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個人事業主と法人は掛け持ちできる?メリット・デメリットや税務上の注意点を解説!

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個人事業主と法人は掛け持ちできる?メリット・デメリットや税務上の注意点を解説!

個人事業主として活動している中で、法人化を視野に入れている方も多いことでしょう。事業内容が異なれば、個人事業主と法人を同時に運営することも可能です。本記事では、個人事業主と法人を掛け持ちするメリットやデメリット、注意点について解説します。法人の設立や掛け持ちを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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個人事業主と法人は掛け持ちできる!

40代が起業するイメージ

個人事業主として事業を営みながら、法人を経営することは可能です。実際、法人を立ち上げた後も個人事業を続けている方や、別々の事業を展開している方は珍しくありません。

例えば、個人でアパレル業を行いながら法人でエンジニアリング事業を営むなど、異なる事業での掛け持ちは問題なく進められます。個人事業主として気軽に始めた事業が拡大し法人化を検討したり、法人化した後もリスク分散のために個人事業を続けたりすることも可能です。

ただし、個人事業主と法人の双方で事業を掛け持ちする場合には、税務や労務などの手続きが増えます。特に法人の設立や運営には登記や社会保険の加入などの義務が発生するため、事前の準備が重要です。

また、別事業を立ち上げる際は、軌道に乗るまで慎重に進めることが望ましいでしょう。掛け持ちを検討している方は、専門家と相談しながら、自分に適した事業形態を選ぶことをおすすめします。

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個人事業主と法人を掛け持ちするメリット

個人事業主としての活動を継続しながら法人を運営することで、経営の柔軟性が増し、節税や信用力の向上といったメリットが得られます。ここでは、それぞれの形態を組み合わせるメリットについて、詳しく解説します。

経費の範囲が増え節税効果が期待できる

個人事業主の場合、青色申告を活用することで最大65万円の控除を受けられます。法人では役員報酬を損金として計上できるだけでなく、給与所得控除も適用されるため、所得税や住民税の負担を軽減することが可能です。さらに、法人では出張手当や社宅費用、交際費など、個人では認められない経費も計上できるため、個人より高い節税効果が期待できます。

また、収益を個人事業主と法人の間で分けることで、事業ごとの税負担を最適化できます。例えば、事業①の年間売上が300万円、事業②の年間売上が800万円の場合、個人事業主としてどちらも事業も運営していた場合は、事業全体で1,100万円の売上です。この場合、課税事業者となり、消費税の支払い義務が生じるでしょう。

一方、事業①を個人事業主として継続しつつ事業②を法人化した場合、事業全体で1,100万円の売上があるにもかかわらず、それぞれが免税事業者の基準内に収まります。ただし、同じ事業を分けることで課税回避を狙う行為は租税回避として認められないため、必ず別の事業として運営しなければなりません。

ただし、個々のケースによっては、返って税負担が大きくなる場合も考えられます。そのため、掛け持ちを検討する際には、事前に税理士などの専門家に相談し、最適な運営プランを立てることが賢明です。

対象となる補助金・助成金の種類が増える

個人事業主と法人を掛け持つことで、利用可能な補助金や助成金の種類を広げることができます。事業形態が異なることで、それぞれに適した支援制度を活用できるため、資金調達のチャンスが増える点がメリットです。

国や地方自治体が交付する補助金や助成金は、個人事業主を対象にしたもの、法人を対象にしたものとに分かれているものもあります。また、対象にはなるものの、事業形態によっては枠が限られるケースも多いです。

しかし、掛け持ちをすることで、これら両方の制度に申請する資格が得られます。補助金や助成金は基本的に返済不要であるため、活用できる種類が広がれば、事業の資金繰りに余裕を持たせることも可能です。ただし、申請には事業内容や条件を明確にし、適用基準を満たす必要があります。

法人の役員報酬を低く設定すれば社会保険料が安くなる

個人事業主の場合は国民健康保険と国民年金への加入が必要ですが、法人を立ち上げて役員報酬を受け取る形にすることで、健康保険や厚生年金に切り替えられます。社会保険料は、給与や報酬金額に基づいて計算されるため、法人での役員報酬を最低額に設定すれば、社会保険料を最小限に抑えられます。

