税理士変更をする場合、必要書類として何を準備したらよいのでしょうか?税務や会計の専門的なサポートを受ける税理士の変更を検討したとき、できるだけ円滑に手続きを進めたいと願うケースがほとんどでしょう。この記事では、税理士変更をスムーズに進めるための必要書類、準備や手続きのポイントについて解説します。業務に支障をきたすことなく、税理士を変更するために、参考にしてみてください。
税理士変更をご検討の方は、ぜひ小谷野税理士法人までお問い合わせください。
変更が初めての方でもご安心いただけるよう、丁寧にご説明・ご案内いたします。
目次
税理士変更に伴う手続きの流れと注意するべきポイント
税務や会計のサポートを受けていた税理士の変更を検討する理由はさまざまです。いかなる理由で税理士を変更するにしても、適切な流れに沿って手続きを進めることが望ましいです。ここでは、税理士を変更する大まかな流れと、注意点について詳しく解説します。
新しい税理士を探す
まず、新規で依頼する税理士を探しましょう。とはいえ、見つけた税理士にすぐに依頼するのはNGです。税理士によって得意領域や自分との相性が異なるためです。
また、税務や会計業務への支障を避けるためには、税理士が不在となる期間が発生しないようにするのが望ましいです。また、税理士を探すのに思いのほか時間がかかることがあるため、余裕を持って税理士を探しましょう。
税理士を探す手段として、以下の方法が挙げられます。
- 知人の紹介
- 税理士紹介サイト
- インターネットで検索する
- 税理士会
- 商工会議所
- 異業種交流会に参加する
さまざまな方法で税理士を探し、良さそうな税理士が見つかったときは、税理士との相性を対面で確認することが大切です。
併せて、税理士に依頼したい業務と要望を含め詳細を伝えることで、費用や相手の税理士の対応など、より詳しい情報を入手できるはずです。
関連記事:【税理士監修】税理士変更の体験談公開!どんな理由?効果は?税務調査が入るって本当?
顧問契約書の契約期間を確認する
顧問税理士を変更する場合、必ず現在の税理士との顧問契約書の契約期間を確認しましょう。顧問税理士の解約は、個人事業主や法人の判断に委ねられています。
とはいえ、解約の時期を自由に決められるわけではありません。顧問契約書には契約期間が明記されており、契約書の内容に違反しないタイミングで解約を申し出ることが、円満な解約につながるからです。
例えば、契約書に「契約満了日の1カ月前までに双方より意思表示がない場合、契約を自動更新する」という記載があったとします。その際、契約満了日の14日前に解約を申し出ても、相手の税理士は契約解除を認めないと主張する権利があります。
顧問税理士の変更に伴う解約を検討したときは、円満に解約手続きを進めるためにも、顧問契約書の契約期間を遵守したうえで、解約を申し出ましょう。
契約書に記された契約期間に反する時期での契約解除を希望する場合は、相手の合意が必要です。相手の税理士と話し合い、場合によっては違約金を支払って契約解除するなど、円滑に解約できるように努めましょう。
税理士に契約解除について伝える
契約期間について確認したら、税理士に契約を解除したい旨を伝えましょう。契約を解除する際に注意しておきたいポイントが3つあります。各ポイントについては以下の通りです。
①解約の時期は明確に伝える
契約書の契約期間を確認したうえで、契約内容に反しないタイミングを踏まえ、「〇月いっぱいで契約終了にしたい」といったように、具体的な解約期日を伝えましょう。
②電話やメールで記録を残しておく
解約について伝える際は、電話やメールで記録を残しておきましょう。解約について双方の認識に相違があると、トラブルの原因になり得ます。解約に関するやり取りを電話でする際には、通話内容を録音しておく、メールにて連絡する際は、送信と受信メールを保存しておくことをおすすめします。
また、可能であれば「顧問契約解除合意書」を取り交わしましょう。契約解除の際の必須書類ではありませんが、契約期日などを明記することでトラブル予防につながるからです。
③相手に配慮して伝える
相手の税理士を不快な気持ちにさせない解約理由を伝えることです。例えば「相談しても返信が遅かった」「他に依頼したい税理士が見つかった」といったように、本当の解約理由を伝えた場合、相手の税理士の気分を害するかもしれません。
これまでお世話になった税理士に不快な気持ちを抱かせることは、その後の手続きが円滑に進まなくなる原因になり得ます。
例えば、「知り合いの税理士に依頼することになった」「コストを削減する必要性が高まった」など、致し方ない理由を伝えるようにします。
また、今までお世話になったことに対する感謝の気持ちを伝えることで、相手の税理士を嫌な気持ちにさせないことが大切です。
関連記事:【税理士監修】[例文付き]税理士変更の断り方!コツと円満に断る方法とは?
