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事業所税とは?課税対象や計算方法、注意点まで解説

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事業所税とは?課税対象や計算方法、注意点まで解説

都市部で事業を営む企業や個人事業主にとって、見落としがちな税金のひとつが事業所税です。全国どこでも課されるわけではなく、対象となる地域や事業規模によって負担の有無が分かれるこの税金は、申告や納付を怠るとペナルティの可能性もあります。本記事では、事業所税の概要から対象、計算方法、申告時の注意点までを分かりやすく解説します。

事業所税とは

事業所税は、東京都23区や横浜市などの指定都市に所在する、一定規模以上の事業者に課される地方税です。

都市部では、道路や公共施設、消防・警察といったインフラ整備に多くの費用がかかるため、その財源を確保する目的で導入されています。対象となるのは、延べ床面積や従業者数が一定基準を超える事業者で、事業の規模に応じて課税されるのが特徴でしょう。

なお、よく混同されがちなのが「事業税」ですが、事業税が法人や個人事業主の所得(利益)に対して課される税金であるのに対し、事業所税は利益ではなく規模を基準として課される点に違いがあります。

関連記事:起業でかかる税金の種類は?法人設立前後の税金や納税時期について解説

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事業所税の課税対象

事業所税は、すべての地域や事業者に課されるものではありません。課税される地域と、対象となる事業者について正しく理解しておきましょう。

対象の地域

事業所税は、主に指定都市や東京都23区など、一部の自治体に限って導入されています以下は、都道府県別に見た導入自治体の一覧です。

都道府県

導入自治体(市区名)

北海道

札幌市

宮城県

仙台市

新潟県

新潟市

埼玉県

さいたま市

千葉県

千葉市

東京都

23区(特別区)

神奈川県

横浜市、川崎市、相模原市

静岡県

静岡市、浜松市

愛知県

名古屋市

京都府

京都市

大阪府

大阪市、堺市

兵庫県

神戸市

岡山県

岡山市

広島県

広島市

福岡県

福岡市、北九州市

熊本県

熊本市

上記は主な導入自治体です。事業所税の導入状況は自治体ごとに異なるため、事業所を開設する前に、所在地の自治体で課税の有無を必ず確認しましょう。

対象の事業者

事業所税は、指定都市に事務所や事業所を設けて事業活動を行う法人や個人事業主に対して課されます。課税対象となるかどうかは、事業の内容ではなく「規模」によって判断され、以下のいずれかの条件を満たす場合に課税対象となります。

  • 延べ床面積が1,000㎡を超える
  • 従業者数が100人を超える

いずれか一方でも条件を満たせば対象となり、両方に該当する場合はその分負担が大きくなる仕組みです。

事業所税の計算方法

利益計算のイメージ

前述のとおり、事業所税は事業規模に応じて課税される仕組みであり、延べ床面積や従業者数が一定の基準を超えると納税義務が発生します。

具体的な税額は、「資産割」と「従業者割」という2つの区分に分かれており、それぞれの合計が納税額となります。以下で、それぞれの計算方法について解説します。

資産割

資産割は、事業所の延べ床面積に応じて課税される部分です。計算式はシンプルで、床面積に対して自治体ごとに定められた「単価(円/㎡)」を掛けて算出します。

例)延べ床面積1,500㎡、単価600円の場合

1,500㎡×600円=90万円

単価は自治体により異なるため、所在地ごとの確認が必要です。

従業者割

従業者割は、事業所の人件費に応じて課税される部分です。対象となる人件費には、給与・賞与・各種手当などが含まれ、そこに自治体ごとに定められた税率(%)を掛けて計算します。

例)人件費1億2,000万円、税率0.25%の場合

1億2,000万円×0.25%=30万円

税率も治体により異なるため、所在地ごとに確認しましょう。多くの自治体では0.25%が一般的です。

事業所税の申告

公務員による企業のイメージ

事業所税は、毎年の定期申告に加え、事業所の新設や廃止、規模の変動などがあった場合にも申告や届出が必要となります。変更内容に応じた対応を確認しておきましょう。

事業所を新設した場合

新たに指定都市内に事務所や事業所を開設し、一定の規模を超える場合は、事業所税の申告義務が発生します。開設後は速やかに床面積や従業者数を確認し、原則として申告しましょう。

