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共同経営から抜ける手続きとは?具体的な進め方と注意点を解説

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共同経営から抜ける手続きとは?具体的な進め方と注意点を解説

共同経営は事業拡大や経営資源の補完に有効ですが、経営方針の違いや個人的事情により「抜けたい」と考えるケースも少なくありません。しかし、正しい手続きを踏まないと法的リスクや金銭トラブルが発生する恐れがあります。本記事では、共同経営から抜ける際の手続き、注意点、脱退後のリスクについて詳しく解説します。共同経営からの脱退を検討している方や、将来的に備えたい方は最後までご覧ください。

そもそも共同経営とは

共同経営とは、複数の個人や法人が資金や人材、ノウハウを出し合い、協力して事業を運営する仕組みを指します。

信頼関係を基盤に、それぞれが役割を分担しながら、リスクと利益を共有できるのが大きな特徴と言えるでしょう。

共同経営は、事業のスピード感ある成長や経営資源の補完が期待できる一方で、経営方針の違いや責任分担の不明確さが将来的なトラブルの原因となる場合もあります

特に、方針の食い違いや資金面での負担が大きくなると、「共同経営から抜けたい」と考えるケースもあるでしょう。

こうしたリスクを避けるためにも、あらかじめ契約内容をしっかりと決めておくことが大切です。

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共同経営から抜ける主な理由

共同経営は信頼関係を基盤にした仕組みですが、前述したように、状況の変化によって脱退を選ぶ場面が訪れる可能性があります。では、どのような理由で抜けるという選択をするのでしょうか。

経営方針の違いによる対立

共同経営では経営者それぞれが異なる価値観や目標を持っているため、方針の違いが対立の大きな原因になります。

事業拡大のスピード感や投資判断が合わないと、判断が停滞して強いストレスを生みます。対立が続くと理想の方向に進めなくなり、最終的に抜ける決断を選ぶケースが多いでしょう。

健康や家庭事情など個人的な理由

共同経営者といえども、健康問題や家庭の事情は避けられない重要な要素です。

体調不良や家族の介護、ライフスタイルの変化などにより経営に専念できなくなり、継続が難しくなるケースがあります。特に小規模経営では、一人の脱退が全体に大きな影響を及ぼすため、周囲の負担も増します。

資金繰りや経済的負担の増加

共同経営を続けるには資金面での安定が欠かせませんが、状況によっては負担が予想以上に増える場合があります。

売上の伸び悩みや追加投資、借入返済の重圧が重なると精神的・経済的負担が増大し、耐えきれずに脱退を決意するケースも多いです。

共同経営から抜ける際の基本的な手続き

共同経営から抜けるときは、感情だけで決断せず、契約や法律面をしっかり確認しながら進める必要があります。どのような準備や手続きを踏めば円滑に脱退できるのか、脱退時に押さえるべき以下4つのステップを解説します。

  1. 契約書や定款を必ず確認する
  2. 出資金や利益の精算方法を決定する
  3. 債務保証や保証人からの解除を忘れずに
  4. 関係機関への届出や登記の変更を行う

契約書や定款を必ず確認する

脱退を考えたら、まず共同経営契約書や定款を確認する必要があります。脱退条件や違約金、通知期限などが詳しく記載されています。

これらの内容を把握せずに進めると、予期せぬ法的トラブルや追加費用が発生する恐れがあるため、契約書の内容を理解した上で適切な段取りを整えましょう。

出資金や利益の精算方法を決定する

脱退時には、これまで出資した資金や未分配の利益をどのように扱うかを決める必要があります。契約内容に沿わず進めると、相手側との金銭トラブルに発展しやすいです。

公正で透明性の高い計算方法を用いて、双方が納得できる形にまとめてください。事前に合意した方法に基づいて精算を進めれば、円滑な関係維持が期待できるでしょう。

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債務保証や保証人からの解除を忘れずに

共同経営者として会社の借入などに保証人として関わっている場合、脱退時に保証契約の解除が必要です。解除を忘れると、後に想定外の返済請求を受ける恐れがあります。

負担や責任が将来にわたって続くリスクを回避するためには、保証解除の確認と手続きを確実に進めましょう。

関連記事:社長交代するための手続き一覧:必要な費用とリスクを確認

関係機関への届出や登記の変更を行う

脱退後は、税務署や自治体、取引先などへの届出が求められるケースがあります法人の場合は、法務局で役員変更登記を行う必要があり、この手続きを怠ると法的責任が残り続けるリスクがあります。

