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会社設立の基礎知識

新規事業を開業する資金の融資は自己資金なしでも受けられる?知っておきたいポイントを解説!

更新日:2023.1.24

新規事業を開業・起業したいと考えている方の中には「自己資金なしでも融資を受けられるのか」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は新規事業の開業資金としての融資を自己資金なしでも受けられるのか、知っておきたいポイントや注意点について詳しく解説していきます。これから新規事業を開業・起業するために融資の利用を検討している方は、是非とも参考にしてみてください。

新規事業を自己資金なしで開業・起業することは可能?

結論、新規事業を自己資金なしで開業・起業することは可能です。例えば、エンジニアやWebライターなど、新規事業を開業するにあたって仕入れの必要がなく、自宅でも対応できる職種であれば自己資金なしで開業することができます。また、新規事業を開業するためにパソコンやデスクなどのオフィス機器を購入したとしても、融資を受ける必要まではないことがほとんどでしょう。

しかし、エステサロンなどの設備が必要な職種や仕入れを要する職種の場合には、まとまった開業資金を用意しなければなりません。預貯金では対応できないという方は、金融機関から融資を受けたり、親族から支援を受けたりするなどの方法で資金を調達することができます。

なお、新規事業を自己資金なしで開業・起業することには、リスクもあることを把握しておく必要があります。想定外の出費や運転資金が必要になった際に、自己資金がなければ対応することが困難となるでしょう。新規事業の開業・起業を検討している方は、できる限り自己資金を用意しておくことをおすすめします。

新規事業を自己資金なしで開業・起業する際に利用できる融資とは

新創業融資制度(日本政策金融公庫)

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、個人事業主や中小企業に対して低金利の融資を実施しています。特に創業支援は積極的に行っており、なかでも代表的な融資が「新創業融資制度」です。新創業融資制度では、新規事業を立ち上げる方を対象に支援を行っています。

新創業融資制度の概要は以下のとおりです。

資金用途

新規事業を始めるため、または事業開始後に必要な設備資金・運転資金

融資限度額

3,000万円(うち運転資金1,500万円)

返済期間

各融資制度に定められた返済期間に準じる

担保・保証人の有無

原則不要 ※1

※1 法人の代表者が希望する場合には連帯保証人となることができ、金利が0.1%軽減される。

このように、新創業融資制度は原則として無担保・無保証人で融資を受けられることが特徴です。金融機関からの融資を受けて新規事業を開業・起業する場合、実績や信用に乏しいため担保や保証人を求められる傾向にあります。法人の代表者本人が希望する場合を除いて、無担保・無保証人で融資を受けられることは大きなメリットだといえるでしょう。

ただし、新創業融資制度は単独で申し込むことができず、日本政策金融公庫が実施している他の融資制度と組み合わせる必要があります。例えば、以下の融資制度などと組み合わせることが可能です。

  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 新事業活動促進資金
  • 新規開業資金

また、新創業融資制度には「創業資金総額の1/10以上の自己資金を確認できる方」という要件が定められています。しかし、以下の要件に該当する方は、自己資金なしでも新創業融資制度に申し込むことが可能です。

  • 勤め先の企業と同じ業種の事業を始めようとしている方のうち、以下いずれかに該当する方
  • 現在の企業に6年以上継続して勤めている方
  • 現在の企業と同じ業種に、通算で6年以上勤めている方
  • 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上勤めている方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方
  • 民間金融機関と日本政策金融公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  • 技術・ノウハウ等に新規性が見られる方
  • 新商品・新役務の事業化に向けた研究・開発、試作販売を実施するため、商品の生産や役務の提供に6か月以上を要し、かつ3事業年度以内に収支の黒字化が見込める方
  • 「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」の適用予定の方

ただし、自己資金要件をクリアしたとしても、必ずしも審査を通過できるとは限りません。新創業融資制度への申し込みを検討している方は、これらの注意点があることを把握しておきましょう。

挑戦支援資本強化特例制度(日本政策金融公庫)

挑戦支援資本強化特例制度とは、新規事業を開業・起業する方に向けた融資制度です。その特徴は「資本性ローン」であるという点が挙げられます。挑戦支援資本強化特例制度によって受けた融資は「負債」ではなく、「資本金」として扱われるのです。つまり、融資であるため返済義務はあるものの、形式上は資本金が増加したことになるため、他の金融機関から融資を受ける際に審査を通過しやすくなるというメリットがあります。

