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イラストレーター(個人事業主)の開業届|提出のメリット・デメリットや収入の目安を解説

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イラストレーター(個人事業主)の開業届|提出のメリット・デメリットや収入の目安を解説

イラストレーターになる夢を実現させるために、開業届を提出し、個人事業主になるという選択肢があります。実際に個人事業主となることで、イラストレーターの活動にはどのような変化がもたらされるのでしょうか。また、開業届を提出する目安となる収入金額や、個人事業主のメリット・デメリットについても説明します。

イラストレーターが開業届を出すタイミングはいつ?

開業届のイメージ

開業届を提出すると、個人事業主としてイラストレーターの活動を行えます。開業届を提出するにはどのようなタイミングが適しているのか、詳しく見ていきましょう。

所得が48万円を超えたとき

イラストレーターが開業届を出す目安として、所得が48万円を超えたタイミングが挙げられます。所得とは、収入から経費を差し引いた金額のことです。
確定申告すると、条件次第で社会保険料控除や医療費控除など全部で15種類の所得控除が適用される可能性があります。その所得控除の中でも多くの納税者に適用されるのが、控除額最高48万円の基礎控除です。

つまり、所得が48万円以下の場合には、基礎控除の適用により課税所得が0円となるため税金が課せられません。

しかし、48万円を超えた際には申告が必要です。また、確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。

白色申告は、青色申告に比べて提出書類が少なくて済み、申告手続きもシンプルです。一方の青色申告には、白色申告よりも税制が有利に働く青色申告特別控除が適用されます。
ただし、青色申告が利用できるのは、開業届と青色申告承認申請書を提出し個人事業主になった場合です。

そのため、所得が48万円を超えたタイミングは、イラストレーターが開業届を出す目安として数えられています。

売上ゼロや赤字でも開業届は出せる

開業届は売上が0円であったり、赤字のため収入がマイナスであったりしても提出できます。開業届の提出には、売上高や収入の有無による条件が設けられていないためです。
また、前述したように売上がなく、所得が48万円以下の場合、本来であれば確定申告の必要はありません。

ただし、売上ゼロや赤字であっても、イラストレーターを本業とするなら開業届は提出しましょう。なぜなら、青色申告の場合、個人事業主は最長で3年間、赤字を繰り越しできるからです。(繰越損失)
赤字を繰り越すことで、翌年以降の黒字から赤字の損失を差し引き、課税所得を抑えて減税が可能です。

こうしたことからも、青色申告の適用を受けるため、売上0円や赤字であっても開業届は提出しておきましょう。

開業届を提出していなくても今から出せる

開業届を出しておらず、事業を始めてから期日が過ぎていても、開業届は提出可能です。
そもそも開業届は、売上や収入とは無関係に、イラストレーターを本業として行う場合は提出する義務があります。

所得税法にも、所得が発生する事業の開始1か月以内に開業届を提出するよう記載されています。
ただし、この開業届の提出義務には罰則が設けられていないため、1か月以内に開業届を提出しなかった場合でもペナルティは科せられません。そのため、タイミングを選ぶことなく、いつでも提出できるのが現状です。

開業届を出していない場合は、今からでも手続きを行いましょう。

関連記事:【税理士監修】開業届とは?書き方や必要書類、提出方法までの完全ガイド

イラストレーターが開業届を出すメリット

開業届のイメージ

イラストレーターとして活動する際、開業届を提出することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。主に税金や共済など、収入に関する点について説明します。

青色申告特別控除を利用できる

前述している通り、イラストレーターが開業届と青色申告承認申請書を提出することで、青色申告特別控除を利用できます。
青色申告特別控除とは、確定申告を青色申告で行う際、課税所得から適用に応じた控除額が差し引かれる制度です。

青色申告特別控除の適用を受けることで課税所得額が下がり、課せられる税金が抑えられます。
ただし、青色申告特別控除は、控除額が65万円・55万円・10万円に分かれているという特徴があります。