税理士から必要書類を回収する
顧問税理士から契約解除に合意が得られたら、次の税理士に引継ぎをするための必要書類を回収します。
必要書類は、解約を申し出る前に回収するのが望ましいです。解約を申し出てから書類の返却を依頼した場合、快く応じてもらえないことがあるからです。
税理士から書類を回収する際は、「今後の参考のために、過去のデータを確認したい」といったように、もっともらしい理由を述べましょう。
都合により、解約を告げる前に必要書類を回収できないことも起こり得ます。そこで、滞りなく引継ぎが進むように、解約を告げる際に気分を害さないようにするのはもちろん、相手に対して終始丁寧な対応を心がけましょう。
関連記事:【税理士監修】税理士が合わないと感じたら税理士変更がおすすめ!税理士不満ランキング
税理士を変更する際に用意しておく必要書類
新しい顧問税理士に円滑な引継ぎをするためには、さまざまな書類が必要です。社内で保管している書類もありますが、見当たらないときは税理士が保管している可能性が高いため、早めに回収しましょう。ここでは、税理士変更に伴う、必要な書類について詳しく紹介します。
決算に関する書類
顧問税理士と契約している場合、税理士が決算に関する書類を作成しているはずです。
- 法人税の申告書
- 都道府県民税事業税特別法人事業税の申告書
- 市町村税の申告書
- 消費税の申告書
- 償却資産税の申告書
などが該当します。他にも、決算書や年末調整関連の書類についても、直近3年分を用意しておくと、円滑な引継ぎに役立ちます。またe-TaxとeLTAXの利用者識別番号と暗証番号も、申告時に必要となるため、用意しておきましょう。
関連記事:【税理士監修】税理士変更は決算書が引継ぎのカギ?ベストタイミングや手続きの流れを徹底解説
届出書と申請書
会社設立から長期間経過している、本社の移転や社屋の建て替えなどに該当する場合、必要となる書類がいくつかあります。
届出書として、以下に関連する書類が該当します。
- 法人設立届
- 棚卸資産
- 減価償却方法
- 為替換算方法
- 消費税
- 給与支払事務所などの開設
申請書としては、以下の書類が該当します。
- 青色申告承認申請書
- 源泉所得税の納期の特例承認
上記の書類は、一例であり、状況によって必要な届出書や申請書が異なります。申請や届出をしてから、時間が経過している場合、保管先を忘れていて書類を探すのに手間取るかもしれません。
そのため、余裕を持って準備をすることが重要です。
会計関連の書類
日々の記帳を顧問税理士に依頼していた場合は、以下の会計関連の書類も回収対象です。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 試算表
- 帳票書類(請求書や領収書)
自社で記帳を行っていた場合は、上記で紹介した仕訳帳や試算表などの必要なデータを抽出して新しい税理士に渡します。会計関連の書類についても、直近3年分を目途に用意しましょう。
その他の必要書類
会計関連の書類だけでなく、下記書類も必要な場合があります。
- 定款
- 商業登記簿謄本
登録関連の書類は法務局にて入手できるはずです。また、定款が見つからないときは、定款作成を依頼した専門家に確認します。
他にも、新しい税理士から必要書類について依頼があるかもしれません。会計や税務の基本的な書類に加えて、どのような書類が必要なのかを新しい税理士と事前に打ち合わせしておくと、漏れなく必要書類を準備できるでしょう。
小谷野税理士法人では、税理士変更に伴う必要書類の準備についてもサポートしています。
「何を準備したらいいのか分からない」とお悩みの方は、ぜひご相談ください。
税理士変更の際に注意しておきたいこと
税理士を変更することになったとき、業務への支障をできる限り避けるために、注意するべきポイントがいくつかあります。ここでは、注意点について詳しく紹介します。
事前に計画を立てること
税理士の変更は短期間では進められません。そのため、事前に計画を立てておくことをおすすめします。税理士の変更にかかる期間は、税理士探しや引継ぎの状況によって数週間から数カ月程度と幅があります。
現在顧問契約を結んでいる税理士との契約期間が終了した場合は、原則として会計や税務業務のサポートを受けられません。前任の税理士から必要書類を受け取り、新しい税理士に引継ぎが完了していないと、会計や税務業務に支障が出る可能性が高いでしょう。
