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個人事業主が複数事業を営む場合の確定申告のやり方とポイント

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個人事業主が複数事業を営む場合の確定申告のやり方とポイント

個人事業主として複数事業を営んでいた場合、確定申告の手続きはどのように進めたらよいのでしょうか?個人事業主も、法人のように複数事業を営むことが可能です。しかし、単一事業とは状況が異なることから、確定申告の手続きにおいて不明な点が出てくるかもしれません。この記事では、複数事業を営んでいる個人事業主が確定申告を行うときのポイントや注意点について解説します。

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個人事業主は複数事業を営める

複数事業とお金

個人事業主が複数事業を営むことは可能であり、実際に複数の事業を抱えている人もいます。ここでは、個人事業主が複数事業を営む事例や屋号について説明します。

複数の事業を営んでいる事例

似通った複数の事業、異なる分野の事業など、複数事業の例は多様です。

  • ライターと動画編集代行
  • イラスト作成と人材コンサルティング
  • 写真撮影とライター
  • 美容室経営と賃貸収入

上記はあくまで一例で、事業の組み合わせ事例はさまざまです。専門分野を活かした事業を複数展開したり、安定した収入が得られる事業と趣味の事業と組み合わせたりできます。

複数の事業を営むことで、スキルアップや安定した収入につながるといったメリットが期待できます。一方で、個々の事業運営が中途半端になる恐れがある、事業と資金の計画と管理が煩雑になりやすいことに注意が必要です。

共同経営も選択可能

単独で事業を行うだけでなく、複数人での共同経営も可能です。共同経営の事例を以下に紹介します。

  • 個人事業主が複数人集まって一つの事業を運営
  • 代表(個人事業主)と下請けによる運営

共同経営には複数のパターンがあるため、事業内容や規模などに応じて適切な経営方法を考えることが大切です。また、複数で事業を運営する場合、事業運営者の間で意見の相違などが出てくることもあり得ます。

円滑な事業運営のためにも、経営のやり方や収入の分配など、トラブルの原因になりそうな事項について、事前に取り決めをしておくことが大切です。

事業ごとに異なる屋号を持つことが可能

個人事業主が事業を行ううえで使用する屋号は、事業の数に応じて複数持てます。屋号は、法人の会社名に該当するものですが、個人事業主の場合は屋号の届け出自体が義務ではなく、後日届け出や変更も可能です。

例えば、○○デザイン事務所、カフェ〇〇など、事業と関連する用語を入れることで事業内容が分かりやすくなること、金融機関で屋号名義の口座を作成できるといったメリットがあります。

開業当初から複数の事業を行う場合は、開業届に事業内容と屋号をまとめて記入します。開業届提出後に新たな事業を開始するときは、屋号の追加登録として新しい事業の内容と屋号を登録するのです。また、1つの屋号でいくつかの事業を展開することも可能です。

屋号の届け出は、税務署の窓口で行う、もしくは国税庁のホームページから届出書をダウンロードし、必要事項を記入して提出します。

参考:国税庁 A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

複数事業でも確定申告は1つにまとめてOK

複数の事業を営んでいても、事業ごとに確定申告書を作成する必要はありません。それは、複数の事業を抱えていても、あくまで納税者である個人事業主は一人だからです。

確定申告では、事業の数よりも誰が所得を得たのかを重視されるため、複数の事業から個人事業主が得た収入をまとめて確定申告できます。

所得の種類

個人事業主が複数の事業で収入を得ている場合、所得の種類に応じて確定申告のやり方が変わってきます。そこで、まずは個人事業主が得る主な所得の種類について押さえておきましょう。

事業所得

事業経営から得た収入が該当し、例えば、農業、漁業、サービス業など、業務内容は多岐にわたっています。

給与所得

パートやアルバイトとして雇用主と契約を結び、受け取った収入は給与所得に該当します。例えば、飲食店での接客や調理、塾講師、スーパーのレジ打ちなど、パートやアルバイト業務は多岐にわたります。

