かつては税理士が毎月訪問するのが一般的でしたが、現在では訪問なしや数ヵ月に一度の訪問といった契約も当たり前になりつつあります。そのため「うちの税理士は毎月来ないけれど大丈夫だろうか」と不安に感じる経営者も少なくありません。この記事では、毎月訪問のメリット・デメリットや必要性の判断基準、信頼できる税理士を選ぶポイントを解説します。
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目次
税理士が毎月訪問しないのは珍しくない!その理由とは?
かつては税理士が顧問先を毎月訪問し、帳簿を確認するのが一般的でした。しかし現在では、毎月訪問しない契約形態も珍しくなくなっています。
背景には、クラウド会計ソフトの普及や企業側ニーズの多様化といったさまざまな変化があります。ここでは、税理士が毎月訪問しないことが一般的になってきた2つの主な理由を解説します。
オンラインでのやり取りの増加
クラウド会計ソフトが普及したことで、税理士と企業のコミュニケーションの方法は大きく変化しました。
- クラウド上でリアルタイムに会計データを共有できるため、税理士は事務所から顧問先の帳簿を確認できる
- 試算表の作成や月次決算のチェックもオンラインで完結する
- ZoomなどのWeb会議やチャットツールで、場所を問わず打ち合わせや経理指導を行える
このような技術的な進歩により、オンラインを主体としたコミュニケーションを加速させる一方、物理的な訪問の必要性が大幅に低下しているのです。
柔軟な契約プランが主流に
企業の成長段階や経理体制はさまざまで、税理士に求めるサービスも多様化しています。そのため、多くの税理士事務所では毎月訪問を基本とするプランのほか、訪問は四半期に一度、あるいは決算時のみ訪問など柔軟なサービスを用意しています。
また「日々のやり取りはオンラインで十分なので、顧問料を抑えたい」「創業期なので毎月訪問して経営相談に乗ってほしい」など、企業の要望に合わせてサービス内容を選択できるのが現在では一般的です。
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税理士に毎月訪問してもらう3つのメリット

オンラインでのやり取りが主流になりつつある一方で、税理士による毎月の訪問にはオンラインにはないメリットが存在するのも事実です。ここでは、税理士の毎月訪問で得られる主な3つのメリットについてまとめました。
経営状況に関する相談をタイムリーに行える
毎月顔を合わせることで、最新の試算表をもとに経営状況を詳細に分析し、具体的なアドバイスを受けられます。数字には表れない現場の空気感や従業員の様子なども税理士に伝わるため、より実態に即した経営相談が可能になるのです。
- 定期的に専門家の視点から意見をもらうことで、経営課題を整理できる
- 漠然とした不安を相談し、方向性を一緒に検討できる
- 何気ない雑談の中から、新たなビジネスのヒントが得られる
こうしたリアルな対話には、オンラインでは得られない価値があると言えるでしょう。
資金繰りや節税対策を早期に検討できる
月次決算を毎月正確に締めることで、利益や納税額の予測を早い段階で立てられます。これにより、決算間際になって慌てずに済むのはもちろん、年間を通じて計画的な節税対策を進められるようになります。
- 役員報酬の設定や見直し
- 設備投資のタイミング、保険の活用などのタイミング調整
- 金融機関への融資時期や金額の計画
上記のように資金繰りの観点でも、将来のキャッシュフローを見据えた戦略的な経営判断がしやすくなるでしょう。
経理処理のミスや疑問点をその場で解消できる
経理担当者が日々の業務で判断に迷う処理や疑問点について、毎月の訪問時に直接相談してその場で解決できるのは大きなメリットです。領収書の整理や仕訳の判断などを、具体的な資料を見ながら確認できるため、経理業務の正確性も向上します。
- ミスを早期に発見・修正でき、決算時の負担を軽減できる
- 経理担当者のスキルアップにつながる
- 社内の経理体制の強化にも寄与する
オンラインの利便性と組み合わせながら、自社の規模や経営スタイルに合わせて柔軟に活用することで、より強固な経営基盤を築けるでしょう。
税理士に毎月訪問してもらう2つのデメリット

税理士による毎月訪問は、タイムリーな経営相談や経理体制の強化といったメリットがある一方、企業側には負担も生じます。特に、コスト面と時間面の2つは、契約を検討する上でも考慮すべきポイントです。
メリットとデメリットを比較し、費用対効果が見合うかを慎重に見極める必要があります。ここでは、2つのデメリットについて詳しく解説します。
顧問料が高くなる傾向がある
税理士の毎月訪問には、税理士の移動や打ち合わせに伴う拘束時間といったコストが発生するのが一般的です。こうしたコストは顧問料に反映されるケースが多いため、訪問なし・訪問回数が少ないプランと比較して料金が高くなる傾向があります。
企業の規模や業務内容によって顧問料は異なりますが、訪問の有無で月額数万円の差が出ることも珍しくありません。特に、業績が安定しており、定型的な業務が中心の企業にとっては、追加コストが負担に感じられる場合もあるでしょう。
毎月訪問によって得られるサポートの厚みと、増加する顧問料のバランスを見極めることが大切です。
税理士の訪問対応に時間を割く必要がある
税理士が訪問する際には、経営者や経理担当者が打ち合わせの時間を確保しなければなりません。毎月1~2時間程度の対応時間を定期的に捻出する必要があるため、多忙な経営者にとっては負担となることもあるでしょう。
特に、明確な相談事項がない月には、形式的な報告に終始し「この時間が必要だったか」と感じるかもしれません。訪問を有意義なものにするためには、事前に議題を準備するなど企業側の工夫も求められます。
あなたの会社はどっち?毎月訪問が必要かどうかの判断基準