挑戦支援資本強化特例制度には「国民生活事業」と「中小企業事業」がありますが、概要は以下のとおりです。

【国民生活事業】

融資対象者

次の(1)および(2)を満たす法人・個人事業主

 

(1)   次の①~⑤までの融資制度の対象者

①        新規開業資金

②        事業承継・集約・活性化支援資金

③        新事業活動促進資金

④        企業再建資金

⑤        海外展開・事業再編資金

 

(2)   次の要件をすべて満たす方

①        地域経済活性化にかかる事業を行うこと

②        税務申告を1期以上行っている場合、原則として所得税等を完納していること

資金用途

対象となる融資制度に定められた設備資金・運転資金

融資限度額

7,200万円

返済期間

5年1か月以上20年以内

利率

0.90~6.45%

担保・保証人

不要

【中小企業事業】

融資対象者

次の(1)および(2)を満たす方

 

(1)   次の①~③までの融資制度の適用要件を満たす方

①        新企業育成貸付

②        企業再生貸付(一部の制度を除く)

③        企業活力強化貸付(一部の制度を除く)

 

(2)   次の要件を満たす方

新規事業、経営改善、企業再建などに取り組み、地域経済活性化のために一定の雇用効果が認められる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力の高い事業などに取り組む方。

融資限度額

1社あたり10億円

返済期間

5年1か月または6~20年までの各年(期限一括償還)

利率

0.50~5.70%

担保・保証人

不要

なお、挑戦支援資本強化特例制度の金利は直近の業績に応じて変動します。申し込みを検討している方は、公式サイトなどで確認しておきましょう。

中小企業経営力強化資金(日本政策金融公庫)

中小企業経営力強化資金とは、新規事業分野の開拓などに取り組む中小企業の資金調達や経営力強化を支援する融資制度です。概要は以下のとおりとなっています。

融資対象者

次の(1)または(2)の要件に該当する方

 

(1)次のすべての要件に該当する方

①        経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を含む)を行おうとする方

②        事業計画書を策定し、中小企業等経営強化法に定める「認定経営革新等支援機関」による指導および助言を受けている方

 

(2) 次のすべての要件に該当する方

①        「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している方または適用する予定の方

②        事業計画書を策定する方

資金用途

設備資金・長期運転資金

融資限度額

7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)

返済期間

設備資金20年以内(うち据置期間2年以内)

運転資金7年以内(うち据置期間2年以内)

利率

基準利率(一定要件に該当する方は特別利率を適用)

担保・保証人

要相談

融資の要件に記載されている「認定経営革新等支援機関」とは、会計や経営に関する深い知見があると、国が認定した機関のことを指します。具体的には、税理士・公認会計士・弁護士・金融機関・商工会議所などが、国からの認定を受けることが可能です。中小企業経営力強化資金に申し込むためには、この認定経営革新等支援機関のサポートを受けながら事業計画書を策定しなければならない点に注意しましょう。

また、中小企業経営力強化資金は挑戦支援資本強化特例制度との併用が可能です。併用することで多額の融資を受けられるため、予備知識として覚えておきましょう。

地方自治体の創業融資

各地方自治体でも、新規事業を開業・起業する方に向けた創業融資を実施している場合があります。例えば、東京都ではこれから開業・起業したいと考えている方などを対象に、融資限度額3,500万円までの融資を実施しています。新規事業の開業資金を調達したいと考えている方は、事業所のある地域で創業融資が実施されていないか確認しておきましょう。

制度融資(信用保証協会制度融資)

制度融資(信用保証協会制度融資)とは、地方自治体が中小企業者向けに行っている融資のことを指します。この制度融資は、地方自治体・金融機関・信用保証協会の三者が連携して実施する融資で、金融機関が信用保証協会の保証付き融資を行うというものです。信用保証協会が保証人となることによって、中小企業者が融資を受けやすくなるようサポートしています。

