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会社設立の基礎知識

連結除外とは?判断基準や仕訳の基本をわかりやすく解説

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連結除外とは?判断基準や仕訳の基本をわかりやすく解説

企業グループの会計処理では、どの子会社を連結の対象とするか、その範囲を適切に判断することが重要です。なかでも「連結除外」に該当するケースでは、処理の是非や仕訳方法について悩むことも少なくありません。本記事では、連結除外の基本的な考え方や判断のポイント、実務で注意すべき仕訳の取扱いについて、わかりやすく解説します。

連結除外とは

連結除外とは、一定の条件を満たす子会社を連結財務諸表の作成対象から外すことです。

企業グループでは、親会社と子会社の財務諸表を合算して「連結財務諸表」を作成し、グループ全体の経営成績や財政状態を外部の利害関係者に適切に開示することが求められます。

しかし、すべての子会社を一律に連結することが、常に財務諸表の有用性や信頼性を高めるとは限らないため、会計基準では一定の要件を満たす場合に限り、連結からの除外が認められています。連結除外が認められる背景には、次のような目的があります。

  • 対象会社の経営活動が停止しており連結に含める合理性がない場合
  • 子会社の規模が極めて小さく連結しても財務情報に大きな影響を与えない場合
  • 財務諸表の信頼性や作成・監査にかかるコストとのバランスを考慮する必要がある場合

このように、連結除外は単なる便宜的な処理ではなく、企業会計原則や実務上の判断に基づく正当な対応とされています。適用にあたっては、明確な除外基準と事実に基づいた慎重な判断が求められます。

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連結除外の主なケース

税金の計算をする社長

連結除外が認められるのは、実務上も明確な理由がある場合に限られます。企業会計基準では具体的な除外要件が示されており、状況に応じて適切に判断する必要があります。

実務で多く見られる代表的なケースを取り上げ、それぞれの判断基準や注意点について解説します。

支配が実質的に及ばない場合(更生手続中・破産手続中など)

子会社が更生手続中や破産手続中で、すでに事業活動を停止していて、有効な支配関係が存在しないと認められる企業は、子会社に該当しません。

こうした場合、連結しても企業グループの財務情報の正確性や有用性が損なわれるおそれがあるため、連結除外が適当と判断されます。除外に際しては、その意思決定機関を支配しているかどうかを客観的に確認することが必要です。

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子会社が一時的に支配されている場合

株式取得から短期間での売却が計画されているなど、一時的な目的で保有されている子会社については、連結の対象とするかどうかの判断が問われます。

企業会計基準では、支配が継続的に及ぶことが連結の前提とされているため、一時的な支配しかない場合には連結除外が認められることがあります。ただし、売却が確実であることや、その期間が一時的であることを示す合理的な根拠が求められるでしょう。

規模が極めて小さく、連結の影響が軽微な場合(重要性の原則)

子会社の売上や資産などが、親会社やグループ全体に比べて極めて小さい場合には、財務諸表全体への影響が軽微とみなされるため、連結の範囲から除外できます。

これは「重要性の原則」に基づいた措置であり、実務上もよく用いられる判断基準です。ただし、「小さい」というだけで安易に除外するのではなく、影響度の定量的な評価や開示の妥当性を検討する必要があります。

連結除外に関する勘定科目

連結除外に際しては、個別財務諸表上で適切な勘定科目を用いた処理が求められます。除外の原因が売却、清算、評価替えなど多岐にわたるため、それぞれの取引に応じた科目を正しく選定することが重要です以下は、連結除外に関連して使用される主な勘定科目です。

勘定科目

説明

関係会社株式

持分比率が減少して関連会社株式になった時の科目

投資有価証券

連結除外後に保有し続ける場合に用いる。一般の株式保有と同様に時価評価などが必要な場合がある。

関係会社株式売却益

子会社株式を帳簿価額より高く売却した際の利益を計上する収益勘定

関係会社株式売却損

子会社株式を帳簿価額より安く売却した際の損失を計上する費用勘定

投資有価証券評価損

清算・破産などで株式の評価が著しく下がった際に計上する評価損

雑収入

株式売却以外で発生した収益(割戻しなど)を計上することがある。実務での用途は限定的。

未収入金

売却代金を分割で受け取る契約となっている場合の債権処理に使用される。

子会社が連結の範囲から除外されると、それまで「関係会社株式」として管理されていた株式は、「投資有価証券」などへ再分類されることになります。また、除外時に売却や評価替えが生じる場合は、対応する収益・費用科目を通じて損益処理を行いましょう。

