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確定申告は海外からでも可能?必要なケースや申告方法、注意点を解説!

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確定申告は海外からでも可能?必要なケースや申告方法、注意点を解説!

海外に移り住む際、日本から得た収入については、確定申告しなければならないケースがあります。国外に住所を置く人であっても、日本で納税する義務が生じることがあります。そのため、税務署へ申告書を提出しなければなりません。この記事では、海外から申告・納税する方法や、申告が必要となるケースについて詳しく解説します。

確定申告についてお悩みの方は、ぜひ小谷野税理士法人までご相談ください。

海外からも確定申告が必要なケース

確定申告してない人多いイメージ

外務省の「海外在留邦人数調査統計」によると、海外に在留する邦人は2024年10月時点で129万人を超えています。海外に居住する理由はさまざまですが、国境を越えて申告義務が生じるケースもあります。該当するのは、主に以下の2つです。

所得税法上で「日本の居住者」に該当する

所得が課税対象となるか否かは、「日本人であるか」や「日本に住んでいるか」は関係ありません。所得税法で定められる「居住者」か「非居住者」のどちらに該当するかで、負担税額が異なります。

「居住者」とは、国内に継続して1年以上居住している、または生活の拠点が日本にある人のことです。日本に住民票がある方はもちろん、本人は国内に居住実態がなくても「居住者」とみなされることがあります。

例えば、頻繁にアメリカに出張していて、日本での滞在が1年に満たないビジネスマンでも、家族など生活の拠点が日本にあれば居住者に該当することがあるのです。これは住民票や自宅の住所がない方、例えば友人宅やホテルなどに滞在した場合でも同じです。国内で得た分はもちろん、全世界の所得も含めて申告対象となります。

しかし、滞在期間や生活の拠点だけでは判断できないこともあります。例えば、海外での滞在期間が1年に満たない場合、引き続き日本の居住者として扱われます。ただし、日本以外の国では、6か月以上滞在すると居住者扱いとなる国が多いため、日本と外国の両方で居住者扱いになる点に注意が必要です。

居住者に該当するか否かは曖昧な部分も多いため、不明な点がある方は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考:No.2875 居住者と非居住者の区分|国税庁

参考:短期滞在者免税の要件である滞在日数の計算|国税庁

「国内源泉所得」が一定以上ある

非居住者であっても、日本国内で「国内源泉所得」を得ている場合には、原則として確定申告が必要です。国内源泉所得とは、日本国内に発生源がある所得のことです。例えば、国内不動産からの賃貸収入・国内で受け取っている給与・国内資産の運用・譲渡による所得などが該当します。

該当する収入がある場合、非居住者であっても日本で所得税を納める義務が生じるため、申告が必要です。また、恒久的施設(PE)に帰属する事業所得や組合契約事業からの利益の配分も含まれます。

なお、既に源泉徴収されている場合は、別途申告が不要なケースもありますが、詳細は税理士に相談してみましょう。

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海外から確定申告が必要となる具体例

手続きのイメージ

転勤や留学などで海外に住まいを移す場合でも、国内で所得が発生するのは珍しいことではありません。ここでは、海外にいながら日本で申告義務が生じる具体例として、よくある事例を見ていきましょう。

出国日までに国内でその年の所得がある

年の途中で海外に移り住む場合、出国する日までに日本国内で得た所得については、税務署への申告が必要です。例えば、2025年の6月から海外に赴任する場合、日本で働いていた5月までに発生した所得はすべて申告対象に該当します。

会社員の場合、出国前の給与について年末調整が行われます。しかし、年末調整対象外の控除(医療費控除、寄附金控除など)を受けたい方や、給与以外の収入がある方は、確定申告が必要です。

個人事業主やフリーランスの場合、出国日までの所得について申告が必要です。例えば、2025年の6月から海外に転居する場合、その前日までに日本で発生した所得はすべて申告対象となります。

出国までに納税額が確定している場合、タイミングが合えば申告書の提出や納税を済ませておくことも可能です。しかし、これが難しい場合は、後述の「納税管理人」を選定して手続きを進める必要があります。

国内で所有する不動産から家賃収入がある

日本国内に不動産を所有していて、年間20万円以上の所得がある場合は、居住する国に関わらず申告が必要です。この場合、賃貸収入に対する所得税を正しく申告しなければなりません。

また、固定資産税や都市計画税も同様に発生するため、それぞれ納付が必要です。毎年1月1日時点で所有する土地や建物には、所有者の居住地に関わらず、固定資産税や都市計画税が課されます。

国内で不動産を所有している場合、賃貸収入がない場合でも、その不動産にかかる税金を納める必要があります。固定資産税や都市計画税は納税期限が設けられており、滞納すると延滞金が発生することもあるため、注意が必要です。

参考:No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合|国税庁

関連記事:家賃収入の税金はいくら?不動産投資の節税対策を解説

移住前に日本の住居を売却した

海外に移住する前に日本の住居を売却した場合、その売却による所得についても申告が必要です。非居住者が日本国内の不動産を売却すると、売却で得た金額の10.21%が源泉徴収されます。源泉徴収された分は、確定申告で精算することが可能です。

