中小企業の経営者の高齢化が進む中、後継者不足による廃業が問題となっています。業績が安定しているにもかかわらず、後継者不在で事業を終える企業が増加しているのが現状です。この記事では、後継者不足の現状や原因、具体的な解決策を解説します。事業承継を検討するタイミングや成功事例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
中小企業における後継者問題の現状

経営者の高齢化が進む中、後継者が決まらないまま廃業を選択する企業が増えており、黒字でありながら事業を続けられないケースも後を絶ちません。ここでは、中小企業における後継者問題の実態について解説します。
黒字廃業の比率が50%を超える
企業の業績が安定しているにもかかわらず、後継者不在が理由で廃業せざるを得ないケースは年々増加しています。東京商工リサーチの調査によると、2023年の黒字廃業の割合は52.4%に達しており、過去10年間にわたり黒字廃業の割合が50%を超えているのが現状です。

出典:事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について|経済産業省
これは、業績不振による倒産とは異なり、経営そのものは問題なく継続できるものの、後継者が見つからないために事業存続が難しくなるという状況を表しています。
特に、地方の中小企業では、後継者候補となる若い世代の人口が減少し、親族内承継が困難となるケースが増えています。そのため、後継者を確保できなかった企業は、黒字であっても事業を閉じざるを得なくなっているのです。
経営者の平均年齢は60.5歳で過去最高を更新中
帝国データバンクによると、2023年における社長的平均年齢は60.5歳で、33年連続で過去最高を更新しました。特に、50歳以上の経営者が全体の8割以上を占めており、若手経営者の割合はわずか3.1%にとどまっています。

出典:社長の平均年齢、60.5 歳 33 年連続の上昇、高齢化止まらず|帝国データバンク
この傾向は、他国と比較しても顕著で、日本では50代以下の経営者の割合が低く、60代以上の割合が高い状況が続いています。

出典:事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について|経済産業省
70代以上の経営者の多くは小規模事業者であり、事業承継の必要性が高い層に属しています。後継者が決まらないまま経営を続ける企業が増えていることから、事業承継の準備を早めに進めることが求められます。
また、社長交代時の平均年齢も68.6歳と高いです。経営者の病気や死亡による倒産件数も増加傾向にある状況を踏まえ、企業の存続と成長のためには、計画的な事業承継の準備が不可欠だと言えます。
国の支援もあり直近10年間の後継者不在率は減少傾向
後継者不在率は長年にわたり高い水準で推移していましたが、近年は改善傾向が見られます。
帝国データバンクの調査によると、2023年の後継者不在率は52.1%で、前年から1.8ポイント低下し、7年連続で改善しているのです。特に、2017年の65.5%と比較すると、10年間で13.4ポイントも低下しており、事業承継の進展が伺えます。

出典:事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について|経済産業省
後継者不在率が改善している背景には、官民による事業承継支援の拡充があります。全国に相談窓口が設置され、自治体や地域金融機関が積極的に事業承継の重要性を発信したことで、経営者の意識が高まりました。
また、M&Aを活用して子会社や関連会社を増やす企業も増え、第三者承継の選択肢が広がったことも影響しています。
一方で、改善のペースは鈍化傾向にあり、「50代・60代の経営者層では後継者不在率が悪化している」といった側面もあります。経営環境の変化や後継者選びの見直し、候補者の辞退などが要因となり、事業承継が中断・頓挫するケースも増えているのが現状です。
なぜ中小企業は後継者不足に陥るのか
中小企業が後継者不足に陥る背景には、さまざまな要因が絡み合っています。少子高齢化の進行や経営環境の変化により、後継者の確保が難しくなっているほか、事業の将来性や負債の問題が承継の障壁となるケースも多いでしょう。ここでは、後継者不足の主な原因について解説します。
少子化などにより後継者がいない
日本の少子高齢化は、後継者不足の大きな要因の一つです。若い世代の人口が減少しているため、企業を継ぐ人材の確保が難しくなっています。特に地方では、若者が都市部へ移住する傾向が強く、地元の企業に後継者が見つからないケースが多いです。
