確定申告できる場所にはいくつかの選択肢がありますが、自分にとってどの方法が最適なのか迷う方も多いのではないでしょうか。税務署や特設会場、自宅からのオンライン申告など、それぞれに特徴やメリットがあります。申告の内容や生活スタイルによって、選ぶべき場所も変わってきます。本記事では、確定申告できる主な場所の特徴や違いを整理し、自分に合った申告方法の選び方をわかりやすく解説します。
目次
確定申告ができる場所
確定申告は、どこで行うかによって申告の進め方や準備の方法が異なります。主に「税務署」、「確定申告会場(特設会場)」、「自宅」の3つの場所から選ぶことができ、それぞれに特徴があります。
以下で、各申告場所の基本的な概要と利用方法をご紹介します。
税務署
税務署は、国税庁の管轄のもとに設置された国の行政機関で、確定申告の受付を行う窓口でもあります。
申告書の提出や相談、添付書類の確認などを行うことができ、申告期間中には専用ブースや受付体制が整えられます。事前に受付時間や対応方法を確認し、必要書類を準備した上で訪問しましょう。
確定申告会場(特設会場)
確定申告会場は、申告期間中に税務署とは別に設置される臨時の会場で、自治体の施設や公民館などが利用されることもあります。
申告書の作成や提出ができる環境が整っており、機材や案内スタッフも配置されています。地域によって開設期間や場所が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
自宅
自宅での申告は、e-Tax(インターネットを使った電子申告)や郵送によって行う方法です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などを活用し、必要事項を入力・印刷して送付するか、電子的に提出することができます。自宅にいながら完結できるため、時間や場所に制約を受けにくい手段と言えるでしょう。
参考:「e-Tax 国税電子申告・納税システム」公式Webサイト | 国税庁
それぞれの申告方法のメリット・デメリット
確定申告は、どこで行うかによって利便性やサポート体制が大きく変わります。税務署・申告会場・自宅、それぞれの方法にはメリットもデメリットもあるため、事前に違いを把握しておきましょう。
以下で、それぞれの申告方法のメリット・デメリットについてご紹介します。
税務署窓口での申告
メリット | デメリット |
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税務署の窓口での申告は、職員に直接相談しながら進められる点が最大のメリットです。特に控除や所得の種類が複雑な場合でも、細かな点をその場で確認できるため、安心感があります。また、e-Taxに対応していない方や紙で申告したい方にも向いているでしょう。
一方で、確定申告の時期は混雑が避けられず、長時間の待ち時間が発生することも珍しくありません。受付時間も平日の日中に限られるため、仕事の合間に行くのが難しい方にとってはハードルが高いかもしれません。
確定申告会場での申告
メリット | デメリット |
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確定申告会場は、申告シーズンに合わせて各地に設置される特設会場で、申告に必要な端末が用意されており、職員のサポートを受けながら手続きを進められます。
パソコン操作に自信がない方や、申告が初めてという方にとって利用しやすい環境でしょう。
ただし、会場は期間限定で運営されており、地域によっては近隣に会場がないこともあります。設備や対応にも差があるため、事前確認が重要です。
自宅での申告
メリット | デメリット |
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自宅での申告は、e-Taxや郵送を活用することで、時間や場所にとらわれずに手続きを完了できる便利な方法です。
24時間対応でき、混雑や長い待ち時間とは無縁です。e-Taxを利用すれば、還付処理が早まるなどのメリットもあります。特に、仕事や家事で忙しい方には大きな利点と言えるでしょう。
ただし、電子申告にはマイナンバーカードやICカードリーダーなどの準備が必要で、操作にもある程度の慣れが求められます。書類の確認も自分で行う必要があるため、慎重に手続きを行う必要があるでしょう。
こんな人はこの場所で確定申告するのがおすすめ
申告場所ごとのメリット・デメリットが分かったところで、大切なのは「自分にとってどれが最適か」を見極めることです。
以下で、税務署・確定申告会場・自宅の3つの方法について、それぞれどんな人に向いているのかを具体的に解説しますので、選択の参考にしてください。
場所 | 向いている人の特徴 |
税務署 |
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確定申告会場 |
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自宅 |
