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共同経営での借入とは?仕組みと注意点を徹底解説

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共同経営での借入とは?仕組みと注意点を徹底解説

共同経営では、複数の事業者が資金や知見を持ち寄り、共に事業を進めるため大きな資金が必要になることがあります。その際に検討されるのが「借入」です。しかし、共同経営ならではの責任分担やリスク共有には注意が必要で、事前の準備と明確なルール設定が不可欠です。本記事では、共同経営における借入の仕組みや基本知識、注意点を詳しく解説しますこれから資金調達を考える方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも共同経営とは?

共同経営は、複数の事業者が資金やノウハウ、人脈などのリソースを出し合い、共通の目標に向けて1つの事業を協力して進める経営形態を指します。

単独では難しい大規模な事業展開や迅速な市場拡大、リスク分散が実現しやすい一方で、出資比率や利益配分、意思決定の方法、経営方針など、パートナー間であらかじめ役割や責任を明確化しておく必要があります。

詳細な協議を重ね、契約書などで合意内容を明文化しておくことが、安定した共同事業運営を支える基盤となります。

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共同経営における借入について

共同経営では、事業運営や設備投資などの資金を補うために借入を活用するケースが多く見られます。

共同名義での借入は、複数の経営者が連帯して返済責任を負う仕組みで、信用力の面で有利に働くケースがあります

一方、個人名義での借入は特定のパートナーが単独で責任を負う形式となり、役割や負担の明確化が特に重要でしょう。どちらの方法を選択するかは、経営方針や将来の計画に応じた慎重な判断が求められます。

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共同経営で借入をするメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

共同経営で借入を活用すると、単独経営では得られない多くの利点が期待できます。

  1. 融資審査で有利になる場合がある
  2. 大きな資金を確保しやすい
  3. 事業成長のスピードを高めやすい

融資審査で有利になる場合がある

共同経営で借入を行う最大のメリットの1つは、融資審査が有利になる点です。複数の経営者がいると、それぞれの信用情報や資産状況を合算して評価されるため、単独で申請するよりも審査が通りやすくなります。

特に新規事業やスタートアップ段階では信用実績が不十分な場合が多いですが、共同経営であれば複数人が保証人となる体制を取れるため、金融機関からの信頼を得やすく、資金調達のハードルが大きく下がります。

大きな資金を確保しやすい

大規模な資金調達を実現できる点も、共同経営で借入を行う大きな魅力です。複数のパートナーが協力して信用を補完し合うことで、1人では難しい高額の借入を実現できます。

これにより、最新設備の導入や新規拠点の開設、さらには大型プロジェクトへの投資など、スケールの大きい事業展開が可能になるでしょう。

成長のタイミングを逃さず、競争力を高めたい企業にとって、共同での資金調達は大きな推進力になります。

事業成長のスピードを高めやすい

スピード感を持って事業を成長させやすい点も、共同経営における借入のメリットです

十分な資金があれば、必要な人材の採用や設備投資、販路拡大などを一気に進められ、競合他社に先駆けて市場でのポジションを確立できるでしょう。

特にスピードが重要な分野では、迅速な資金投入が事業成功のポイントです。共同経営の強みを活かし、資金面での制約を最小限に抑えながら成長を加速できる点は大きな魅力と言えるでしょう。

共同経営で借入をするデメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

共同経営で借入を行う際には、メリットだけでなく注意すべきデメリットも存在します。

  1. 返済責任の所在が複雑になる
  2. 経営上の意思決定に影響が出る
  3. 個人信用への影響が大きい

返済責任の所在が複雑になる

共同経営における借入の大きなデメリットは、返済責任が複雑になる点です。共同名義で借入をした場合、原則として全員が連帯して返済義務を負います。

万が一、誰かが支払い不能に陥った場合でも、他の経営者がその分を負担する必要があるため、トラブルに発展しやすい点は大きなリスクでしょう。

事前に返済割合や負担の取り決めを細かく定めておかないと、信頼関係が崩れ、事業自体の存続に関わる深刻な問題に発展する可能性があります。

経営上の意思決定に影響が出る

意思決定が難しくなる点も、共同経営での借入における重要なデメリットです。借入額や返済計画、資金使途についてパートナー間で意見が食い違えば、経営方針全体がまとまりにくくなります。