例えば、役員報酬を月63,000円以下に抑え、保険料の等級を下げることも一つの方法です。法人運営の利益を社宅費や交際費などの経費として計上し、役員報酬を低く設定しても生活費を補える場合があります。

また、法人の健康保険では扶養家族の分について追加の保険料が発生しないため、家族が多い場合には特に有利となるでしょう。個人事業主としての国民健康保険や年金保険料を別途支払う必要がなくなり, 負担を一元化できます。

法人の信用力を個人事業主でも活かせる

一般的に、法人は個人事業主に比べて「社会的な信用度が高い」と認識される傾向があります。特に大手企業や公共機関との取引では、法人格があることが交渉や契約の成立において有利に働くことが多いです。

法人登記によって企業として認知されるため、法人名義での取引や契約を進められます。形式上の法人格は、たとえ事業規模が小さくても、信頼性を高める要因となり得るのです。

例えば、個人事業主で活動している場合には取引を断られる可能性がある一方、法人としての活動が並行していることで、仕事の幅が広がるケースも多いでしょう。また、銀行融資を受ける際にもプラスに働くでしょう。

個人事業主と法人を掛け持ちするデメリット

デメリット

個人事業主と法人を掛け持ちすることで、さまざまなメリットが得られる一方、注意すべきデメリットも存在します。掛け持ちを検討する際には、以下に挙げるデメリットについても理解しておきましょう。

個人事業主と法人の両方で納税しなければならない

個人事業主と法人を掛け持ちする場合、それぞれに課される税金を納税する必要があります。個人事業主としては所得税・住民税・個人事業税を納め、法人では法人税・法人住民税・法人事業税を支払う必要があるのです。このうち、法人住民税は資本金等の額や従業員数を元に算出され、赤字でも発生する点に注意が必要です。

消費税を納付するケースも考えられ、税金の種類や金額が増えるため、税務管理が複雑化する可能性があります。税金の計算や納付手続きには手間がかかり、負担に感じる方もいるでしょう。

法人と個人事業主の収益をしっかりと区別して管理しないと、税務署から指摘を受けるリスクが生じることもあります。事業ごとの帳簿を適切に作成し、必要に応じて税理士に相談するなどの対策を講じることが重要です。

また、法人を掛け持つ場合でも、個人事業主としての確定申告は必要です。法人の収益や経費は法人税として申告しますが、個人事業主としての収益は事業所得として別途で申告しなければなりません。役員報酬がある場合は給与所得として申告する必要があるため、事業ごとに提出書類や計算方法を分けて対応することが求められます。

経理や会計の手間が増える

個人事業主と法人を掛け持ちする場合、経理や会計業務の手間が増えることは避けられません。それぞれ異なる事業形態であるため、経費計上や帳簿管理、税務申告などを個別に行う必要があります。特に法人では決算処理が求められるため、個人事業主よりも複雑で専門的な業務が必要です。

掛け持ちをすることで発生する事務負担には、以下の項目が挙げられます。

 

  • 個人事業主としての経費計上や確定申告
  • 法人としての帳簿作成や税務申告
  • 請求書や見積書の作成、それぞれの事業での収益管理

これらの業務をすべて一人で管理する場合、かなりの労力を必要とします。負担が増えることで、事業運営の時間が圧迫され、売上計算や税務処理が混同してしまう恐れもあるでしょう。その結果、税務署から指摘や修正依頼を受けるリスクが生じる可能性もあります。

掛け持ちによる煩雑な業務をスムーズに進めるためには、経理や会計業務に詳しい専門家を雇ったり、税理士に相談したりすることがおすすめです。特に事務処理が苦手な方は、専門家の力を借りることで、本業に集中できる環境を整えられます。

将来的に受け取れる年金が少なくなる

法人を設立し、役員報酬を低く設定して社会保険料を抑える方法は、短期的にはメリットと見なされます。しかし、将来的に受け取れる年金額が減少する可能性があります。

社会保険料は給与や役員報酬に基づいて計算されるため、報酬を低く設定すると現在の負担が軽減される一方、厚生年金の受給額も比例して少なくなるのです。せっかく法人の健康保険と厚生年金に加入していても、報酬額が低いことで将来的な利益を十分に活かせない結果になることもあるでしょう。

