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消費税の内税と外税が混在する場合の仕訳方法|インボイス適用のためのポイントや注意点

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消費税の内税と外税が混在する場合の仕訳方法|インボイス適用のためのポイントや注意点

インボイス制度の開始に伴い、課税事業者になった方は多いのではないでしょうか。中には、取引先によって請求書の内税・外税の表記が異なり、扱いに困っているという方もいらっしゃるでしょう。今回は、内税・外税が混在する場合の仕訳について解説します。前提知識である内税・外税の意味や計算方法、仕訳を行う際の消費税の扱い方もご紹介しています。

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内税・外税について

税金

商品やサービスの価格表示において消費税を記載する方法には、内税と外税という2種類があります。それぞれの意味を確認しておきましょう。

内税とは

「内税(うちぜい)」は、商品やサービスの価格に消費税を含める表示方法です。「税込」と呼ばれることもあります。例えば、本体価格3,000円、消費税300円の商品やサービスを内税で表示する場合、「3,300円(税込)」のように表されます。

外税とは

「外税(そとぜい)」は、「税抜」とも呼ばれます。商品やサービスの価格に消費税を含めず、別途表記する方法のことです。例を挙げると、本体価格3,000円の商品やサービスであれば、外税では「3,000円(税抜)+税」というように表示します。

内税・外税の計算方法

続いて、内税・外税の表記から消費税額などを計算する方法を確認しましょう。本則の税率である10%、軽減税率である8%、それぞれの場合について具体例をご紹介します。

内税の計算方法

内税では、本体価格に消費税を足した総額が表示されています。総額から消費税額を算出する際は、下記のように計算しましょう。

  • 本体価格 = 税込価格(総額) ÷ (1+消費税率)

消費税額 = 税込価格 - 本体価格

【例1】税込価格7,700円、消費税率10%の場合

本体価格 = 税込価格7,700円 ÷ (1+消費税率0.1) = 7,000円

消費税額 = 税込価格7,700円 - 本体価格7,000円 = 700円

【例2】税込価格7,560円、消費税率8%の場合

本体価格 = 税込価格7,560円 ÷ (1+消費税率0.08) = 7,000円

消費税額 = 税込価格7,560円 - 本体価格7,000円 = 560円

なお、消費税率は小数に変換すると、計算しやすいです。10%の場合は0.1、8%の場合は0.08に変換しましょう。

外税の計算方法

外税での表示には、本体価格と消費税率のみが記載されているケースもあります。本体価格をもとに、消費税額・税込価格を算出するには、以下の計算を行います。

  • 消費税額 = 税抜価格(本体価格) × 消費税率

税込価格(総額) = 税抜価格 + 消費税額

【例1】税抜価格7,000円、消費税率10%の場合

消費税額 = 税抜価格7,000円 × 消費税率0.1 = 700円

税込価格 = 税抜価格7,000円 + 消費税額700円 = 7,700円

【例2】税抜価格7,000円、消費税率8%の場合

消費税額 = 税抜価格7,000円 × 消費税率0.08 = 560円

税込価格 = 税抜価格7,000円 + 消費税額560円 = 7,560円

なお、税込価格のみ算出したいときは、税抜価格に(1+消費税率)をかけることで計算できます。

仕訳を行う際の消費税の扱い

経理における消費税の扱いには、「税抜経理方式」「税込経理方式」の2つがあります。事業者の任意で選択でき、一貫して同じ方式で記帳する必要はありますが、届出などは不要です。それぞれの方式について、基礎知識を確認しておきましょう。

税抜経理方式とは

税抜経理方式とは、売上額や仕入額などに消費税を含めない記帳方法です。中規模以上の企業で、多く採用されています。なお、免税事業者は、税抜経理方式を選択できません。

仕訳をする際は、消費税を本体価格と別に計上します。消費税の勘定項目には、「仮受消費税」「仮払消費税」を使用しましょう。

税込経理方式とは

税込経理方式では、売上げ・仕入れともに、本体価格に消費税を含めた金額で記帳します。どのような事業者でも選択できますが、小規模な企業や個人事業で採用されることが多い方式です。

