個人事業主やフリーランスにとって、国民健康保険料の負担は問題です。個人事業主やフリーランスは、国民健康保険への加入で医療を安心して利用できます。しかし、保険料が高額な場合、保険料の支払いに困る可能性もあるのではないでしょうか。この記事では、国民健康保険の概要や仕組み、国民健康保険料を安くする方法などについて、詳しく解説します。
目次
国民健康保険の基本と仕組み
国民健康保険（国保）は、社会保険をはじめとした他の医療保険に加入していないすべての人が対象の制度です。国民健康保険料は、毎年4月から翌年3月までの1年分を、6月から翌年3月の間に支払います。
国民健康保険への加入条件
国民健康保険（国保）に加入するためには、社会保険など他の医療制度に加入していないことが条件です。国民健康保険の加入者の対象として、フリーランスや個人事業主、自営業や無職の方、年金受給者などが挙げられます。また、結婚や離婚、転職など生活環境の変化があった際も、国民健康保険への加入が必要な場合があるでしょう。国民健康保険への加入や脱退は、14日以内にお住まいの市町村の窓口で手続きしてください。保険の加入前に自身の状況をしっかりと見直し、適切な保険を選択する必要があります。
国民健康保険料を計算する方法
国民健康保険料（国保）の計算は、加入者の前年の所得や世帯人数を基準に算出されます。主な計算方法は、所得割と均等割です。この章では、国民健康保険料の算出方法や国民健康保険料が市区町村ごとに異なる理由について、詳しく解説します。
国民健康保険料の算出方法
国民健康保険料（国保）は、加入者の前年の所得に応じて算出されます。所得割で算出した金額に均等割で算出した金額を足し、最終的な保険料を決定する流れが一般的です。同じ世帯内で国保に加入している人数が多い場合、一人あたりに課される均等割が増加します。そのため、保険料の負担が増加する可能性があるでしょう。世帯全体の所得状況をしっかり把握するのが重要です。
国民健康保険料は、所得控除や青色申告特別控除を活用すれば調整が可能です。控除を活用すれば、実際に支払う保険料が減少するケースもあります。ただし、保険料の算出方法が複雑化するため、事前に詳細を理解しておくのがおすすめです。
国民健康保険料が市区町村ごとに異なる理由
国民健康保険料は、市区町村ごとに異なります。地域ごとの財政状況や加入者の家族構成などがバラバラであるためです。各市区町村は、独自に国保の保険料を設定する権限を持っています。各市区町村が国保の保険料を設定する際は、地域の予算状況や医療費の負担度に応じた細やかな運用が必要です。その結果、都市部と地方で保険料に差が生じます。
地域ごとに国民健康保険料が違う点を把握しておけば、居住地選びや日常生活の計画にも影響を与えるでしょう。地域ごとの保険料の違いを理解すれば、支払うべき保険料の目安がつきやすく、より安心して生活できるのではないでしょうか。
フリーランスが国民健康保険料を高いと感じる理由
社会保険など他の医療制度に加入していない場合、国民保険料は全額自己負担です。保険料は主に前年の所得を基準に算出されます。つまり、前年に所得が多かった場合、現在の収入が減少していても高額な保険料を支払わなければいけません。この章では、フリーランスが国民健康保険料を高いと感じる理由について、詳しく解説します。
全額自己負担のため
フリーランスは国民健康保険料を全額自己負担する必要があるため、日々の経済的負担に繋がるのではないでしょうか。社会保険に加入している会社員の場合、保険料は会社が一定割合を負担してくれます。一方、フリーランスは、保険料を全額自己負担しなければならず、所得が不安定な方にとっては大きな負担です。
また、フリーランスとしての所得が増えると、保険料も比例して増加します。収益を上げた場合でも、手元に残る資金が減少するでしょう。その結果、生活費や事業投資へ回す資金に制限がかかり、経済的な自由度が低下する可能性があります。フリーランス特有の収入変動を抱える中で、国民健康保険料の負担はさらなるプレッシャーではないでしょうか。
扶養概念がないため
国民健康保険には扶養の概念がありません。フリーランスとして働いている場合、家族全員の保険料を自己負担する必要があります。会社員であれば、一般的に所得の低い家族を扶養に入れれば保険料の軽減が可能です。一方で、フリーランスは家族が多い場合、その分保険料の負担が大きくなるでしょう。
フリーランスが国民健康保険料を安くする方法
フリーランスの方が国民健康保険料を全額自己負担した場合、多大な経済的負担をもたらします。金銭的負担を避けるために、国民健康保険料を安くする方法について事前に知っておくのは必須です。この章では、フリーランスが国民健康保険料を安くする具体的な方法について、詳しく解説します。
免除・減免制度を活用する
免除・減免制度は、フリーランスにとって知っておくべき情報です。前年の所得が基準を下回る場合、国民健康保険料を減額または免除できます。特に、収入が不安定な時期や災害や火災などによる予期せぬ支出の発生があった年には、制度の活用がおすすめです。経済的な負担を軽減し、安心して生活を維持できるでしょう。
