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申告分離課税のメリットとは?制度の特徴と注意点を解説

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申告分離課税のメリットとは?制度の特徴と注意点を解説

申告分離課税には、一定の税率で課税されることによる節税効果など、見逃せないメリットがあります。特に投資や不動産取引による収入がある方にとっては、活用次第で納税額を抑えられる可能性もあります。ただし、仕組みを十分に理解せずに選択すると、かえって不利になることもあるでしょう。本記事では、申告分離課税のメリットを中心に、制度の基本的な考え方や他の課税方式との違い、注意点までわかりやすく解説します。

申告分離課税とは?

申告分離課税とは、特定の所得について、他の所得と合算せずに独立した税率で課税される制度です。

通常の所得税は、さまざまな所得を合計し、その合計額に応じた税率で課税されますが、申告分離課税は一部の所得だけを切り離して計算するのが特徴です。

この制度が適用される所得は限定されており、それぞれに個別の課税ルールと税率が定められているので事前に確認しておきましょう。以下は、対象となる主な所得の例です。

【申告分離課税の対象となる所得例】

  • 上場株式やETFの譲渡益・配当金
  • 不動産の譲渡益(譲渡所得のうち、分離課税が適用されるケース)
  • 先物取引やFXによる利益(雑所得扱いだが申告分離課税)
  • 山林所得(5年超保有した山林の伐採や譲渡による収入)
  • 退職所得(分離課税だが、特例あり)
  • 利子所得(一定のもの)
  • 国外財産に係る一定の所得(外国税額控除や分離課税対象の場合)

関連記事:自社株の配当金には税金がかかる?税額の算出方法も解説

総合課税との違い

所得税の課税方法は、「申告分離課税」のほかに「総合課税」という方式もあります。

それぞれの課税方式には仕組みや適用対象、税率、控除の取扱いに明確な違いがあります。以下の表で確認してみましょう。

項目

申告分離課税

総合課税

課税方法

特定の所得ごとに分離して課税される

所得をすべて合算して課税される

税率

通常は一律の税率が適用され、税額の予測がしやすい

所得が増えるほど税率も上がる累進課税

所得控除

控除の適用は限定的

各種所得控除が適用される

損益通算

他の所得との通算は原則できない

条件を満たせば通算が可能なケースもある

どちらの課税方式を選ぶべきかは、所得の種類や金額、控除との兼ね合いによって異なります。

関連記事:総合課税と分離課税の違いとは?違いをわかりやすく解説

申告分離課税のメリット

メリット

申告分離課税は、他の所得と切り離して課税される仕組みだからこそ得られる利点があります。制度を活用することで期待できる主なメリットについて解説します。

高所得でも税率が一定で節税効果が期待できる

申告分離課税を選ぶことで、通常は所得が多くても一定の税率で課税されるため、結果的に節税に繋がるケースがあります。

これは、総合課税のように所得の増加に応じて税率が上がる「累進課税制度」が適用されないためです。

例えば、高所得者が総合課税を選ぶと、最大で45%もの高税率が適用される場合もありますが、申告分離課税なら多くの場合20.315%で固定されるため、追加の収益に対する税負担を抑えられます。

住民税や社会保険料に影響を与えにくい

申告分離課税の対象となる所得は、社会保険料の算定基準に含まれないことがあるため、追加収入による負担増を避けやすいというメリットがあります。

例えば、副業や投資による利益がある場合、総合課税で申告すると、その分だけ国民健康保険料が増えることがありますが、分離課税を選択することで、こうした所得が社会保険料の対象外になり、結果的に手取りが増えるケースがあるでしょう。

課税額の予測がしやすく資産管理に向いている

申告分離課税では税率が一律で決まっているため、事前に課税額を予測しやすく、計画的な資産管理に適しています。

総合課税は所得の合計額によって税率が変動するため、実際の納税額が予想しにくいという難点がありますが、申告分離課税は、投資収益などに対して一定の税率が適用されるため、年度内のキャッシュフローを管理しやすくなります。

特に、利益確定のタイミングを戦略的に調整したい投資家にとっては、大きなメリットとなる制度と言えるでしょう。

申告分離課税のデメリット

一律課税という仕組みには魅力がある一方で、適用の仕方によっては不利になる場面もあります。申告分離課税を選ぶ前に確認しておきたいデメリットについても解説します。

他の所得との損益通算ができない

申告分離課税を選択すると、他の所得で発生した損失と通算できないという制限があります。

例えば、事業所得で損失が出た場合、配当所得を総合課税とすることで損益通算され、課税所得を減らし税金を抑えられますが、分離課税ではこの通算ができないため、損失を活用できずに税負担が軽減されないケースがあるでしょう。

投資による損失を他の所得と相殺したい場合は、制度選択を慎重に行う必要があります。

関連記事:株式投資で損をしたときの節税法!確定申告での損益通算のやり方を解説

所得控除の恩恵を受けにくい

申告分離課税の対象となる所得には、基礎控除や配偶者控除、医療費控除などの各種所得控除が適用されない場合がありますこれにより、所得控除を活用して節税を図ることが難しくなります。

