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還付金の計算方法は?確定申告での対応や受け取り時期について解説

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還付金の計算方法は?確定申告での対応や受け取り時期について解説

所得税を納め過ぎた場合、確定申告によって還付を受けることができます。還付とはもともと自分のものだったものを元に戻すことを指し、所得税以外にも、一般的な税金も対象範囲です。会社員は年末調整で、個人事業主は確定申告で納め過ぎたかどうかを知ることができます。この記事では、確定申告における還付金の計算方法と申告期間と方法について解説します。個人事業主の方は、自身が還付金の対象かを確認するとともに、還付対象であれば計算方法や必要な手続きを押さえておきましょう。

還付金とは

お金に困る男性のイメージ

還付金とは、納税者が支払った税金の中でも多く納め過ぎた分について、国や地方公共団体から返還されるお金のことです。日本では所得税や住民税の還付金が対象となり、還付を受ける際は年末調整や確定申告が必要になります。

所得税と還付金の仕組み

所得税は、1年間の所得に対して課される税金のことです。会社員の人は給与から源泉徴収され、その年の最終的な所得に基づいて過不足が調整されます。還付金は、源泉徴収された税金が過払いとなった場合に返金されるものです。

所得税の還付が生じる理由としては、医療費控除、住宅ローン控除、特定の寄附金控除などがあります。日本にはさまざまな控除があり、適切な利用によって所得税の課税対象金額を減らし、納税額を下げることが可能です。控除等の適用により、すでに支払った税金と納めるべき税金に差額が生じた場合、還付金として返金されます。

関連記事:個人事業主必見!所得税の納付期限と延納制度・延滞税について解説!

年末調整で戻ってくる還付金との違い

年末調整は、会社員や公務員の人が勤務先を通じて行う手続きで、1年間の給与所得の中で支払った所得税の調整を行う目的があります。年末調整では、納めすぎた所得税があった場合、還付を受けることが可能です。

たとえば、扶養家族が増えたときや配偶者の収入が変わったときは、控除額の変動により、還付の対象になるといったイメージです。ただし、医療費控除は年末調整では受けることができないため、医療費控除を受ける場合は確定申告が必要になります。

関連記事:消費税還付とは?仕組みや申告・仕訳の方法、必要書類を解説

還付金を受け取れる条件|受け取り方法・時期

確定申告によって還付金を受けられる人は、どのような人なのでしょうか。ここでは、還付金を受け取れる条件と受け取り時期、申告時期について解説します。

還付金の条件

確定申告で還付金を受け取れる条件は、所得税額が源泉徴収などにより、過剰に支払われていることです。さらに、医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除などの各種所得控除が適用される場合も還付金を受けられるでしょう。

対象となる人

概要

①総合課税の配当所得や原稿料などがある人

  • 年間の所得が一定額以下である場合

(※一定額は、申告者の所得金額や源泉徴収された税金によって異なる)

②給与所得者

  • 以下控除を受けられる場合は還付金を受けられる可能性がある
    • 雑損控除
    • 医療費控除
    • セルフメディケーション税制による医療費控除の特例
    • 寄附金控除
    • 住宅借入金等特別控除
    • 政党等寄附金特別控除
    • 認定NPO法人等寄附金特別控除
    • 公益社団法人等寄附金特別控除
    • 住宅耐震改修特別控除
    • 住宅特定改修特別税額控除
    • 認定住宅等新築等特別税額控除など

③所得が公的年金等にかかわる雑所得のみの人

  • 以下控除が受けられる場合は還付金を受けられる可能性がある
    • 生命保険料控除
    • 地震保険料控除
    • 雑損控除
    • 医療費控除
    • セルフメディケーション税制による医療費控除の特例
    • 寄附金控除など