適用を受けるためには控除額ごとの条件を確認した上で青色申告を申請し、確定申告書とともに青色申告決算書を提出しましょう。

それぞれの控除額ごとの適用条件は、主に次の通りです。

青色申告特別控除額

65万円

55万円

10万円

所得の区分

事業所得・不動産所得のいずれか

事業所得・不動産所得・山林所得のいずれか

記帳方法

複式簿記

単式簿記

申告方法

e-Tax

窓口・郵送

e-Tax・窓口・郵送

イラストレーターの場合、所得の区分は上記の事業所得に該当します。
記帳は、取引で発生したやり取りを記す帳簿づけのことで、白色申告・青色申告のどちらにおいても事業者の義務です。その記帳方法には、複式簿記と単式簿記があります。

65万円や55万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必要です。
複式簿記は、仕訳帳と総勘定元帳の2つの帳簿を用いた記帳方法で、複雑なために簿記の知識やスキルが求められます。この複式簿記による帳簿づけの結果を記入したものが、提出書類の青色申告決算書です。

一方、10万円の青色申告特別控除の記帳で用いられる単式簿記の書き方は、難しくありません。形式は家計簿やおこづかい帳と同じで、簿記の知識がない場合でもスムーズに帳簿づけを行えるでしょう。
また、青色申告特別控除を受けるためには、一般的には青色申告を行う年の3月15日までに青色申告承認申請書にて申請が必要です。青色申告承認申請書は、開業届と同時に税務署へと提出できます。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

赤字を最大3年繰り越せる

開業届を提出し青色申告を行うことで、赤字が出た場合、最大3年間にわたってそれを繰り越せます。赤字を繰り越すと、その年に発生した損失は翌年以降の黒字との相殺が可能です。
つまり、赤字というマイナス分を黒字のプラス分から差し引き、黒字の所得にかかる税金を抑えて節税ができます。

特に、イラストレーターとして開業したばかりの頃は仕事がまだ軌道に乗らず、初期投資を差し引くと赤字に陥ることもあるでしょう。

こうしたリスクに備え、イラストレーターとして開業する際には、開業届だけでなく青色申告承認申請書を税務署に提出することをおすすめします。

開業届と同時に青色申告の申請をしておくことで、最大3年間の赤字繰越が利用可能です。

小規模企業共済を利用できる

開業届を提出し、個人事業主としてイラストレーターの活動をすることで、小規模企業共済を利用できます。
小規模企業共済とはその名の通り、個人事業主を含む小規模企業の経営者を対象としている共済で、経営者にとっての退職金に該当するものです。

会社に勤務している場合、従業員には退職手当がありますが、廃業後の個人事業主や小規模企業の経営者にはそのような制度は用意されていません。
そこで、個人事業主や小規模経営者は、小規模企業共済に加入することで掛け金を積み立てし、廃業時にそれを受け取って退職金代わりにできるのです。

また、この小規模企業共済には、掛け金がすべて所得控除で差し引かれるという利点があります。
イラストレーターとして活動する場合は開業届を提出し、個人事業主となり小規模企業共済を利用しましょう。

関連記事:個人事業主と起業の違いは?メリットや手続き、税金の違いも解説

イラストレーターが開業届を出すデメリット

イラストレーターが開業届を提出し、個人事業主となる場合には、デメリットも知っておきましょう。メリットとデメリットの両方を比較した上で、開業届について検討してみてください。

失業手当をもらえなくなる

開業届を出すと、失業手当の支給がストップする可能性があります。
これは、失業手当(失業保険)が、失業状態にある求職者を対象に支給されるものだからです。
イラストレーターが開業届を提出すると、個人事業主として事業をスタートさせたと見なされます。

そのため、開業届を出すことでハローワークからは求職者ではないと判断され、失業手当がもらえなくなるのです。

扶養から外れる可能性がある

イラストレーターが開業届を提出すると、社会保険の扶養から外れる場合があります。
扶養に入っている間は健康保険料を支払う義務がありませんが、扶養から外れた際には個人で保険料を納付しなければなりません。

開業届の提出により扶養から外れるかどうかの基準は、配偶者の勤務先の健康保険によりけりです。
収入が一定額を超えなければ開業届を提出していても扶養でいられる場合もあれば、個人事業主として開業したタイミングで扶養から外れる場合もあります。

