税金を納めすぎた場合に受け取れる還付金がありますが、還付加算金についてはあまり知らない方もいるでしょう。この記事では、還付加算金の仕組みと税率、確定申告における注意点について解説します。本記事を参考に還付金や還付加算金の概要について正しい理解につなげましょう。
目次
還付加算金について

還付加算金がどのようなお金なのか、イメージできない方は多いものです。
まずは、還付加算金の概要や還付金との違いなどについて解説します。
還付加算金とは
還付加算金とは、税金の過払いによって返還を受ける際、返還が遅れた場合などに支払われる金銭のことです。納め過ぎた金額に対して遅延分の利息に相当し、納税者が受けた損失を一部補う目的で設けられています。
加算金の額は過誤納金の額や返還までにかかる期間、適用される法定利率に基づいて算出されるものです。加算金の支払い条件や計算方法は後述しますが、過誤納となった原因や返還の手続きによって異なる場合があるため注意しましょう。
なお、一定の金額以下の過誤納金や加算金については支払い対象外となる決まりも存在するため、詳細は各自治体や税務署に確認すると安心です。
混同しやすい還付金との違い
還付加算金と混同しやすいものに還付金があります。還付金は本来納めるべき税額を超えて払ってしまった場合などに返還される金銭です。還付される理由は申告内容の訂正や所得の更生などであり、還付決定がなされるタイミングによって加算金がつくことを還付加算金と呼びます。
なお、過誤納金が一定額に満たない場合や還付加算金が一定額未満の場合は支払われない仕組みです。還付金の通知や支払い日によっては還付加算金の対象となることがあるため、必要に応じて納税者側から問い合わせることをおすすめします。
市税における還付金の取り扱い
市税や地方税においても、納税者が過剰に納付した場合に還付金が支払われる場合があります。市税等の還付金の受け取りでも還付加算金が付与される場合がありますが、この場合は自治体等の条例が適用される仕組みです。
一般的に還付加算金の起算日は、納付日の翌日や更正の請求日など過誤納の理由に応じて異なるほか、市区町村ごとの地方税条例などでも変わります。
なお、2,000円未満の過誤納金や1,000円未満の還付加算金については支払われない場合もあります。還付金や還付加算金の取り扱いは、自治体の市税・地方税関連規則に基づいて運用されているためです。
還付金や還付加算金の詳細について知りたい方は自治体の公式ホームページで確認することをおすすめします。
参考:千葉市|市税の還付加算金について知りたい。(市民税、固定資産税、軽自動車税)
還付加算金の計算方法

還付加算金は、税金を納め過ぎた場合に返還される際に上乗せして支払われる金銭です。ここでは市区町村の還付加算金を受け取る場合の計算方法について解説します。計算方法を押さえ、通知された金額と照らし合わせながら確認してみましょう。
計算方法
還付加算金は一般的に、下記の計算式を使って算出します。
計算基礎額×還付加算金特例基準割合 ÷ 365 × 計算日数 = 還付加算金額 |
還付加算金は過誤納等の理由により、定められた日から支払決定日もしくは充当した日までの期間を基に計算された金額が支払われます。なお、令和3年からは財務省が公表する平均貸付割合に0.5%を上乗せした割合で算出されます。
- 令和4年1月1日以降:年0.9%
- 令和3年1月1日~令和3年12月31日:年1.0%
仮に、平成26年~令和2年までの間に支払った市税等に還付加算金がある場合は、財務省が公表する貸出約定平均金利に1%追加した割合になります。
- 平成30年1月1日~令和2年12月31日:年1.6%
- 平成29年1月1日~平成29年12月31日:年1.7%
- 平成27年1月1日~平成28年12月31日:年1.8%
- 平成26年1月1日~平成26年12月31日:年1.9%
また、平成25年までは前年の11月30日を経過する場合における商業手形の基準割引率に年4%を加えた割合です。
- 平成23年1月1日~平成25年12月31日:年4.3%
なお、還付加算金が加算されないケースとしては、以下のような場合が挙げられます。
- 算出された金額に100円未満の端数がある
- 端数額が1,000円未満の場合
詳細について知りたい方は、最寄りの市区役所にお問い合わせください。
参考:千葉市|市税の還付加算金について知りたい。(市民税、固定資産税、軽自動車税)
還付加算金で注意すべきポイント
還付加算金の計算においては、複数の細かな規定によって誤った認識やミスが生じ、正しく計算できないことがあります。
還付加算金の起算日が、過誤納の原因によって異なる | 納付翌日が起算日とされる場合や、還付決定日・更正請求の翌日が起算日となるケースでは、それぞれ異なるルールが適用される点に注意する |
基準を満たさない場合は還付加算金が支払われない場合がある | 過誤納金が2,000円未満の場合は還付加算金が発生しない |
計算結果に端数が生じた場合は切り捨て処理が行われる | 条例等の理由によっては還付加算金の対象にならない場合がある |
正しく計算するためにも、上記のポイントに留意しましょう。
翌年の確定申告時に注意すべきポイント

還付加算金を受け取った場合は、翌年の確定申告で加算金について申告しなければなりません。還付加算金は利息相当額であり、雑所得に分類されるためです。ここでは、翌年の確定申告の際に注意したいポイントについて解説します。
所得区分を正確に把握する
還付加算金は給与所得や事業所得とは異なり、雑所得として申告しなければなりません。申告書の際には、誤記等がないよう正確に記載しましょう。
還付金とは区別する
還付金本体は過払い戻しにあたり非課税です。しかし、還付加算金は課税対象項目です。それぞれを混同しないよう注意し、還付加算金のみ所得として計上しましょう。
申告期限を厳守する
還付加算金を受け取った場合は、翌年の確定申告期間までに申告を済ませましょう。仮に遅延した場合、延滞税や加算税などを含めた追徴課税が発生する場合があります。
通知書や証明書を保管する
税務署からの還付決定通知や加算金額にかかわる明細は必ず保管し、申告時に正確な金額の根拠として提示できるよう備えておきましょう。
還付加算金と還付金についての違いを押さえよう
還付加算金は、納税者が税金を過剰に納めてしまった場合に、本来の還付額に加えて支払われる金銭です。還付金の受取遅延に対する利息の意味合いがあり、過誤納金や還付までの経過期間、年度ごとに定められた税率を基に算定されます。
なお、還付加算金の計算における税率は変動することから、還付加算金の金額は年度や納付状況によって異なる点に注意しましょう。また、還付加算金には最低支給額が決められていることが多く、一定額に満たない場合は支払われないことがあります。
なお、計算や申告が複雑になる場合も多く、手続きに不安がある方もいるかもしれません。そのようなときは税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。還付金や還付加算金について相談したいときは、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。






