市区町村へ納税した際、納税証明書を発行できることはご存じの方も多いでしょう。金融機関等で融資を受ける際に必要になる書類ですが、発行には手数料が発生することはあまり知られていません。また、発行には費用が掛かることから、経費として仕訳する場合は正しい勘定科目を用いる必要があります。この記事では、納税証明書の概要をはじめ、発行した後の勘定科目について解説します。
目次
納税証明書とは|種類・取得方法・手数料

納税証明書とは、税金が正しく納められたことを公的に証明する書類のことです。書面には納付した金額や所得金額などが記載され、内容は確定申告ごとに更新されるので、証明書を希望する際は確定申告書を提出する必要があります。なお、申告済みであれば申請のみで取得できる証明書もあるので、取得方法について確認することをおすすめします。
納税証明書の種類や取得方法、手数料については以下の記事でまとめています。詳細についてはこちらの記事よりご確認ください。
【仕訳例あり】納税証明書の勘定科目と仕訳方法
納税証明書は、納税したことや税金額を証明する公的書類であることから、一般的には「租税公課」の勘定科目に分類します。なお「租税」は税金を、「公課」は公的機関で支払った手数料や罰金を指す特徴から、納税証明書のほか、住民票や印鑑証明書などを発行する場合も租税公課を使用することが一般的です。ここでは上記の点を踏まえ、支払方法別の仕訳について解説します。
現金の場合
多くの場合、窓口にて現金を使い証明書を発行することが多いでしょう。例えば、納税証明書の発行手数料として400円掛かった場合です。
| 借方科目 | 貸方科目 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400 | 現金 | 400 |
このときは借方科目に「租税公課」を、貸方科目には「現金」と記載します。各金額の欄には「400(円)」を記載してください。
オンライン経由の場合
窓口ではなく、オンラインを介して証明書を発行する場合もあるでしょう。
| 借方科目 | 貸方科目 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400 | 預金 | 400 |
そのようなときはネットバンキング経由であることから、貸方科目に「預金」と記載するよう注意してください。
定額小為替の場合
郵便局の窓口で発行される定額小為替は、少額の送金時に使われることの多い支払方法のひとつです。定額小為替を使用して納税証明書を発行したときは、以下のように仕訳をします。
■定額小為替を取得したときの仕訳
| 借方科目 | 貸方科目 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 400 | 現金 | 400 |
| 支払手数料 | 200 | 現金 | 200 |
定額小為替を発行する際は、全国共通で200円の手数料が掛かります。つまり、納税証明書を発行した代金とは別に定額小為替を発行する際の手数料が掛かることから、それぞれを分けて仕訳します。
■定額小為替を使用して納税証明書を発行したときの仕訳
| 借方科目 | 貸方科目 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400 | 預金 | 400 |
定額小為替を購入後、納税証明書を発行した場合の仕訳は、それぞれに掛かった費用を合算した上で「租税公課」として記載します。
参考:定額小為替-ゆうちょ銀行
個人資金の場合
個人資金を使って納税証明書を発行したときは、下表のように仕訳をします。
| 借方科目 | 貸方科目 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400 | 事業主借 | 400 |
個人事業主である方が事業用として納税証明書を発行したケースです。個人的な資金で支払ったときは「現金」ではなく「事業主借」を使って仕訳しましょう。
納税証明書の会計処理における注意点

ここでは、納税証明書の会計処理における4つの注意点について解説します。
- 納税証明書の発行手数料は消費税非課税
- 私的取得の場合は経費にできない
- 一度決めた勘定科目は継続する
- 摘要欄を有効活用する
正しい方法で仕訳できるよう、各項目に目を通しておきましょう。
納税証明書の発行手数料は消費税非課税
納税証明書の発行手数料は、消費税非課税の対象です。そのため、手数料を算入する際は、発生した金額のみをそのまま処理します。上項の例であれば、納税証明書の手数料が400円のときは、その金額を帳簿に記載するイメージです。
私的取得の場合は経費にできない
納税証明書を私的な目的で取得した場合、経費に算入することができません。経費と認められるものは、あくまで業務に必要な用途に生じた出費に限られるためです。経費と雑費について正しく理解していない場合、記帳にミスが生じ、税務調査で指摘される可能性があります。また、納税額が大きく変動する可能性もあるため、経費と雑費の違いについては正しく理解しておきましょう。
一度決めた勘定科目は継続する
経理として処理する場合は、一度決めた勘定科目を継続して使用しましょう。勘定科目の使い方について法的なルールはなく、納税証明書の発行に際し「租税公課」と「支払手数料」のどちらを使っても問題はありません。
しかし、企業会計には「継続性の原則」という考え方があります。「継続性の原則」とは、1度決めたルールを毎期継続した上で運用し、みだりに変更しないというルールのことです。つまり、最初に「租税公課」として経費計上したのであれば、今後も同じ勘定科目を用いて算入するということです。
また、勘定科目を定着させていないと、確定申告などの際に確認が煩雑するリスクもあります。さらに税務調査の際も、勘定科目の定着について指摘される可能性もあるでしょう。
上述したように「租税公課」は、公的機関で発生した費用に使われる勘定科目であり、一見すると何に使用したのかが分かりにくいです。そのようなときのために、次項で紹介する方法をぜひ参考にしてみてください。
摘要欄を有効活用する
公的機関で発生した費用を経費計上する際に「租税公課」を使う方も多いでしょう。しかし、何のために発生した費用なのかが一目では分かりにくいです。このようなときは、摘要欄を活用し、何に使った現金なのかが分かるようにまとめておくことをおすすめします。
詳細の記載が面倒なときは「租税公課(印)=印紙税」「租税公課(固)=固定資産税」等と分けて記載するのもおすすめです。それぞれを分けておくことで、借方科目に「租税公課」があっても、摘要欄を確認することで何に発生したものなのか把握しやすくなります。
| 借方科目 | 貸方科目 | 摘要欄 | ||
|---|---|---|---|---|
| 租税公課 | 400 | 現金 | 400 | 租税公課(サ) |
仮に、公共サービスの利用に対する手数料であれば「(サ)」等の工夫によって、あとあとの確認がスムーズに進むでしょう。
まとめ
納税証明書は、確定申告や融資を受ける際に必要となる公的書類です。「租税公課」を使った仕訳が一般的ですが、なかには「支払手数料」とする方もいます。どちらを使用しても問題はありませんが、一度使用した勘定科目は継続的に使用しなければならない点に注意が必要です。







