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本店移転は税務調査の引き金になる?移転で注目される理由と注意点を解説

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本店移転は税務調査の引き金になる?移転で注目される理由と注意点を解説

本店移転は法人にとって珍しくない手続きですが、税務署からは「動きのある会社」として注目されやすくなる一因です。特に所轄税務署が変わる場合、申告内容や帳簿の整合性が確認され、税務調査に発展する可能性もあります。本記事では、移転が調査につながる理由や注意点、必要な手続きや対応のポイントを解説します。本店移転と税務調査の関係が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

本店移転が税務調査に影響する理由とは

オフィスのイメージ

本店の移転は経営判断として珍しくない手続きですが、税務署から見ると「企業の動き」として注目される要素の1つです。

いくつかの条件に該当すると、申告内容の確認をきっかけに税務調査へと進む場合もあります。すべての移転が調査に繋がるわけではありませんが、リスクが高まるケースもあるため、事前に把握しておくのが重要です。

関連記事:【税理士監修】税務調査に来たらやばいのはどの役職?税務調査に対応するコツとは

関連記事:税務調査は何種類ある?それぞれの特徴や税務調査の流れについて解説

どんな本店移転が税務調査を招きやすいか

どんな本店移転が税務署に不自然と受け取られ、調査を招く要因となるのでしょうか。税務調査に繋がりやすい本店移転の特徴を解説します。

管轄税務署が変更される移転

税務署の管轄が変わる本店移転は、調査リスクが高まる傾向があります。

移転によって新たな税務署の管轄に移ると、旧税務署からの情報引き継ぎが行われ、その過程で過去の申告内容や経理処理が確認されます。特に不整合や疑わしい取引が見つかれば、移転を機に税務調査へと発展する場合があります。

また、令和3年の改正により、旧税務署で着手していた調査については、移転後もその税務署が調査を継続できる点が明確化されたため、管轄変更によって調査リスクを回避することは難しくなり、むしろ移転をきっかけにチェックが強化されるケースもあるでしょう。

短期間に複数回行われた移転

短期間に繰り返される移転は、事業の継続性に疑念を抱かれやすくなります。経営上の合理的な理由がないにもかかわらず、短期間で何度も本店を移転している法人は、安定性や実態に疑問を持たれやすくなります。

税務署は、こうした不自然な移転を「調査逃れ」や「実態の隠ぺい」と見なす可能性があり、結果として税務調査の対象になりやすくなります。

売上や利益の急減と重なる移転

業績悪化と同時期の本店移転は、税務署からの注視を招きます

売上や利益が急激に減少した直後に本店を移すと、経営悪化による資金繰りや経費削減を目的とした移転か、あるいは何らかの問題の回避を意図しているのではないかと疑われる可能性があるでしょう。

税務署は業績と移転の時期が重なる場合に特に敏感に反応し、調査の必要性を判断する材料とすることがあるため、慎重な対応が求められます。

実態が不明瞭なバーチャルオフィスへの移転

バーチャルオフィスを本店とする移転は、実態がないと判断されやすいため注意しましょう

バーチャルオフィスは会議室や郵便受取サービスが整っていても、常駐の社員や業務スペースがないため、税務署から「実態が伴わない形式的な本店」として見なされる可能性があります。

帳簿の保管場所や業務実施体制について明確な説明ができないと、実態調査として税務調査が行われるリスクが高まります。

本店移転時にやるべき税務上の手続き

本店を移転した場合は、登記だけでなく、税務署や地方自治体への届出も欠かせません。これらを怠ると、納税や申告に支障が出るだけでなく、税務調査につながる可能性もあるため注意しましょう。

税務署に「異動届出書」を提出する

法人が本店を移転したら、旧所在地の税務署へ「異動届出書」を提出する必要があります

本店の所在地が変わった場合、納税地の変更として「異動事項に関する届出書」を提出する義務があります。提出期限はありませんが異動等後速やかに行い、提出時は履歴事項全部証明書の写しを添付します。提出先は「旧所在地」の税務署である点に注意しましょう。

参考:C1-8 異動事項に関する届出|国税庁

給与支払事務所の移転を別途届け出る

従業員を雇っている場合、給与支払事務所の移転届出も必要です

法人が従業員に給与を支払っている場合、本店移転に伴い給与支払事務所の所在地も変更されるため、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を別途提出する必要があります。

こちらの提出期限は1ヵ月以内で、提出先は旧所在地を所轄する税務署です。本店移転と同時に対応しましょう。

参考:A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

新しい管轄税務署での確認に備える

本店移転で管轄税務署が変わる場合、新しい税務署による確認に備えておきましょう。税務署の管轄が変わると、新しい所轄署では過去の申告内容や帳簿の整合性などを確認するケースがあります。

異動届の提出漏れや所在地に関する記載ミスがあると、不審点と見なされる場合があります。帳簿や申告書の整理、所在地表記の統一など、事前の確認を徹底しておきましょう。

地方自治体(都道府県・市区町村)へ異動届を提出する

法人住民税や事業税の申告先が変わるため、本店を移転した際は地方自治体にも「法人異動届出書」の提出が必要です

都道府県税(事業税など)と市区町村税(法人住民税など)それぞれの所管があるため、移転後の所在地を管轄する都道府県税事務所および市区町村役場へ届け出ます。都道府県や市区町村をまたぐ場合は、旧所在地と新所在地の双方に提出が必要です。