不動産所得

不動産を通じて得た収入は、不動産所得に該当します。例えば、土地や賃貸物件を貸し出すことで得られる賃貸収入、賃貸物件契約時の敷金、礼金、補償金(返済義務がないもの)などで得た収入です。

雑所得

継続的に得た収入ではなく、一時的な収入が該当します。例えば、以下の収入が雑所得になります。

  • ネットオークション
  • フリマアプリ
  • 原稿料
  • 講演料
  • アフィリエイト
  • アドセンス
  • FX
  • 仮想通貨

雑所得にはさまざまな種類があります。しかし、以下の収入は事業所得扱いとなるでしょう。

  • ライターとして収入を得ている人の原稿料
  • 事業としてネットショップを運営
  • 販売頻度が高いフリマアプリによる収入

また、収入を得た当初は雑所得として申告していても、次第に安定した収入を得ることもあるでしょう。その際は、雑所得ではなく事業所得として申告することがあります。

譲渡所得

株式や土地、建物などを売買したときに得られる利益は、譲渡所得に該当します。例えば、不動産業を営んでおり、保有資産を売却して収入を得た場合は、譲渡所得として申告が必要です。

配当所得

投資を行っており、その運用で得た利益は配当所得に該当します。また、保有している株式や投資信託を売却した場合は、譲渡所得となるため、正しい所得の種類で申告することが大切です。

総合課税と分離課税

課税所得と税金の計算

所得に対する課税は、分離課税と総合課税に大別できます。総合課税とは所得の種類が異なっても、所得を一つにまとめて課税所得にします。一方で、他の種類の所得とは合算せずに、単独で課税所得を算出し、税額を計算するのが分離課税です。

総合課税の所得が多いのですが、内容によっては分離課税となることがあります。また、分離課税は、源泉徴収されるものは自分で申告する必要はありませんが、源泉徴収されない場合は、自身で申告が必要です。

誤った申告をしないためにも、自身の所得と課税の種類と申告の必要性について調べ、正しい申告に努めましょう。

参考:国税庁 No.2230 源泉分離課税制度 

参考:国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)

複数事業を営むときの確定申告のやり方

原則、複数事業を営んでいても確定申告書は一部のみ作成すれば問題ありません。しかし、場合によっては複数の決算書を作成します。ここでは、複数事業を営んでいる個人事業主が確定申告をするやり方について、ケース別に紹介します。

所得の種類が同一の場合

複数事業の所得の種類が同一の場合、申告書を一部にまとめて提出できます。例えば、フリーランスのWEBデザイナーが、ライター業務も行っている、SNS運用代行業務と業務委託契約による事務業務など、複数の事業所得を得ているケースが該当します。

所得の種類が同一であれば、複数事業の収入を合算しても問題ありません。しかし、事業ごとにかかる経費や経営状況を把握するためには、帳簿は別々で作成するのが望ましいでしょう。

所得の種類が異なる場合

所得の種類が異なる複数の事業で収入を得ている場合、所得の種類ごとに決算書などが必要です。例えば、コンサルティング業をやりながら、アパート経営をしている場合、コンサルティング業による収入は事業所得、アパート経営の収入は不動産所得となります。

所得の種類が異なる場合、所得の種類ごとに分けて所得を計算しなくてはいけません。青色申告を行っている場合は青色申告決算書、白色申告では収支内訳書においてそれぞれ適切な書類の作成が必要です。

先ほど例に挙げた、事業所得と不動産所得で収入を得ている場合、書類を分けて作成します。

課税の種類が異なる場合

複数の事業を運営していると、総合課税と分離課税の所得を得ることがあります。課税の種類が異なる場合、種類ごとに資料を作成するだけでなく、税金の計算も別々で行うのが原則です。

例えば、カフェの経営と投資を行っている場合、カフェ経営で得た収入は事業所得で、他の所得と併せて税金を計算する総合課税に該当します。そのため、他に総合課税に該当する収入があれば、収入を合算して課税所得を計算します。