また、親族内承継の割合も減少傾向にあります。かつては経営者の子どもが後を継ぐ形が一般的でした。しかし、近年は職業選択の幅が広がり、家業を継ぐことを選ばないケースが増えています。さらに、経営者自身が「子どもには継がせたくない」と考えることもあり、後継者不在の問題が深刻化しています。
自社の事業を誰にも継がせたくない
創業者が一代で築き上げてきた企業など、経営者が会社への愛着を持つあまり、後継者を見つけることに抵抗を感じることもあります。「自分が会社を離れた後、本当にうまく経営できるのか」「後継者に経営を任せても自社の理念が守られるのか」などの不安が拭えないため、結果として承継を拒むケースもあります。
また、小規模な事業者ほど、事業承継そのものを検討せず、自社を清算する選択を取る割合が高い傾向があります。後継者がいたとしても、「経営能力が不足しているのではないか」と懸念する経営者も多く、事業の継続に踏み切れない場合があります。
しかし、若い経営者ほど新規事業の開拓や設備投資に積極的な傾向があるため、承継後の業績が上向く可能性も十分に考えられます。
後継者が後を継ぎたがらない
後継者候補がいても、事業を継ぐことに消極的なケースも存在します。親族内承継においても例外ではなく、子どもが「経営者としての責任が重すぎる」「事業に将来性を感じない」といった理由で承継を拒むことがあるのです。
また、経営環境の変化により、事業の先行きに不安を感じる後継者も多くなっています。市場の競争が激化し、経営の難易度が上がっていることから、「自分には経営を続ける自信がない」と考えるケースもあるでしょう。
さらに、ワークライフバランスを重視する若い世代にとって、経営者としての長時間労働や責任の重さが敬遠される要因となっています。
負債を抱えているため引き継げない
事業承継では、企業の資産だけでなく、負債も同時に引き継ぐ必要があります。経営者が長年の運営で抱えた借入金や財務負担が大きい場合、後継者はその責任を負うことに不安を感じ、承継をためらう場合があります。
多くの中小企業では、資金繰りの問題が経営の大きな課題とされ、後継者が「負債を抱えたまま経営を続けるのは難しい」と判断するケースも多いです。こうした状況を回避するためには、事業承継の前に財務状況を整理し、遊休資産や不要な資産を売却するなど負債の軽減策を講じる必要があります。
事業承継の準備を後回しにしてしまう
日々の業務に追われる経営者にとって、事業承継は「いつか考えればいい」と後回しにされやすい課題です。しかし、準備期間を確保できないまま経営者が引退を迎えると、スムーズな承継が難しくなってしまいます。
中小企業庁の「事業承継ガイドライン」によると、事業承継には5〜10年ほどの期間が必要だとされていますが、これを意識して計画を立てる経営者は決して多くありません。
特に、後継者の育成には時間がかかるため、早めに候補者を定め、事業運営の実務経験が必要です。しかし、経営者が「何から始めればよいかわからない」「今はまだ承継を考えなくてもいいだろう」と思い込むことで準備が遅れ、結果的に後継者不在の状態が続いてしまうケースも多いのが現状です。
参考:事業承継ガイドライン
中小企業が後継者問題を放っておくとどうなる?

事業承継の準備を怠ると、経営者が引退を迎えた際に企業存続が難しくなり、廃業という選択を迫られるリスクがあります。廃業には多額のコストがかかるほか、従業員や地域経済にも影響が生じるため、早めの対策が必要です。ここでは、後継者問題を放置した場合に起こり得るリスクについて解説します。
多額の廃業コストを支払わなければならない
企業を廃業する際には、設備・機械の処分や事務所の原状回復工事、従業員への退職金支払いなど、多額の費用が発生します。
事業用資産の整理や解散手続きにも費用がかかるため、廃業のための資金が不足すると、経営者自身が個人資産を処分せざるを得なくなる場合もあるのです。例えば、経営者が借入金の保証人となっている場合、企業とは別人格であるにもかかわらず、廃業後も経営者個人の財産にも影響を及ぼすリスクが生じます。
借入金を完済できない場合は返済が続き、経営者やその家族に大きな負担が残ることになるため、事業承継を進めることは、廃業に伴う財務リスクを回避することにつながります。
従業員を解雇せざるを得ない
会社が廃業すると、そこで働く従業員は職を失います。特に、突然の廃業では十分な準備期間が確保できず、従業員が転職活動に苦戦するケースも考えられるでしょう。
年齢や専門性によっては新たな就職先が見つかりにくく、家計が圧迫される可能性もあります。また、従業員の解雇は、経営者と従業員の信頼関係を損ねることにもつながりかねません。
事業承継の準備を早めに進め、従業員の雇用を維持できるような対策を講じる必要があります。例えば、M&Aで事業を譲渡する際、双方合意の上で契約書に「当面の間、雇用条件や業務内容を変更しない」などの内容を盛り込めれば、従業員の雇用を一定期間維持できます。
