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貸借対照表が合わないときはどうする?対処法や正しい書き方を解説

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貸借対照表が合わないときはどうする?対処法や正しい書き方を解説

会計処理では、仕訳帳や現金出納帳、売上帳に貸借対照表など、さまざまな書類を使って日頃の取引や入出金などを正確に記載します。中でも貸借対照表では、数字が合わないといったトラブルが起きやすく、経営者や経理担当を悩ませることも珍しくありません。そこでこの記事では、貸借対照表の数字が合わないときに考えられる理由と対処法について解説します。確定申告が目前に迫るほど合わなくなり、慌てる人も少なくありません。本記事を参考にしながら誤った部分を見つけ、正しい数字を記載しましょう。

なお、小谷野税理士法人では、貸借対照表に関する対応のほか、税務関連全般のご相談をお受けしています。ぜひお気軽にご相談ください。

貸借対照表が合わない理由

会社の決算書類 貸借対照表・バランスシート

貸借対照表が合わない理由はいくつか考えられます。
主な理由について解説していくため、さっそく以下から見ていきましょう。

計算や入力ミスがある

貸借対照表に限らず、会計に関する書類の金額に相違がある場合の多くは、計算や入力にミスが生じている可能性が高いです。たとえば、手入力や手書きで帳簿を付けている場合、ミスの可能性が高まります。貸借対照表が合わないときは、まず記載した数字や計算方法、入力した数字にミスがないかを確認してみましょう。

レシートや領収書の紛失、取り違いがある

会計処理には経費計上するためのレシートや取引に生じた領収書等が欠かせません。しかし、これらの書類を紛失したことで、帳簿が合わなくなる場合もあります。帳簿に記載した内容に関するレシートや領収書がない場合、税務署から架空経費や架空取引と疑われかねません。

可能であれば、取引先に領収書の発行について相談してみましょう。また、紛失が生じても経費の説明ができるよう、領収書の内容を転記する出金伝票の活用も有効です。

借方・貸方を逆に記載している

帳簿付けの際、借方・貸方を逆に記載したことで数字が合わなくなることもあります。複式簿記で帳簿を付ける場合、1つの取引を借方と貸方に分けなければなりません。左側には借方、右側には貸方を書くのが基本です。

取引に生じたお金の支出入を、借方・貸方のどこに記載すべきかは、資産・負債・純資産・収益・費用などの勘定科目によって決まります。仮に、自社製品を現金で売却した場合は、資産が増え、収益が増加したと考えます。つまり、この取引の場合、資産の増加が借方で、収益の増加が貸方と振り分けることが可能です。

この借方・貸方を逆に記入すると、取引によって増減した勘定科目が真逆の意味を成し、帳簿が合わなくなります。どちらか迷ったときは、借方の「り」は左に払うので左、貸方の「し」は右に払うので右に書く、と覚えておくと忘れにくいでしょう。

二重計上している

売上や経費において、同じ項目を二回計上することを二重計上と呼びます。たとえば、店頭で商品をクレジットカードで購入する際、支払ったあとに領収書を受け取ることがあるでしょう。この領収書を使って帳簿に計上したのに、後日、口座から利用金額が引き落とされたときにも計上すると、二重計上になります。

ほかにも、商品購入時に領収書とレシートの両方を受け取り、それぞれを計上した場合も二重計上にあたります。二重計上は、事業利益や今後の納税額にも大きく影響する部分です。また、税務調査で二重計上が発覚した場合、脱税を疑われかねません。売上や経費の計上においては、あらぬ誤解を生まないよう、細心の注意を払いながら記載するよう努めましょう。

在庫計上に漏れがある

自社製品や製造に不可欠な部品などの在庫数が合っていない、もしくは漏れがあっても帳簿は合わなくなります。自社製品や部品などは、決算の際に棚卸しをし、棚卸し資産として反映させることが一般的です。

しかし決算において、在庫の個数に計上ミスや漏れがあると、帳簿上の在庫数と現品数に誤差が生じます。保管場所や配送を理由に、貸倉庫など社外で製品・部品を収納している場合も、漏れなく数えるよう注意しましょう。

売掛金・買掛金にミスがある

売掛金と買掛金が合っていないことも帳簿が合わなくなる原因です。製品の販売や原材料の仕入などでは、1ヵ月などの期間で区切り、後日まとめて精算する掛取引が一般的です。

掛取引で製品を提供した場合は、一度、売掛金に計上します。後日、掛取引分の入金が確認できたら、借方の売掛金を貸方に仕訳し消去する売掛金消込と呼ばれる作業をしなければなりません。

