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グループ会社の節税効果とは?メリット・デメリットを徹底解説!

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グループ会社の節税効果とは?メリット・デメリットを徹底解説!

グループ会社の設立で、事業者によっては消費税の免除や簡易課税制度の適用、接待交際費の損金算入などができるため、節税効果が期待できます。一方で、設立や運営、解散にかかるコストが増加するため、事業運営に悪影響を及ぼすケースもあるのが特徴です。今回は、グループ会社設立による節税効果やメリットとデメリット、設立の流れなどを分かりやすく解説します。

グループ会社とは

有限会社と合同会社の違いのイメージ

グループ会社とは、一般的に親会社・子会社・関連会社など複数の会社をまとめたものを指し、「関係会社」とほぼ同じ意味で用いられる傾向にあります。

事業の多角化やリスクヘッジ、節税などの効果が期待できるため、事業者の中にはグループ会社を設立するケースがあります。グループ会社としてあげられるのは、具体的に以下の通りです。

親会社

  • 過半数など一定数を超える株式を保有し、経営を支配している会社
  • 株式の保有数が過半数以下であっても、実質的に経営権を支配している場合は親会社とみなされる
  • 子会社の事業運営について指導し、事業の伸展を支える

子会社

  • 親会社に過半数の株式を保有され、経営を支配されている会社
  • 親会社の経営方針に基づきながらも、子会社として独自の事業運営をする
  • 親会社が連結決算する子会社は「連結子会社」で、連結会計の方法で処理される
  • 連結会社の対象外の会社は「非連結子会社」
  • 親会社に100%の株式を保有されている子会社は「完全子会社」

関連会社

  • 親会社に20%以上50%以下の株式を保有され、経営面などに重要な影響が与えられている会社の名称
  • 子会社以外の事業の方針決定において、重要な影響を与える会社

持分法適用会社

  • 連結決算で持分法を適用する関連会社・非連結子会社を示す
  • 持分法適用会社に該当するのかは、会計基準に基づいて決定される

グループ会社と意味合いが似ている「関係会社」は、会計上の区分として用いられるのが特徴です。企業によって、解釈が異なるケースがあると知っておくとよいでしょう。

グループ会社の節税効果

外注の際の人件費と節税のイメージ

グループ会社を設立すると、以下の通り節税効果を得られる可能性があります。

  • 消費税の免税事業者になる
  • 簡易課税制度を適用できる
  • 接待交際費の損金算入できる額が2倍になる
  • 法人税と事業税の軽減税率を適用できる
  • 退職金を損金算入できる

以下で詳しく見ていきましょう。

関連記事:【税理士監修】法人の税金対策を徹底解説!節税方法から法人化まで

消費税の免税事業者になる

課税売上高1,000万円以下の場合、子会社の設立年度から2年間、子会社の消費税納税が免除される可能性があります。親会社・子会社ともに課税売上高1,000万円以下の場合、両者とも消費税の免除を受けられるでしょう。

ただし期首の資本金が1,000万円以上、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合などは消費税の課税事業者となるため注意が必要です。

最大2年間、子会社の消費税が免除される可能性があるため、子会社の売上規模が大きいほど、節税につながります。消費税は段階的に引き上げられるとされているため、消費税の免税事業者になるメリットはあります。

会社の所得の分散によって免税事業者になると、設備投資や採用などの面により多くの資金を投じやすくなるでしょう。

参考:納税義務の免除

簡易課税制度を適用できる

グループ会社設立によって簡易課税制度を適用すると、節税できる可能性があります。

以下の通り、消費税は2種類に分けられます。

  • 簡易課税:業種ごとに決められているみなし仕入率を売上高にかけ、消費税額を算出する方法
  • 本則課税:売上や経費から納税額を算出する方法

みなし仕入率よりも実際の仕入率の方が低い場合、簡易課税を利用すると節税効果が期待できます。簡易課税制度選択届出書を事前に提出し、2期前の課税売上高(売上高ー非課税・不課税取引)が5,000万円以下の場合、適用できるのが特徴です。

