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取引倒産時に融資を受けられる「取引企業倒産対応資金」とは?

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取引倒産時に融資を受けられる「取引企業倒産対応資金」とは?

取引先の倒産は、売掛金の未回収や資金ショートを招き、経営リスクとなり得ます。しかし、あらかじめ正しい知識と対策を備えておけば、影響を最小限に抑えられるでしょう。この記事では、取引先の倒産時に活用できる取引企業倒産対応資金の制度の申し込み条件や金利、返済条件などを解説します。あわせて、取引先が倒産した場合の対応や債権回収など知っておきたいポイントも解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

取引倒産時に融資を受けられる「取引企業倒産対応資金」とは

融資、借金のイメージ

「取引企業倒産対応資金」とは、取引先企業の倒産によって自社の経営が困難に陥った場合に利用できる、日本政策金融公庫の融資制度です。取引企業倒産対応資金はセーフティネット貸付の1つとして位置づけられており、売掛金の未回収など、予期せぬ資金繰り悪化への対応を目的としています。

対象は、個人事業主、法人(株式会社・合同会社など)、医療法人、非営利法人(NPO法人・一般社団法人など)と幅広い事業形態の事業者です。

本資金は、取引先からの売掛金回収が滞ったことによる資金ショートの補填に利用でき、事業の継続や立て直しを支援します。

参考:取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸与)|日本政策金融公庫

関連記事:中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?メリットや加入方法、注意点を解説!

取引企業倒産対応資金の申し込み条件

取引企業倒産対応資金の申し込みには条件があります。以下、表にしました。

項目

内容

目的

取引先企業の倒産により経営に支障をきたしている

事業者の資金繰り支援

対象条件

以下のいずれかに該当すること

①倒産企業に対して50万円以上の売掛金債権等を有する

②取引依存度が20%以上

③貸付金・差入保証金などの債権を有する

以下も対象

・倒産した企業の債務を保証している方

・倒産した企業が設置する商業施設に入居しており、倒産企業の業況悪化の影響を受ける恐れがある方

・倒産した企業から受注予定だった商品や役務などが、倒産により取り消された場合

期限

倒産した日から1年以内

なお、倒産した企業とは手形交換所の取引停止、会社整理・民事再生・破産等の法的手続きの申立て、債権者会議の開催による整理、経営者の行方不明等による事実上の事業停止となった企業を指します。

参考:取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸与)|日本政策金融公庫

取引企業倒産対応資金の借入条件

取引企業倒産対応資金の借入条件は資金の使途、融資限度額、返済期間などが定められています。以下、表にしました。

項目

内容

資金の使途

取引先倒産による運転資金の補填、一時的な施設賃借等に

かかる費用など

融資限度額(別枠)

・国民生活事業:別枠3,000万円
・中小企業事業:1億5,000万円(直接貸与+代理貸与)

返済期間

運転資金:最長8年以内(うち据置期間は3年以内)

審査期間の目安

3週間程度(初回・繁忙期は長期化の可能性あり)

担保・保証人

原則として個別判断。一定の要件を満たす場合、代表者保証の免除・猶予制度あり

なお、条件は金融情勢などにより変動する可能性があります。最新の情報は日本政策金融公庫のホームページで確認しましょう。

参考:取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸与)|日本政策金融公庫

取引企業倒産対応資金の金利条件

取引企業倒産対応資金の金利は、日本政策金融公庫が定める基準利率が適用されます。以下、表にしました。

項目

内容

基本金利

(国民生活事業)

無担保:税務申告を2期終えている方:2.90%~4.30%
無担保:税務申告を2期終えていない方:3.00%~4.40%
有担保:1.90%~3.90%
その他の条件はホームページ参照

基本金利

(中小企業事業)

1.15%~2.95%
詳細はホームページ参照

なお、最新の金利情報は日本政策金融公庫のホームページや窓口で確認してください。

参考:国民生活事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫

参考:中小企業事業(主要利率一覧表)|日本政策金融公庫

参考:取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸与)|日本政策金融公庫

取引企業倒産対応資金の返済方法

取引企業倒産対応資金の返済方法は、主に一括返済と元金均等割賦返済の2種類があります。以下、表にしました。

項目

内容

返済方式

・一括返済(短期融資:6~12ヶ月)
・元金均等割賦返済(中長期:24ヶ月以上)

返済期間

最長8年(据置期間含む)

据置期間

最長3年以内

最終的な返済条件は日本政策金融公庫との相談によって決定されるため、事前に詳細を確認してください。

参考:取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸与)|日本政策金融公庫

関連記事:自己破産後の会社設立の方法とは?基本知識や注意点を徹底解説

関連記事:資金繰りとは?悪化する原因や改善方法・資金繰り表の作り方も解説

取引先が倒産したときにすべきこと

家事按分における経費のイメージ

取引先が突然倒産した場合、自社の資金繰りや信用リスクに影響が及ぶ可能性があります。よって、損害を最小限に抑えるためには、迅速かつ冷静な対応が必要です。

まずは、倒産の事実関係を確認しましょう。あわせて、倒産の種類が再建型(民事再生、会社更生など)か、清算型(破産、特別清算など)かを見極めることで、その後の対応方針が変わってきます。

債権リストを作成する

取引先の倒産情報を確認したら、まずは自社が保有する債権の全体像を把握しましょう。そのためには未回収債権を網羅的にまとめた債権リストが必要です。

債権リストには、以下の情報を記載します。

  • 債権の種類(例:売掛金、手形債権、貸付金、前払金、差入保証金など)
  • 各債権の金額
  • 発生日および支払期日
  • 関連する契約書類の有無(売買契約書、基本契約書、納品書、請求書など)
  • 担保の有無(動産・不動産・債権譲渡など)
  • 保証人の有無とその範囲

