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税務調査における裏取りとは?目的から対策まで徹底解説

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税務調査における裏取りとは?目的から対策まで徹底解説

税務調査では、調査官が裏取りを行ったうえで、申告内容の正確性を詳しくチェックすることがあります。帳簿や領収書の整合性だけでなく、取引先への問い合わせ(反面調査)、さらには銀行口座の確認など、さまざまな手法で税務の正確性を調べます。この記事では、裏取りが行われるケース、実際にどのような調査を行うのか、裏取りされないようにするための対策などについて詳しく解説します。事前の準備を万全にし、リスクを最小限に抑えましょう。

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税務調査の裏取りとは詳細な調査を行うこと

税務調査では、対象となる企業や個人事業主が正しい記帳や納税を行っているかを確認するために、帳簿はもちろん、複数の関係書類を照らし合わせて精査します。

入念な調査で正確性が確認できない点が見つかったときは、さまざまな手段でさらに詳しく調査するのが裏取りです。

税務調査のときは、調査対象となる法人や個人事業主の帳簿や申告状況が適切であるかを確認します。

調査中に、不審な点が見つかったときは、さらに詳しい調査を行い、申告や帳簿の正確性を調査しなくてはいけません。

例えば、経費についてより詳しく調査が必要なときは、領収書や納品書などと照らし合わせて記帳内容が妥当であるかを入念にチェックします。

裏取りには、税務調査の対象となる法人や個人事業主の帳簿や申告状況をさらに詳しく調査する方法と、取引先や銀行口座を調べるなど、多様な方法があります。

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税務調査で裏取りされやすいポイント

税務調査では、帳簿や申告内容が正確であるかを確認しますが、疑わしい点を中心にチェックします。ここでは、特に、調査官が精査するポイントについて紹介します。

売上の計上時期

納税額を減らすために、売上の計上時期を意図的にずらしていないかを、調査官は細かくチェックします。特に、期をまたぐ売上の計上ずれは、納税額に影響を及ぼすため、誤りや漏れがないかを注意深く確認することがあります。

請求書、納品書の日付や金額を照合し、売上の計上時期にずれがないかを慎重に調べていくことが多いです。

もし、計上時期にずれが見つかった場合、修正申告で対応するため、トータルの納税額にそれほど影響はないかもしれません。しかし、正しく申告していれば支払う必要がないペナルティが、加算される可能性が高いでしょう。

在庫の計上漏れ

棚卸資産である在庫の数と、帳簿の仕入れを照合し、意図的に在庫の数を減らしていないかを念入りに確認します。

在庫の計上漏れは、脱税で使われることが多い手口だからです。特に、決算の間際は、仕入れ商品の計上漏れや、計上時期のずれが発生しやすいことから、注意深くチェックされます。

計上漏れが見つかったときも、修正申告をすることで、総額で支払う納税額はそれほど変わらないかもしれません。しかし、ペナルティが課されると、税負担が増えることに注意が必要です。

帳簿外の収入の有無

本来、業務で得た収入は適切に計上しなくてはいけないため、計上漏れの収入がないかを調査します。

特に多いのが現金での取引です。帳簿に記帳しなければ、バレないと思われがちですが、裏取り調査でバレる可能性は十分にあり得ます。

例えば、お店の場合は予約状況などを確認することで、売上額との整合性を確認できます。また、取引先を調査することで、売上漏れが発覚することもあるのです。

他にも、社員や役員の個人口座を調べて不審な入金を調べるなど、さまざまな方法で不正の手口を見つけるでしょう。

外注費の実態

外注費がある場合、請求書と領収書を確認してその実態を詳しく調査します。外注費は、不正が多い支出の一つだからです。

勤務実態のない人に対して外注費を支払う架空計上だけでなく、仕入税額控除を受けるため、もしくは社会保険料の支払いを避けるために、外注費を計上しているケースもあります。

外注費の支払い先の勤務実態について精査することで、外注費ではなく給与として扱うように指摘を受けることもあるかもしれません。

外注費で計上していた経費が給与と認定された場合、源泉所得税や消費税、社会保険料などの負担、さらには追徴課税が生じます。

家族や親族に対する給与や報酬額

親族や家族に対して支払っている給与や役員報酬が適正であるかは、重点的に確認される項目の一つです。

家族や親族への給与や役員報酬が、出社日数や労働時間などの勤務状況に見合っていない場合、税務調査で指摘を受ける可能性が高いでしょう。

税務調査における領収書の裏取り

法人や個人事業主に税務調査が入った際に、経費の妥当性を調べるために、領収書の裏取りが行われることがあります。ここでは、税務調査で領収書の裏取りが行われるケースについて解説します。

領収書の裏取りとは

領収書の裏取りとは、税務調査時に不審な経費が見つかったときに、さまざまな面から経費としての妥当性を確認することです。

帳簿上の経費は、記帳の基になる領収書と整合性が取れているはずです。そこで、疑わしい経費が見つかったときは、領収書や納品書などの関連書類との内容を照合し、業務への必要性を判断します。さらに、支出の内容に合わせて妥当な勘定科目を使っているかをチェックします。