免除・減免制度の申込手続きは、市区町村の窓口で行います。手続きの際は、所定の書類の提出が必要です。自身の経済状況や収入に応じて、免除・減免制度を積極的に活用すれば、国民健康保険料を安くできます。フリーランスで収入が不安定な方も、安心して業務に専念できるのではないでしょうか。
青色申告特別控除を適用する
青色申告特別控除は、フリーランスにとって国民健康保険料を安くする方法です。控除を受けるためには、青色申告を行う必要があります。青色申告の際には、帳簿への記入が必須です。青色申告特別控除を活用すれば、最大65万円の控除を受けられます。フリーランスへ経済的メリットをもたらすのではないでしょうか。
世帯合併や世帯分離を検討する
世帯合併や世帯分離は、国民健康保険料を安くするための有効な手段です。世帯合併を行えば、保険料が一括して算出され、世帯全体の保険料の負担を軽減できます。ただし、世帯内の人数が増えると均等割の影響がある点は注意が必要です。
一方、世帯分離は、フリーランスをはじめとした所得に変動がある方やパートやフリーターなど所得が低い方に適しています。また、高所得者と低所得者が同じ世帯にいる場合、世帯分離を行えば、それぞれの所得に基づいた適切な保険料の算出が可能です。結果的に国民健康保険の支払い額を抑えられるでしょう。
家族の扶養に入る
国民健康保険料を安くしたいフリーランスの方は、家族の扶養に入るといった選択肢があります。会社員の配偶者がいる場合、扶養に入れば保険料は0円です。ただし、扶養に入るためには、収入が一定基準以下である必要があります。国民健康保険料を支払う必要がなくなるため、収入が低いフリーランスにとっては有効な手段でしょう。
また、家族の扶養に入れば、年金の支払いも不要です。生活全般において経済的なメリットを得られるでしょう。自身や家族の収入状況や生活環境を考慮し、最適な選択を行ってください。
国民健康保険組合に加入する
国民健康保険組合への加入は、フリーランスをはじめとする特定の職業の方々にとって、保険料を抑える有効な手段です。国民健康保険組合は独自の保険料体系を採用しており、一般的な市町村運営の国保（国民健康保険）とは異なります。特定の業種や職業に特化した保険料やサービスが提供されているのが国民健康保険組合の特徴です。
法人化による保険料削減を検討する
法人化は、フリーランスが国民健康保険料を安くする有効な手段です。法人を設立し給与制度を構築すれば、国民健康保険から社会保険へ切り替えられます。社会保険は会社が保険料の半分を負担するため、個人負担額を削減できるでしょう。
国民健康保険料を支払わない場合のリスク
国民健康保険料を支払わないと、さまざまなリスクが生じます。フリーランスをはじめとした収入が安定しない働き方をしている場合、予期せぬリスクは経済的な打撃が大きいのではないでしょうか。この章では、国民健康保険料を支払わない場合に生じる具体的なリスクについて、詳しく解説します。
医療費負担が増加する
国民健康保険料を支払わないリスクとして、医療費負担の大幅な増加が挙げられます。フリーランスは、自分自身の責任で国民健康保険をはじめとした医療保険に加入する必要があります。病院での治療費や薬代は、保険に加入していれば一定の割合で軽減が可能です。しかし、保険に未加入の場合、医療費を全額自己負担しなければいけません。急病や事故などの予測できない事態が起きた際には、一度に多額の金額を支払う可能性があります。
高額療養費制度が使えなくなる
国民健康保険料を支払わないリスクの二つ目は、高額療養費制度が利用できない点が挙げられます。高額療養費制度とは、医療費が一定額を超えた場合に、超過分を軽減してもらえる仕組みです。国民健康保険に加入していれば、医療費の負担が大きい際にサポートを受けることができます。
高額療養費制度が利用できない場合、重篤な病気や緊急の医療が必要な際に、多大な経済的打撃を受けてしまいます。フリーランスは収入が一定でない場合が多いため、万が一の医療費の負担に備えて、国民健康保険に加入するのをおすすめします。
財産を差し押さえられる恐れがある
国民健康保険料を支払わないと、財産を差し押さえられる可能性があります。保険料の滞納が続けば、最終的には行政からの差し押さえが行われるケースがあるでしょう。差し押さえは、未払いの保険料を回収するための最終的な手段として、法律で規定されています。差し押さえを防ぐためにも、国民健康保険料は期限内に必ず納めてください。
まとめ
国民健康保険料は、フリーランスや個人事業主にとって重要な課題です。国民健康保険料を安くする方法を知っておけば、負担を最小限に抑えられ、生活の安定に繋がるのではないでしょうか。国民健康保険料についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。