新しく税理士を探す、現顧問税理士との解約のタイミングなど考慮するのはもちろん、引継ぎが円滑に進まないことも考慮し、余裕を持って計画を立てましょう。
変更のタイミングを見計らうこと
円滑に税理士変更を進めるためにも、税理士変更のタイミングを見計らうことが大切です。税理士はいつでも変更できますが、変更するタイミングによっては、引継ぎがスムーズに進まなかったり、業務に支障が出たりするからです。
税理士変更の時期として適しているのが、法人税申告書の提出後です。3月末で決算を迎える場合は、法人税申告期限の5月31日以降に税理士を変更すると、比較的円滑に引継ぎが進むはずです。
法人税の申告手続きは、税理士に依頼する最も大きな業務の一つであるため、申告手続きが終われば、税理士に依頼する大掛かりな仕事はありません。
もし、税務調査が入る予定、もしくは可能性がある場合は、修正申告が完了したタイミングが、税理士変更に適しています。
税務調査への対応や修正申告は、これまでの税務や会計業務を担当していた税理士に任せた方がスムーズだからです。
必要書類を不備なく揃えること
新しい税理士との引継ぎを円滑に行うために、必要な書類をできるだけ漏れなく用意することが大切です。先ほど紹介したように、税理士変更の際の必要書類は種類も量も多く、用意するのに手間がかかるものもあります。
引継ぎに必要な資料の準備を後回しにしてしまうと、新しい税理士への業務の引継ぎが上手くいかず、業務に悪影響が生じる恐れがあるのです。
引継ぎに必要な資料は、新しい税理士とより良い関係を築くためにも必要なものであるため、事前に必要書類を調べ、引継ぎまでに準備しておきましょう。
引継ぎ後のフォローアップをすること
税理士変更後は、新しい税理士との信頼関係を構築するためにも、小まめなコミュニケーションとフォローアップを心がけましょう。
例えば、定期的に打ち合わせの場を設けて、業務の進捗状況や課題などを共有することで、お互いに仕事がやりやすくなるはずです。
また、小まめなコミュニケーションやフォローアップ体制の構築により、引継ぎが円滑に進みます。おかげで、新しい税理士から、税務や会計の効果的なアドバイスやサポートを受けやすくなるでしょう。
小谷野税理士法人では、相談者様の意向を重視しながら、無理のないプラン・スケジュールでサポートしています。
お問い合わせのみも可能ですので、ぜひ一度お声がけください。
自社に合った税理士を選ぶためのコツ
現在顧問契約を結んでいる税理士に不満があり、税理士変更をするときは、自社に合った税理士を選ぶことが大切です。ここでは、税理士を選ぶときのポイントについて紹介します。
税理士の選考基準を設ける
顧問税理士として、どのような税理士を求めるかをよく話しあって、選考基準を設けましょう。税理士にはさまざまなタイプがいて、それぞれ得意とする分野、苦手とする分野があるからです。
税理士に依頼したい業務やサポート内容を洗い出すだけでなく、税理士を変更する原因となった理由にも配慮します。
例えば、「現顧問税理士がITに弱く、無駄な業務が多く発生していた」といった理由で税理士を変更するのであれば、ITに強い税理士が向いてると言えます。
税理士を探す方法はいくつかあるため、まずは、条件に合いそうな税理士や税理士事務所を複数ピックアップしてみましょう。
対面で相性を確認する
税理士のスキルや対応するサービスだけでなく、人間性を見極めるためにも、気になる税理士とは対面で会うことをおすすめします。
税理士には会社の税務や会計といった重要な業務を任せることから、長期的な信頼関係を築く必要性が高いからです。
口コミなどで評判が良い税理士でも、相性が悪ければコミュニケーションが上手くいかず、業務に悪影響が出ることも考えられます。
また、対面で税理士と会うときは、税理士に依頼したい内容、要望などをできるだけ細かく伝えましょう。
税理士の担当業務について、契約前から細かくすり合わせをしておくと、契約時や契約後に行き違いが生じるリスクを減らすことが可能です。
まとめ | 税理士変更の際の必要書類を準備し円滑な引継ぎにつなげよう
さまざまな理由で税理士変更を検討する際には、スムーズな引継ぎを実現するために、必要書類を準備しなくてはいけません。
まずは、ある程度余裕を持たせたた変更計画を立て、適切に進めることが大切です。また、新しい税理士の探し方、滞りなく引継ぎを進めるための注意点を理解し、円滑な税理士変更につなげましょう。