例えば、配当所得を分離課税で申告すると、控除が反映されずそのまま課税されることになるため、控除によって税額を減らすという節税方法が使えません。

配当所得などは総合課税の方が有利な場合もある

配当所得のように課税方式を選択できるケースでは、申告分離課税を選ぶことで損をしてしまう場合もあります。

特に所得控除を多く活用できる人は、総合課税を選んだ方が結果的に手取り額が増えることがあります。例えば、総合課税にすることで配当控除を受けられ、実質的な税率が下がることもあるでしょう。

制度の選択を誤ると、せっかくの控除や軽減措置を逃してしまうため、自分にとってどちらが有利かをよく比較・検討することが重要です。

申告分離課税に向いているケース

申告分離課税はすべての人にとって有利な制度ではありません。収入の種類や金額によって向き・不向きがあります。まずは申告分離課税が適しているケースを紹介します。

年収が高く累進課税の影響が大きくなる場合

年収が高く税率の上昇が気になる場合は、申告分離課税を選ぶことで税負担を抑えられる可能性があるでしょう。

総合課税は所得が増えるほど税率も上がる「累進課税制度」が適用されるため、特に高所得者にとっては最大45%もの高税率が課せられることもあります。

一方、申告分離課税では対象の所得に対して一律の税率が適用されるため、追加の所得に対しても安定した税額となり、特に給与以外に株式や不動産収入がある人にとっては節税効果が期待できるでしょう。

上場株式やETFなどの投資所得が多い場合

株式やETFなど投資による収益が多い場合、申告分離課税の方が総合課税よりも税負担を抑えやすくなるでしょう。

これらの金融商品で得た譲渡益や配当金には、20.315%の一律税率が適用され、累進課税のように所得の増加に伴って税率が上昇することはありません。

特に、一定の頻度で利益を確定している投資家や、安定して収益を上げている方にとっては、毎回の課税額を予測しやすく、総合課税に比べて効率よく資産を運用できる制度と言えるでしょう。

キャッシュフロー計画や節税戦略を重視している場合

課税額を予測しやすくしたい場合には、申告分離課税の一律税率が有利に働くでしょう。税率が一定であるため、収入の増減にかかわらず課税額を事前に計算しやすく、年間のキャッシュフロー管理や資産計画を立てる上で大きな助けとなります。

特に、投資や事業において収支のタイミングを自ら調整できる方にとっては、税負担を含めた戦略的な意思決定がしやすくなるため、制度の安定性を活かしたい場合に適しています。

申告分離課税に向いていないケース

一方で、申告分離課税を選ぶことでかえって不利になるケースも存在します。課税方式を誤ると、節税のつもりが逆に税負担を増やす結果に繋がる場合があるので、申告分離課税が適さないケースを確認しておきましょう。

所得控除を活用して還付を受けたい場合

寄付金控除などを活用して税金の還付を受けたい場合には、申告分離課税は向いていません

控除によっては総合課税で申告した所得に対して適用される仕組みであり、分離課税の対象所得には適用できないことが多くあります。

そのため、控除によって課税所得を減らし、還付を受けたいという目的がある場合は、申告分離課税を選んでも期待した効果が得られない可能性があります。

配当所得が少額で総合課税の方が有利になる場合

配当所得が少額の場合、申告分離課税ではなく総合課税を選んだ方が結果的に有利になることがあります

総合課税を選ぶことで、配当控除が適用されるだけでなく、基礎控除や扶養控除などの所得控除も加味され、課税所得が圧縮されるためです。

特に年収がそれほど高くなく、控除枠を多く活用できる方にとっては、実質的な税負担を軽減できるケースが少なくありません。

損失を他の所得と通算したい場合

損失を活かして全体の税負担を減らしたい場合には、申告分離課税は適していません。申告分離課税では、対象となる所得で発生した損失を、給与や不動産など他の所得と通算することが原則できません。

総合課税では条件を満たせば損益通算が認められるため、損失を有効に活用したい場合は、総合課税を選んだ方が有利になる可能性があるでしょう。

確定申告を簡便に済ませたい場合

できるだけ確定申告の手間を減らしたい方には、申告分離課税は向いていません。申告分離課税を選択すると、たとえ少額の所得であっても確定申告が必要になるケースがあります。

例えば、特定口座で源泉徴収ありの株式取引は、申告しなければ納税が完了する制度ですが、分離課税を選ぶことであえて申告の手間が発生します。

節税効果がわずかである場合や、そもそも申告によるメリットが小さい場合は、申告自体を省略できる制度を活用した方が効率的でしょう。

申告分離課税の選択でお悩みの方は専門家に相談

申告分離課税は節税に有効な一方で、選び方を誤ると控除が使えなかったり、かえって税負担が増えるリスクもあります。特に配当所得などは課税方式の選択が複雑で、慎重な判断が必要です。

そうしたリスクを回避し、最大限の節税効果を得るためには、税制に詳しい専門家に相談するのが安心でしょう

小谷野税理士法人では、株式・不動産・副業など複雑な所得構成にも対応し、最適な課税方法の選定から申告まで丁寧にサポートしています。申告で迷ったら、まずは小谷野税理士法人へご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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