ただし、制度融資は各地方自治体によって取り扱いが異なるため、開業・起業する地域で実施されているのか確認する必要があります。

不動産担保ローン

新規事業を自己資金なしで開業・起業したいと考えている場合には、不動産担保ローンの利用も検討してみましょう。創業期で実績がない場合でも、自己所有の不動産を担保として提供することで、融資が受けやすくなる可能性があります。また、無担保・無保証人で融資を受ける場合と比べて、金利が低く設定される場合があることも不動産担保ローンのメリットです。既に別の融資で担保に提供している不動産でも認められるケースがあるため、不動産を所有している方は金融機関に問い合わせてみることをおすすめします。

新規事業を自己資金なしで開業・起業する際に融資を利用する注意点

金利が高くなる場合がある

金利は、利用する金融機関や融資額などによって変動しますが、自己資金の額も大きく影響します。自己資金なしで融資を受ける場合、自己資金ありの場合に比べて1~2%程度金利が高くなることがあるため注意しましょう。

融資金額が少額になる場合がある

一般的に、自己資金の額が多いほど受けられる融資額も大きくなります。自己資金なしで融資を受ける場合、希望する額の融資を受けられない場合があることに注意が必要です。必要とする開業資金が多額の場合は、少しでも多く自己資金を用意することをおすすめします。

審査に通りにくい可能性がある

自己資金なしで融資の申し込みをした場合、自己資金ありの場合と比べて審査に通りにくい可能性があります。自己資金なしでも申込可能な融資はありますが、必ずしも審査を通過できるわけではない点に注意が必要です。

返済計画は綿密に行う

自己資金なしで開業資金の融資を受ける場合は、綿密な返済計画を策定することが重要です。予想収益を下回った場合でも確実に返済可能なのかシミュレーションしておくことで、事業計画の策定にも役立てることができます。金融広報中央委員会の「知るぽると」などでも返済シミュレーションを行えるため、事前に確認しておきましょう。

自己資金なしで開業・起業の資金融資を受ける際にやってはいけないポイントとは

自己資金の誤魔化し

当然のことですが、自己資金の誤魔化しは絶対にしないようにしましょう。自己資金を誤魔化して融資の審査を通過できたとしても、事業実績などを後日提出した際に不正が発覚するおそれがあります。もし不正が発覚した場合、今後融資を受けられなくなる危険性もあるため、自己資金の誤魔化しは非常に危険な行為です。

見せ金の用意

見せ金とは、親族や知人から一時的に資金を借り入れ、融資の審査時点では自己資金が豊富であるかのように見せかける手法のことを指します。しかし、自己資金はお金の流れを書類で証明する必要があるため、不正が発覚する場合がほとんどです。もし、見せ金であると金融機関から判断された場合には著しく信用を落とすことになるため注意しましょう。

タンス預金の申告

銀行口座に入金していない現金、いわゆるタンス預金は自己資金に含まれません。たとえ自分でコツコツ貯めていた資金だったとしても、自己資金として金融機関から認められるためには、お金の流れを証明する必要があります。現金を自己資金として申告するためには、預貯金口座に入金しておく必要があることを覚えておきましょう。

他の金融機関からの借入金の申告

金融機関からの借入金を自己資金として申告することはできません。そもそも借入金には返済義務があり、自己所有の資産ではないからです。銀行や消費者金融から融資を受け、自己資金として申告することは認められないため注意しましょう。

親族や知人からの借入金の申告

金融機関からの借入金と同様に、親族や知人からの借入金も自己資金として申告することはできません。しかし、親族や知人から援助として開業資金の贈与を受けた場合、これを自己資金として申告することは可能です。「返済義務があるか」という点が、自己資金に含まれるかどうかの分岐点となります。ただし、お金の流れを証明するために贈与契約書などは必ず作成しておきましょう。

自己資金なしで新規事業を開業・起業する際には専門家に相談も検討

今回は、新規事業の開業資金として自己資金なしでも融資を受けられるのか、具体的な融資制度や注意点なども含めて解説してきました。自己資金なしでも融資を受けることは可能ですが、希望額を全額借り入れることができなかったり、金利が高く設定されてしまったりする場合があるため注意しましょう。自己資金なしで新規事業を開業・起業したいと考えている方は、事前に専門家へ相談しておくことをおすすめします。

この記事の監修者

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今野 靖丈

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