④年の途中で退職したのち、就職しなかった人

  • 給与所得について年末調整を受けていない場合は還付金を受けられる可能性がある

⑤退職所得がある人

  • 以下のいずれかに該当する場合は還付金を受けられる可能性がある
    • 退職所得を除く各種の所得の合計額から所得控除を差し引くと赤字になる場合
    • 退職所得の支払を受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出せずにいたため、20.42%の税率で源泉徴収され、その所得税等の源泉徴収税額が退職所得について再計算した税額を超えていた場合
    • 給与等の所得がなく退職所得のみであり、定額減税の適用を受ける場合
    • ①~④以外で、給与所得等にかかわる源泉徴収において控除しきれなかった定額減税があり、退職所得を含めた合計所得金額が1,805万円以下である場合

参考:【確定申告・還付申告】|国税庁

特に医療費控除は一般的には年間10万円を超える医療費を支払った場合に適用される控除なので、高額な医療費が掛かったときは積極的に申告しましょう。また、自営業の人やフリーランスの人も、確定申告によって経費計上や各種控除によって還付金を受け取ることが可能です。

還付金の受け取り時期は申告方法によって異なる

還付金の受け取り時期は、手続きする方法によって異なります。ここからは一般的な手続きとその流れに限定して解説するので、どのような手順で行えば良いのかを押さえておきましょう。

参考:No.2030 還付申告|国税庁
   確定申告期に多いお問合せ事項Q&A|国税庁

電子申告(e-Tax)の場合

電子申告(e-Tax)を利用した場合、還付金の受け取り期間が短縮される傾向です。一般的な期間は確定申告書を提出後3週間程度とされています。インターネットを使うことで迅速に申告を終わらせられるため、早く還付を受けたいときはおすすめです。

電子申告の利用によっては、添付書類の一部が省略できる場合もあります。書類の不備を防ぎながら効率よく還付手続きを進めたい人は、電子申告を使って申告すると良いでしょう。

参考:e-Tax

郵送の場合

マイナンバーカードを所有していない人やID・パスワード方式が利用できない人は、書面での確定申告になります。書面の場合、郵送期間を挟むため、電子申告に比べて数日ほど還付を受け取る時期が遅くなるでしょう。

なお、書面で確定申告するときの作成手順は以下の通りです。

  • 国税庁ホームページ内の「国税庁 確定申告書等作成コーナー」に入る
  • 「作成開始」をクリック
  • 提出方法に関する質問で「いいえ」を選択
  • 「書面」を選択する

書面での提出を希望する人は、以下リンクをご活用ください。
確定申告書等の作成

受け取り方法は銀行口座振り込みと郵便局窓口の2つ

還付金を受け取る方法は、銀行口座振り込みと郵便局窓口での受け取りの2つです。銀行口座への振り込みを希望するときは、申告書に口座情報を記入することで指定口座に振り込まれます。

一方、郵便局の窓口で受け取りを希望するときは、自宅に税務署から還付金通知書が届いてからになります。通知書が自宅に届いた後は、最寄りの郵便局へ持参し、手続きが終われば還付金を受け取れます。いずれの方法を選ぶ場合でも、確定申告書の内容に不備がないかを確認することが大切です。

参考:【税金の還付】|国税庁

還付金がある人は確定申告期間前からの申告が可能

本来、確定申告は例年2月16日から3月15日前後ですが、還付金の対象であればこの期間を待たなくても還付申告をする年分の翌年1月1日から申告可能です。

A 令和6年分の所得税等の確定申告の相談及び申告書の受付は、令和7年2月17日(月)から同年3月17日(月)までです。
 なお、還付申告については、令和7年2月14日(金)以前でも行えます。

出典:【確定申告・還付申告】|国税庁

還付金を早く受け取ることができれば、消費税の納付に間に合わせることができます。納税にはまとまった金額が伴うため、還付金を上手に活用するのも方法の一つです。

還付申告の申請方法と必要書類

電子マネーの経費計上のイメージ

ここからは、還付申告の申請方法と必要書類について解説します。どのように申請するのか、具体的な流れを把握しておきましょう。

申請方法

還付申告は、一般的に確定申告と同じ流れで行います。

  • 確定申告書を用意する
  • 所得金額を記載する
  • 所得控除額を記載する
  • 税額を計算する
  • 必要に応じて税額控除を記載する
  • 還付先を記載する

