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共同経営で赤字が出たらどうする?トラブル事例と解決策を分かりやすく解説

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共同経営で赤字が出たらどうする?トラブル事例と解決策を分かりやすく解説

共同経営は、複数の経営者が協力して事業を進める形態であり、単独経営では得られないメリットを享受できる可能性があります。その一方で、金銭トラブルや意思決定の停滞、責任の所在が曖昧になるなど、複数人での経営ならではのリスクもあるのでご注意ください。本記事では、共同経営における主な課題とその解決策、円滑な経営を実現するためのポイントを解説します。

共同経営で赤字になったらどうする?

赤字のイメージ

共同経営は、複数の経営者が資金や労力を持ち寄り、リスクと利益を分担する仕組みです。しかし、事業は常に順調にいくとは限らず、時には赤字に転落することもあります。その際に適切な対応を取れるかどうかが、経営の継続や関係性の維持に大きく影響します。

原因を明確にする

まずは、赤字の原因を客観的に分析することが重要です。

売上減少による赤字なのか、経費の膨張によるものなのかで対策は大きく変わります。

例えば、新規顧客の獲得が思うように進まず売上が下がっているのであれば、営業手法やマーケティング戦略の見直しが必要です。一方で、固定費が膨らみすぎているのであれば、オフィス家賃や人件費など支出面の削減を検討すべきでしょう。

資金繰りを確認する

赤字が続いた場合、最も深刻なのは資金ショートです。資金繰り表を作成し、いつまで現在のキャッシュで持つのかを明確にしましょう。その上で、追加出資や金融機関からの借入が必要かどうかを判断します。

役割と責任を整理する

赤字が出ると、互いに責任を押し付け合う状況になりがちです。しかし、原因追及と責任追及は切り分けて考える必要があります。大切なのは「誰が悪いか」ではなく「今後どう立て直すか」です。

そのためにも、経営陣それぞれの役割と責任範囲を改めて明確にしましょう。営業戦略は誰が主導するのか、コスト管理は誰が担当するのか、意思決定はどのようなプロセスで行うのかを整理することで、再建に向けた動きがスムーズになるはずです。

共同経営解消の条件を決めておく

最終的に、事業の継続が難しいと判断する場合もあります。その際に備えて、事前に「共同経営解消の条件」を取り決めておくことが重要です。

例えば、以下のようなルールが考えられます。

  • 一定期間連続で赤字が続いた場合には解消を検討する
  • 債務超過になった場合は清算に入る
  • 解散時の残余財産や債務の負担割合は出資比率に応じる

これらは契約書や合意書として明文化しておくことをおすすめします。口約束のままでは後々トラブルに発展しやすく、共同経営者同士の関係悪化を招く恐れがあるからです。

共同経営で起こりうる問題と解決法

赤字・損益計算

共同経営は、資金や経験、スキルなどを補い合い、事業を推進できる点が大きな魅力です。しかし、複数人での経営だからこそ生じる課題も存在します。特に、金銭面でのトラブル、意思決定の遅れ、責任分担の曖昧さは、共同経営がうまくいかなくなる要因となり得ます。

こうしたリスクを回避するには、あらかじめ起こりうる問題を理解し、適切なルールや体制を整えることが重要です。ここでは、共同経営で直面しやすい主な問題について紹介します。

関連記事:個人事業主の共同経営は可能?主な形態や親子・友人・夫婦との経営について

金銭面に関するトラブル

共同経営では、お金に関するトラブルが発生しやすい傾向にあります。特に、事業への出資額や利益・損失の分配の割合について明確な取り決めがないまま事業を始めると、後々の対立に発展する可能性も。

例えば、出資比率に応じて決定権が左右されるにもかかわらず、その割合が曖昧であるケースには注意が必要です。法人化している場合は株の保有比率が経営の決定権に直結するため、出資金や出資比率については十分な話し合いと合意形成が必要です。

融資を受ける際の連帯保証などもトラブルに発展するリスクを伴うため、事前に協議しておきましょう。

赤字が出た場合の負担割合で揉める

共同経営において、事業が赤字になった際の損失負担の割合をめぐってトラブルが起こることがあります。出資比率や貢献度にかかわらず「赤字分を単純に折半する」とあらかじめ決めていたとしても、後になってから「赤字額が大きいから例外にしたい」といった意見の食い違いが生じるケースも少なくありません。

特に契約書などで明確な取り決めをしていない場合、このような問題はより深刻になりがちです。民法上、組合契約において損益分配の割合を定めていない場合は、各組合員の出資額に応じて分配・負担するのが原則とされています。

共同経営の形態が組合契約に該当する場合は、出資金額に基づいた負担が求められますが、事前に合意がないとトラブルに発展するリスクは高まります。最悪の場合、事業の継続が困難になるケースも考えられるため、事前の話し合いが大切なのです。

参考:第1款 組合事業による損益|国税庁

関連記事:出資比率とは?メリットやリスク、経営権との関係を解説 

報酬や給与に関する不満が発生する

業務内容や貢献度が異なるにもかかわらず、報酬を均等に分配する取り決めになっている場合、より多くの負担をになっている側が不公平に感じる可能性があります。

また、事業の利益が想定よりも少なかった場合や赤字になった際に、当初決めていた報酬額を支払えなくなるケースもあり、それが不満の要因となることもあるでしょう。

こうしたトラブルを避けるためには、各共同経営者の役割や責任範囲を明確にし、それに見合った報酬体系を定めることが重要です。貢献度の評価基準や報酬への反映方法について、具体的なルールを定めておけば、公平感を保ちやすくなります。