外部との信頼関係を保ち、不要なトラブルを防ぐためにも、必要な手続きを早めに進めましょう。

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共同経営から抜ける際の注意点5つ

指差しとポイント

共同経営から抜けるときは、単に契約やお金の整理をすれば良いわけではなく、事前に確認しておくべき注意点がいくつもあります。気をつけるべき5つの点について詳しく解説します。

  1. 契約内容を曖昧にしない
  2. 事前に関係者と合意形成を行う
  3. 税務・社会保険上の影響を把握する
  4. 顧客や取引先への対応を計画する
  5. 弁護士や税理士など専門家に相談する

契約内容を曖昧にしない

契約内容が不明確なまま脱退を進めると、後々大きなトラブルを引き起こす原因になります。特に、脱退条件や出資金の精算方法は明確に確認しておく必要があります。

事前に取り決めが整理されていれば、想定外の金銭的負担や訴訟リスクを防げるため、信頼関係を守りつつ円滑な脱退を実現するために、契約を細かく見直しましょう。

事前に関係者と合意形成を行う

抜ける際は、他の経営者と十分に話し合い、合意を形成する準備が必要です。合意がないまま進めると信頼関係が崩れ、最悪の場合には訴訟に発展する恐れがあります

計画的に情報を共有し、双方の意見を尊重しながら進めれば、予期せぬ対立を防ぎ、残る経営陣との関係を維持できるでしょう。

税務・社会保険上の影響を把握する

共同経営から脱退すると、個人の税務負担が増えたり、社会保険の加入状況が変わったりする可能性があるため注意しましょう

準備が不十分だと、予想外の税金負担や保険料負担に直面してしまうため、事前に税理士など専門家へ相談し、どのような影響があるかを把握しておくと安心です。

顧客や取引先への対応を計画する

共同経営者の脱退は外部の関係者にも強い印象を与えます。突然の報告で不信感を招くと、信用低下や契約の見直しに繋がる恐れもあるでしょう。

計画的に引継ぎ準備を進め、顧客や取引先に対して適切なタイミングと方法で説明を行うことが大切です。

信頼を維持しながら事業を円滑に続けるためにも、周囲への影響を最小限に抑える丁寧な対応を行いましょう。

弁護士や税理士など専門家に相談する

脱退を自己判断で進めると、法的トラブルや思わぬ税務リスクが生じる恐れがありますが、弁護士や税理士に相談することで、不安や疑問を解消し、複雑な手続きも正確に進められるでしょう

専門家のサポートを活用すれば、リスクを防ぎ、将来的な経営の安定にも繋がります。

共同経営からの脱退後に発生するリスク

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共同経営から脱退したからといって全ての責任が消えるわけではなく、さまざまな問題が後から表面化する可能性があります。どのようなリスクが考えられるのか、以下で解説します。