特に、事業拡大を優先する派と保守的な運営を重視する派で考え方が分かれた場合、意思決定の停滞は事業チャンスの喪失や対外的信用の低下に繋がるでしょう。事前に議決ルールを定め、意見調整の仕組みを整えておく必要があります。

個人信用への影響が大きい

個人の信用情報に直接影響する点も、共同経営での借入におけるデメリットです。共同名義の借入では、全員が連帯保証人となるケースが多く、仮に返済が滞った場合には個人の信用履歴に記録され、将来的なローンやクレジット契約に制約が生じる可能性があります。

事業失敗の際には私的資産の差し押さえリスクも生じるため、個人としても重大なリスクを負う覚悟が必要でしょう。借入の際には、事業計画だけでなく個人の将来設計も十分に考慮する必要があります。

共同経営における借入のトラブル例

個人事業主と税務調査官

共同経営での借入は多くのメリットがある一方で、パートナー間の信頼関係が崩れると深刻なトラブルに繋がります。以下では、共同経営時に起きやすいトラブル例を紹介します。事前に必要な対策や注意点を理解し、リスクを回避する参考にしてください。

返済割合の不明確さから全額負担を強いられた

返済割合を文書化せず口頭のみの合意にとどめていた結果、一方のパートナーが途中で返済を拒否し、残りのメンバーが全額を肩代わりする事態に陥ることがあります

正式な契約書が存在しなかったため、法的にも主張が通らず、大きな損失を被りました。信頼関係が崩壊し、経営そのものが不安定になった典型例です。

資金使途の不一致で経営が混乱した

資金の使い道について具体的な取り決めがないまま借入を行ったため、経営方針をめぐって深刻な対立が起きることもあります

一方が広告や設備投資に積極的に活用したいと考えていたのに対し、もう一方は運転資金の確保を重視しており、双方の意見が激しく衝突しました。最終的に意思統一ができず、事業撤退に追い込まれる結果となりました。

担保設定で一方に過剰な負担が集中した

担保提供の範囲や役割を具体的に決めていなかったため、1人のパートナーの個人資産がすべて担保に取られる結果となることもあるでしょう。

他のメンバーは一切リスクを負わず、責任のバランスが崩壊しました。この経緯により信頼関係が完全に破綻し、最終的に法的紛争へと発展しています。

解散時の負担決定で紛争に発展した

共同経営の解散時、借入返済の負担割合について具体的な合意がないまま進めたため、パートナー間で深刻な対立が生じるリスクもあります

一方は「出資比率に応じた返済」を主張し、もう一方は「事業貢献度に応じた負担」を主張して譲らず、調停や裁判に発展しました。多額の費用や時間的損失が生じ、関係修復も困難になった典型的な紛争例です。

共同経営の借入で注意すべき5つのポイント

社員旅行における福利厚生のイメージ

共同経営における借入は、複数人で責任を共有する特性があるため、慎重な準備と明確な取り決めが欠かせません。特に意識しておきたい以下5つのポイントについて解説します。

  1. 返済負担の取り決めを明確にする
  2. 保証人や担保の役割を共有する
  3. 万が一の解散時の対応を決めておく
  4. 会計処理と資金使途の管理を徹底する
  5. トラブル防止のため契約書を作成する

返済負担の取り決めを明確にする

返済負担の割合を明確に定める作業は、共同経営で借入を行う際に最も重要なポイントです。

返済額や負担方法を曖昧にしたまま進めると、予期しない負担が一部の経営者に集中し、深刻な対立や信頼関係の崩壊を招くリスクが高まります。

共同経営契約書には返済スケジュールや各自の負担割合、追加出資の有無などを詳細に盛り込み、後から修正が発生しないよう慎重に取り決めておきましょう。

保証人や担保の役割を共有する

保証人や担保の役割を明確にしておく準備は、共同経営の借入に欠かせません。保証や担保の負担が不公平になると、一部のパートナーに過度なリスクが集中し、経営関係の悪化や法的トラブルに直結します。