接待交際費の損金算入できる額が2倍になる

資本金1億円以下の場合、グループ会社設立により、接待交際費の損金算入額を2倍に増やせるため、節税できる可能性があります。

接待交際費の上限は1社あたり800万円ですが、グループ会社設立によって2社になると、それぞれ800万円ずつ、合計1,600万円まで損金算入できます。

会食費など、特に交際費の支出が多い事業者にとっては、より高い節税効果が期待できるでしょう。交際費として認められるのは事業に関連するものに限られるため、適切に処理する必要があります。

法人税と事業税の軽減税率を適用できる

グループ会社設立により軽減税率を適用すると、法人税と事業税を節税できる可能性があります。通常、法人税率は23.2%であるものの、資本金1億円以下の会社で年間所得800万円以下の部分には、15%の軽減税率が適用されるためです。

事業税も同様に軽減税率を適用できるため、納税の負担を軽減できるのがメリットとしてあげられます。

例えば、東京都で令和4年4月1日以後に開始する場合、法人税率は以下の通りです。

  • 年400万円以下の所得:3.5%
  • 年400〜800万円以下の所得:5.3%

軽減税率を不適用の場合は税率7%のため、所得の金額によっては納税額が2倍になるケースもあります。

参考:法人事業税・法人都民税

関連記事:中小企業者等の法人税軽減税率が延長へ|変更点についても解説

退職金を損金算入できる

グループ会社設立後、子会社へ役員・従業員を転籍すると、親会社で退職金を損金算入できるため、節税できる可能性があります。役員報酬や給与に比べると、退職金は税制上優遇されているのが特徴で、計画的な退職金の支払いによって節税効果を高められるでしょう。

一方で、役員・従業員を出向させる場合は、退職金の損金算入の対象外となるため注意が必要です。

参考:退職金と税

グループ会社のメリット

節税効果に加え、以下のメリットを享受できる可能性があります。

リスクヘッジ

  • 別の法人格のため、親会社・子会社のいずれかで行政処分を受けたとしても、どちらかの事業を継続しやすい
  • 不祥事が発生したとき、損失を最小限にできる可能性が高い
  • 多額の投資が必要な研究部門を別会社にすると、リスク低減につなげられる
  • 1人社長で融資を受けるときよりも、子会社の社長を任命し連帯保証人とする方が、審査に通りやすくなる

意思決定のスピードアップ

  • 規模の大きい会社ほど、社内承認や意思の伝達などに時間がかかる
  • 戦略会議などが省略できるため、経費削減できる
  • 早い意思決定によって、市場環境変化への適切な対応がしやすい

財務状況の把握

  • 事業ごとの収支の状況を明確化できるため、改善につなげやすい
  • 子会社に責任を持たせられるため、企業価値の向上につながるケースもある

スムーズな事業承継

  • 会社の一部の売却時、手続きの簡略化ができる
  • 兄弟2人など跡継ぎの方が複数いる場合、別々の会社を継がせることができるため、トラブル発生を防ぎやすい

グループ会社の設立で、経営手腕があると評価されやすくなり、会社のブランドイメージ向上につながる可能性があります。

グループ会社のデメリット

デメリットは以下の表にまとめました。

コストの増加

以下の費用負担が増加する

  • 設立・運営・解散の費用
  • 税理士など専門家への費用
  • 法人住民税・社会保険料など

損益通算の適用不可

  • 赤字会社と黒字会社の所得の相殺が不可のため、納税の負担が大きくなる可能性がある
  • 親会社と子会社は別の法人のため
  • 赤字の事業があるときの節税メリットを失う可能性がある

※親会社が子会社の株式を100%保有している場合、損益通算の適用可能

税務調査の可能性が高くなる

  • 利益の調整目的で、グループ会社間の取引が行われる傾向にあるため
  • 第三者から見て適正な価格で、実態のある取引をしているのかが問われる
  • 節税目的で、同一の事業内容の会社を複数設立するのは避けるのが望ましい
  • 税務調査の結果、ペナルティを課されるリスクがある

手間がかかる

  • 設立のために各手続きを進める必要がある
  • 親会社に加え、子会社でも法人税の確定申告の義務が生じる
  • グループ全体の売上や利益を正確に把握しにくくなる

