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法人成りすると倒産防止共済はどうなる?引継ぎの条件や仕訳について解説

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法人成りすると倒産防止共済はどうなる?引継ぎの条件や仕訳について解説

取引先の倒産による連鎖倒産から、個人事業主や中小企業を守るのが「倒産防止共済」です。法人成りする際、倒産防止共済は引継ぎできるのでしょうか。今回は、引継ぎの条件や手続きについてご紹介します。引継ぎ時の仕訳や、引継ぎせず解約した場合についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

倒産 矢印 下向き 下降 不調 下がる 経営破綻 ダウン 民事再生

倒産防止共済は、正式名称は「中小企業倒産防止共済」といい、「経営セーフティ共済」という愛称でも呼ばれています。どのような共済なのか、確認しておきましょう。

中小企業基盤整備機構が運営する共済制度

倒産防止共済は、独立行政法人である中小企業基盤整備機構が運営しています。その名のとおり、中小企業や個人事業の倒産を防止することが目的です。

同じく中小企業基盤整備機構が運営する共済に、「小規模企業共済」があります。小規模企業共済は、個人事業主や法人の役員が退職・廃業した際に共済金を受け取れる、いわば退職金のような共済です。混同されがちですが、まったく別の制度ですので区別しておきましょう。

取引先が倒産した場合の資金確保手段

倒産防止共済に加入していると、取引先の事業者が倒産した際に共済金の貸付を受けられます。これにより、中小企業や個人事業が連鎖倒産したり、長期的な経営難に陥ったりすることを防げます。

取引先が倒産したときにすぐ、無担保・無保証人で、納付した掛金総額の最高10倍の金額を借入れ可能なのが特徴です。また、掛金を損金や経費として計上できるため、節税対策にもなります。

ただし、加入後6ヶ月以内である場合や、取引先の倒産から6ヶ月以内に手続きをしなかった場合など、貸付を受けられないケースもあります。詳しい条件などは、下記の記事をご覧ください。

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倒産防止共済における法人成り後の引継ぎ条件

個人事業主が法人成りした場合、条件を満たしていれば倒産防止共済を引継ぎできます。どのような条件を満たす必要があるか、チェックしておきましょう。

引継ぎ条件1:加入資格を満たしている

倒産防止共済には、加入資格があります。法人成りしたことで加入資格を満たさなくなる場合は、引継ぎはできません。

具体的には、「1年以上、事業を継続していること」「中小企業者であること」が主な条件です。

事業継続期間については、個人事業の期間も含められます。中小企業者に当てはまるか否かについては、資本金や従業員数で判断されます。なお、医療法人・NPO法人など、一部の事業は対象外です。

詳しい条件は、下記のサイトでご確認ください。

参考:「経営セーフティ共済の加入資格」共済サポート navi

引継ぎ条件2:3ヶ月以内に申し出る

倒産防止共済を引継ぎする際は、法人成りしてから3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。法人成りする前後は慌ただしく、忘れがちになることもあるため、うっかり期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。

引継ぎ条件3:返済・支払い義務を引き受ける

倒産防止共済を引継ぎすると、掛金の支払いはもちろん、一時貸付金の返済や違約金の支払いも引き受ける必要があります。法人成りしたからと言って、返済義務や支払い義務はなくなりません。

なお、掛金の金額は変更できます。必要であれば、早めに手続きをしましょう。

倒産防止共済を引継ぎする場合の手続き

手続きのイメージ

法人成りして倒産防止共済を引継ぎする場合には、どのような手続きが必要なのでしょうか。直前になって慌てないよう、あらかじめ手続きの流れや用意すべき書類を把握しておきましょう。

手続きの流れ

倒産防止共済の引継ぎ手続きは、下記のような流れで行います。

  1. 必要な書類の準備
  2. 申出書の入手
  3. 申出書の記入
  4. 書類の提出

【1.必要な書類の準備】
印鑑証明書などの必要書類を準備しましょう。具体的な必要書類については、後述します。

【2.申出書の入手】
必要書類が集まったら、契約承継申出書を入手し、記入します。契約承継申出書は、中小企業基盤整備機構のサイトから請求可能です。請求後、1週間程度で契約承継申出書が郵送されます。

引継ぎの際に登録取扱機関(金融機関)を変更する場合、「掛金預金口座振替解約申出書」も必要なので、あわせて請求しましょう。

【3.申出書の記入】
記入例を確認しながら、誤りのないように記入しましょう。記入例も、中小企業基盤整備機構のサイトに掲載されています。

【4.書類の提出】
すべての書類と申出書がそろったら、登録取扱機関に提出します。登録取扱機関を変更する場合は、管理資料の移管作業も必要です。事前に、登録取扱機関か共済相談室へ、問い合わせておくと良いでしょう。

必要な書類

申出書に添付しなければならない必要書類は、以下の表の通りです。

必要書類備考・注意事項
承継申出者の印鑑証明書・発行後3ヶ月以内の原本であること
被承継者の印鑑証明書・発行後3ヶ月以内の原本であること
共済契約締結証書・紛失している場合は、契約承継申出書に同封されている「紛失届」を提出すること
承継申出者の商業登記簿謄本
または、履歴事項全部証明書
・発行後3ヶ月以内の原本であること
・履歴事項全部証明書に資本金が記載されていない場合、資本金を確認できる定款も提出すること
・法人設立時の役員が記載されていない場合、下記のうち法人設立時の役員を確認できるものを、いずれか1つあわせて提出すること