例えば、本来は交際費として計上するべき経費を、会議費として計上していた場合などは裏取りで詳しく調査します。交際費は一定額までしか損金算入が認められていませんが、会議費は、全額損金算入が可能で、節税効果が高いからです。

会議費として計上するために、領収書を偽造するなど、疑わしい点が見つかったときは、利用したお店などに確認を取り、利用状況を確認することもあります。

領収書の裏取りが行われるケース

領収書を重点的にチェックされるのは、疑わしい点や不明点があるからです。主に、下記の理由で領収書の裏取りを行う可能性が高いです。

  • 交際費の金額が多い
  • 税務調査に協力的ではない
  • 必要書類の不備
  • 業務への必要性が感じられない
  • 架空取引の疑いがある
  • 業務への関連性が低い経費がある

上記のような不審点が見つかった場合、領収書と帳簿の整合性や、妥当な経費であるのかなど、重点的に確認するでしょう。領収書に疑わしい点があっても、調査官を納得させる説明ができれば、経費として認められるはずです。

領収書の裏取りで重点的にチェックするポイント

疑わしい領収書が見つかったときに、裏取りで重点的にチェックするポイントがいくつかあります。ここでは、領収書の裏取りで、特に重視されるポイントについて説明します。

業務との関連性

領収書の裏どりでは、業務に必要な出費であるかを確認されます。経費として計上できるのは、業務上必要な出費です。例えば、プライベートの飲食代や旅費などが含まれていた場合、経費には計上できません。

特に、個人事業主はプライベートの出費を経費として計上しているケースが多いことから、業務との関連性を細かく調べられることが多いです。

また、金額が大きい領収書についても、そもそも何を購入したのか、業務への必要性について入念に調べられるでしょう。

数字の不正

領収書の額の不正がないかを調べます。領収書は手書きのため、数字を書き足したり、書き換えたりして、改ざんするケースがあるからです。

しかし、インクの色や筆圧、筆跡の違いなどから、領収書の不正がバレる可能性は高いでしょう。数字の改ざんが疑われたときは、領収書全般はもちろん、帳簿全体を徹底的にチェックされるでしょう。

経費の架空計上

白紙の領収書を発行してもらい、自分で宛名や金額を書いて経費計上した架空計上の疑いがある領収書は、徹底してチェックされます。

経費を水増しして、課税所得を減らし納税額を少なくすることは違法行為だからです。

例えば、会議費や交際費の名目で計上していた領収書が、自分で宛名や金額を書いたと疑われた場合、領収書を発行したお店などに聞き取りをすることがあります。

裏取り調査では、さまざまな面から事実を確認して経費の実態を詳しく調べるため、架空計上が発覚する可能性は高いと言えるでしょう。

お品代の内容

領収書の但し書きの「お品代」が多いと、その内容について詳しく調査されることが多いです。

経費として計上するためには、業務との関連性が求められます。しかし、お品代だけでは、何に使ったのかが明確ではないため、使途を細かく調査されるはずです。使途を明確に証明できない場合、経費として認めてもらえないでしょう。

税務調査対象者の取引先に対する裏取り(反面調査)

税務調査を行った法人や個人事業主に疑わしい点が見つかったときは、対象者に対する裏取りだけでなく、取引先や利用したお店などにまで調査が及ぶこともあります。ここでは、税務調査対象者の取引先に対する裏取りについて、詳しく紹介します。

取引先を調査し税務の正確性を確認

法人や個人事業主に税務調査を行った際、調査対象者の疑わしい点が調査で解消されなかった場合は取引先を調査することがあります。

調査対象者ではなく、取引先に対する裏取りは、反面調査とも呼ばれます。取引先の帳簿や申告状況まで調べることによって、税務調査対象者の帳簿や申告に誤り、漏れがないかを確認するのです。

裏取りは、取引先の企業や個人事業主に対して、電話、メールで問い合わせをする、もしくは調査官が直接出向いて、調査をするのが一般的です。

取引先への裏取りが行われるケース

税務調査では、以下のような状況で、裏取り調査を実施されるケースが多いようです。

  • 税務調査に非協力的である
  • 調査官からの質問に対する適切な回答が得られない
  • 帳簿や帳票書類に不備や不足がある
  • 架空取引の疑いがある

上記のように、税務調査で調査対象者の税務における妥当性を確認できない場合は、裏取りを実施する可能性が高いです。税務調査の対象者の帳簿や申告状況を確認し、正確性を確認できれば、裏取り調査は行われません。

取引先への裏取り(反面調査)で注意しておきたいポイント

消費税 仕組み

裏取りは、調査対象者に疑わしい点、不審な点が見つかったときに実施される可能性が高いです。一般的な税務調査とは異なり、注意しておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、裏取り(反面調査)の注意点について詳しく説明します。

事前連絡なしで裏取りを行う

取引先に対して裏取りが行われる場合、税務調査対象者はもちろん、取引先の企業や個人事業主への事前連絡はありません。状況によっては、税務署から事前連絡を受けることもありますが、連絡がないケースがほとんどです。