将来の受給額を考慮する場合、役員報酬を一定額以上に設定し、適切な保険料を支払うことでバランスを取ることが重要です。その際には、所得税との兼ね合いも慎重に検討する必要があります。どの選択が最善なのかは、自身のライフプランや事業展開の方向性に合わせて慎重に判断することが求められるでしょう。

それぞれの売上規模が小さくなる

個人事業主と法人を掛け持ちする際には、事業を分割することで、それぞれの売上規模が小さくなる点に注意が必要です。本来ひとつの事業体として運営していれば、売上が合算されるため、規模のメリットを活用した経営ができます。しかし、掛け持ちにより収益を分割することで、不利に働くケースがある点も考えなければなりません。

例えば、事業①が600万円、事業②が400万円の場合、一つの形態で運営している分には1,000万円規模の売上です。しかし、掛け持ちにより売上が分割することで、それぞれ半分程度の規模になり、全体としての事業価値が低下する恐れがあります。特に、売上規模が重視される資金調達や取引条件の交渉で不利になる点に注意が必要です。

また、スケールメリットが失われることで、事業拡大を目指す際の戦略にも影響を及ぼす可能性もあるでしょう。規模を大きくして事業をスケールさせたい場合には、収益を一つにまとめる方が効率的な場合もあります。

法人で従業員を雇うと社会保険料の負担が大きい

法人を設立すると、従業員が1人以上いる場合、社会保険への加入が義務付けられます。これは健康保険や厚生年金への加入を意味し、法人としての経営においてメリットでもありますが、大きな負担として働く可能性もあります。会社は、健康保険料や厚生年金保険料を従業員と折半で支払う必要があるためです。

社会保険料は従業員の給与額に比例して増加するため、資金に余裕がない段階で複数人の従業員を雇用すると、保険料負担が重荷になりやすいです。事業の運営資金を圧迫し、成長や拡大の妨げとなる場合もあります。一方で、従業員を雇用しない個人事業主の場合は、雇用保険や労災保険への加入義務がなく、負担が軽減されます。

掛け持ちを検討する際は、会社設立の費用に加え、社会保険料負担を慎重に評価し、適切な雇用計画を立てることが大切です。従業員を雇うことで生じるメリットと、保険料の負担を天秤にかけながら、事業運営の方向性を見極めましょう。

個人事業主と法人の掛け持ちした方が良いケース

個人事業主と法人の掛け持ちにはデメリットも多く、すべてのケースで適しているわけではありません。しかし、特定の状況では大きなメリットをもたらします。該当するケースについて、詳しく見ていきましょう。

将来的に承継したい事業がある

事業を次世代へ承継する際、個人事業主と法人では手続きの負担に大きな違いがあります。個人事業主の場合、経営権や財産権が個人に属しているため、事業の廃業手続きと後継者の新規開業手続きを同時に行う必要があります。また、相続税や贈与税の負担が増えることもあり、事業承継が煩雑になりがちです。

一方、法人であれば、株式の譲渡という形で比較的スムーズに事業を引き継ぐことが可能です。時間やコストの削減が期待できるだけでなく、法人の信用力や契約関係をそのまま維持しながら承継できる点が大きなメリットです。

個人事業主の形態のみで活動している場合、将来的に承継したい事業は法人化しておくことで効率的に進められるでしょう。特に、長期的に家族や信頼できる後継者へ事業を引き継ぎたい場合には、この形態が理想的と言えるでしょう。

法人形態を利用して新規事業などのリスクを分散したい

新たに事業を立ち上げる際には、失敗に伴うリスクを最小限に抑えたいものです。その点で、法人形態を活用したリスク分散が効果的となるケースがあります。

法人は有限責任のため、万が一事業が失敗した場合でも、通常は出資額以上の負債を負うことはありません。個人資産が保護されるため、リスクを恐れずに新規事業にも挑戦しやすいメリットがあります。例えば、個人事業主として既存事業を続けながら、法人形態で新しい事業分野に参入することで、収益源を多様化しつつ経営の安定性を高めることが可能です。

また、法人として立ち上げた新規事業で問題が発生したとしても、既存事業や個人の活動に与える影響を最小限に抑えられます。契約や資金調達の面でも有利に働きやすく、事業の成長を後押しする要素となるでしょう。新たな分野にもチャレンジしやすい点において、法人の強みと個人事業主の柔軟性を掛け合わせた経営戦略の魅力と言えます。