事業所を廃止・統合した場合

事業所を閉鎖したり、他の拠点に統合した場合には、課税対象から外れる可能性があります。放置すると不要な課税が継続することがあるため、廃止日から30日以内に申告しましょう

規模が変動した場合

床面積が減少した、または人員体制に大きな変動があった場合には、課税対象条件の該当有無が変わる可能性があります。変更があった場合は、決算期前に最新のデータを確認し、必要に応じて申告内容の見直しを行いましょう。

事業所の所在地を変更した場合

同一市区内・他自治体への移転を問わず、所在地が変更された場合には、新旧両自治体への届出が必要な場合があります。移転後30日以内を目安に、所轄自治体へ変更届や廃止・新設の申告を行いましょう。

申告内容に誤りがあった場合

過去の申告に誤りが見つかった場合には、速やかに修正申告や更正の請求を行う必要があります。提出期限から原則5年以内であれば更正の請求が可能ですが、早期に自治体へ相談し、ペナルティを避ける対応を取りましょう。

事業所税の納付

手続き

事業所税は、課税対象となった場合に適切な金額を期限内に納付する必要があります。納付期限は、原則として決算日から2ヵ月以内で、法人税の申告期限と同日であることが多いです

納付方法は、金融機関での振込のほか、eLTAX(地方税ポータルシステム)を利用した電子納税や口座振替があり、自治体によって対応が異なります。納付が遅れると延滞金や加算税などのペナルティが発生する可能性があるため、期限内に対応しましょう。

なお、事業所の新設や廃止、移転などがあった場合は、変更内容に応じた申告や納付の見直しも必要となります。

事業所税の申告・管理で気をつけたい5つの注意点

ポイント

事業所税について、適切な申告と管理を行うために、見落としがちな注意点をあらかじめ把握しておきましょう。

  1. 課税対象地域に注意
  2. 基準を超えると突然課税対象になる
  3. 各都市で税率が異なる
  4. 申告漏れに注意
  5. 節税の余地は限られている

課税対象地域に注意

事業所税は、すべての自治体で導入されているわけではなく、東京都23区や政令指定都市など、限られた地域のみで課税されます。

新たに事業所を開設する際には、所在地の自治体が事業所税を導入しているかを事前に確認しておくことが重要です。想定外の税負担を避けるためにも、初期段階でのチェックを忘れないようにしましょう。

基準を超えると突然課税対象になる

延べ床面積が1,000㎡、または従業員数が100人を超えると、事業所税の課税対象となります。どちらか一方でも基準を超えれば課税されるため、事業拡大時には注意してください。

将来的な規模拡大を見据えたオフィス設計や人員配置を行い、思わぬ税負担が発生しないよう備えておきましょう。

各都市で税率が異なる

事業所税の資産割や従業者割に用いられる税率・単価は、自治体ごとに異なります。同じ事業規模でも、地域によって納税額に差が出る場合があるため注意しましょう。

正確な納税額を把握するには、自社が所在する自治体の最新情報を確認し、その地域のルールに沿って計算を行うことが大切です。

申告漏れに注意

事業所税は、法人税や消費税と異なり、税務署から自動で通知や納付書が届くわけではありません。基本的に自主申告が求められるため、申告漏れや納付遅れが発生しやすい点に注意してください。

うっかり忘れてしまうと、延滞金や加算税が課されることもあるため、スケジュール管理と早めの準備を心がけましょう。

節税の余地は限られている

事業所税は、法人税のような多様な節税策が取りにくい税目でしょう。利益ではなく事業規模に対して課税されるため、節税の選択肢が限られるのが実情です。

可能な対策としては、オフィス面積の見直しやグループ企業間での人件費配分調整などが挙げられますが、いずれも事前の計画が必要です。

事業所税に関してお悩みの方は専門家に相談を

事業所税は、地域や企業規模によって制度が複雑に異なる場合があり、自社が該当するかどうか判断しにくいケースが多いでしょう。申告漏れや過誤を避けるためにも、税理士など専門家への相談がおすすめです

小谷野税理士法人は、法人税務に強みを持ち、多様な業種の税務対応実績があります。事業所税の申告や節税対策に関するご相談にも対応していますので、制度の理解や実務に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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