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一人親方が法人化すると何が変わる?メリットとデメリット、手続きについて

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一人親方が法人化すると何が変わる?メリットとデメリット、手続きについて

一人親方の法人化は、事業責任や税制、運営環境などに影響を与えるため、慎重な選択が必要です。この記事では、一人親方の法人化で得られるメリットやデメリット、必要な手続きなどについて、詳しく解説します。法人化を検討している一人親方の方は、ぜひ参考にしてください。

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一人親方の法人化とは?

建設業の社員

一人親方の法人化とは、建設業や林業、水産業などの事業の運営を個人事業主から法人形態へと変更する手順です。

一人親方が法人化した場合、一般的に新たな法人を設立し、事業を法人名義で運営します。法人化すると事業継続や納税など、法人特有の責任が生まれる点に注意してください。

一人親方が法人化するメリット

一人親方の法人化には、税負担の軽減や社会保険への加入、社会的信用の向上や経費計上範囲の拡大など、さまざまなメリットがあります。この章では、一人親方が法人化するメリットについて、詳しく解説します。

税負担が軽くなる

一人親方の法人化のメリットは、税負担が軽くなる点です。個人事業主の場合、その年の1月~12月の所得額をもとに所得税が決まります。また、所得税には累進課税が適用されるため、所得が増加すると5%〜45%の税率が適用されます。

しかし、法人化すると法人税が適用されるため、所得が増加しても一定の税率が維持されるのが特徴です。法人税の税率は法人の種類や所得額によって異なりますが、おおよそ15%からとされています。一人親方として所得が高い方は、法人化によって得られる節税効果が大きいでしょう。

参考:No.5759 法人税の税率

経費にできる範囲が広がる

一人親方が法人化すれば、経費にできる支出の範囲が広がるため、税負担を軽減できます。個人事業主の際は経費として認められない支出も、法人化により経費として計上が可能です。

例えば、経営者の社宅費用や役員報酬などは経費として認められます。経費計上の際は、レシートや領収書など裏付けとなる書類を保管しておきましょう。

社会保険に加入できる

一人親方が法人化すれば、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入できます。また、法人化して従業員を雇用する場合、社会保険への加入は法的義務です。

社会保険への加入により、日々の医療費や老後の生活資金に対する備えが充実するため、自身や家族の生活を支えられるのではないでしょうか。

社会的信用が高まる

一人親方の法人化は、社会的信用が高まる点もメリットです。法人化すれば、社会保険への加入や法人格が必要な大規模なプロジェクトや公共事業への参加が可能になります。福利厚生面や事業の幅が広がれば、企業としての基盤が整い、優秀な人材の雇用や資金調達も有利に働きます。また、法人化すれば金融機関からの融資を受けやすいため、取引先や顧客からの信頼が増すだけでなく、ビジネスチャンスも広がるでしょう。

倒産時の責任を軽減できる

個人事業主の場合、事業の負債は個人の資産に影響を与えます。しかし、一人親方が法人化すれば、倒産時の責任の軽減が可能です。

法人は法律上、独立した存在として処理されるため、一般的には法人が抱える負債から個人資産が守られます。そのため、万が一経営が行き詰まった場合でも、個人資産がなくなる心配はありません。

一人親方が法人化すれば、倒産時の責任を軽減でき、安心して事業に集中できるでしょう。倒産のリスクを考慮しながら事業を営む一人親方にとって、法人化の意義は大きいはずです。

決算期を自由に決められる

一人親方の法人化は、決算期を自由に決められる点がメリットです。個人事業主の場合、基準となる日付が存在し決算が行われるため、決算期が収入や支出に影響を与えます。

しかし、法人化すれば、事業活動や資金の流れに合わせた最適なタイミングで決算を設定できます。例えば、繁忙期と閑散期を考慮し、業務が落ち着く時期に決算を行うと、正確な経営状況を把握できるでしょう。

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一人親方が法人化するデメリットと注意点

注意

一人親方の法人化にはさまざまなメリットがある一方で、初期費用や手続きの負担、会計処理の複雑化、法人住民税や社会保険料の増加といったデメリットがあります。この章では、一人親方が法人化するデメリットと注意点について、詳しく解説します。

法人化に必要な初期費用と手間

法人化には、初期費用や手続きの手間がかかる点がデメリットです。法人設立にかかる費用は、登記手数料や印紙代、専門家への報酬などが含まれます。また、事業許可や免許が必要な業種の場合、追加の手続きや費用が発生するため注意してください。

法人化の手続きに関しては、設立前の準備や法人設立後の管理業務などが該当します。法人の定款を作成し、必要書類を整えた後、法務局での登記が必要です。法人化の際は、複雑な事務作業が増える点も念頭に置きましょう。

参考:オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について(商業・法人関係)

事務作業や会計処理の負担増加

法人化すれば、複雑な事務作業や会計処理が発生するため、一人親方としての負担が増加します。具体的には、定期的な会計帳簿の整備や決算報告、税務申告の際に必要な書類準備などです。

また、法人設立後には税理士や会計士への依頼が必要になる場合もあるため、さらなるコストが発生する可能性があるでしょう。

赤字でも法人住民税の納付が必要

法人化すれば、経営が赤字であっても法人住民税の納付は必要です。法人化すると、事業の業績に関わらず、一定額の住民税が課されます。経営の赤字が続くと、法人住民税の負担が増えるため、経済状況が圧迫される恐れがあるでしょう。