個人事業主と法人の掛け持ちで注意したい税務上のリスク

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

個人事業主と法人を掛け持ちする場合、税務上のリスクも存在します。特に、税務署から指摘される可能性の高い点を事前に理解し、適切な対応を取ることが重要です。以下では、注意すべきポイントを解説します。

同じ事業内容で掛け持ちすると租税回避を疑われやすい

個人事業主と法人を掛け持ちする際、同じ事業内容で個人と法人を掛け持ちすることはリスクがある点に注意が必要です。同一事業で収益を分割して運営すると、税務署から「租税回避」の疑いを持たれる可能性があります。

租税回避とは、法的には違法ではないものの、課税額を減らす目的で合理性を欠いた方法を取る行為のことです。悪質と判断されれば、税務署から指摘を受けたり、追徴課税が発生したりするリスクがあります。

例えば、個人事業主としてアパレル事業を営みながら、法人でシステムエンジニアとして事業を展開するのは問題ありません。一方、個人と法人の両方でシステムエンジニア事業を行う場合は、税務署から指摘を受けるリスクが生じる可能性があります。

そのため、掛け持ちを検討する際には、事業内容を明確に区別することが大切です。税務署から指摘を受けると対応が複雑になるため、不安な場合は税理士のアドバイスを受けながら慎重に事業計画を立てことをおすすめします。

個人事業主と法人間での外注費は税務調査で指摘されやすい

個人事業主と法人を掛け持ちする場合、双方の間で外注費を支払う取引は、税務署から指摘されるリスクが高い行為です。このような取引は、利益の調整目的で行われていると見なされることがあり、適正な経費性が認められない場合もあります。特に、法人の売上が個人事業主からの外注費のみで構成されている場合、税務署から利益調整の疑いを持たれる可能性が高いでしょう。

外注費が「適正の範囲内」と認められるためには、法人側にも個人事業主側にも独自の売上があり、契約書や報酬内訳が明確に記載されていることが重要です。また、法人が実際に従業員を雇用していて、その労働に対して正当な対価を支払う形であれば、必要経費として計上できます。

異なる事業で掛け持ちする場合でも、取引の透明性を確保し、不自然な利益調整と見なされないよう注意しましょう。税務上のリスクを回避するためには、専門家のサポートを受けることも効果的です。

個人事業主と掛け持ちするなら「マイクロ法人」がおすすめ

個人事業主としての活動を続けながら法人を設立する場合、「マイクロ法人」を選択するのがおすすめです。マイクロ法人とは、小規模な事業を主体とする法人で、一般的には代表者が一人で経営を行います。節税や社会保険料の軽減、そして社会的な信用力の向上を目的として、近年注目されています。

マイクロ法人の特徴は、設立に大規模な資金やスタッフを必要とせず、一人からでも始められる点です。例えば、合同会社として設立する場合、設立費用が低く抑えられるため、初期コストを最小限に抑えたい方にも適しています。また、法人格を有することで、個人事業主にはない社会的信用を得られるため、取引の幅が広がり、資金調達もしやすいでしょう。

マイクロ法人は売上がない場合でも設立が可能ですが、その際には事業活動をしっかり行っている実態を証明することが必要です。取引と帳簿管理が適切でないと見なされると、事業実態のないペーパーカンパニーと判断され、税務署から指摘を受けるリスクがあります。

ただし、法人の設立を検討する際は、自分の事業規模や目標に合った形態を選ぶことが大切です。また、個人事業主としての形態を残すべきか迷う場合も、税理士など専門家のアドバイスを受けることで、より効果的に活用できるでしょう。

個人事業主と法人の掛け持ちに悩んだら専門家へご相談を

個人事業主と法人の掛け持ちは、税制優遇や社会的信用の向上など多くのメリットがある一方、税務や経理管理の負担が増すデメリットも存在します。特に収支を混同させないよう管理することが重要で、適切な申告が求められます。

また、掛け持ちの効果は事業規模や経営状況により異なるため、十分な計算と検討が必要です。もし判断に迷ったり不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することで、「掛け持ちすべきか、一つの形態にまとめるべきか」の最適な判断ができるでしょう。

「掛け持ちを検討しているものの不安がある」「法人設立を進めたいが個人事業主としての形態を残すべきか悩んでいる」といった方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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