通常、源泉徴収された金額は売却代金の支払いを受けた翌月10日までに、税務署に納付しなければなりません。これを怠ると、延滞金が発生する可能性があるため、注意が必要です。

ただし、不動産の譲渡対価が1億円以下で、かつ購入者が個人でその住居を自己または親族のために使用する場合には、源泉徴収の必要はありません。

参考:No.1932 海外勤務中に不動産を売却した場合|国税庁

相続や贈与により国内の財産を取得した

海外に住んでいる方が相続や贈与で日本国内の財産を取得する場合、その財産が日本国内にある限り、日本の税法に基づいて課税されます。例えば、日本国内にある不動産・預貯金・株式・国債などが該当します。

また、日本国内に住所を持たない方でも、日本国籍を持っている場合や過去10年以内に日本に住所があった場合は注意が必要です。「無制限納税義務者」として、国内外の財産が課税対象となることがあります。シンガポールやマレーシアなど相続税がない国に住んでいても、日本で相続税を納付しなければなりません。

相続税の申告には、相続が発生してから10か月以内に提出する必要があり、期限を過ぎるとペナルティが発生します。特に海外在住の場合、書類のやり取りや手続きで期間を要するため、早めに準備を始めることが重要です。

なお、納税方法としては、日本国内の銀行口座への振り込みや家族による代理納付が一般的です。

参考:No.4138 相続人が外国に居住しているとき|国税庁

日本の生命保険会社から満期保険金を受け取った

海外居住中に、日本の生命保険会社から満期保険金を受け取った場合には、保険金についての申告が必要です。満期保険金は「一時所得」として扱われ、一時所得が50万円を超えると、所轄の税務署に申告が必要です。満期保険金から支払った保険料と特別控除額を差し引いた金額が課税対象となります。

日本が締結している租税条約により、国内での課税が免除されることもあります。この場合、税務署へ「租税条約に基づく届出書」の提出が必要です。届出書が受理されれば、日本での課税が免除されることがあります。

保険期間が5年以内のものや、5年を超えていても初日から5年以内に解約したものから得た利益は、源泉徴収のみで確定申告が不要なケースもあります。この場合、15.315%の税率で源泉徴収されます。

不動産や相続による税金対策についてのお困りごとやご相談は、私たち「小谷野税理士法人」にお気軽にご相談ください。

参考:No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)|国税庁

関連記事:海外資産に税金はいくらかかる?所得額別の税金や提出調書について解説!

海外から確定申告するには国内の代理人への依頼が必要

外国税額控除 二重課税

確定申告が必要とはいえ、申告のためだけに帰国することは難しい場合がほとんどでしょう。毎年2月15日〜3月15日に日本の税務署に申告書を提出する方法もありますが、時間も交通費もかかるため、現実的ではありません。

自ら確定申告を行うことが難しい場合には、国内の代理人として「納税管理人」を選定し、申告書の提出や納税を依頼することが認められています。納税管理人とは、納税者に代わって税務手続きを行う個人や法人のことです。

納税管理人は、確定申告書の提出・税金の納付・税務署からの書類の受け取りなど、さまざまな業務を非居住者に代わって行います。選定する際には、出国前に所轄の税務署に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。住民税や固定資産税は地方自治体への提出が必要なうえに、書類も異なるため注意しましょう。

納税管理人に資格は不要であるため、家族や友人も選定できますが、正確に手続きを進めてもらえるか不安であれば、税理士を納税管理人とすることも可能です。税理士は税務の専門知識を持っているため、確定申告や税務相談をスムーズに行えます。

また、税務署からの書類の受け取りや対応も確実に行ってもらえるため、手続きの遅延やミスを防げることもメリットです。

納税管理人に税理士を選定したい方は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

参考:No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任|国税庁

海外移住が決まったら押さえておきたい税金の注意点

海外に転居する際、出国前に考慮すべき税金に関する注意点があります。知らないと損をしてしまう場合もあるため、以下の6点を押さえておきましょう。

e-Taxは海外からは利用できない

「納税管理人に依頼しなくても、e-Taxで申請すればよいのでは」と考える方も多いかもしれません。しかし、残念ながら非居住者はe-Taxを利用できない仕様のため、海外から電子申告をする方法はありません。

e-Taxは、日本国内に住民票がある人が対象となっており、マイナンバーカードに付帯する署名用電子証明書が必要です。しかし、住民票を抜いた時点でマイナンバーカードも無効であるため、e-Taxの利用はできません。

また、e-Taxの「確定申告書作成コーナー」も、非居住者には対応していません。国内にいる納税管理人に、印刷した申告書を国際郵便で郵送する必要があります。この際、申告書は「信書」として郵送する必要があり、宅急便や小包では受け付けられません。

なお、税務署に納付するための「納付書」は、税務署か国内の銀行のみの取り扱いとなるため、海外の金融機関からは納付できない点にも注意が必要です。

出国前に「国外転出届」を提出しないと住民税が発生する

「国外転出届」を提出しないまま出国すると、住民税が発生する可能性があります。住民税は、毎年1月1日時点で日本に住所がある人に課税されるため、出国前に届出をして住民票を除票しておきましょう。