自社が培ってきた技術やノウハウが途絶える
長年積み重ねてきた独自の技術やノウハウも、事業承継が適切に行われない場合は失われてしまいます。特に、特許技術や専門的な技能を持つ企業では、後継者不在による廃業が、業界全体の技術力の低下につながる可能性もあるでしょう。
また、取引先や顧客にとっても、製品やサービスの供給が途絶えることは大きな痛手となると考えられます。企業の価値を次世代に受け継ぐためには、後継者育成や承継方法の検討が有効です。
地域経済にも打撃を与える
中小企業の廃業は、企業単体の問題にとどまらず、地域経済にも大きな影響を及ぼします。特に地方では、地域の中核を担う企業が事業を継続できないことで、雇用機会が減少し、地域活力が低下するリスクが高まるのです。
企業が廃業すると、取引先の売上減少や地元経済の縮小を引き起こし、地域全体の経済循環が停滞する可能性があります。また、特定の業種の企業が失われることで、地域産業の多様性が失われ、一部の業種に過度に依存する状況が生まれることも懸念されます。
中小企業の後継者不足問題が特に深刻な業種・業界
中小企業の後継者不足問題は、特に建設業・農業・漁業の分野で顕著で、業界全体の存続に影響を及ぼす可能性も示唆されています。これらの業界では、高齢化や若手人材の不足が進んでおり、事業承継の課題がより深刻化しているのです。ここでは、それぞれの業界における後継者不足の現状について解説します。
建設業
帝国データバンクの調査によると、2021年の建設業における後継者不在率は67.4%と、全業種の中でも最も高い数値を示しています。建設業では、3K(きつい・汚い・危険)というイメージが根強く、若者の就業意欲の低下が後継者不足の要因となっています。
また、建設業許可を取得するためには一定の経験が必要であり、資格要件を満たす人材が不足していることも問題です。職人気質の経営者も多く、事業承継への関心が低い傾向があるため、後継者育成が進みにくい状況にあります。
参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)|帝国データバンク
農業
農業もまた、後継者不足が深刻な業界です。農林水産省によると、農業従事者の65歳以上の割合は69.7%に達し、平均年齢は67.8歳と高い水準にあります。一方で49歳以下の農業従事者の割合は10.8%と、世代間でアンバランスな状態です。

若い世代の就農者は減少傾向にあり、特に地方では後継者が見つからないケースが増えています。農業に新規参入する若者の多くが農家出身ではなく、異業種からの転職組であるため、定着率が低いことも課題です。農業の魅力を高めるためには、スマート農業の導入や長期的な支援策が必要とされています。
漁業
漁業は、一次産業の中でも特に後継者不足が深刻な業界です。漁業の就業人口は昭和28年の約79万人をピークに減少の一途を辿っており、水産庁の調査によると、平成の30年間で約61%減少、65歳以上の割合は38.3%に達しています。
また、沿岸漁業の個人経営者では、後継者不在率が80%以上と高い水準です。漁業の厳しい労働環境や収益の不安定さが、若者の就業意欲を低下させる要因と考えられています。
しかし、近年では技能実習生の採用や震災復興に伴う若い世代の参入が進んでおり、39歳以下の漁業従事者の割合は緩やかに増加しています。
中小企業の後継者問題を解決する方法

中小企業の後継者問題は深刻ですが、適切な承継方法を選択することで解決の糸口が見えてきます。ここでは、具体的な解決方法について詳しくご紹介します。
親族内承継を行う
後継者として親族を指名することは、伝統的な事業承継の方法のひとつです。親族内承継では、経営者と後継者の間ですでに信頼関係が築かれているため、事業方針の共有がしやすく承継がスムーズに進む可能性が高いでしょう。
また、従業員や取引先にとっても、経営者の親族が新しい社長となることで安心感を持てることが多く、社内外の混乱を抑えやすい特徴があります。
しかし、親族内承継にはいくつかの課題もあります。例えば、後継者候補となる親族が必ずしも経営に興味を持っているわけではなく、「事業を継ぎたくない」と考えている場合もあります。
また、相続税や贈与税の負担が大きくなることもあるため、税務対策をしっかり行うことが重要です。親族間の関係性や経営方針の違いが承継後の経営に影響を及ぼすケースもあるため、慎重な準備が求められます。
親族外承継を行う
親族に後継者候補がいない場合、社内の従業員や外部の専門人材を後継者として指名する「親族外承継」が選択肢に入るでしょう。