誰が保証人になるか、どの資産を担保にするかなど、詳細を事前に合意し、文書に残しておきましょう。役割を共有し理解を深める姿勢が、パートナー間の信頼維持に繋がります。

万が一の解散時の対応を決めておく

事業解散時の借入返済に関する取り決めを事前に定める姿勢が、将来的なトラブル防止に役立ちます

共同経営がうまくいかなくなった場合やパートナー間で意見が一致しなくなった際、残債や資産の扱いをめぐって混乱が起きやすくなります。

返済負担の割り振り、資産処分の方法、解散後の清算手続きなどをあらかじめ決めておけば、スムーズかつ円満に解散を進められ、各自の負担も最小限に抑えられるでしょう。

会計処理と資金使途の管理を徹底する

借入金の会計処理と使途管理を厳格に行う姿勢は、共同経営の信頼関係を維持するうえで不可欠です。

資金使途が不明確な場合、無駄遣いや不正使用の疑念が生じ、パートナー間の信頼が揺らぎます。

使途を明確に定め、定期的に会計報告を実施し、全員で内容を確認する仕組みを整えましょう。透明性を確保すれば、健全な経営運営と円滑な資金活用が実現します。

トラブル防止のため契約書を作成する

書面で契約書を作成する取り組みは、共同経営の借入における基本中の基本です。口頭だけの約束では、後から認識の違いが生じ、深刻なトラブルに発展する可能性があるでしょう。

契約書には借入額、返済計画、負担割合、万一の対応策などを細かく記載し、全員が内容を十分に理解したうえで署名する必要があります。正式な文書に残す作業が、後の紛争防止と法的保護に役立ちます。

共同経営の借入に関するよくある質問

共同経営での借入は、パートナー間での合意形成や法的な手続きが複雑になるため、疑問や不安を抱える方が多いです。以下で、よく寄せられる代表的な質問を取り上げます。判断材料としてぜひ参考にしてください。

借入額は出資比率に応じて決めるべきですか?

原則として、借入額や返済負担は出資比率に合わせて決めるのが公平ですが、必ずしも法律で決まっているわけではありません

各パートナーの資金力や今後の事業方針に応じて柔軟に決めることが可能です。しかし、後々のトラブルを防ぐためには、事前に全員で詳細に協議し、合意内容を契約書に明記しておく必要があるでしょう。

曖昧な取り決めは信頼関係を損ない、経営に大きな影響を与えるリスクがあるため注意してください。

連帯保証は必ず必要ですか?

金融機関によっては、共同経営者全員に連帯保証を求めるケースが多いですが、必ずしも全員が保証人になる必要はありません。

事業内容や信用状況、借入条件によっては保証人の範囲を限定できる場合もあります。連帯保証に伴う個人リスクを軽減するために、保証内容の交渉や経営者保証に関するガイドラインの活用、保険の加入などを検討するとよいでしょう。

事前に金融機関と十分に協議し、最適な方法を選んでください。

関連記事:法人が融資を受けるときには保証人が必要?連帯保証人にならない方法とは

トラブルが起きたときの法的対応はどうすればよいですか?

トラブルが発生した場合は、まず契約書に記載された内容を基に解決するのが基本です契約に従って話し合いを進めることが優先されますが、解決が難しい場合には弁護士などの専門家に相談し、法的手続きの検討が必要です。

特に返済責任の所在や資産処分に関する問題は、感情的な対立に発展しやすいため、専門家の客観的な視点が欠かせません。早めに専門家へ相談すれば、損失や関係悪化のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

共同経営の借入でお悩みの方は専門家に相談

共同経営の借入には、返済責任や資金使途の管理など多くのリスクが伴います。これらを適切に整理・契約しないと、将来的に深刻なトラブルへ発展する恐れがあるでしょう。そうしたリスクや負担を適切に整理するためには、専門家への相談をおすすめします

小谷野税理士法人では、共同経営の資金計画などに対応しています。安心して経営を進めるためにも、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

どんな些細な質問でも大丈夫です。「これって経費?」の一言から、専門家が丁寧にお答えします。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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