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会社設立の基礎知識

資本金を増やさない理由とは?税負担で損をしないためのポイントを解説

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資本金を増やさない理由とは?税負担で損をしないためのポイントを解説

会社の信用度を高めるために、資本金を増やすべきか迷う経営者は多いです。しかし、資本金は無計画で増額すると税負担が増える可能性があるため、経営の足かせになるケースもあります。本記事では、資本金を増やさない具体的な理由、増資のメリット、税金への影響や自社に最適な資本金額の決め方を解説します。

関連記事:【税理士監修】会社設立時の資本金とは?その意義や設定方法と法的な注意点を解説

資本金を増やさない5つの理由

会社設立に資本金がいくら必要かのイメージ

資本金を増やすと会社の信用度が高まる一方、税負担の増加や手続きのコストといったデメリットが生じます。安易な増資での後悔を防ぐために、資本金を増やさない選択肢がある理由を理解しておきましょう。ここでは、資本金を増やさない5つの理由を解説します。

関連記事:資本金の増資と減資を同時に行う方法とメリット・デメリットを解説

税金の負担が増加する

資本金の額が一定の基準を超えると、税負担が増える可能性があります。例えば、期首の資本金が1,000万円以上になると、設立2期目から消費税の納税義務が生じます。

また、資本金が1億円を超えた場合、法人税の軽減税率が不適用のため、中小企業向けの税制優遇措置の対象外です。資本金の額は税金の支払いに直接影響するため、増資は慎重に判断する必要があります。

資本金を増やす際は、税負担のシミュレーションを行ってから検討するのがおすすめです。

増資の手続きに手間とコストがかかる

資本金を増やすには、法務局での変更登記手続きが求められます。手続きには、増加した資本金額の0.7%(最低30,000円)の登録免許税が必要です。

加えて、株主総会での決議や、議事録などの各種書類の作成なども必要で、時間と手間も発生します。金融機関からの融資と比べて、手続きが複雑で費用もかかるため、資本金を増やさない理由の1つと言えるでしょう。

赤字でも支払う法人住民税が増える

法人住民税には、会社の利益に関係なく課される「均等割」があります。均等割の金額は、資本金の額と従業員数によって決まるのが特徴です。

例えば、東京23区の場合、資本金が1,000万円を超える事業所では、税負担が11万円以上増加します。会社が赤字であっても毎年支払う必要のある固定コストのため、資本金を増やすことで負担が重くなる可能性があります。そのため、無理な資本金の増加には注意が必要です。

経営の自由度が低下する可能性がある

資本金を増やす方法には、既存株主以外へ新株を発行する「第三者割当増資」があります。第三者割当増資を行うと、会社の外部から新たな株主が増えるため、創業者や経営陣の持株比率が低下します。

結果として、経営の意思決定への影響力が弱まる可能性がある点には注意が必要です。重要な経営判断で意見が対立し、経営の自由度が失われるリスクも考慮して、資本金の額を決めましょう。

中小企業向けの税制優遇が適用されなくなる

日本の税制には、資本金1億円以下の中小企業を対象としたさまざまな優遇措置があります。代表的な制度に、法人税の軽減税率や、年間800万円までの交際費を全額損金にできる特例などが挙げられます。

しかし、増資によって資本金が1億円を超えると、中小企業者としての税制優遇は適用対象外です。節税面でのメリットが失われる点は、デメリットのひとつです。中小企業の税制優遇を受けたい方は、無理な資本金の増額は避けましょう。

資本金を増やす3つのメリット

資本金を増やさない理由がある一方、増資には事業を成長させるうえで複数のメリットが存在します。会社の信用力向上や資金調達がスムーズになる点は、大きな魅力です。デメリットと比較検討するために、資本金を増やすことで得られる3つのメリットを解説します。

関連記事:資本金の増資で節税?メリットとデメリット・自分でする方法を解説!

会社の社会的信用度が高まる

資本金の額は、会社の財務的な体力や事業規模を示す指標のひとつです。資本金の額は誰でも確認できるため、資本金が多い会社は「経営が安定している」とみなされ、取引先からの社会的信用度が高まります。

新規取引の開始や、規模の大きな契約を結ぶ際に、有利に働くケースがある点はメリットでしょう。会社の信頼性を客観的にアピールしたい方は、資本金を増やすのはひとつの手段です。

金融機関からの融資を受けやすくなる

金融機関は融資の審査を行う際、会社の返済能力を判断する指標として自己資本比率を重視します。資本金は出資者から拠出されたお金で、多い会社ほど財務基盤が安定していると評価されます。

金融機関からの信用が高まると、より良い条件で借入できるでしょう。将来的に融資の審査を受けたい方は、資本金を増やす選択肢を考慮するのも1つの方法です。

事業に必要な許認可を取得できる

一部の業種では、事業を行うための許認可を取得する要件として、一定額以上の資本金が法律で定められています。

業種

資本金・自己資金

旅行業(地域限定)

100万円以上

一般建設業

500万円以上

特定建設業

2,000万円以上

上記の事業を始める、あるいは拡大する計画がある場合、増資による資本金の確保が前提条件です。自身が将来的にどのような事業を展開しているかを取りまとめ、資本金の額も柔軟に検討しておくのがおすすめです。

関連記事:【税理士監修】許認可とは?申請に必要な手続き

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自社に最適な資本金額を決める3つのポイント

外注の際の人件費と節税のイメージ

資本金の額は経営に影響を与えるため、事業内容に応じて決めるのが重要です。税金の負担や会社の信用度を考慮し、自社の状況に合った金額を設定するのが大切です。以下で、資本金の判断基準となる3つのポイントを紹介します。

