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自営業で家族を従業員として雇えば節税になる?メリットや注意点を解説

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自営業で家族を従業員として雇えば節税になる?メリットや注意点を解説

配偶者や子ども、親など家族を従業員として雇うことを検討している自営業の事業主の方もいるのではないでしょうか。家族が従業員ならば信頼して仕事を任せやすいだけではなく、節税になるなど多くのメリットがあります。ただし、給与設定や保険加入の条件など注意すべき点も多いです。ここでは、自営業で家族を従業員として雇うメリットや注意点について解説します。

自営業で従業員を雇用できるのか?

パソコンで調べ物をする夫婦のイメージ

結論からいうと、自営業で従業員を雇用することは可能です。

自営業とは、法人を設立せずに自分で事業を営む人を指します。いわゆる「個人事業主」です。ただ、自営業とはいえ、個人ひとりで事業をしなければいけないという決まりはありません。そのため、自営業でも従業員を雇用することが可能です。

従業員の雇用形態は、正社員やパート・アルバイトなど法人と同様の雇用形態で雇えます。
ただし、個人事業主が従業員を雇えば、雇用に伴う手続きを自分で行わなければなりません。

個人事業主が従業員を雇う際に必要となる手続きに関しては、後ほど詳しく解説します。

自営業で家族を従業員にするメリット

自営業で家族を従業員として雇うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
自営業で家族を従業員にするメリットには、次のようなことが挙げられます。

節税効果が期待できる

自営業で家族を従業員にする最大のメリットは、節税効果が見込める点です。
家族に支払う給与が節税になりますが、節税効果は確定申告の方法で異なります。

青色申告の場合

事業主が青色申告で確定申告をしている場合、家族従業員の給与は経費として計上できます。

本来であれば家族は生計を共にしているため、給与を経費として計上することはできません。しかし、青色申告には青色申告特別控除という特典があり、家族従業員の給与を経費として計上できることも特典のひとつです。

家族の給与を経費として計上すれば、事業によって得た所得金額を減らすことができます。そうすると、納税する所得税も軽減され、節税効果を得られます。

ただし、青色申告で従業員の給与を経費として計上するには、従業員が以下の要件を満たしていなければなりません。

  • 青色申告と生計を共にする配偶者またはその他の親族
  • その年の12月31日時点で年齢が15歳以上
  • その年を通じて6カ月以上、青色申告者の営む事業を手伝っている
  • 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を所轄の税務署に提出している

以下では、「家族を青色事業専従者にすること」に関する詳しい内容をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:個人事業主が家族を青色事業専従者にするには?

白色申告の場合

事業主が白色申告の場合は家族の給与を経費で計上できませんが、事業専従者控除を利用することで節税効果が期待できます。

事業専従者控除とは、従業員に支払う給与の一定額を所得から控除できる制度です。

控除できる金額は、以下のいずれか低い方が採用されます。

  • 配偶者は86万円、配偶者以外の専従者一人につき50万円
  • 事業専従者控除を適用する前の事業所得÷(専従者の数+1)

どちらが該当するのかは、事業主及び専業専従者の状況によって異なるため、よく確認しておきましょう。

コストを削減できる

さまざまなコストを削減しやすいという点も、家族を従業員にする大きなメリットです。まず削減できるコストとしては、採用費用が挙げられます。

従業員を採用するとなれば、求人広告への掲載費用などが発生します。一人で事業を運営する個人事業主にとっては、書類選考や面接、採用通知などの手間が省けることもメリットといえるでしょう。

また、自宅で開業している場合であれば、一緒に住んでいる家族を従業員にすることで交通費も削減できます。

労働保険の加入が不要

従業員が家族だけの場合、労働保険の加入手続きの手間を省ける可能性があります。労働保険とは、雇用保険と労災保険を指します。

雇用保険と労災保険は労働者を守るための保険になるため、従業員が1人でもいる事業所には加入が義務付けられます。

しかし、家族が従業員の場合は労働保険の加入手続きが必要ないケースがあります。労働保険の手続きは手間がかかるため、手続きを省けることはメリットになるでしょう。

ただし、下記の要件を満たしている場合は、労働保険の加入が必要です。

  • 事業主の指揮命令下にある
  • 就業形態が家族従業員以外の従業員と同様である

労働保険の加入が必要か否か、自身の状況と照らし合わせたうえで判断してください。

自営業で家族を従業員にするデメリット

控除によって家計が潤う家族のイメージ

自営業で家族を従業員にすることはメリットばかりではありません。デメリットも存在します。自営業で家族を従業員にすると起こり得るデメリットについてみていきましょう。

公私混同が起こりやすい

家族が従業員だと公私混同しやすい点がデメリットです。

家族が従業員であれば、「言いにくいことも遠慮なく言いやすい」「無理なお願いもしやすい」など良い点があります。しかし、一方でプライベートの時間も共にするのでプライベートでの喧嘩やトラブルがあった際に、仕事のパフォーマンスにも支障が生じてしまう可能性があるでしょう。