還付金の計算方法については後述しますが、基本的には確定申告書の作成によって自動計算されます。還付の対象であれば還付される金額が、還付対象外であれば納税額が画面に表示される仕組みです。還付対象の有無にかかわらず、確定申告では正しい所得金額と適切な控除額を記載することが大切です。

必要書類

還付申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 確定申告書
  • 源泉徴収票
  • 各種控除の証明書類
  • マイナンバーカード(マイナンバーカードがない場合は個人番号が記載された住民票など)
  • 身分証明書

なお、マイナンバーカードを所有していない人が書面で確定申告を行う場合、個人番号が記載された住民票と身分証明書が必要です。この場合は各書類をコピーし、書面の必要箇所にのり付けしてください。

関連記事:還付申告のやり方は?書類や期間・対象者・確定申告との違いを解説!

確定申告で戻ってくる還付金の計算方法

ここからは、確定申告で戻ってくる還付金の計算方法について解説します。上述した申請方法の手順から計算方法を紹介するので、どの程度の還付金が戻ってくるのか早速計算してみましょう。

収入金額の確認

まずは収入金額を確認しましょう。

【収入金額】
1~12月までの1年間の収入金額の合計

収入金額には、給与所得、事業所得、不動産所得などが含まれます。会社員や公務員の場合は、源泉徴収票に年間の給与総額が記載されているので、内容を基に収入金額をチェックしましょう。自営業者やフリーランスの場合は、年間の売上や収入を洗い出し、領収書や帳簿を基に収入金額を集計してください。

合計所得金額の計算

収入金額を確認した後は合計所得金額を計算します。

合計所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額のことです。会社員の場合、源泉徴収票に記載されている給与所得控除後の金額が合計所得金額に該当します。一方フリーランスや自営業者は、事業所得から必要経費を引いた金額です。複数の所得がある場合は、それぞれの所得金額を合算して合計所得金額を算出しましょう。

課税所得金額の算出

合計所得金額を算出した後は課税所得金額を求めます。

課税所得金額
合計所得金額 – 所得控除

課税所得金額とは、合計所得金額から基礎控除や配偶者控除などの各種所得控除を差し引いた金額のことです。所得控除が多いほど課税所得金額が少なくなり、納めるべき所得税額を減らすことができます。

控除を活用すると払い過ぎた税金の還付が受けやすくなるので、控除の種類や対象条件は欠かさず確認しましょう。

関連記事:税金の控除とは?節税のために知っておきたい種類や目的を詳しく解説!

所得税額の算出

課税所得金額を算出した後は、次に所得税額を計算します。

【所得税額】
(課税所得金額 × 税率 – 控除額) × 1.021

日本の所得税は累進課税制度を採用しているため、下表に該当する課税所得金額から税率を割り出しましょう。

課税所得金額

税率

控除額

1,000~194万9,000円まで

5%

0円

195~329万9,000円まで

10%

9万7,500円

330~694万9,000円まで

20%

42万7,500円

695~899万9,000円まで

23%

63万6,000円

900~1,799万9,000円まで

33%

153万6,000円

1800~3,999万9,000円まで

40%

279万6,000円

4,000万円以上

45%

479万6,000円

参考:No.2260 所得税の税率|国税

また、復興特別所得税も併せて計算することを失念しないようにしてください。

参考:[申告書を作成してみよう] 所得税及び復興特別所得税を計算してみよう まとめ

還付金額の確認

最後に還付金額を確認します。

【還付金額】
源泉徴収税額 – 所得税額

還付金は、すでに支払った所得税額と計算した年間の所得税額との差額です。源泉徴収票に記載されている源泉徴収税額と、先に求めた所得税額を比較し、過剰に支払った分が還付金として払い戻されます。

還付金額が確定した後は確定申告書に記入し、申請手続きを行いましょう。各種金額を正確に計算・記入し、必要書類を不備なく準備することで、還付金の受け取りがスムーズです。