提出期限は自治体によって異なりますが、多くは「移転日から2週間以内〜1ヵ月以内」とされています。また、届出書の名称や書式、提出方法(紙・電子)が自治体ごとに異なるため、事前に各自治体のホームページで確認しておきましょう。

参考:法人事業税・特別法人事業税・地方法人特別税・法人都民税|申請様式(共通)|東京都主税局

既存の届出内容に変更がある場合は修正または再提出する

本店移転によって、過去に提出した届出書の記載内容(本店所在地・納税地など)に変更が生じた場合は、所轄税務署へ変更届や再提出が必要です

例えば、以下のような届出書類には所在地等の情報が含まれており、内容変更時には適切な手続きが求められます。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 消費税課税事業者選択届出書
  • 消費税簡易課税制度選択届出書
  • 源泉所得税の納期の特例に関する申請書

これらの書類を提出し本店所在地の変更により納税地が変わる場合、新たに所轄となる税務署へ変更届出書を提出する必要があります。

また内容によっては、所定の様式で「異動届出書」や「再提出」が必要となる場合もあるため、事前に税務署や国税庁のサイトで確認しておきましょう。

本店移転後に税務調査が来たときの対応ポイント5つ

外注の際の人件費と節税のイメージ

本店移転後は、新しい所轄税務署のもとで調査対象となる可能性があります。過去の帳簿ややりとりを適切に管理しておかないと、誤解や指摘を受けるリスクもあります。

以下5つのポイントを押さえ、落ち着いて対応できるように備えておきましょう。

  1. 書類や帳簿は適切に保管し、すぐに提示できるようにする
  2. 税務調査官には誠実かつ正確に対応する
  3. 移転前の税務署とのやりとりの記録を確認・保管しておく
  4. 経理担当者と申告内容や処理内容を共有しておく
  5. 必要に応じて顧問税理士に立ち会ってもらう

書類や帳簿は適切に保管し、すぐに提示できるようにする

税務調査では帳簿や領収書などの提示を求められるため、法定保存期間(原則7年)に基づき、整然と保管しておく必要があります。

すぐに出せない、紛失しているといった対応は調査官の不信を招き、調査が長期化する原因にもなるため注意しましょう。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

税務調査官には誠実かつ正確に対応する

税務調査では、誠実で明確な対応が最も重要です。事実に基づいた説明を心がけ、曖昧な発言や強い反論は避けるようにしましょう。

不明瞭な対応は、かえって調査官の疑念を深めてしまうため、誠意と正確さをもって冷静に対応することが求められます。

移転前の税務署とのやりとりの記録を確認・保管しておく

本店移転後の税務調査では、旧税務署との調査履歴ややりとりの記録を確認されるケースがあります。

異動届出書や照会文書などを控えておけば、移転前後の対応の一貫性を示すことができ、調査のスムーズな進行に繋がるでしょう。

経理担当者と申告内容や処理内容を共有しておく

税務調査では、経理担当者が申告内容や仕訳の根拠について説明を求められる場合があります。

担当者が誤った説明をしないよう、事前に情報を共有しておきましょう。説明の一貫性が保たれれば、調査官からの信頼を得やすくなります。

必要に応じて顧問税理士に立ち会ってもらう

税務調査に不安がある場合は、顧問税理士に立ち会ってもらうのが安心です

専門的な知見をもって調査官に対応できるだけでなく、法律や会計処理の判断が必要な場面でも的確な説明が可能になります。事前に役割分担を確認しておきましょう。

関連記事:【税理士監修】法人が税理士に依頼する費用の相場はいくら?

関連記事:顧問税理士を変更する際に届出は必要?税務署への提出書類を解説

本店移転と税務調査に関してよくある質問

FAQ

本店移転に関しては、税務調査との関係について多くの疑問が寄せられます。よくある質問を取り上げますので、確認の参考にしてください。

本店を移すと必ず税務調査が来ますか?

本店移転をしたからといって、必ず税務調査が実施されるわけではありません

ただし、移転を契機に税務署が注目し、旧税務署と新税務署が連携して申告内容を確認する場合があります。令和3年の法改正により、旧税務署も調査継続できるようになったため、調査逃れは通用しません。

本店移転後すぐに税務調査が来たら、理由を聞いてもいいですか?

税務署は原則として調査の具体的な理由を開示しませんが、背景の確認を求めるのは可能でしょう

調査官が説明できる範囲で、申告内容や手続きに問題がなかったかを尋ねることで、今後の改善や注意点を知るきっかけになります。冷静に対応し、事実確認を丁寧に行うのが重要です。

参考:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

移転のたびに異動届を出す必要がありますか?

はい、本店所在地が変わるたびに税務署へ異動届出書の提出が必要です

これを怠ると、申告情報との整合性が取れず、税務署から不信を招く可能性があります。届出を適切に行えば、新旧税務署間の情報引き継ぎもスムーズになり、税務調査時の対応も円滑になります。

本店移転と税務調査が不安な方は専門家に相談を

本店の移転は、登記や契約手続きだけでなく、税務署との関係にも大きな影響を与える要素です。手続きの漏れや不自然な移転と見なされることで、税務調査リスクが高まる可能性も否定できません。

不安を感じる方は、税務対応に精通した専門家のアドバイスを受けることで、リスクを未然に回避できるでしょう

小谷野税理士法人では、本店移転に関する各種届出から税務調査への備えまで、法人の実情に応じたサポートをご提供しております。安心して本店移転を進めたい方は、ぜひ一度小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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