例えば、2024年1月1日時点でまだ日本に住所があると、その年の住民税が課税されてしまいます。たとえ海外に移住しても、1月1日時点で日本に住所がある場合は、前年の所得に基づいて住民税が発生するのです。そのため、住民票の手続きは出国前に必ず行っておきましょう。

また、国外転出届を提出しない場合、勤務先の給与から住民税が引き続き特別徴収されることもあります。こうした場合、海外移住後も住民税の納付義務が続くことになり不便です。

国外転出届を提出することで、日本の住民税から解放されるだけでなく、納税管理の手間も減ります。特に、海外では現地の税制に対応する必要があるため、国内の税金の管理をシンプルにしておくことが望ましいです。手続き自体は市区町村の役所で簡単に行えるため、忘れずに準備しておきましょう。

海外に転居するタイミングで住民税の課税対象期間が変わる

住民税の課税対象は、1月1日時点での「生活の本拠」に基づいて決まります。つまり、1月1日時点で日本に住民票がある場合、その年の住民税の納税義務が生じるのです。

仮に、12月31日以前に海外転居の手続きを行い、1月1日に日本に住民票がない状態であれば、その年の住民税は課税されません。一方で、転居のタイミングが1月1日を過ぎている場合、その年の住民税の納税義務が発生します。

この違いは、家族の手当や医療費助成にも影響を与えることがあります。例えば、子どもがいる家庭の場合、海外への転居が12月中であれば、児童手当は12月分までの支給です。そのため、1月以降の支給は停止されます。しかし、転居が1月以降であれば、1月分の児童手当の受給が可能です。

重要なのは、転出届を提出する際の「異動年月日」を正確に記載することです。異動年月日が1月1日を過ぎると住民税の納税義務が発生するため、出国日を含む異動年月日をしっかり確認し、適切なタイミングで手続きを行うようにしましょう。

非居住者が利用できる所得控除は限定される

非居住者となると、通常の居住者が受けられる多くの所得控除が適用できなくなります。例えば、医療費控除・社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・小規模共済等控除などは受けられません。

これらの控除は非居住者には適用されず、主に基礎控除・雑損控除・寄付金控除のみが対象です。ただし、雑損控除は災害や盗難などの被害を受けた場合に適用されるものです。寄附金控除も「特定寄附金」を支出した場合に限られるため、実質的に基礎控除のみが対象となる方が多いと言えるでしょう。

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

国内と海外で二重課税される場合がある

二重課税とは、同じ所得や資産に対して2つの国がそれぞれ税金を課すことを指します。例えば、日本に住んでいて海外でも収入がある場合、日本とその収入を得た国の両方で課税されるケースがあります。このような二重課税が発生する理由は、各国が持つ独自の税法に基づいて課税を行うためです。

日本では全世界所得課税の原則に基づき、国内外で得たすべての所得に対して課税されます。一方、海外でもその国の税法に基づき、所得に対して課税されるため、同じ所得について2つの国で税金がかかることになるのです。

二重課税を回避するためには、いくつか方法があります。代表的なものとして、外国税額控除や租税条約の適用が挙げられます。外国税額控除は、外国で支払った税金を居住国の税金として控除する制度です。また、租税条約は二重課税を防ぐために二国間で結ばれるもので、どの国が特定の所得に対して課税権を持つかを明確にします。

関連記事:外国税額控除とは?二重課税されないための確定申告のやり方

出国時に1億円以上の資産があると所得税が課されることがある

有価証券や株式など、1億円以上の資産を持つ方は「国外転出時課税制度」に注意してください。「出国税」とも呼ばれる制度であり、海外に転出する際に、一定の資産に対して所得税が課されることがあります。

株式等を売却していなくても、出国時に売却したものとみなされて所得税が課税されてしまうのです。

上場株式や投資信託だけでなく、非上場株式や未決済の信用取引・デリバティブ取引も含まれます。例えば、スタートアップの創業者や老舗企業のオーナーなど、大量の未実現利益を含む資産を持っている人々が該当するケースが多いです。

出国前の3ヶ月以内の時価を基に、未実現のキャピタルゲインに対して所得税が課されます。また、納税管理人の届出を行わなければ、出国時に確定申告を行う必要があります。

参考:国外転出時課税制度|国税庁

納税管理人には税理士を選定するのがおすすめ

海外移住を控える方で、確定申告が必要となりそうな方は、出国前の手続きとして「納税管理人」を選んでおくことをおすすめします。納税管理人の選定が済んでいないと、国外転出後に確定申告や納税が遅れてしまうリスクが高まります。仮に、納税が間に合わなかったら、追加の税金や延滞税が発生する可能性があるのです。

また、現地の税務当局からの納税催告も避けられません。出国準備を進める中で、納税管理人の選定を行い、スムーズな海外移住を実現しましょう。

確定申告の手続きが不安な場合や、海外での生活が忙しい中での手続きが困難な場合は、私たち「小谷野税理士法人」が全力でサポートしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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