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税務署申告が向いている人
税務署での申告は、申告内容が複雑で不安がある方にとって特に安心できる選択肢でしょう。
例えば、複数の所得がある、医療費控除や寄付金控除を活用したい、自営業で経費の扱いが難しいといったケースでも、職員に相談しながらその場で確認・申告が可能です。
税法の解釈や記入方法で迷う場面もサポートしてもらえるため、正確さを重視する方、ミスを避けたい方には特におすすめです。
会場申告が向いている人
パソコンの操作が苦手な方や、e-Taxの利用に自信がない方には、確定申告会場での申告が適しているでしょう。
会場には専用端末や記入用ブースが用意されており、スタッフのサポートを受けながら申告書の作成・提出ができます。
初めて申告する方や、デジタル機器の操作に不安がある方も、安心して進められるのが大きなメリットです。予約制の場合もあるので、事前に案内を確認しておくとスムーズです。
自宅申告が向いている人
自宅での申告は、忙しい方や自分のペースで作業したい方にとって理想的な方法でしょう。e-Taxを利用すれば、24時間いつでも申告可能で、還付金の受け取りもスピーディーです。
また、パソコンやスマホの操作に慣れている方であれば、画面の指示に従って進めるだけで申告が完了します。
移動や待ち時間も不要なため、時間効率を重視する人や在宅ワーク中心の人には特におすすめです。ただし、事前の準備と書類の確認は丁寧に行いましょう。
申告に必要なもの
確定申告を行う際には、あらかじめ必要な書類や情報をそろえておくことが重要です。提出方法にかかわらず、以下の基本的な項目は忘れずに準備しましょう。
必要なもの | 説明 |
本人確認書類 | マイナンバーカードや運転免許証など |
各種控除証明書 | 医療費控除、生命保険料控除、寄付金控除など |
源泉徴収票 | 給与所得者の場合は必須 |
口座情報 | 還付金の振込先 |
電子証明書 | e-Tax利用時に必要(マイナンバーカード等) |
正確な確定申告のためには、収入や支出に関する証明書類をはじめ、マイナンバーカードなどの本人確認書類が欠かせません。還付を希望する場合には口座情報も必要です。
e-Taxを利用する場合は、電子証明書の準備や、パソコン・スマートフォンでの事前設定も忘れずに行いましょう。
不足があると申告が完了できないこともあるため、早めに必要書類をチェックしておくことをおすすめします。
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確定申告についてよくある質問
確定申告の手続きには、方法や流れに不安を感じる方も多く、よくある質問には共通の疑問が集まります。以下で、特によく寄せられる質問をご紹介します。
e-Taxと郵送はどちらが早いですか?
還付金を早く受け取りたい場合は、e-Taxの利用がおすすめです。電子申告は、郵送よりも処理スピードが速く、書類の受理や確認もシステム上で完結するため、還付までの期間が短くなる傾向があります。
通常、e-Taxでは正確な申告が行われていれば、3週間程度で還付金が振り込まれるケースもあり、特に時間を有効に使いたい方にとって効率的な手段でしょう。
自宅申告でも還付金は早くもらえますか?
はい、自宅からのe-Tax申告でも、窓口申告と比べて還付処理は早い傾向にあります。書類の提出と入力が正確に行われていれば、3週間ほどで還付される場合もあります。
パソコンやスマートフォンから手軽に申告でき、混雑も避けられるため、時間や移動の制約がある方には非常に便利な方法でしょう。なお、郵送での申告は処理に時間がかかるため、迅速な還付を希望する方にはe-Taxの活用がおすすめです。
税務署に行く場合は予約が必要ですか?
申告シーズンのピーク時には、多くの税務署で予約制を導入しています。予約がないと当日受付ができない、もしくは長時間待たされる場合もあるため、事前確認が重要です。
国税庁のウェブサイト「確定申告書作成会場のご案内」ページや、各税務署の電話窓口などで、受付方法や予約の有無を確認しておきましょう。特に混雑する2月中旬から3月上旬は、早めの予約をおすすめします。
確定申告の場所選びに迷ったら専門家に相談
確定申告は申告方法の選択から控除の適用まで、多くの判断が必要となる手続きです。特に、複数の収入源がある場合や医療費・寄付金控除などを活用する場合には、申告内容が複雑化し、間違いや申告漏れによるリスクも高まります。
こうしたミスは、後の追徴課税や修正申告といったトラブルにつながるおそれもあるため注意しましょう。少しでも不安を感じる方は、無理に一人で進めず、税務の専門家に相談することをおすすめします。
小谷野税理士法人では、確定申告の方法選びから控除の適用、還付申告のサポートまで幅広く対応しており、初めて申告する方や時間がない方にも丁寧に寄り添った対応を行っています。確実かつ安心して確定申告を済ませたい方は、ぜひ一度小谷野税理士法人へご相談ください。