法人化の際は適切な経費計上をはじめとした税務対策を行い、赤字の場合は早期に経営の見直しが必要です。一人親方の法人化は、個人事業主よりも計画的な資金管理が求められるでしょう。

会社の資金を自由に使えない

原則として、法人の資金は個人の支出に利用できません。会社の資金を私的な用途に使うと税務上の問題が生じ、必要経費として認められない場合があります。

一人親方が法人化する際には、資金管理をきちんと行い、事業に関連する支出を明確に分けてください。

社会保険料の負担が増える

一人親方が法人化すると、社会保険料の負担が増える可能性があります。個人事業主の場合、加入する保険が限られるため、保険料も比較的少額です。

しかし、法人化後は従業員や役員の社会保険への加入が義務付けられます。社会保険料は、給与の15%〜16%だとされています。その結果、毎月の保険料が増加する場合があるでしょう。

法人化をおすすめするタイミング

一人親方で法人化を検討している場合、適切なタイミングの見極めが事業を成功へと導くでしょう。この章では、一人親方が法人するおすすめのタイミングについて、詳しく解説します。

年間売上が1,000万円を超えた時

法人化を検討する重要なタイミングとして、年間売上が1,000万円を超えた時が挙げられます。個人事業主としての年間売上が1,000万円を超えると、所得税の税率が上がり、税負担が増加する可能性があるためです。法人化を行えば法人税が適用されるため、税率が低く抑えられます。法人化すれば、個人事業主に比べて総合的な税負担を軽減できるでしょう。

また、個人事業主としての課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり、消費税を納める義務が生じます。法人化すれば、過去の売上実績をリセットできるため、消費税の納付を先送りできる点もメリットです。

参考:消費税の届出はお済みですか?

年間所得が900万円を超える場合

年間所得が900万円を超える場合も、法人化を検討するタイミングです。個人事業主として高い所得があると、所得税率が上がり、税負担が増します。一方、法人化すると法人税の適用により一定の税率で課税されるため、結果的に税務面での優遇を受けられるでしょう。

さらに、法人化により経費計上の幅が広がるため、多くの支出を経費として処理できます。その結果、実質的な利益を軽減でき、税金対策に繋がるでしょう。

事業拡大や従業員の雇用を目指す場合

事業拡大や従業員の雇用を検討している場合、法人化をおすすめします。法人化すれば社会的信用が高まるため、より大規模な案件にも挑戦しやすくなるでしょう。

また、法人としての安定感をアピールできるため、従業員を雇用する際、より多くの応募者が集まるのではないでしょうか。

社会保険への加入を希望する場合

健康保険や年金など社会保険への加入を検討している場合、法人化をおすすめします。社会保険は、個人事業主では加入が難しいためです。

社会保険へ加入すれば、万が一の病気や事故に備えられ、自身や家族の生活を守る安心感が得られます。

また、従業員を雇用する際にも福利厚生としてアピールでき、優秀な人材を確保しやすいでしょう。さらに、社会保険料は法人の経費として計上できるため、税務面でもメリットがあります。

法人化の過程と注意点

確定申告に関するイメージ

一人親方が法人化をスムーズに進めるためには、許可承継や保険の選択、登記に必要な準備などの過程を理解しておく必要があります。この章では、一人親方が法人化する過程と注意点について、詳しく解説します。

建設業の許可承継が必要

法人化を考える一人親方にとって、建設業の許可承継は重要です。個人事業主の際に受けていた建設業の許可は、法人化後に自動的に承継されません。

そのため、法人設立後には許可の承継申請を改めて行う必要があります。しかし、令和2年10月の改正により、法人に承継する方法もあります。許可の承継申請の手続きには、過去の実績や技術者の資格証明を求められる場合があるため、事前に準備しておきましょう。

建設国保と協会けんぽの選択が必要

法人化を考える一人親方にとって、建設国保と協会けんぽは重要な選択肢です。建設国保は、主に建設業に従事する事業主や従業員が加入する保険です。建設国保に加入すれば、建設業特有のリスクに対する保障が強化されるでしょう。

一方、協会けんぽは、従業員数や業種など関係なく加入できる健康保険制度です。協会けんぽは、都市部や地方部での医療サービスが充実しています。自分や家族の医療サービスを重視する場合は、協会けんぽをおすすめします。

参考:建設国保に加入を検討中の方へ

法人設立の基本事項を設定する

法人を設立する際、法人設立の基本事項の設定が必要です。法人設立の基本事項には、所在地や資本金などが含まれ、会社名や事業目的の明確化が求められます。会社名は他の法人と区別できる名称にしてください。また、事業目的は具体的かつ適切に記載する必要があります。

さらに、法人設立の際は、取締役や役員の設定が必要です。法人の組織運営を円滑にするためにも、それぞれの役割を明確にし、信頼できるメンバーで構成するのをおすすめします。

登記と必要書類の準備

法人化を進める際は、登記と必要書類の準備が必須です。まず、法人登記を行うために、定款を作成してください。

定款には会社名や事業目的、所在地などを明記し、公証人の認証を受ける必要があります。また、登記申請書や印鑑証明、取締役や代表者の同意書も合わせて提出しましょう。

一人親方の法人化まとめ

一人親方の法人化は、税務面での優遇や経費処理の効率化、社会的信頼の向上や事業拡大の可能性を高めるなど、さまざまなメリットをもたらします。一方で、初期費用や法的責任の増加といったデメリットももたらすため、慎重な検討が必要です。法人化を行う際は、事業の将来性を見据え、適切なタイミングで進めましょう。法人化の判断に際しては、ぜひ小谷野税理士法人までお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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