加えて、契約書や発注書、取引に関するメールのやり取りも、重要な資料となります。これらはすべてコピーを取り、必ず保管しておきましょう。

また、継続的な取引がある場合には、取引基本契約書も確認してください。法的主張の根拠が明確になります。

取引を停止する

取引先の倒産が確認された、またはその可能性が高いと判断された場合には、速やかに新たな取引を停止しましょう。
まだ納品していない商品がある場合は、直ちに納入を停止し、それ以上の債権が発生しないように対処してください。

万が一、取引先から納品の継続を求められた場合、回避策は以下の通りです。

  • 現金による前払いを求める
  • 新たな担保提供を条件とする
  • 第三者保証の提示を要求する

ただし、継続的な契約関係にある場合は、一方的な取引停止が契約違反に該当する可能性もあります。よって、取引基本契約書や個別契約の内容を確認し、法的根拠に基づいた対応をしましょう。

不用意な取引中止は損害賠償リスクを招くこともありますので、状況に応じて、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。連鎖倒産の回避や自社の資金繰り防衛の観点からも迅速に判断しましょう。

納品物を回収する

取引先が倒産し、自社が納品した商品の代金が未回収になっている場合は、可能な限り納品物の回収を試みましょう。

売買契約において「所有権留保特約」が付されている場合は有利です。所有権留保特約とは商品代金が完済されるまでは売主(=自社)に所有権があるとする条項で、契約解除と同時に商品を引き上げることが可能です。

また、所有権留保の特約がなくても、代金未払いや契約不履行を理由として売買契約を解除し、商品を回収できる場合があります。なお、取引先の同意なしに倉庫や事務所から商品を無断で持ち出す行為は、窃盗罪や不法侵入とみなされる恐れがありますので避けてください。

納品物の回収を行う際は以下の手順を踏みましょう。

  1. 取引先の責任者や担当者と交渉
  2. 合意内容を書面(合意書)として残す
  3. 双方立会いのもとで回収作業を実施

仮に取引先が商品の返還を拒否した場合は、裁判所への申立てなど法的手続きによる対応も視野に入れ、専門家に相談することをおすすめします。

代物弁済を行う

代物弁済とは、取引先が現金での支払いが困難になった場合に、代わりとして商品・不動産・手形などの財産を譲り受けることで債権を回収する方法です。

代物弁済の対象となる資産は以下の通りです。

  • 取引先が保有する未入金の受取手形・小切手
  • 他社から納品されている商品や在庫品
  • 所有する不動産や備品

代物弁済は、取引先の倒産手続きが始まる前に当事者間で合意が成立していれば、有効とされる場合があります。ただし、進める際にはいくつか注意点を理解しておく必要があります。

まず、合意内容は必ず書面に残しましょう。口頭だけのやり取りでは、後々のトラブルにつながる恐れがあります。

また、代物弁済によって資産を受け取っていても、その後に取引先が法的な倒産手続きに入った場合は注意が必要です。状況によっては、詐害行為取消権や否認権が行使され、回収した資産の返還を求められる可能性があります。

リスクを避けるためにも、弁護士などの専門家に相談し、制度や法的リスクを把握したうえで対応することをおすすめします。

交渉が難しければ法的手段を検討する

取引先との交渉が難航し、債権回収の見込みが薄いと判断される場合は、担保権の実行、強制執行、債権譲渡、相殺などの法的手段を検討しましょう。

自社の債権に担保を設定している場合は、担保権を実行することで、他の債権者よりも優先して回収できる可能性があります。担保権の行使は、破産手続き開始後も制限されないことが多い一方で、会社更生手続きが開始された場合には制限されることがあります。

強制執行は、裁判所を通じて債務者の財産を差し押さえ、強制的に債権を回収する手段です。強制執行を行うためには、債務名義と呼ばれる以下の法的文書が必要です。

  • 確定判決
  • 調停調書・和解調書
  • 仮執行宣言付き支払督促
  • 執行認諾文言付きの公正証書

公正証書に執行認諾文言を盛り込んでおくことで、訴訟せずに強制執行を行うことができる場合もあります。ただし、一度倒産手続き(破産・再生・更生など)が始まると、原則として強制執行はできなくなります。法的手段を取る場合は早めに判断しましょう。

関連記事:創業融資はいつまで受けられる?廃止された?新規開業資金の概要や注意点を解説

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まとめ

取引先の倒産は企業にとって大きなリスクであり、資金繰りの逼迫や連鎖倒産を引き起こす可能性もあります。しかし、迅速な対応を講じることで、その影響を最小限にとどめることは可能です。

「取引企業倒産対応資金」は、日本政策金融公庫が提供するセーフティネット貸付制度の1つであり、取引先の倒産によって経営が困難になった企業を支援するための有効な資金調達手段です。

万が一、取引先が倒産した場合、以下の手順で速やかに対応しましょう。

  • 債権リストを作成し、未回収金を把握する
  • 新たな取引を停止し、リスク拡大を防ぐ
  • 所有権留保、代物弁済、法的手段なども視野に入れて対応を検討する

いざというときに慌てないためにも、事前の備えをしておくことが企業を守るための第一歩となります。

関連記事:顧問税理士の必要性は?いない場合のメリット・デメリットを解説

取引先の倒産についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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