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DX投資促進税制とは?認定要件や利用手順をわかりやすく解説

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DX投資促進税制とは?認定要件や利用手順をわかりやすく解説

2021年6月、経済産業省ではDX推進の一環としてDX投資促進税制を創設しました。同年8月2日から2023年3月31日までの限定措置でしたが、2025年3月31日までと期限の延長が行われています。DX化は現在、多くの企業が取り組む内容です。しかし、社内全体をDX化につなげるためには、設備投資が欠かせません。そのようなときに有効なのがDX投資促進税制です。この記事では、DX投資促進税制の概要と認定要件、利用までのステップについて解説します。

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DX投資促進税制とは

DX投資促進税制とは、DX推進を図る企業の金銭コスト問題に対して、税額控除や特別償却を用いて支援する制度のことです。

政府によるDX推進後、日本では新型コロナウイルス感染症が蔓延します。非対面が多い小売業者の業績は上昇した一方、対面が中心となる飲食業やサービス業などの業績は減少の一途を辿りました。売上が低下したことで導入コストに悩み、DX化に踏み切れない経営者を考慮し、税額控除などを使って導入コストを補助するものがDX投資促進税制です。

同税制の利用に際しては、「デジタル要件(D要件)」と「企業変革要件(X要件)」の双方を満たす必要があります。それぞれを満たした企業に対し、税額控除や特別償却という措置がなされる仕組みです。

対象者・対象設備

DX投資促進税制の対象者および対象設備は下表の通りです。

項目内容

対象者

  • 青色申告書を提出した法人
  • 認定事業適用事業者に該当する法人

対象設備

  • ソフトウェア
  • 繰延資産
  • 有形固定資産

なお、当然ながら対象設備はDX推進を目的としたものに限られます。繰延資産については、クラウド技術を用いシステム移行した際に生じた費用、あるいはDX用に利用するソフトウェアが対象です。

有形固定資産は、取得・製作する機械装置や器具備品が対象で、ソフトウェアや繰延資産との連携が必要です。

控除額・限度額

DX投資促進税制の控除額と限度額は下表の通りです。

控除額限度額

特別償却

30%

  • 情報技術事業適応設備の取得価額および事業適応繰延資産の額の合計額が300億円以下の場合
    • 特別償却限度額=情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額×30%
  • 対象資産合計額が300億円超の場合
    • 特別償却限度額=300億円×{(情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額)/対象資産合計額}×30%

税額控除

3%、5%

  • 対象資産合計額が300億円以下の場合
    • 税額控除限度額(調整前法人税額の2%を上限)=情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額×3%(一定の場合には5%)
  • 対象資産合計額が300億円超の場合
    • 税額控除限度額(調整前法人税額の20%を上限)=300億円×{(情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額)/対象資産合計額}×3%(一定の場合には5%)

参考:No.5924 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制(情報技術事業適応設備を取得した場合等の特別償却又は税額控除)|国税庁

同税制を利用する際、税額控除または特別償却のどちらかを選ぶことができます。どちらの措置も、受けられる期間は2年です。

法人による税額控除は、法人税を計算する際、課税所得金額に適した税率を掛けた法人税額から直接控除する金額を指します。特別償却の場合は、普通償却限度額のほかに損金計上できる金額です。

限度額の詳細については国税庁ホームページよりご確認ください。

確定申告について

DX投資促進税制による税額控除や特別償却を受けるには、確定申告をはじめとした手続きが必要です。

例えば税額控除を受けたい場合、確定申告書に税額控除を受ける金額を明記し、金額に関わる明細書等を添付して申告しなければなりません。特別償却の場合も同様の方法で申告する必要があります。詳細については、国税庁ホームページよりご確認ください。

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DX投資促進税制の認定要件

ここからは、DX投資促進税制の認定要件について解説します。デジタル要件(D要件)と企業変革要件(X要件)それぞれの概要を押さえ、自社に沿う方を利用しましょう。

デジタル要件(D要件)

デジタル要件(D要件)の認定要件は下表の通りです。

要件概要

データ連携

他社データ、当事者となる企業データについて、センサー等を使用して既存データと連携させる

クラウド技術の利用

社内ベンダーが提供するクラウドサービス、自社開発したクラウド環境などを活用する

DX認定の取得

情報処理推進機構(IPA)による審査を通過する
(実際の制度設計は経済産業省によるもの)

参考:DX投資促進税制 (METI/経済産業省)

D要件は、改正前と大きな違いがありません。ただ、情報処理推進機構が審査を実施するDX認定を取得するため、「デジタル人材の育成・確保」が新たに追加されている点に注意しましょう。

企業変革要件(X要件)

企業変革要件(X要件)の認定要件は下表の通りです。

要件概要

全社レベルでの売上上昇が見込まれる

取締役会などによる決議文書を添付するなどし、前者の意思決定に基づくものであることを明示する

攻めのDXと認定できるもの

デジタル人材の確保や育成に加えて成長性の高い海外市場の獲得を含めた国内外への進出、拡大を図る

全社の意思決定に基づくもの

一部の事業・部門に限定せず、全社的な売上上昇が見込まれるようなDXに取り組む

参考:DX投資促進税制 (METI/経済産業省)

改正前は「一定の生産性または売上上昇が予想できること」が要件でした。

改正後は、全社レベルへと変更されているほか、海外市場でのマーケット獲得も追加されているので注意しましょう。

DX投資促進税制を利用するためのステップ

ここでは、DX投資促進税制を利用する際のステップを紹介します。どのような手順で進めれば良いのか知りたい方は、今後の参考にしてください。

ステップ1:現状確認と詳細に理解を深める

最初のステップは現状確認と詳細への理解を深めることです。DX投資促進税制の概要を把握した後、自社の現状を洗い出し、要件を満たすためにすべきことについて検討を進めましょう。

ステップ2:認定の申請・取得

同税制の要件の一つに、情報処理推進機構(IPA)のDX認定が必要です。次のステップでは、同機構への申請手続きを行いましょう。認定条件として「デジタルガバナンス・コード」という基準を満たす必要があります。

なお、デジタルガバナンス・コードの詳細については、経済産業省公式ホームページで確認が可能です。

ステップ3:事業適応計画の作成・承認

DX認定を取得した後は事業適応計画を作成し、経済産業大臣の承認を受ける手続きを行います。DX認定を所管する省庁に相談後、提出する流れです。

事業適応計画については、経済産業省公式ホームページをご確認ください。

ステップ4:資産取得と税務手続き

事業適応計画の承認を受けた後は、事業適応計画やデジタルガバナンス・コードに準じたDXに取り組みます。

適用事業年度が終了した際は、DX投資促進税制を適用させるため、確定申告をはじめとした税務申告を行いましょう。

ステップ5:実施状況報告書の提出

適用事業年度が終わった後は、3ヵ月以内に実施状況報告書を提出します。DX投資促進税制の申請における、税務申告や同報告書提出までの流れについては、経済産業省公式ホームページで確認できます。

留意点についても記載があるので、同税制を検討する際や申請にあたっては必ず目を通しておきましょう。

DX投資促進税制の相談は小谷野税理士法人へ

DX投資促進税制は、企業がDXを進める上で大きな後押しとなる制度です。税額控除や特別償却を受けるためには、認定要件を満たした上で計画的なステップを経る必要があります。

この税制を最大限に活用することで、企業競争力を高め、効率的な業務運営を実現できるでしょう。同税制に関する相談は「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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