仕訳の際は、税込(内税)の金額を売上高・仕入高とします。消費税額については、原則、個々の取引での記載は不要です。

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税抜経理方式について

税金

続いて、税抜経理方式について、詳しい情報をご紹介します。メリットやデメリット、仕訳の具体例を確認しておきましょう。

税抜経理方式のメリット

税抜経理方式のメリットは、期中でも納付すべき消費税額を把握しやすいことです。中規模以上の企業で採用されることが多いのは、取引が多くても、消費税を支払った後の利益を正確に把握しやすいためと考えられます。

また、減価償却資産の計上において有利になることもあります。一括償却資産・少額減価償却資産などの特例に関する取得価額の条件は、税抜経理方式であれば本体価格のみを取得価額として判断できます。つまり、税込の取得価額で判断する場合よりも、多額の資産に特例を適用できる可能性があるということです。

税抜経理方式のデメリット

税抜経理方式は、経理の処理に手間や時間がかかってしまいます。特に紙の帳簿やエクセルなどを使い、手作業で記帳している場合、消費税を分けて記帳する手間は大きな負担となるでしょう。

会計システムでは、本体価格の仕訳を行えば自動的に消費税が記帳されるものも多く見られます。税抜経理方式を採用する場合は、消費税の記帳が自動で行われる会計システムを導入すると良いでしょう。

また、取得価額に応じて控除が行われる特別償却や税額控除の制度においては、不利になることもあります。メリットでご紹介した減価償却資産と同じく、税抜経理方式においては、本体価格のみを取得価額として判断されるためです。税込で判断する場合よりも取得価額が少なくなるため、控除額も減ってしまうケースが考えられます。

税抜経理方式の仕訳例

税抜経理方式の場合にどのような仕訳を行うのか、具体例でチェックしましょう。

  • 【仕入れ】本体価格7,000円、消費税700円の仕入れを現金で行ったケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入高7,000円現金7,700円
仮払消費税700円
  • 【売上げ】本体価格12,000円、消費税1,200円の売上げを掛けで行ったケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売掛金13,200円売上高12,000円
仮受消費税1,200円
  • 【決算時】仮払消費税の合計が10万円、仮受消費税の合計が15万円のケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仮受消費税150,000円仮払消費税100,000円
未払消費税50,000円

決算時には、仮払と仮受の消費税を相殺します。仮受消費税のほうが多かった場合は、上記のように仕訳を行いましょう。仮払消費税のほうが多かった場合は、借方に未収消費税として差額を計上します。

  • 【納付時】未払消費税50,000円を現金で納付したケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
未払消費税50,000円現金50,000円
  • 【還付時】未収消費税50,000円が還付され、普通預金口座に入金されたケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
普通預金50,000円未収消費税50,000円

納付時や還付時の仕訳には、摘要欄に「未払消費税の納付」「未収消費税の還付」などの記載を行うと、より分かりやすくなります。

税込経理方式について

節税対策イメージ

もうひとつの方式である税込経理方式についても、詳細を確認しましょう。メリット・デメリット・仕訳の具体例をご紹介します。

税込経理方式のメリット

税込経理方式の最大のメリットであると言えるのが、会計処理のシンプルさです。取引の度に消費税の計上を行う必要がないため、税抜経理方式と比べて手間を軽減できます。

特に小規模な事業や個人事業などでは、経理に割ける人員や費用が少ないため、税込経理方式を採用する傾向が見られます。

また、税抜経理方式とは反対に、取得価額に応じて控除が行われる特別償却や税額控除の制度においては有利なケースもあります。税込価格を取得価額として扱える税込経理方式であれば、控除額が大きくなるためです。

税込経理方式のデメリット

税込経理方式におけるデメリットとしては、決算を行うまで正確な利益を把握できない点が挙げられます。売上高や仕入高が確定しなければ、消費税の計算を正確に行えないため、利益の計算を正しく行うのは困難です。