訴訟や損害賠償請求のリスク

脱退後でも、契約や手続きが不十分だと元共同経営者から損害賠償や訴訟を受ける可能性があります。

合意が曖昧なままだと金銭面だけでなく信用面にも大きなダメージを与える恐れがあり、結果として予想外の費用や時間を要する事態に発展します。

法的トラブルを防ぐには、契約内容を正確に確認し、法的に問題のない形で整理を進める準備が重要です。

競業避止義務の違反

脱退後も一定期間、同業種での活動を制限する「競業避止義務」が契約で定められている場合があります

これを無視すると損害賠償請求や営業停止などのペナルティを受けるリスクが高く、新たな事業や独立に大きな障害となります。

独立や新規事業を考えている場合は、事前に契約書をしっかり確認し、条件や制限を把握した上で計画を立てましょう。

名義変更遅延によるトラブル

脱退後に名義変更や代表者変更を怠ると、予期せぬ法的責任を負わされる恐れがあります

書類や契約上の名義が残ったままだと、将来的に思わぬトラブルや債務請求が発生し、信頼の低下にも繋がるでしょう。

信頼関係を守るためには、脱退後に必要な手続きを迅速かつ確実に進める必要があります。

取引先や従業員からの信用低下

共同経営者の脱退は、取引先や従業員にとって大きな不安要素になります。「経営が不安定なのでは」と疑念を持たれ、契約終了や人材流出、顧客離れが起こる可能性があります

信頼を維持するためには、脱退の理由や今後の体制を丁寧に説明し、スムーズな引継ぎを徹底しましょう。外部との信頼関係を損なわず、事業を安定させるための慎重な対応が必要です。

未払債務に関する連帯責任

脱退後も、脱退前に発生した債務について連帯責任を問われるケースがあります。保証解除が不十分だと、後になって予期せぬ請求が来る恐れがあり、個人資産にまで影響が及ぶ可能性も否定できません。

こうしたリスクを避けるには、保証契約や負債の整理を脱退前に徹底して確認し、必要な解除手続きを終えることが重要です。

知的財産やノウハウをめぐる使用トラブル

共同で築いた商標、サービス名、顧客リストなどの知的財産は、脱退後の使用方法を巡りトラブルになるケースがあります新事業で利用したい場合でも、契約や合意が曖昧だと法的問題に発展します。

こうした争いを防ぐには、脱退前に権利関係を明確に整理し、使用条件をしっかり確認しておきましょう。将来の事業展開に悪影響を及ぼさないためにも慎重な対応が必要です。

共同経営から抜ける手続きでよくある質問

疑問を持っている男性

共同経営から抜ける際には、手続きや精算に関して多くの疑問が生まれます。以下で、特によく寄せられる質問について紹介します。

途中脱退は違約金が発生しますか?

約金が発生するかどうかは契約内容によります。契約書に脱退時の条件として違約金が定められている場合、その支払い義務が生じます。

事前に契約書を細かく確認し、どのような条件で違約金が発生するのかを把握しておきましょう。不安がある場合や内容が複雑な場合は、専門家に相談してリスクを確認すると安心です。

脱退後の出資金はいつ返金されますか?

出資金の返金時期は、契約書に記載された精算方法や条件により異なります。原則として、脱退後に精算手続きが完了した後に返金されますが、債務や未処理の費用がある場合、返金までに時間がかかるケースもあります。

スムーズに進めるには、事前に返金条件やスケジュールをしっかり確認し、必要に応じて合意内容を書面で明確にしておく準備が必要です。

共同経営の看板や商号はどうなりますか?

看板や商号の扱いは契約内容に大きく左右されます。共同で使用していた商号やブランド名は、脱退時に使用権を失う場合があり、その後の事業に影響が及ぶ恐れがあるでしょう。

新たな事業を継続したい場合や同じ名称を使いたい場合は、事前に契約書を確認し、条件を整理しておいてください。

共同経営からの脱退をお考えの方は専門家に相談

共同経営から抜けるには、契約や登記、税務、対外的な説明など多方面で複雑な手続きが必要です。これらを自己判断で進めると、思わぬ法的リスクや金銭トラブルに巻き込まれる可能性があるでしょう。

事前に専門家へ相談することで、スムーズに手続きを進め、不要なリスクを回避できます

小谷野税理士法人では、共同経営の脱退に関する税務・会計支援や法的アドバイスも提供しています。安心して経営を整理し、新たなスタートを切るためにも、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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