一般的に、個人事業主や法人に税務調査が入る場合、管轄の税務署が事前に調査対象者に連絡をします。

事前に連絡をすると、取引先が重要な証拠を隠ぺい、破棄することがあり得るため、突然取引先に訪問して調査を行います。

税務調査官から予期せぬ調査を依頼された取引先は、業務を中断して調査官に対応しなくてはいけません。

取引先の業務に支障が出ることから、税務調査の対象となっている法人や個人事業主に対して悪い印象を抱き、今後の取引にも支障が出る恐れがあります。

また、取引先に税務調査が入り、疑わしい点が見つかったときは、逆に裏取りとして税務署から突然の調査を受けることもあるでしょう。

一般的な税務調査よりも調査が長引く

税務調査対象者に対するさらなる詳しい調査の実施、取引先にも調査が入った場合、一般的な税務調査よりも調査期間が長引くことが多いです。

一部の取引先の調査に入り、疑わしい点や不明点が解消されなかった場合、他の取引先に対しても裏取りを行う可能性が高いです。

このように、税務調査官は、不明点や疑わしい点が解消されるまで、徹底して裏取りをするでしょう。

そのため、裏取りをするような疑わしい点が見つかったときは、本来はそれほど時間のかからない税務調査でも、調査期間が長引きます。

裏取りの事実が記録に残る

裏取り調査が実施されたときは、その事実が記録に残ります。

裏取りをして不審な点が解消されたとしても、帳簿や申告内容の正確性を疑念があったため、裏取りが行われたのです。

税務調査を行う法人や個人事業主を決めるときに、過去に裏取りをしたという事実が調査対象となる可能性を高めます。

さらに、税務調査が入ったときに、他の調査対象者と比較して、より入念に帳簿や申告状況を確認されることになるでしょう。

このように、裏取りが実施されることは、取引先に負担をかけるだけでなく、今後の税務調査にも影響を及ぼします。

税務調査が入っても、帳簿や申告について疑わしい点を指摘されないように、正確な記帳や納税を心がけることが大切です。

税務調査で裏取りされないための対策

税務調査で何かしら疑わしい点が見つかったときに、税務署はさまざまな方法で裏取りを行います。税務調査が長引いたり、ペナルティを受けるリスクが高まることから、裏取りされないようにしましょう。

税務調査に協力する

税務調査を受けたときは、調査官からの質問や依頼に対して真摯に対応し、調査に協力することが大切です。

税務調査に対して非協力的な対応をした場合、やましい点があると疑われ、裏取りをされるリスクを高めてしまうからです。

不要な疑惑につながらないよう、税務調査には誠実に対応してください。

正しい記帳や税務を徹底する

日々の記帳や税務について、疑わしい点やミス、漏れがなければ、裏取りの必要がありません。

日頃から正しい記帳と納税を徹底していれば、税務調査が入ったときも、調査官から指摘を受ける可能性は低いはずです。

税務の専門家である税理士のアドバイスやサポートを定期的に受けておくと、正しい記帳や税務を実現できるでしょう。

帳簿や関連書類を保管しておく

税務調査で調べる帳簿類を適切に保管しておきましょう。帳簿類に不備や漏れがあると、裏取りの可能性が高まるからです。税法で7年の保存が義務付けられている書類は、以下の通りです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 契約書
  • 注文書
  • 領収書
  • 請求書
  • 通帳
  • 棚卸表

領収書やレシートは、経費の基になるため、時系列でまとめるなどして必要な書類をすぐに取り出せるように、整理して保管しておくことです。

また、電子帳簿保存法の施行に伴い、所定の要件を満たせば電子データとしての保存が可能になりました。

税務調査が入ったときに、調査官は一つひとつの領収書を細かくチェックするとは限りません。場合によっては売上関連の書類を念入りに確認することもあるでしょう。

税務調査官がどの書類を念入りにチェックするかは、調査が始まらないと分からないことが多いです。調査対象書類については、どこをチェックされても不明点や疑わしい点が見つからないように、適切に記帳し保管しておくと安心です。

参考:国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間

税務調査の対策を考える

税務調査が入るときは、事前に税務署から連絡があるため、税務調査対策を考えておくことです。

税務調査では、重点的に調べられるポイントや、よくある質問があります。税務調査時に調査官からの質問に適切に答えることで、調査官を納得させ、罰則を受けるリスクを減らせます。

税務調査の立ち会い経験が豊富な税理士に相談することで、適切な対策やアドバイスをもらえるはずです。

また、税務調査が入ったときも税理士に立ち会いを依頼できるため、安心して本業に集中できます。

まとめ| 税務調査では多様な手法で裏取りを実施!適切な準備と対策で対応しよう

税務調査では、帳簿や申告内容の正確性を確かめるために、さまざまなやり方で裏取りを行います。帳簿と関連書類の整合性や取引先への確認など、多様な面から調査を行います。税務調査だけでなく、裏取りが行われた場合の法人や個人事業主の負担は相当です。日頃から正しい記帳や申告の徹底、適切な書類の管理、専門家との連携でリスクを回避しましょう。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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