税理士の毎月訪問が必要かどうかは、企業の成長ステージや業種、社内の経理体制などによって変わります。また、経営基盤が不安定な創業期の企業と、業績が安定している企業とでは、税理士に求める役割も変わってきます。
すべての企業に共通する「正解」はないため、自社の状況を客観的に把握した上で判断する必要があるのです。以下の特徴を参考に、自社がどちらのタイプに近いか確認してみましょう。
毎月の訪問契約を検討した方が良い企業の特徴
特に創業初期や急成長フェーズの企業は、毎月の訪問による伴走支援が有効です。
- 設立から4年以内など、経営基盤がまだ安定していない
- 資金繰りに不安があり、融資を検討している
- 事業が急拡大しており、内部の管理体制の構築が追いついていない
- 経験豊富な経理担当者が少ない、もしくは日々の経理処理に不安がある
- 経営者自身が数字に苦手意識があり、意思決定の壁打ち相手を求めている
上記の特徴に当てはまる企業は、税理士の定期的な訪問により経営や資金繰り、経理処理をリアルタイムでサポートしてもらうことで、安心感を得られるはずです。
毎月の訪問がなくても問題ない可能性が高い企業の特徴
一方で、経営が安定し、社内体制が整っている企業では、毎月訪問の必要性が低い傾向にあります。
- 事業モデルが確立され、毎月の業績が安定している
- クラウド会計ソフトを導入し、社内で正確な月次決算が行える
- 経営者自身が会計・財務に強く、試算表をもとに経営判断を下せる
- 主に決算申告と税務相談を依頼し、顧問料をできるだけ抑えたい
上記の特徴に当てはまる企業は、オンライン面談や四半期ごとの訪問でも十分対応可能な場合が多いと言えます。そのため、コストパフォーマンスの高い契約形態を選びやすい傾向があるでしょう。
訪問回数よりも大切!信頼できる税理士を見極めるポイント
税理士との契約を検討する際、訪問回数や顧問料といった「条件面」ばかりに目が行きがちですが、実はそれ以上に重要なのが「税理士の質」です。たとえ毎月訪問してくれても、自社のビジネスを理解していない税理士では、形だけの打ち合わせになってしまいます。
企業の成長を長期的に支えてくれる信頼できる税理士を見つけるには、以下の3つのポイントをチェックすることが大切です。
自社の経営課題に寄り添った提案をしてくれるか
信頼できる税理士は、単に過去の数字を整理してまとめるだけでなく、企業の未来を見据えた具体的な提案をしてくれます。
- 企業のビジネスモデルや業界の動向を理解している
- 経営課題に対して具体的な解決策を提案できる
- 試算表の数字の変動から将来のリスクを指摘する
- 補助金・助成金や節税策、資金調達など、企業の成長ステージに合った提案を行う
企業の経営課題に深く踏み込み、戦略的な視点でアドバイスできる税理士は、単なる「外注先」ではなく、頼れる経営パートナーとなるはずです。
質問に対するレスポンスが早く説明が明快か
経営判断にはスピードが求められるため、問い合わせへの対応の速さと説明の分かりやすさは、重要な見極めポイントと言えます。
返信が遅い、いつも担当者が不在、専門用語ばかりで理解できないといった状況が続く税理士では、円滑なコミュニケーションは望めません。経営者の知識レベルに合わせて、専門的な内容をかみ砕いて説明してくれる姿勢があるかも確認しましょう。
コミュニケーションの質は、そのまま信頼関係の質につながります。
希望するコミュニケーション手段に柔軟に対応してくれるか
現代では、電話やメールだけでなく、多様なコミュニケーションツールが活用されています。自社が利用しているツール(Chatwork、Slackなど)やWeb会議システム(Zoom、Google Meetなど)に柔軟に対応してくれるかは、業務効率に大きく影響します。
- 急ぎの相談はチャット
- 詳細な打ち合わせはWeb会議
- 定期的な報告はメールや資料共有
上記の例のように、内容や状況に応じてコミュニケーション手段を使い分けられる税理士であれば、ストレスなくやり取りを進められます。旧来のやり方に固執せず、新しいツールを積極的に取り入れる姿勢があるかどうかも、税理士選びの1つの指標となるものです。
まとめ
税理士に毎月訪問してもらうかどうかに、絶対的な正解はありません。クラウド会計の普及やコミュニケーションツールの進化により、物理的に訪問をしなくても質の高いサービスを提供できる環境は整っています。
重要なのは、自社の成長ステージ、経理体制、そして税理士に何を求めるかを明確にすることです。創業期で手厚いサポートが必要な企業もあれば、業績が安定しオンラインでのやり取りで十分な企業もあります。
訪問回数という形式だけでなく、本質的な部分を見極め、長期的に企業の成長を支えてくれる税理士を選ぶことが求められるのです。