イラストレーターとして活動するために開業届を提出する際は、今後も扶養に入るかどうかを検討した上で、配偶者の健康保険の条件を確認しましょう。

関連記事:【扶養内でフリーランスとして働く】知っておきたい基礎知識を徹底解説

イラストレーターが依頼を受けたときの帳簿の付け方

電子帳簿保存法とは

イラストレーターが個人事業主として活動するのであれば、白色申告であっても青色申告であっても帳簿づけは必須です。単式簿記と複式簿記、それぞれの記帳方法を説明します。

青色申告(10万円控除)と白色申告の単式簿記

10万円の青色申告特別控除の適用を受ける際や、白色申告で確定申告する際には、単式簿記での記帳が必要です。単式簿記とは金銭の出入りのみを記録するもので、家計簿やおこづかい帳と書き方は同じです。そのため、帳簿づけも簡単で、誰もが記帳を行えます。

書き方は、収支を1冊の帳簿にまとめる方法と、収入簿と支出簿の2冊に分ける方法から選びましょう。収入と支出にはそれぞれ、日付・取引内容・金額、そして備考などのメモを記入します。
また、月ごとや年度ごとに収支の確認も行いましょう。単式簿記は収支を簡単に把握できることから、取引の少ない場合に適した記帳方法です。

青色申告(65万円控除)の複式簿記

65万円・55万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳が義務づけられています。
複式簿記は、仕訳帳と総勘定元帳の2つの帳簿を用いた記帳方法です。取引を原因と結果として仕訳し、借方・貸方に分けて記録します。

具体的には、資産の増加や負債の減少を示す借方を帳簿の左側に記入し、資産の減少や負債の増加を示す貸方を右側へと書き入れるのです。

複式簿記は資金の増減だけでなく、その取引内容も記載されます。そのため帳簿の見出しとも言える勘定科目ごとに分類でき、条件ごとの集計を行えることが特徴です。
また、金銭の流れが明確になることから、事業の成果や経済状況を的確に把握できるというメリットがあります。

ただし、複式簿記を用いた記帳方法は複雑なため、簿記の知識やスキルが必要です。
65万円・55万円の青色申告特別控除を受ける際には、記帳代行サービスや、もしくは税理士に帳簿づけを依頼しましょう。

イラストレーターのための確定申告書の書き方

イラストレーターが確定申告を行う際の申告書の書き方を説明します。
まずは確定申告書を用意し、第一表に住所氏名などの必要事項を記入しましょう。青色申告の場合は、記帳の結果を記載した青色申告決算書の提出も必要です。これらを用意した上で、イラストレーターが確定申告する際には、次のような項目に記入します。

  • 収入金額等→事業→営業等(ア):1年間の収入金額を記入
  • 所得金額等→事業→営業等(1):青色申告決算書に記載した所得金額を転記(収入から経費・青色申告特別控除を差し引いた所得金額を記入)

イラストレーターとして開業した場合、その所得は事業所得にあたり、区分は営業等の欄が該当します。
事業所得の収入金額や所得金額を記入したあとは、所得から差し引かれる金額として、社会保険料・生命保険料・基礎控除など、適用を受けられるものは漏れなく記入しましょう。

関連記事:【税理士監修】確定申告のやり方ガイド!いつからいつまでの収入?郵送のケースや必要書類・マイナンバーカードについて

イラストレーターの開業届と確定申告については税理士にお任せ!

個人事業主でイラストレーターとしての活動を考えているのであれば、まずは税理士に相談することをおすすめします。
税の専門家である税理士は、収入を目安に開業届を提出するタイミングや、青色申告での確定申告についても適切なアドバイスを提供してくれることでしょう。

また、税理士であれば、青色申告での確定申告そのものの代行や、記帳の代行にも対応可能です。

私たち小谷野税理士法人でも、個人事業主向けの確定申告の作成・提出の代行を請け負っているほか、税に関するさまざまなご相談にお答えしています。

お気軽にお問合せください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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