法人住民税の均等割は会社単位で課されるため、会社の数が増えると納税負担も増加します。

過度な利益調整によって、税務調査で指摘を受ける事業者も生じているため、注意が必要です。利益を相殺するために、子会社からの仕入を増やしたり売りつけたりすると、税務署から指摘を受けるリスクが高まります。

子会社設立のメリット・デメリットを比較検討し、メリットが上回ると判断した場合に、グループ会社を設立するのがポイントです。

グループ会社を設立する流れ

グループ会社を作るには、以下の手順で子会社設立の手続きを進める必要があります。

  1. 基本事項の決定:事業目的や法人名、所在地、資本金、事業年度などを決める
  2. 定款作成:絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項などを記載する
  3. 定款の認証:(株式会社の設立時)会社の本店の所在地管轄の公証役場へ提出し、認証を受ける
  4. 資本金・出資金の払込:会社設立前のため発起人の口座へ振込む
  5. 登記申請:本店所在地の管轄の法務局などへ申請する。書類の提出日が会社設立日である
  6. 設立後手続き:税務署などへ子会社設立に関する届出をする

定款作成時、記載する必要がある内容は以下です。

定款の記載事項の種類

具体的な内容

絶対的記載事項

  • 必ず記載する必要があるもの
  • 以下の内容の記載
  • 目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 発起人の氏名or名称・住所
  • 出資する財産の価額or最低額

相対的記載事項

  • 効力を発生させるときに必要なもの
  • 以下の内容の記載
  • 株式会社負担の設立に関する費用
  • 現物出資する方の氏名or名称、出資目的の財産・価額・設立時発行株式の種類・数
  • 発起人が受ける報酬・氏名or名称など

任意的記載事項

  • 記載すると拘束力を持つもの
  • 以下の内容の記載
  • 取締役・監査役の人数
  • 役員報酬の決め方など

定款の認証を受けるとき、管轄区域外での認証は無効となるため注意が必要です。

子会社設立後、税務署や市町村役場、年金事務所などに書類を提出する必要があります。書類作成などには時間や手間がかかるケースが多いため、税理士や社会保険労務士などへ依頼するとスムーズに進められます。

よくある質問

FAQ

グループ会社についてよくある質問をまとめました。以下で詳しく解説します。

グループ会社とホールディングスとの違いは?

定義や組織構造、登記の必要性などが異なります。グループ会社とは、複数の会社の集合体を示します。

一方、ホールディングスとは、複数の企業を傘下に持つ持株会社で構成されるのが特徴です。ホールディングス化するには登記が必要な反面、グループ会社の場合は特別な登記が不要です。

関連記事:ホールディングスとは?ホールディングス化のメリットやデメリット、方法をわかりやすく解説!

関連記事:中小企業のホールディングス化は正解?メリットとデメリットを解説

子会社が赤字になるメリットはありますか?

グループ通算制度の適用で、節税効果を高められる可能性があるのがメリットです。

子会社の赤字分の補填として、黒字会社の利益を減らせるためです。グループ通算制度の適用により、赤字は10年繰り越せるため、長期間にわたり節税効果が得られるケースもあります。

関連記事:グループ通算制度に節税効果?概要をわかりやすく解説!

大企業が子会社を作るのはなぜですか?

事業の専門化や新事業進出、法規則対応、リスクヘッジ、節税、人材活用などの目的があります。

子会社を作るメリットがある一方、損益通算が不可であったり、子会社の内部統制が求められたりするなどのデメリットもあります。

節税対策の相談は税理士へ

グループ会社の節税効果やメリットとデメリット、設立の流れなどを解説しました。グループ会社の設立によって、消費税の免税を受けられたり簡易課税を適用できたりする可能性があるため、節税効果が期待できます。

一方で、税務調査のリスクや設立のために手間がかかるなどの点には注意が必要です。

グループ会社設立で、税理士への報酬が増えるのではないかと不安になるかもしれません。適切な節税対策によって、結果的により多くの資金を手元に残せる可能性があります。税理士への報酬は投資の一環と考え、積極的に活用するとよいでしょう。

小谷野税理士法人は4,000社以上のサポート実績があり、適切な節税対策のアドバイスを受けられると好評です。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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