤務先ではなく納税者本人が納めることになるため、副業の事実がバレにくくなるでしょう。
本業も副業も税金を納める必要あり!違いを理解し正しい申告と納税を
メインとなる収入源である本業をしつつ、スキルアップや収入増などの目的で副業をしている会社員や個人事業主が増えています。本業も副業も税金を納める必要があるため、所得の種類や自身の状況などに応じて、正しく確定申告をしなくてはいけません。申告ミスや漏れは、ペナルティの対象です。正しく申告をするためにも、税理士のサポートやアドバイスを有効活用しましょう。