確定申告の還付金にまつわる注意点

書類の束

確定申告の還付金には、いくつかの注意点があります。

  • 源泉徴収票や領収書は必ず保管する
  • 利用できない銀行口座がある
  • 計算の誤り等で還付金が多すぎたときは修正申告が必要
  • 追加で納税が発生する可能性がある
  • 確定申告をしなければ還付は受けられない

ここでは上記5項目について解説するので、還付を受ける際の参考にしてください。

源泉徴収票や領収書などは必ず保管する

確定申告書には、正しい数字を記載しなければなりません。そのため、勤務先から送付された源泉徴収票や業務上の支出で発行された領収書は、大切に保管しましょう。

特に医療費控除や住宅ローン控除を利用する場合、対象となる控除金額が記載された源泉徴収票が欠かせません。書類が不足していると、控除を受けたくても受けられなくなるため、取り扱いには細心の注意を払いましょう。

利用できない銀行口座がある

還付対象である場合、ゆうちょ銀行などへの銀行振込が選択できます。しかし、インターネット専用の金融機関だと、受取口座として指定できないケースがあるようです。インターネット専用銀行を設定したいときは、還付金の受け取りが可能かを金融機関のホームページで確認することをおすすめします。

計算の誤り等で還付金が多すぎたときは修正申告が必要

還付金が本来の金額よりも多いときは修正申告が必要です。還付金が多い理由としては、申告した控除額が多いことや、経費計上が誤っている可能性があります。

修正申告をする場合は、その時期によって下表のように対応方法が異なる点に注意してください。

確定申告期限内の場合

確定申告期限を過ぎている場合

  • 還付申告書を作成し、確定申告期限内に提出する
  • 再提出によって「納税」と表示されたときは、還付済の税金で精算する
  • 修正内容を証明する資料・当初の還付申告書の控えなどを併せて再提出する
  • 過大還付であれば返金手続きが伴うので税務署へ相談する

修正申告をせずにいると、延滞税が増えます。過大還付に気付いたときは、速やかな対応を心がけましょう。なお、修正申告は電子申告でも対応可能です。

別途で納税が発生する可能性がある

確定申告によって必ず還付金が受け取れるわけではありません。源泉徴収等で納税した金額が本来の納税額より少ない場合、別途で納税が必要です。確定申告は、一定額以上の収入や所得を得た人が、正しく納税できているかを把握するためのものです。還付金は、納め過ぎた税金が払い戻されるお金ということを理解しておきましょう。

確定申告をしなければ還付は受けられない

確定申告をしなければ、還付対象であっても還付されない点に注意してください。たとえ税金を納めすぎていたとしても、税務署から個別に連絡が来ること、超過分が自動的に払い戻されることはありません。

確定申告をしないと、本来は戻るはずだったお金が戻らなくなります。正しい納税ができているかを確認し、その上で還付対象かを知るためにも、確定申告は忘れずに行うようにしましょう。ただ、一部の還付金(例えば、年末調整で過不足が調整される所得税還付)は、確定申告をしなくても会社が処理するため、自動的に還付されるケースもあります。確定申告が必要か否かをきちんと確認しておきましょう。

なお、還付金の申告を忘れた場合でも、請求内容が正当と認められれば、超過した税金について還付を受けることができます。この場合、修正申告という手続きが必要となり、最長5年までさかのぼって申告可能です。ただし、修正申告には期限が設けられるケースもあるため、管轄の税務署に問い合わせることをおすすめします。

参考:【申告が間違っていた場合】|国税庁

還付金の計算方法を使って還付対象かを確認してみよう

今回は、還付金の概要をはじめ、計算方法や確定申告の手順と必要書類、注意点などを網羅的に解説しました。還付金を受け取るためには、収入金額の確認や合計所得金額・課税所得金額の計算が欠かせません。さらに、各種控除を適用させ、正確な所得税額を算出することも大切です。

確定申告を正しく行うことで、還付対象かどうかに加えて、どれくらいのお金が戻るのかを把握することができます。電子申告であれば郵送期間がないので、還付対象であれば還付金を3週間程度で受け取ることが可能です。

確定申告について不明な点がある人、専門家に依頼したいといった人は、この機会にぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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