  1. 閉鎖事項全部証明書
  2. 閉鎖登記簿謄本の「役員欄一丁」のみ
  3. 法人設立時に取得した現在事項全部証明書の全体の写し(法人設立後1週間以内に取得したもの)
  4. 法人設立時に取得した閉鎖登記簿謄本の全体の写し(役員のページに「役員欄一丁」と記載されているもの)

その他、必要に応じて確認書類が必要となるケースがあります。

倒産防止共済を引継ぎした場合の仕訳

倒産防止共済を引継ぎする際には、解約手当金に相当する額について、個人事業から法人への譲渡処理を行う必要があります。どのような場合に仕訳が必要か、またどのような仕訳を行えば良いかをご紹介しますので、参考にしてください。

解約手当金がない場合

通常、解約の際は、それまでの納付月数と掛金総額に応じて解約手当金が支払われます。しかし、納付月数が12ヶ月未満の場合は、解約手当金は支払われません。

そのため、引継ぎ以前の納付月数が12ヶ月未満の場合、解約手当金相当額は0円であるため、仕訳は不要です。

解約手当金が掛金の総額を下回る場合

続いて、解約手当金相当額が掛金総額を下回るケースを確認しましょう。具体的には、納付月数が40ヶ月未満の場合に、解約手当金が掛金総額を下回ります。

解約手当金相当額が掛金総額より少ない場合は、まず個人事業側で、解約手当金相当額を雑収入として計上します。法人側では、同額を保険積立金などの資産として計上しましょう。

例として、月々の掛金が2万円で、納付月数が30ヶ月のケースを紹介します。掛金総額は、2万円×30ヶ月=60万円です。納付月数30ヶ月のとき、解約手当金の支給率は90%なので、解約手当金相当額は60万円×90%=54万円と計算できます。

上記の例の場合、仕訳は下記のように行います。

  • 個人事業側
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
事業主貸540,000円雑収入540,000円
  • 法人側
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
保険積立金540,000円役員借入金540,000円

なお、個人事業側の仕訳は個人事業の廃業日、法人側の仕訳は法人設立日に行うと良いでしょう。

解約手当金と掛金の総額が同じ場合

納付月数が40ヶ月以上になると、解約手当金の支給率は100%になります。つまり、解約手当金に相当する額は、掛金の総額と同じであるということです。

仕訳のしかたは解約手当金相当額が掛金総額を下回るケースと同様ですが、解約手当金相当額を計算せずとも、掛金総額を仕訳すれば事足ります。

例えば、月々の掛金が2万円で、納付月数が45ヶ月の場合の仕訳を確認しましょう。掛金総額は2万円×45ヶ月=90万円で、解約手当金相当額も同額です。実際の仕訳は、下記のように行います。

  • 個人事業側
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
事業主貸900,000円雑収入900,000円
  • 法人側
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
保険積立金900,000円役員借入金900,000円

仕訳を行うタイミングは、解約手当金相当額が掛金総額を下回るケース同様、個人事業の廃業日や法人設立日が適しています。

法人成りする際に、倒産防止共済を解約するとどうなる?

疑問を持つ男性

倒産防止共済の解約は、いつでも行えます。法人成りをきっかけに解約したいというケースや、法人成りして加入資格を満たさなくなったというケースもあるでしょう。それぞれのケースの解約について、チェックしておきましょう。

法人成りした結果、加入資格を満たさなかった場合

法人成りしたことで加入資格を満たさなくなる場合、倒産防止共済を引継ぎすることはできず、「みなし解約」として自動的に解約されます。

みなし解約は、共済契約者の死亡、事業の解散、事業の全部譲渡などの際に、自動的に解約したとみなされるものです。法人成りは「事業の全部譲渡」に当たるため、みなし解約の事由に該当します。

加入資格を満たすが解約した場合

法人成り後に加入資格を満たす場合でも、解約は可能です。前述のように、法人成りも含まれる「事業の全部譲渡」は、みなし解約の事由であり、契約引継ぎの手続きをしない限り、自動的に解約したものとみなされます。

みなし解約は、自動的に解約したものとみなされますが、手続きが不要なわけではありません。解約手当金の請求も行う必要があるため、登録取扱機関に問い合わせて手続きを行いましょう。

また、受け取った解約手当金は課税対象です。掛金を資産計上している場合は保険積立金、資産計上していない場合は雑収入として、仕訳を行いましょう。具体的には、下記の通りです。

  • 解約手当金150万円が普通預金に振り込まれた場合
借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
普通預金1,500,000円保険積立金
または
雑収入
1,500,000円

解約手当金の金額などによっては、大きな税負担になりかねないため、解約するか否かは慎重に検討しましょう。

参考:「共済契約の解約」共済契約の解約

法人成りの際の疑問は税理士への相談もおすすめ

法人成りの際、条件を満たせば倒産防止共済は引継ぎできます。法人成りしてから慌てずに済むよう、今回の記事を参考に、事前に準備しておきましょう。

倒産防止共済の引継ぎ時の仕訳をはじめ、法人成りについてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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