「株で損失が出たけど、確定申告は必要?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。実は、特定口座で損失が出た場合でも、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。本記事では、特定口座で損失が出た場合の申告方法や繰越控除の注意点をわかりやすく解説します。特に初めて申告する方や、他の所得と合わせて申告する必要がある方はぜひ参考にしてください。
目次
特定口座とは
特定口座は、株式や投資信託などの金融商品を取引する際に利用する口座の一種です。銀行に預金する際に預金口座を開設するように、投資を行う際も証券会社や銀行の金融機関で専用の口座を開設する必要があります。
証券会社で開設するものは「証券口座」、銀行などで開設する場合は「投資信託口座」と呼ばれます。
これらの口座には「一般口座」と「特定口座」の2種類があり、取引を始めるときにいずれかを選択する必要があります。特に特定口座は売却益や損失にかかる税金の計算や申告を金融機関が代行してくれるため投資家の手間を大幅に軽減できる便利な制度です。
特定口座の種類
特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、それぞれ税金の取り扱いや確定申告の必要性に違いがあります。
源泉徴収ありの口座では、金融機関が税金の計算と納付を自動で行うため、確定申告が基本的に不要で手続きが簡単です。一方、源泉徴収なしの口座は税金の処理が自動で行われないため、利用者自身が確定申告を行う必要があります。
ただし、金融機関から提供される取引報告書を使えるため、申告作業は比較的スムーズに進められます。そのため、目的や手間に応じて口座の種類を選びましょう。
特定口座で損失が出た場合はどうする?
特定口座で損失が出ても他の特定口座や一般口座の利益と損益通算して確定申告をすれば源泉徴収された譲渡益税が還付される可能性があります。
損益通算をしても損失が残る場合は、「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の繰越用)」を利用できます。この制度を活用すれば、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し控除することが可能です。確定申告の際に必要なものは以下の通りです。
- 給与所得・退職所得・公的年金などの源泉徴収票
- 特定口座年間取引報告書など、年間の取引損益がわかる書類
また、個人番号および本人確認書類は以下のいずれかを用意してください。
- 運転免許証
- パスポート
- 在留カード
- 公的医療保険の被保険者証
- 身体障害者手帳
特定口座で損失が出た場合でも、確定申告を行えば他の口座の利益と損益通算ができ、税金が還付される可能性があります。
損益通算で控除しきれない損失は、一定の手続きをすれば翌年以降3年間繰り越すことも可能です。制度の活用には必要書類の準備や申告手続きが必要となるため、不安がある場合は税理士に相談するのがおすすめです。
関連記事:特定口座の取引における損益通算の方法とは?確定申告をした方が得になるケースと注意点
繰越控除における確定申告の注意点
続いて、繰越控除における確定申告の注意点を解説します。
期限後申告でも認められるケースがある
「申告期限を過ぎたから繰越は無理」と思われがちですが、繰越控除における連続申告は、通常の「当初申告」が前提です。
ただし、まだ申告していない場合は「期限後申告」でも認められるケースがあります。適用可否は税法の条文や国税庁の指針を確認して判断しましょう。
添付書類を用意する
繰越控除を行うためには、申告書に明細書などの必要書類を添付する必要があります。
加算税等が発生することがある
期限を過ぎてから申告して税金が発生した場合は「無申告加算税」などのペナルティが課されることがあります。繰越控除を適用する際は、この点も事前に把握し、対象者にしっかり伝えておきましょう。
関連記事:特定口座(源泉徴収なし)の利益が20万円以下でも必要な申告は?
特定口座で損失が出た場合の確定申告を早く終わらせる方法
面倒な株式投資の確定申告をなるべく早く終わらせるためのコツを紹介します。
e-Taxを活用する
国税庁が提供する電子申告システム「e-Tax」を利用すれば、紙の書類を郵送したり税務署に提出する必要がありません。
そのため、申告にかかる手間を大幅に省けるのが大きなメリットです。マイナンバーカードとICカードリーダー、またはスマホを使って本人確認ができるため、オンライン上ですべての申告手続きを完了できます。
提出の待ち時間もなく、申告内容に誤りがあればその場で修正もできます。時間をかけず正確に申告を終わらせたい方には特におすすめです。
確定申告ソフトを活用する
確定申告に対応した会計ソフトやクラウド型申告サービスを使えば、複雑な税計算も自動化され、入力ミスのリスクを軽減できます。
証券会社の年間取引報告書を取り込める機能がついているソフトもあり、株式の損益計算が簡単に行えるのがメリットです。無料で使えるものもありますが、有料ソフトのほうが機能が充実しており、税金対策も含めてサポートしてくれるものもあります。
確定申告会場で相談する
「公式サイトを見てもよく分からない」という方は必要書類一式を持って、最寄りの確定申告会場を訪れてみましょう。会場では、申告に関する相談窓口が設けられており、職員に質問しながらその場で申告書を作成できます。
疑問点をすぐに解決できるだけでなく、実際の作業を体験することで、翌年以降の申告の手順も把握しやすくなります。初めての人には特に心強いサポートとなるでしょう。
税理士に相談する
株式取引の損益通算や繰越控除、複数口座の損益集計などが複雑な場合は、税理士に依頼することで確実かつ迅速に申告を進められます。
特に投資額が大きい人や、他の所得との兼ね合いで最適な課税方法を選びたい人は、専門家のアドバイスが大きな助けになります。依頼費用はかかりますが、還付を受けられる金額や節税効果によっては、十分元が取れる場合もあります。
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まとめ
株式投資で損失が出たとしても、確定申告を正しく行うことで、他の所得と損益通算したり、損失を最大3年間繰り越して将来の節税につなげることが可能です。確定申告は難しそうに思えますが、必要な書類や書式を理解し、早めに準備すればスムーズに対応できます。e-Taxや申告ソフトの活用、専門家への相談も検討しながら、できるだけ負担を減らして申告を済ませましょう。
申告を通じて税金を取り戻せる可能性もあるため、損失が出た年ほど積極的な対応が大切です。不明点があれば、税理士法人などの専門家に相談するのも安心です。
「株で損失を出してどう申告すればいいか分からない」という方は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。