税務調査で特に注意すべきポイントのひとつが「延滞税」です。延滞税とは、税金を期限までに納めなかった場合に自動的に課される利息のようなもので、本税にのみかかります。納付が遅れれば遅れるほど負担が重くなり、2ヵ月を超えると利率が一気に跳ね上がるため対応の遅れが大きな損失につながります。そこで本記事では、延滞税の仕組みや計算方法、軽減・免除の要件、さらに税務調査での対策について解説します。
目次
税務調査で要注意の延滞税とは

延滞税とは、本来納付期日までに支払わなくてはいけない税金を支払っていないときに課せられる税金です。延滞税は「期限を過ぎてから納めるまでの日数」に応じて計算され、本税のみに課されます。
延滞税が発生する主なケースは以下の通りです。
- 申告で確定した税金を納期限までに完納しなかったとき
- 期限後申告や修正申告で追加の納税が発生したとき
- 税務署から更正・決定を受けて納税額が増えたとき
令和3年以降、延滞税の割合は「原則の率」と「特例基準割合による率」を比べて、低い方が適用されます。
納期限の翌日~2ヵ月以内 | 年7.3%または基準割合+1%のいずれか低い割合を適用(令和7年は2.4%) |
2ヵ月を過ぎた後 | 年14.6%または基準割合+7.3%のいずれか低い割合を適用(令和7年は8.7%) |
まとめると、延滞税は「本税を遅れて払ったペナルティ」であり、利息のように日数に応じて計算されます。特に期限から2ヵ月を超えると利率が大きく跳ね上がるため、納付の催促が来たら早めに対応しましょう。
延滞税の計算方法

延滞税は「未納額 × 利率 × 延滞日数 ÷ 365日」で計算され、納付の遅れた日数によって利率が変わります。基本の計算式は以下の通りです。
納付期限の翌日から2ヵ月以内 | 未納額 × 利率A × 日数 ÷ 365 ※2025年の利率Aは 2.4%、1円未満切捨て |
2ヵ月を超えた期間 | 未納額 × 利率B × 日数 ÷ 365 ※2025年の利率Bは 8.7%、1円未満切捨て |
※1,000円未満は納付不要
複数年にまたがる場合は、年ごとにその年の利率で計算する必要があります。また利率は毎年変動するため、年ごとの国税庁ホームページをチェックしましょう。
参考:延滞税の計算方法|国税庁
税務調査前に修正申告をすると延滞税を軽減できる
修正申告は税務調査の前に行うほどペナルティ軽減効果が大きくなります。特に「事前連絡が来る前」に自主的に修正申告すると、過少申告加算税がゼロになるなど、最も有利な扱いを受けられます。
修正申告のタイミングでどのくらい影響が変化するのか、以下の表にまとめました。
事前連絡前に修正申告 |
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事前連絡後〜調査までに修正申告 |
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つまり「税務署からの連絡前に動くかどうか」で結果が大きく変わることが分かります。ただし、調査の事前連絡後に修正申告すると、税務署に「ごまかしていた」と受け取られ、調査が厳しくなるリスクもあります。申告に誤りの心当たりがある場合は、早めに専門家へ相談して修正申告を検討しましょう。
延滞税の納付が難しい場合の救済措置

以下では延滞税の納付が難しい場合の救済措置について解説します。
要件
延滞税が免除されるのは「納税の猶予または換価の猶予を受けている人」で、その上で延滞税の納付が困難だと認められる場合に限られます。具体的には次のいずれかに該当することが必要です。
納付困難な状況にある |
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財産状態が著しく悪化している |
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やむを得ない理由がある |
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この要件にあるように、延滞税の免除は誰でも受けられるものではありません。納税の猶予や換価の猶予を受けている上で、資金不足や財産状況の悪化で延滞税の納付が著しく困難と認められる場合に限られます。
免除期間
延滞税が免除される期間は、大きく次の2つです。
猶予を受けていた期間 |
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猶予期間を過ぎても納付できなかった場合の追加期間 |
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「やむを得ない理由」とは、事前の収支見込みと実際を比較し、不測の事情で納付できなかったと認められる場合を意味します。この場合、納税者の故意や重大な過失は除きます。
また「納付できると認められる日」は実際の収支を調査し、支払い可能になったと推定される日です。場合によっては、実際に納付した日で判定されることもあります。
免除金額
延滞税として免除される金額は免除対象期間に対応する延滞税のうち「納付困難」と認められる金額です。「未納の税金を払うお金が足りない時、その不足分に応じて延滞税が免除される」という仕組みとなっています。もし不足額より延滞税の方が少なければ、その延滞税の全額が免除されます。
差押えや担保がある場合は、法律に基づき本来免除できる金額よりも大きな金額が免除されることがあります。まとめると、延滞税の免除額は「払える資金と未納税額の差額」を上限として決まるのが基本です。さらに差押えや担保提供があると、特例でより広く免除される可能性があります。
税務調査で延滞税のペナルティを受けないための対策
以下では税務調査で延滞税のペナルティを受けないための対策について解説します。
経費は根拠資料と一緒に正しく計上する
税務調査で最も狙われやすいのは経費計上の不備です。領収書や証拠資料は必ず保存し、売上原価・人件費・外注費といった重点項目は税理士にチェックしてもらいましょう。特に税務署の元職員が在籍する事務所なら、調査で突かれやすいポイントを踏まえたアドバイスが受けられます。
申告内容はダブルチェックで誤りを防ぐ
申告内容の誤りは延滞税などのペナルティにつながる大きな要因です。特に経費の計上漏れや収入の申告漏れ、計算ミスは誰にでも起こり得るミスでもあります。そのため、申告書は担当者自身による再確認に加えて、第三者や税理士など別の目でダブルチェックを行うことが効果的です。
顧問税理士を活用して信頼性を高める
顧問税理士がいれば申告の正確性が高まり、意図的な脱税の疑いを持たれにくくなります。さらに、税務調査時の対応サポートや経理業務の効率化といったメリットもあります。法人は顧問契約が一般的ですが、個人事業主も導入を検討する価値があるでしょう。
帳簿や証憑を整理し、即時に提示できる体制を整える
税務調査では資料をすぐに提示できるかどうかという点も信頼性に直結します。逆に、整理されていない資料しか出せないと、調査官に疑念を抱かれる恐れがあるので要注意です。過去7年分の帳簿・証憑を整理して保存し、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応した形で管理しておくようにしましょう。
まとめ
延滞税は税金の納付が遅れたときに発生する「利息のペナルティ」であり、納付が遅れる日数に応じて自動的に加算されます。延滞税を減らすには、できるだけ早く納付することが基本です。また修正申告を税務調査の前に行うことで加算税や延滞税を軽減できる可能性もあります。
納付がどうしても困難な場合には、延滞税の免除制度を利用できるケースもあります。とはいえ、延滞税の計算や免除要件の判断は複雑で、自己判断ではリスクを高める恐れがあります。
税務調査に不安を感じている方、延滞税の負担を少しでも減らしたい方は、早めに税理士へ相談するのが安心です。小谷野税理士法人では税務調査の対応経験が豊富な税理士が複数在籍しております。