特に、長年会社を支えてきた幹部社員を後継者として指名することで、事業の流れをスムーズに引き継ぎやすくなると考えられます。従業員からの信頼も厚い社員であれば、経営スタイルに大きな変化が起こりにくいため、会社の安定性が維持しやすい点もメリットです。
一方で、親族外承継を実施する場合には、候補者の選定や育成が重要です。後継者が経営スキルを十分に身につけるためには、計画的な育成や経営ノウハウを伝達する必要があります。
また、株式譲渡の際の資金調達や財務面の整理も欠かせません。特に、後継者が株式を買い取る場合には、資金面の調整をどのように進めるか慎重に検討する必要があります。
「事業引継ぎ支援センター」を利用する
事業承継を円滑に進めるためには、専門機関のサポートが効果的です。特に、公的機関である「事業引継ぎ支援センター」は、後継者問題に悩む経営者に対して幅広く支援しています。全国に設置されており、事業承継の相談を無料で受けられるのが大きなメリットです。
事業引継ぎ支援センターでは、後継者候補とのマッチングをはじめ、税制優遇措置や補助金活用のアドバイスも受けられます。特に親族内に後継者がいない場合、事業を継ぎたい起業家や企業とつなぐ役割を果たしてくれるため、第三者承継を検討している企業には有効な選択肢です。
また、承継に伴う手続きや資金計画についても助言を受けられるため、安心して準備を進められるでしょう。後継者不足で悩んでいる場合は、まず支援センターへ相談してみるのも一つの方法です。
第三者承継の専門家に相談する
後継者が親族や社内に見つからない場合、M&A(企業の合併・買収)を活用した第三者承継を検討するのも一つの解決策です。
M&Aで同業の企業や投資家に事業を譲渡すれば、自社の技術やノウハウを次世代へ継続して伝えられます。また、資金調達の選択肢としても有効で、経営者は事業売却によって新たな展開を目指すことが可能です。
ただし、M&Aには専門的な知識が求められるため、独力で進めるのは難しい場合があります。M&A仲介会社や事業承継の専門家に相談することで、適切な譲渡先の紹介や契約交渉のサポートを受けられるでしょう。
特に、自社の理念を理解し、事業を長期的に運営してくれる企業を見つけるには、経験豊富な仲介会社の選定が重要です。後継者不在の問題が深刻化する前に、専門家へ相談しながら最適な承継方法の選定が大切です。
事業承継を考えるタイミング
後継者の育成には時間がかかるため、早い段階から事業承継の準備を始めることが大切です。ここでは、事業承継を考え始める具体的なタイミングについて解説します。
事業承継の計画から逆算して考える
一般的に、事業承継には5〜10年の期間が必要とされており、後継者の育成や財務整理、株式の移転など多くの手続きが伴います。そのため、経営者が「いつ引退するか」を決め、その時期から逆算して準備を進めるのが理想的です。
例えば、60歳で引退を考えている場合、50代前半から後継者の選定と育成を開始し、経営の引き継ぎをスムーズに進めるための計画を立てることが望ましいでしょう。
事業承継は、後継者の能力や会社の財務状況を考慮しながら、適切なタイミングを見極めることが大切です。計画的に進めることで、経営の混乱を防ぎ、企業の安定した成長を維持することにつながります。
業績が安定しているときこそ好機
経営者が交代すると社内に混乱が生じる可能性があります。これは、新しい経営方針への適応や意思決定の変化、社内の人間関係の再構築が必要になるためです。特に、従業員の間で不安が生じたり、取引先が事業の継続性に懸念を抱くこともあるため、慎重な対応が求められます。
そのため、業績が好調な時期に承継を進め、スムーズな移行を目指すことが重要です。逆に、業績が悪化している時期に事業承継を行うと、後継者に過度な負担がかかり、経営の立て直しが難しくなることもあります。
また、事業が安定している時期に承継準備を進めることで、取引先や従業員の信頼も維持しやすいでしょう。特に、第三者承継(M&A)を検討する場合、業績が好調な企業ほど良い条件で譲渡できる可能性が高いです。
会社の財務状況や市場環境を考慮し、必要に応じて専門家のアドバイスも参考にしながら、最適なタイミングを見極めましょう。
早めに準備を進めることが大切
事業承継は一朝一夕で完了するものではなく、長期的な視点で計画を立てる必要があります。後継者が経営のノウハウを習得し、取引先や従業員との関係を築くためには、十分な期間を確保することが重要です。
一般的な事業継承のステップは、以下の通りです。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 後継者との合意形成 | 後継者の意思確認を行い、事業承継の方針を決定する。親族・従業員・第三者承継の選択肢を検討。 |