また、減価償却資産の計上において不利な点もあります。一括償却資産や少額減価償却資産などの特例は、税抜経理方式の場合と比較して該当する資産が少なくなるでしょう。

税込経理方式の仕訳例

税込経理方式の場合、どのような仕訳を行うのでしょうか。具体例をご紹介します。

  • 【仕入れ】本体価格7,000円、消費税700円の仕入れを現金で行ったケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
仕入高7,700円現金7,700円
  • 【売上げ】本体価格12,000円、消費税1,200円の売上げを掛けで行ったケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
売掛金13,200円売上高13,200円
  • 【決算時】仕入れにかかる消費税の合計が10万円、売上げにかかる消費税の合計が15万円のケース
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
租税公課50,000円未払消費税50,000円

決算時には、年間の仕入高と売上高からそれぞれ消費税額を計算し、差額を算出します。売上げにかかる消費税額のほうが多い場合、仕訳は上記の通りです。仕入れにかかる消費税額のほうが多い場合、借方は「未収消費税」、貸方は「雑収入」として仕訳をしましょう。

なお、納付時・還付時の仕訳は、税抜経理方式の場合と同じです。

参考:「No.6375 税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」国税庁

内税・外税が混在する場合の仕訳の注意点

ここまで、内税・外税に関する基礎知識をご紹介しました。では、仕入れや売上げに内税のものと外税のものが混在する場合、仕訳はどのように行えばよいのでしょうか。注意点などを解説します。

1枚の請求書内で内税・外税が混在する場合

インボイス(適格請求書)の発行にあたっては、「税率ごとに区分した消費税額等を算出する際、1円未満の端数処理は消費税率ごとに1回のみ」というルールがあります。内税と外税が混在していると、それぞれに端数処理を行うことになり、インボイスの要件を満たせません。

インボイスの要件を満たしていない場合、仕入税額控除の対象とならないこともあります。インボイス制度に登録している取引先から、内税・外税が混在する請求書を受け取った場合、そのまま仕訳を行わず、要件を満たすインボイスを発行しなおしてもらうのがおすすめです。

内税・外税を統一できない事情がある場合は、内税の品目と外税の品目を別々の請求書とするのが良いでしょう。なお、内税・外税を統一する必要があるのは税率ごとの合計額であって、明細部分は混在していても問題ありません。

では、内税・外税が混在した請求書を発行した取引先が、免税事業者である場合はどうでしょうか。免税事業者は、請求書に税率ごとの消費税額などを記載する義務はなく、仕入税額控除の対象でもありません。

仕入税額控除の対象でない場合、税抜経理方式であっても「仮払消費税」は発生しません。また、決算時の消費税の算出にも関与しないため、特に消費税の処理は必要ないと言えます。

なお、免税事業者からの仕入れに関しては、2026年9月30日までは一定割合を仕入税額控除の対象とできる経過措置があります。経過措置を利用する場合は、仕訳のしかたも変わります。詳しくは、下記の関連記事をご覧ください。

顧客・仕入先によって異なる場合

顧客や仕入先によって、内税・外税のどちらに統一しているかが異なるケースも多く見られます。請求書ごとの内税・外税が異なっていても、自社で採用している方式に従い、税込・税抜のどちらかで記帳しましょう。

インボイスの要件を満たす請求書であれば、内税・外税のどちらでも、必ず消費税額が記載されています。記載されている総額または本体価格と消費税額を参照し、必要な金額を計算して仕訳を行ってください。

参考:「税抜価額と税込価額が混在する場合」国税庁

内税・外税が混在する場合の仕訳に関する疑問は税理士への相談もおすすめ

インボイス制度導入に伴い、消費税の扱い方はより複雑になった部分もあります。特に、内税・外税が混在する請求書には注意が必要です。前提知識である税抜経理方式・税込経理方式についての情報も踏まえて、どう仕訳すべきか、慎重に判断しましょう。

内税・外税が混在する場合の仕訳についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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