一方、掛取引で製品や材料を仕入れた場合は、引き渡しが行われた時点などで買掛金に計上します。後日、現金預金で支払いをした後は、買掛金を消滅させる仕訳が必要です。

売掛金や買掛金では、製品の提供・仕入によって仕訳方法や、計上するタイミングが異なります。売掛金と買掛金の計上においては、提供・仕入のどちらであるかを確認し、正しいタイミングでの計上が大切と言えるでしょう。

貸借対照表が合わないときの対処法

書類を見て悩む女性

貸借対照表が合わない場合は、これから紹介する対処法を参考にすることで解決できる可能性があります。

ここからは上記の対処法について解説するので、これらを参考にしながら、どの部分が間違っているのかを確認してみましょう。

書類と内容を確認する

まず、レシートや領収書の内容と、帳簿に記載した内容が全て合っているかを確認しましょう。「6」と「9」が混同し、本来の書類とは異なる金額になっていることも少なくありません。また、Excelなどを使用して帳簿を付ける場合、キーボードのテンキーだと「4」と「7」の位置を間違えて入力することもあります。

入力ミスは意外なところで生じやすいので、今一度、資料と金額が合っているかを確認してみましょう。

勘定科目の確認

次に、正しい勘定科目で仕訳できているかも確認しましょう。新しい科目を追加したときや既存の科目を変更したときに、正しく仕訳できていないかもしれません。特に、科目の追加や変更が頻繁に行われると、見落としが生じやすくなるので注意が必要です。

個人事業主が確定申告で経費にできる勘定科目については、こちらの記事でまとめています。勘定科目について不安のある人は、こちらの記事を参考にしながら確認してみましょう。
関連記事:個人事業主が確定申告で経費にできる勘定科目について

金額の入力ミスの確認

続いて、金額の入力ミスがないかも確認しましょう。金額の転記ミスや異なる桁数を入力しているなど、基本的なミスによって貸借対照表が合わなくなることもあります。テンキーなどの入力ミスが考えられる理由の1つです。

大きな金額を取り扱う場合、小さなミスが大きなズレを生むことがあります。類似した数字が続くほどミスの部分に気付きにくいので、慎重にチェックしましょう。

現預金残高と出納帳の確認

次に、事業専用口座の預貯金残高と、企業の預金出納帳の金額にミスがないかも確認しましょう。もし、これらに違いがある場合は、以下の理由が考えられます。

本年度の期首残高が違う

金融機関側で処理済になっているものの、企業側で仕訳していない取引がある
日付、金額が金融機関と異なる数字で入力している

特に、現金取引が多い場合は、出納帳の更新を怠ると大きなズレが生じることがあります。ひとつひとつを確認することは労力と時間が掛かりますが、地道に確認を進め、正しい数字を記載しましょう。

源泉徴収税額の確認

次に、源泉徴収税額の確認です。個人事業主の場合は、源泉徴収票の額と支払調書の数字も確認しましょう。支払調書とは、特定の支払いをした企業や事業者が、その明細を作成し、税務署に提出する書類のことです。

源泉徴収票、あるいは支払調書のどちらかの数字が誤って入力されていると、貸借対照表が合いません。個人事業主の中には、売上から源泉徴収額を差し引いて入金されることがありますが、源泉徴収された金額について記載していない可能性があります。

取引が発生したときは、源泉徴収の対象となる取引かそうでないかを分けておくと、帳簿付けがスムーズです。また、入金があったときも源泉徴収された金額を細かくメモしておくと、ミスを予防した帳簿付けが可能になるでしょう。

関連記事:【税理士監修】支払調書と源泉徴収票|その違いと使い方を徹底解説!

仕訳帳や総勘定元帳の照合

最後に、仕訳帳・総勘定元帳との照合をしましょう。帳簿内容が正確なものか、日々の取引が正しく反映されているかを確認してください。特に、大きな取引や複数の取引が同日に行われた場合、ミスが起こりやすいため、重点的にチェックしていきましょう。

関連記事:確定申告なのに帳簿を付けてない!個人事業主の最低限の対策は?

どうしても見つけられないときは税理士に相談する

ここまでの項目を参考にしながら確認を進めたものの、貸借対照表の数字が合わないときもあるでしょう。そのようなときは、専門家によるサポートを受けることをおすすめします。貸借対照表の記載方法について相談したいときは、最寄りの税理士に問い合わせる方法が有効です。

税理士は、事業会計における知識と経験を持つ会計のスペシャリストです。また、税務に関する問題解決にも長けているので、会計処理と併せて相談したいときは、最寄りの税理士を頼ってみると良いでしょう。

貸借対照表の数字が合わないときに無理やり合わせてもいい?