| 株式譲渡の準備 | 自社株式の譲渡方法(相続・贈与・売買)を決定し、手続きを進める。事業承継税制の活用を検討。 |
| 個人保証・担保の引継ぎ | 経営者が会社の借入金に関する個人保証を負っている場合、金融機関と調整し、後継者への移行を検討。 |
| 親族・従業員など関係者への周知 | 承継計画を社内外に共有し、関係者の理解を得る。従業員との関係構築や取引先との信頼維持を図る。 |
事業承継には税務や法務の手続きが伴うため、専門家のアドバイスを受けながら進めることが望ましいでしょう。
事業承継税制の活用や株式の整理など、事前に準備を整えることで、後継者がスムーズに経営を引き継げます。経営者が引退を考える年齢の5〜10年前を目安に開始し、承継に必要な準備を万全にしましょう。
中小企業の後継者問題における事例
後継者不在の課題を抱える企業の中には、自社に合った承継方法を選ぶことで、企業価値を維持しながら発展させた成功事例も存在します。ここでは、事業承継に成功した中小企業の事例を3つご紹介します。
事業引継ぎ支援センターを活用した精肉店の事例
岩手県の精肉店では、経営者が70歳を迎えた際に事業承継を検討し始めました。しかし、親族に後継者がいないことや、従業員の高齢化により、社内での承継が難しい状況でした。そこで、同社は「事業引継ぎ支援センター」に相談し、後継者探しを本格的に開始したのです。
最終的に、精肉業の経験はなかったものの、経営に興味を持ち「地域に貢献したい」という強い意志を持つ若い事業希望者が後継者として決まりました。事業承継に際して、元経営者が丁寧に業務の引き継ぎを行い、技術指導を実施しました。
顧客や取引先を新社長に紹介するなどのサポートが行われた結果、承継後も経営は安定し、ブランド力の維持と事業拡大が実現しました。
参考:ミラサポplus|事業引継ぎ支援センターを介し、独立を希望する個人に事業を引き継いだ企業
首都圏からの移住者に承継した地域密着型スーパーの事例
徳島県の地域密着型スーパーでは、経営者の健康問題をきっかけに事業存続が困難となり、廃業の選択肢が検討されていました。しかし、地域にとって重要な生活インフラであるスーパーがなくなれば、住民の利便性が失われるため、第三者への事業承継を模索し始めます。
事業引継ぎ支援センターのサポートを受けながら、首都圏からの移住者に事業を承継すると決定しました。新経営者は食品加工や農業に関心を持っており、スーパーを活用して地域貢献を行うことを希望していたのです。
事業承継後は、高付加価値商品の充実を図り、新たな顧客層の開拓にも成功しました。結果的に、地域経済の活性化にも貢献し、事業は継続的に成長しています。
参考:ミラサポplus|事業存続が困難であった地域密着型スーパーを、首都圏からの移住者へ承継することで事業継続した企業
取引停止の危機から社長交代を決めた製造業の事例
兵庫県の金属加工メーカーでは、経営者が60代後半になった頃から事業承継の必要性を感じていました。
しかし、日々の業務に追われるうちに計画を先送りにしていたところ、主要取引先から「早急に事業承継計画を提出するように」と強く要請されてしまいます。さらに、経営者の健康問題が重なったこともあり、社長交代を決意するに至りました。
同社は商工会の支援を受けながら、専門家のサポートを活用し、事業承継計画を策定しました。そして、後継者となる従業員の育成を進めながら財務状況を整理し、スムーズな経営交代を実現したのです。
新社長のもとでは販路拡大や新規プロジェクトが進み、売上が前年度比15%増加するなど、経営の安定と成長が続いています。もう少し早く準備を進められていたら、より円滑に事業承継を実現できたかもしれませんが、結果的には企業の未来を守れた事例です。
参考:ミラサポplus|取引先から事業承継について指摘されたことをきっかけに、事業承継計画を策定し、承継を果たした企業
後継者問題でお悩みの方は専門家にご相談を
事業承継における後継者不足は、多くの中小企業が直面している課題です。経営者の高齢化が進むなか、後継者を確保できないことで企業の存続が危ぶまれるケースは少なくありません。
後継者問題を放置すると、廃業による多額のコスト負担、従業員や地域経済への悪影響など、さまざまなリスクが伴います。しかし、適切な対策を講じることで、事業の継続と発展は十分に可能です。親族や社内の従業員を後継者として育成するだけでなく、M&Aや第三者承継を活用することも選択肢の一つでしょう。
公的支援や専門家のサポートを活用しながら計画的な事業承継を進めることで、企業は次の世代へとスムーズにバトンタッチできます。後継者問題にお悩みの方や、事業承継についての不安がある場合は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。