特に資本取引(出資、資本準備金の戻しなど)との区別を誤らないことが、会計上の適切な表示と税務上の正確性を保つ上で重要です。

連結除外時の仕訳

公務員による企業のイメージ

連結除外が発生した場合、子会社株式の売却・清算・評価替えなどに応じて、個別財務諸表上での仕訳処理が必要になります。実務でよく見られるケースごとに、代表的な仕訳とその考え方を紹介します。

子会社株式の売却(売却益が出る場合)

子会社株式を帳簿価額より高い金額で売却した場合、差額は「有価証券売却益」として収益に計上します。 

例)帳簿価額100万円の株式を120万円で売却した場合

借方

貸方

 

未収入金

 

120万円

子会社株式 

100万円

有価証券売却益

20万円

子会社株式の売却(売却損が出る場合)

子会社株式の売却額が帳簿価額を下回る場合、その差額は「有価証券売却損」として費用処理します。

例)帳簿価額100万円の株式を90万円で売却した場合

借方

貸方

 

未収入金

 

90万円

子会社株式

100万円

有価証券売却益

100万円

清算により子会社株式を除却(残存価値なし)

子会社が清算中で資産価値がない場合、株式を除却[山口3] し、「投資有価証券評価損」として費用処理します

例)帳簿価額100万円の株式を評価損として除却する場合

借方

貸方

投資有価証券評価損

100万円

子会社株式

100万円

時価評価による見直し(売却予定など)

売却を予定している子会社株式を連結除外前に時価で見直す場合、帳簿価額との差額を評価損として処理します

例)帳簿価額100万円の株式を時価95万円に見直す場合

借方

貸方

投資有価証券

95万円

 

子会社株式

 

100万円

有価証券評価損

50,000円

一時的支配による除外(持分法適用へ)

子会社に対する支配力を失い、関連会社として持分法を適用する場合は、株式の勘定科目を「関係会社株式」へ振替えます

例)帳簿価額100万円の子会社株式を関連会社株式へ振替える場合

借方

貸方

関係会社株式 

100万円

子会社株式

100万円

子会社株式売却時の消費税処理(課税事業者の場合)

原則として株式の譲渡は非課税ですが、例外的に「雑収入」として収益計上されることもあります。税区分に注意が必要です。 

例)帳簿価額100万円の株式を110万円で売却し、雑収入処理した場合

借方 

貸方

 

未収入金

 

110万円

関係会社株式

100万円 

雑収入

10万円 

連結除外に関するよくある質問

法人税 滞納のイメージ

連結除外の実務では、判断のタイミングや影響範囲について悩むケースが少なくありません。連結除外に関してよくある質問とその解説を以下にまとめましたので、実務対応の参考にしてください。

子会社売却=即時除外になるのか?

売却契約を締結しただけでは連結除外にはなりません。

引渡日や対価の支払い条件等を満たし、「支配が移転した日」をもって連結除外の対象となります。したがって、決算日現在でまだ支配が残っていれば連結継続となる点に注意が必要です。

除外による連結損益への影響は?

連結除外によって当該子会社の売上・利益・資産などが連結財務諸表から除かれるため、グループ全体の業績が大きく変動する可能性があります

特に黒字子会社の売却や清算は、売上や当期純利益の減少要因となるため、株主や投資家への説明も重要です。

内部取引や未実現損益の取扱いは?

連結対象期間中に発生した内部取引や未実現損益は、連結解除前に相殺・修正が必要です

除外されたからといって内部取引を放置すると、過年度修正や会計監査での指摘に繋がる恐れがあるため、連結除外後の残存取引には注意しましょう。

連結除外の判断や仕訳でお悩みの方は専門家に相談

連結除外は、単に会計基準を満たせば良いというものではなく、実際の企業活動や財務諸表全体への影響も考慮して判断する必要があります。また、仕訳処理も売却・清算・持分法移行など、状況に応じて適切に行う必要があります。

こうした判断や処理に不安がある場合は、税理士や公認会計士などの専門家に相談することが最善でしょう

小谷野税理士法人では、連結会計やグループ再編に精通した専門家が在籍しており、適切なサポートを提供しています。連結除外の判断や仕訳処理に不安のある方、専門的なアドバイスを求めている方はお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
税理士「今野 靖丈」

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