書類を見比べる男性

貸借対照表の数字がどうしても合わないときは、事業主貸(主借)の勘定科目を使って対処しすることもできます。事業主貸とは、個人事業主の生活費など、事業に関わらない個人的な目的で支払う際の勘定科目のことです。一方、事業主借は、個人事業主のプライベート用のお金を事業用口座に充当したときに使う勘定科目です。

どうしても貸借対照表が合わないときは、どちらかの勘定科目を使うことで差額を調整できます。ただし、個人事業主のみが利用できる方法のため、法人の場合は合わない箇所を探して修正しなければならない点に注意しましょう。

対応に不安がある方は、ぜひ一度小谷野税理士法人までご相談ください。正確かつ安全な方法で貸借対照表の調整をお手伝いいたします。

青色申告制度における貸借対照表の必要性

貸借対照表が合わないと、これまで付けた帳簿の中からミスを見つけ、正しい数字に直さなければなりません。とはいえ、確認項目が多いと、探すことを諦めたくなるときもあるでしょう。しかし貸借対照表は、青色申告制度を承認された個人事業主にとって大切な書類の1つであることを忘れてはいけません。

ここでは、青色申告制度における貸借対照表の必要性について解説します。青色申告制度の承認を検討する人は、貸借対照表の必要性について押さえておきましょう。

青色申告制度の青色申告特別控除を受ける条件

青色申告制度における貸借対照表は、控除を受ける予定の人にとって必要となる書類の1つです。現在の青色申告制度では、貸借対照表のほかに損益計算書の記入・提出をすることで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられることになっています。青色申告特別控除とは、青色申告の利用者が利用できる控除のことです。

  • 65万円
  • 55万円
  • 10万円

青色申告特別控除では、上記3種類の控除額が設けられており、それぞれに条件が設けられています。たとえば、高額な65万円や55万円の控除を受けたいときは貸借対照表など、指定された書類の作成が必要です。

65万円の控除に関する条件

1.不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる

2.これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳している

3.作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限までに当該申告書を提出する

4.次のいずれかに該当していること
・その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っている
・その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Taxを使用して行う

55万円の控除に関する条件

1.不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる

2.これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳している

3.上記の記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、その年の確定申告期限までに当該申告書を提出する

10万円の控除に関する条件

1.「65万円の青色申告特別控除」および「55万円の青色申告特別控除」の要件に該当しない青色申告者である

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

仮に、65万円の控除を受けたい人が、e-Taxを利用せずに確定申告をした場合は55万円に下がります。また、65万円の控除を受けたいものの、e-Tax以外の条件を満たさない場合は10万円に下がるため、提出条件には注意が必要です。

詳細については、国税庁のホームページに記載されていますから、高額な控除を受けたい場合は、目を通すことをおすすめします。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

貸借対照表がなくても青色申告は可能

原則として、青色申告特別控除の最低額は10万円であるため、貸借対照表がなくても青色申告が可能です。貸借対照表などの書類が必要なケースは、55万円または65万円の控除を受ける場合となっています。たとえば、事業所得がそこまで高額でなく、納める所得税が少額である人は、貸借対照表がなくても控除額の最低額である10万円は適用されます。

とはいえ、貸借対照表をはじめとした書類は、事業経営をいつでも振り返ることができ、経営の見直しに活かすことができます。会計処理において透明性を維持したい人ほど、控除の金額にかかわらず、貸借対照表の使用が推奨されるでしょう。

関連記事:青色申告の控除額の違いとは?どの控除額を選ぶべきかポイントも解説

貸借対照表に困ったときは専門家のアドバイスを受けよう

貸借対照表が合わないときは、勘定科目や金額などに目を通し、認識や入力にミスがないかを確認しましょう。本記事で紹介した対処法を参考にしても、数字が合わないときは、個人事業主に限り、事業主貸(主借)で調節することが可能です。ただし、個人事業主や法人であっても、無理に数字を調整すると、経営判断に誤りが生じるリスクが高まります。

どうしても解決できないときは、必要に応じて税理士に相談することをおすすめします。税理士は、専門知識と経験を持ち、問題解決に向けた適切なアドバイスを提供してくれる会計のスペシャリストです。貸借対照表以外にも、会計における疑問や税務におけるトラブルが生じたときは、小谷野税理士法人にぜひご相談ください

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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