関連記事:社長給与の決め方とは?中小企業の役員報酬の相場と節税のコツ

資金の出し合いによる対立が起きる

特に、事業の拡大や新規投資、運転資金が不足などで追加出資が求められる場面では、経営者ごとの経済状況や資金繰りに対する考え方の違いから意見が割れることがあります。

出資比率に応じて追加出資の割合を決めていても、負担が大きい場合は出資に難色を示すことも考えられます。

また、金融機関から融資を受ける場合、連帯保証をめぐってトラブルが発生するケースもあるでしょう。こうしたリスクを回避するためには、事業計画の段階で将来的な資金ニーズを予測し、出資や資金調達に対するルールを事前に定めておくことが大切です。

出資金や出資比率の変更に関する手続きについてもあらかじめ合意しておけば、円滑な経営判断ができるようになるでしょう。

共同経営における責任の所在が明確でない

共同経営では、複数の経営者が関わることによって、責任の所在が曖昧になるリスクがあります。業務上のミスや問題が発生した際に「誰が責任を負うのか」がはっきりしていないと、責任のなすりつけ合いが生じ、経営者間の信頼関係が損なわれる原因となるのです。

特に、事業が思うように進んでいない状況では、この問題が深刻化し、事業の立て直しが難しくなることもあります。

また、借入や契約の名義についても、個人名義か法人名義なのかにより責任の範囲が異なります。法人化している場合は、原則として法人が責任を負いますが、個人保証をしている場合は個人にも責任が及ぶ点には注意が必要です。

こうしたリスクを避けるには、経営者それぞれの役割と業務範囲を明確にし、どの領域に誰が責任を持つのかを具体的に定めておきましょう。あわせて、共同経営契約書に責任分担を明記することで、万が一のトラブルも未然に防げます。

共同経営解消に関するトラブル

共同経営を始めても、事業の方向性の違いや金銭的な問題、あるいは人間関係の悪化などを理由に、共同経営の解消を考え始めることがあるかもしれません。しかし共同経営は、一度始めると解消が容易ではないケースもあるため注意が必要です。

例えば、事業の所有権や資産が共同名義になっている場合、その分配や清算に関して意見が対立し、解消手続きが難航することも。特に、共同経営契約書で解消に関する取り決めがない場合には、財産や負債の扱いに明確な基準がなく、トラブルになりやすいのです。

共同経営を解消したいと考えた場合、まずは感情的にならず冷静に状況を整理しましょう。必要に応じて弁護士などの専門家に相談することを推奨します。

事業を始める段階から万が一を考え、解消のプロセスや条件について、経営者間でしっかりと話し合い、合意書を作成しておくのがポイントです。

関連記事:【無料有り】会社設立の相談先一覧|失敗しないための選び方も解説

共同経営を成功させる3つのポイント

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共同経営を円滑に進め、事業を成功へ導くには、単に事業のアイデアや資金を共有するだけでは不十分です。経営者同士が信頼関係を築き、お互いを尊重しながら協力体制を確立することが大切です。ここでは、共同経営を成功に導くための3つのポイントを紹介します。

お互いの不足部分を補い合う

共同経営では、経営者それぞれが持つ強みと弱みを理解し、補完し合うことが重要です。個人事業の場合は、1人で事業のすべてを背負わなければなりません。

しかし、共同経営であれば資金力や経営ノウハウ、専門知識、営業力など、それぞれの強みを活かして役割を分担し、より大きな成果を生み出せます。

例えば、一方が製品開発に強みを持っているのなら、もう一方がマーケティングや営業を担当するといったように役割分担すれば、効率的に業務を進められるのです。

お互いの専門性を尊重し、それぞれが得意な分野に集中できる環境を整えることが、事業全体の成長にもつながるでしょう。

人脈を活用する

共同経営の大きなメリットの1つに、それぞれの経営者が持つ人脈を活用できる点が挙げられます。1人で起業する場合と比べて、活用できるネットワークが広がり、事業機会も拡大できる可能性があります。

一方が仕入れ先や製造に強いコネクションを持っていて、もう一方が販売ルートや顧客とのつながりを築いている場合などが良い例です。それぞれの人脈を活かすことで、仕入れから販売までのプロセスが格段にスムーズになることもあるのです。

こうしてお互いのネットワークを積極的に共有すれば、普段はなかなか得られない情報や新しいビジネスチャンスにも手が届きやすくなり、事業の成長スピードを高められるでしょう。

経営上の意思決定方法を決めておく

経営上の意思決定プロセスをあらかじめ明確にしておく重要性は、ここまでの内容からもご理解いただけるでしょう。

意思決定に関する対立のリスクを避けるには、どのような事項について誰が決定権を持つのか、意見が分かれた場合の判断基準や合意形成の手順を、あらかじめ取り決めておくことが重要です。

例えば、重要な決定は全員の合意を必要とし、日常的な業務に関する判断はそれぞれの担当者に委ねるといったルールをあらかじめ決めておけば、意思決定のスピードと柔軟性の両方を保てます。

設定した条件などは、共同経営契約書などの書面に明記しておくことが望ましいでしょう。

関連記事:夫婦で起業するなら個人事業主?法人?それぞれの節税対策を解説 

まとめ

共同経営は、資金やノウハウを補い合いながら事業を進められる一方で、金銭トラブルや意思決定の遅れ、責任の曖昧さなどのリスクも伴います。特に友人や知人との経営では、関係性の曖昧さからトラブルに発展しやすいため注意が必要です。

このような失敗を防ぐには、事前にお互いの役割や責任範囲、出資比率、利益や損失の分配方法、解消時の対応などを具体的に話し合い、共同経営契約書として書面に残しておくことが重要です。

また、普段からこまめにコミュニケーションを取り合うなど、信頼関係を築き続けるための努力も必要です。そうした積み重ねで、共同経営を成功へ導いていけるでしょう。

共同経営についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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