資金運用表とは？作り方や活用方法を経営者向けにわかりやすく解説

経営においては、作成した資金計画に則り、実行・統制する資金管理が大切です。資金管理では資金繰り表や資金移動表、資金運用表などを使用し、資金の動きや使用用途を明確に記し、いつでも確認できるようにする必要があります。この記事では、資金管理のなかで使用する資金表のひとつである資金運用表について解説します。それぞれの特徴や違い、記入方法などをまとめているので、今後の会計処理にお役立てください。

資金運用表とは？

資金運用表とは、資金管理に必要となる資金表のひとつです。2期間における貸借対照表の各勘定科目の増減について、資金の調達源泉と運用形態とに分類し、対照表示となるよう作成します。必要となる科目は、固定資金、運転資金、財務資金の3つです。

資金運用表が含まれる三分法とは？

資金運用表や資金繰り表などを作成する際、三分法という言葉がセットになることが多いです。三分法とは資金の動きを以下3つに区分し、各区分で資金調達の動き、使用用途の構成といった2つの面から分析する方法のことです。

• 運転資金
• 長期資金（固定資金）
• 財務資金

資金運用表の基礎知識のひとつとして、2分割法や3分割法といった形式がありますが、こちらは表記に関するものであり、三分法とは別のものです。さらに、商品売買の取引に用いられる記帳方法の三分法ともやや異なるため、混同しないよう注意しましょう。

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資金移動表や資金繰り表との違い

資金運用表のほかにも、資金移動表や資金繰り表などがあります。それぞれの特徴は下表の通りです。

上表を比較すると、資金運用表と資金移動表では非常に似た特徴があるものの、間接的または対照表示といった違いがあります。

また、資金繰り表についても、現金収支の動きや過不足を把握する目的があることから、資金運用表とは大きく異なることが分かるでしょう。

資金運用表の読み方と分析方法

ここからは、資金運用表の読み方と分析方法について解説します。読み方や分析方法を押さえ、今後の会計処理に役立てましょう。

資金運用表の読み方

資金運用表は、2分割法または3分割法で見ます。ここでは、2分割法と3分割法の読み方について解説します。

2分割法の読み方

2分割法の場合は、短期面・長期面の資金の流れと大きさを読み、調達と運用の安定性やその度合いを把握します。

• 資金の流れ：資金が長期資金から短期資金、あるいは短期資金から長期資金のように流れているか
• 資金の大きさ：長期・短期の間で流れた資金の金額

また、2分割法では短期面・長期面の2つに分けて読みます。

資金運用表を読む際は、短期面では運転資金等によって資金そのものが不足するものの、長期面ではその資金を補えていることが理想です。

企業が長期的に所有する資金で短期的に運転資金をまかなう方が、財政状態が安定していると判断できるからです。また、その度合いが大きければ大きいほど、企業の財政面は安定していると考えられます。

一方、3分割法の場合は、資金の調達・運用を短期面・長期面・総合面で分けて読み取ります。

2分割法と3分割法のどちらを選ぶかは、資金運用表を使う目的に応じて合わせることをおすすめします。例えば短期資金と長期資金を重視したい場合は2分割法を、借入金の管理を目的としたいのであれば3分割法が良いでしょう。

資金運用表を経営分析に活用する方法

資金運用表を経営分析に活用するには、資金の流れを基に状況を把握し、経営方針に組み込む必要があります。まずは資金の調達方法や運用先を確認し、それぞれのバランスを評価しましょう。運転資金の変動を分析することで、短期的かつ長期的な財務戦略の見直しに役立ちます。

さらに資金運用表をもとにした業績評価を実施し、資金管理の効率性を測ることで、今後の改善ポイントを明確化することも可能です。データに基づいた意思決定によって企業全体の資金効率を高めることに寄与します。

資金運用表を使用して課題を発見する方法

資金運用表を使い課題を発見するには、過去のデータとの比較を実施しましょう。前期比での変動を検証することで、売掛金の未回収額の変動や、固定資産の取得や処分による資金のへの影響について確認できます。

また、法人税や運営業務に関連するコストの支出状況の確認も全体的な経営課題を把握することに役立ちます。

特に、法人税の負担が経営に大きな影響を及ぼしているときは、現在の影響を緩和するため、適切な資金運用戦略を立てる必要があるでしょう。

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資金運用表について理解を深めよう

資金運用表は、企業の資金の調達と運用を明確に示す財務書類のひとつです。表を通じて一定期間における資金の動きが視覚化され、経営分析等の判断材料として役立ちます。

表を基に継続的な改善に取り組むことで、資金運用の効率性を高めることができるでしょう。

資金運用表の作成・分析についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。