もしくは、仕事をしていても日常生活の会話が行われ、集中力に欠けてしまうこともあるかもしれません。

また、経費を生活費の一部に使うなど業務でも公私混同が起こりやすいといえます。本来であれば経費として計上できないものに経費を使用すれば、税務調査の対象になる可能性もあるので注意が必要です。

自営業が経費として扱える項目については、下記の記事を参考にしてください。

関連記事:個人事業主が経費計上できる項目と事例、経費の落とし方を徹底解説!

事務作業が増える

家族だけに限った話ではありませんが、従業員を雇えば事務作業が増加します。なぜならば、源泉徴収や年末調整、場合によっては保険の手続きなどが必要になるからです。

個人事業主ひとりならば不要だった手続きが増えれば、事務作業に時間を取られて事業にかけられる時間が減ってしまう可能性があります。

経理業務などの事務作業に時間を取られてしまうことを軽減したい場合には、家族ではなく税理士に依頼するなど専門家に頼ることも検討しましょう。

自営業で家族を従業員にする場合の注意点

家族を従業員として雇えば節税対策にもなるなどメリットは多いですが、注意すべき点も複数あります。
自営業で家族を従業員にする場合の注意点について事前に知っておき、対策を取れるようにしておきましょう。

適切な給与設定にする

家族を従業員にする場合、給与の金額を決めるには注意が必要です。働きに対して見合わない高額な給与を支払えば、税務所に目を付けられる可能性があります。

節税対策として家族を従業員にして給与を支払っているものの、実際には働いていないケースもあるでしょう。こうした場合、給与は控除の対象に認められず、税務調査の対象になってしまいます。

また、家族以外の従業員もいる場合は、家族と従業員の給与バランスの適切性も考慮しなければ、他の従業員から不満が出てしまいます。給与は事業における働きに見合った金額を支払うことが大切です。

また配偶者に専従者給与を支払う場合、配偶者控除や配偶者特別控除も受けられないため注意しましょう。

労働保険の加入対象にならない可能性がある

自営業で家族を従業にしても、各種保険へ加入できない可能性があるので注意が必要です。

まず、個人事業主は国民健康保険へ加入することになりますが、国民健康保険に扶養制度はありません。

会社員などの健康保険は家族を社会保険の扶養に入れることができますが、個人事業主ならば家族は各自で国民健康保険へ加入する必要があります。

また、メリットでも解説したように、雇用保険や労災保険といった労働保険も加入できない可能性があります。

ただし、同居している家族以外の従業員もいれば労働保険に加入できる可能性もあるため、自社ではどのような保険加入の対象になるのか把握することが大切です。

保険加入についての疑問や不安がある場合は、各自治体の相談窓口や社労士などに相談しましょう。

関連記事:家族旅行の費用は経費にできる?税務上のポイントと注意点を解説

自営業で家族を従業員にする場合の手続き

従業員雇用手続きのイメージ

個人事業主が家族を従業員として雇用する際には、手続きが必要です。青色申告と白色申告で手続き方法が異なる部分もあるため、自分の確定申告方法に合った手続きを行ってください。

給与支払事務所等の開設届出書の提出

自営業で従業員を雇う場合は、給与支払事務所等の開設届出書を税務署へ提出します。
この届出書は、税務署に従業員の源泉徴収を実施することを知らせるための書面です。

そのため、確定申告の方法に関係なく、従業員を雇って給与を支払う場合には必ず提出しなければなりません。

届出書の提出期限は、事務所の開設した日から1カ月以内、もしくは従業員を雇用した日から1ヵ月以内です。

青色申告の場合

事業主が青色申告事業者の場合は、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署へ提出します。この届出の期限は、対象となる家族を雇用した日から2カ月以内です。

1月1日~1月15日の間に雇用した場合のみ、その年の3月15日が提出期限になります。青色事業専従者給与に関する届出書は、提出が必須ではありません。しかし、提出しなければ家族の給与を経費として計上できないので注意しましょう。

家族を従業員にする前に税理士に相談しましょう

家族を従業員にすれば、節税効果やコストの削減が期待できます。しかし、必ずしも節税効果につながるとは限りません。家族以外の従業員を雇うことや、会社を法人化する方が節税効果を得られるケースもあるでしょう。

家族を従業員にする前に、自分の状態に適した節税方法を知ることが大切です。専門家である税理士に相談してみてください。

小谷野税理士事務所では、会社設立から経理業務、確定申告などワンステップでのご相談・ご依頼が可能です。

まずは問合せフォームよりお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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