3〜6ヵ月分の運転資金を準備する

会社設立時には、3〜6ヵ月分の運転資金を目安に資本金額を決めると、当面の資金繰りに余裕が生まれます。売上が少ない状態でも、事務所の家賃や人件費といった運転資金は毎月発生するため、余裕を持っておくのが大切です。

手元に十分な資金があれば、当面の資金繰りに余裕が生まれ、焦ることなく事業活動に専念できます。ただし、特定の事業で許認可を受けたい場合は、条件にあった資本金を用意しましょう。

事業に必要な許認可の要件を確認する

資本金の額を決める際、自社が営む事業や将来的に参入を計画している事業に、許認可が必要かの事前確認が求められます。建設業や人材派遣業など、多くの業種で許認可が必要なため、計画的に資本金を設定するのが大切です。

後述するとおり、業種によっては数百万〜数千万円の資本金が必要です。資本金の額は、将来の事業展開を見据え、必要な許認可を踏まえて設定しましょう。

融資を受ける際の自己資金を考慮する

将来的に金融機関からの融資を検討している場合、資本金の額が融資の可否や金額に影響します。一般的に融資額の目安は、資本金を含む自己資金の2〜3倍程度です。

自己資金が多いほど返済能力が高いと判断され、審査にも有利に働く傾向があります。希望する融資額から逆算して、必要な資本金額を設定するのも有効な戦略です。

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資本金額が税金に与える影響

資本金の額は、法人税や消費税などの税金の計算に直接影響を与えます。特に1,000万円と1億円のラインは、税制上の扱いが大きく変わります。

基準を超えると税負担が増えたり、中小企業向けの優遇措置が受けられなくなる点に注意が必要です。以下で、資本金額が税金に与える影響を解説します。

1,000万円未満:消費税の免税事業者になれる

資本金1,000万円未満で会社を設立すると、原則として設立から最大2年間、消費税の納税義務が免除されます。免税期間中は、顧客から預かった消費税の免税分を会社の資金として活用できるため、資金繰りの面で大きなメリットがあります。

ただし、以下のようなケースでは免税の除外となるため注意が必要です。

  • 特定期間の課税売上高と給与等の金額が1,000万円超
  • 適格請求書(インボイス)発行事業者

複数の要件はありますが、資本金が1,000万円未満だと免税を受けられます。設立時の節税を重視するなら、資本金を1,000万円未満に設定するのは有効な戦略のひとつです。

1,000万円超:法人住民税の均等割が増える

会社の利益に関わらず課税される法人住民税の均等割は、資本金の額に応じて税額が変動します。東京都に法人の本拠地が登録されている場合の均等割額は、以下のとおりです。

資本金の額

区内の従業者数

均等割額

1,000万円以下

50人以下

70,000円

50人超

14万円

1,000万〜1億円以下

50人以下

18万円

50人超

20万円

1億〜10億円以下

50人以下

29万円

50人超

53万円

参考:法人都民税について

資本金が1,000万円を超えると、東京23区の場合、年18万円以上の均等割額が必要です。赤字でも毎年発生する固定費が増えると、会社の資金繰りを圧迫する可能性があります。

資本金は増やせば良いというものではなく、固定費の増加や税負担への影響も踏まえて判断する必要があります

1億円以下:軽減税率などの優遇措置を受けられる

資本金1億円以下の法人は、中小企業者として扱われ、さまざまな優遇措置を受けられます。例えば、年間の所得800万円以下の部分には、標準税率より低い15%の軽減税率が適用されます。

また、年間800万円までの交際費を全額損金として計上できる点もメリットのひとつです。複数の税制上のメリットを活かしたい方は、資本金を1億円以下に抑えるのがおすすめです。

1億円超:中小企業の税制優遇の対象外になる

資本金が1億円を超えると大法人とみなされ、中小企業向けの税制優遇の適用対象外として扱われます。法人税の軽減税率や交際費の特例などのメリットを受けられなくなり、税負担が増える可能性がある点に注意が必要です。

さらに、赤字でも課税される外形標準課税の対象にもなります。ただし、資本金が1億円を超えると会社の信用力は向上するため、自社がどのようなメリットを優先するかによって、金額を決めましょう。

よくある質問

FAQ

以下では、資本金を増やさない理由に関するよくある質問に回答します。

資本金の少ない有名企業は?

ラーメンチェーン店で有名な「天下一品」は、資本金が1,000万円です。全国展開している企業が、資本金1,000万円だと少なく感じる方もいるでしょう。しかし、資本金は自社に合った金額に調整することが大切です。

資本金が実際にはないとは?

「資本金が実際にはない」とは、企業における実質的な資産や現金と、資本金が異なることから生じる誤解です。

資本金は設立時の元手であり、設備投資や商品の仕入れなどに使われ、さまざまな資産に形を変えて事業に活用されます。そのため、登記上の金額と実際の現金残高が不一致のケースがあります。

資本金を増やす注意点は?

税負担が増える点です。資本金が1,000万円や1億円を超えると、消費税や法人税の負担が重くなる可能性があります。また、登記手続きの手間とコスト、新たな株主による経営への影響も考慮しましょう。

資本金を増やすか迷う人は税理士に相談しよう

資本金は会社の信用度や資金調達に影響する一方、税負担にも直結するため、計画性を持って金額を決めるのが大切です。安易に増やすと、コストが増加し経営を圧迫する可能性があります。自社にとって最適な資本金額は、事業内容や将来の計画によって異なります。

資本金の設定に迷う場合は、専門家である税理士に相談するのがおすすめです。専門的な視点から、会社に適した資本金の額を提案をしてもらえます。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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