一方で、投資で有価証券を売却して収入を得た場合、分離課税に該当するため、所定の税率を売却益にのみ掛けて納税額を求めるのです。

個人事業税の課税可否と税率が異なる場合

所得の種類が同一で、所得額を合算できても、個人事業税の課税可否、税率が異なる場合は、事業ごとの所得を把握しておかなくてはいけません。

約70種類の法定業種に対して課税される地方税の一種が、個人事業税です。個人事業税の課税対象となる業種で、課税所得が290万円超のときに納税義務が生じますが、課税所得が290万円以下であれば納税義務はありません。

確定申告書には、同じ所得の種類ごとにまとめて収入額を記載できます。ただし、個人事業税の課税対象となるか否か、税率が異なる場合もあるため、課税対象となる事業ごとに所得を計算しなくてはいけません。

例えば、農業で200万円の収入、事業で350万円の収入を得ていたとします。農業は個人事業税の課税対象外であるため、事業で得た350万円の収入から必要経費を差し引いた課税所得が290万円超だった場合、個人事業税が発生します。

参考:東京都主税局 個人事業税

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複数事業を営む個人事業主が確定申告を円滑に進めるためのポイント

課税のイメージ

複数の事業を行っている場合、所得の種類ごとに収入を記載しなくてはいけません。状況によっては、手続きが煩雑となり、申告ミスも起こることがあります。そこで、スムーズかつ正確に確定申告を進めるためのポイントについて紹介します。

会計ソフトを導入する

事業ごとに正しく記帳、税務処理をするためには、会計ソフトの導入が効果的です。会計ソフトの活用により、事業ごとの収入と経費が明確になり、正確な納税の実現と資金繰りの管理がしやすくなるからです。

会計ソフトの種類も多様にあるため、複数事業の会計管理機能が付いている会計ソフトの中から、費用や使い勝手などを考慮し適切なものを選びましょう。

また、多くの会計ソフトは、確定申告書の作成機能を備えているため、申告書の作成業務の負担も軽くなります。

事業ごとに口座やクレジットカードを使い分ける

事業ごとの収入と経費を明確に区別するためにも、それぞれ専用の銀行口座やクレジットカードを持ち、使い分けることをおすすめします。

銀行口座を一つにまとめてしまうと、事業ごとに収入と支出を分別する作業が発生して手間が増えるだけでなく、記帳ミスも起こりやすくなるからです。

また、会計ソフトには、銀行口座やクレジットカードの取引明細と同期し、自動的に記帳してくれる機能を備えたものがあります。口座やクレジットカードを使い分け、会計ソフトと連動させることで、記帳の手間を省くだけでなく、記帳ミスも減らせます。

税理士のサポートを受ける

複数の事業を営んでいる場合、記帳や確定申告手続きが煩雑になりやすいため、税の専門家である税理士のサポートや助言があると心強いです。

複数の事業を展開していると、事業の運営に時間を取られ、経理業務が疎かになりがちです。しかし、正しい記帳を基に確定申告書を作成するため、記帳の誤りが申告ミスの原因になり得ます。

そこで、日頃から税理士のサポートを受けることで、正しい記帳と納税を実現できます。また、税理士は、効果的な節税対策の相談にも乗ってくれるため、自由に使える資金を増やすのにも有効です。

さらに、税務調査が入ったときも、代わりに税理士が対応してくれ、不利益を被らないように努めてくれます。

まとめ | 複数事業を営む個人事業主は正しい確定申告を

複数の事業を営んでいる個人事業主は、一つの確定申告書で手続きが可能です。しかし、所得の種類ごとに分けて決算書や資料などを作成することがあります。状況によっては、申告手続きが煩雑となり、正しい手続きが困難となるかもしれません。自身での確定申告に不安があるなら、税理士のサポートを受けましょう。

複数事業を営んでいる個人事業主の確定申告に関する相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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