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同族会社間や親族間で不動産売買や譲渡をするときの時価の算定方法について

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同族会社間や親族間で不動産売買や譲渡をするときの時価の算定方法について

同族会社間や親族間での不動産売買や譲渡は、第三者間の取引とは異なり、売買価格を自由に設定できるため、税務署から目をつけられやすい取引です。適正な時価で取引しない場合、ペナルティによる思わぬ税負担が生じる可能性もあります。本記事では、同族会社間での不動産取引における時価の考え方、具体的な算定方法、そして注意点について詳しく見ていきましょう。

同族会社間や親族間での不動産取引における時価の考え方

同族会社間や親族間での不動産取引であっても、時価、つまり通常の取引価額に相当する金額での取引が求められます。

同族会社間などの特殊な関係間は、第三者間での取引とは異なり、意図的に価格を操作する可能性を孕んでいます。そのため、客観的な時価の算定が欠かせないのです。本項では、この「時価」の捉え方について詳しく見ていきましょう。

同族会社間や親族間で不動産を売買する場合の基本的な考え方

原則として、税法では「時価」に基づいて課税関係が成立すると考えられています。ここでいう時価とは、不特定多数の当事者が自由な取引を行った場合に通常成立すると認められる価格を指します。

同族会社間や親族間での不動産売買は、実勢価格(時価)から逸脱した価格設定が行われやすいのが特徴です。そのため、税務署から取引の妥当性を厳しくチェックされます。もし時価とかけ離れた価格で取引した場合、税務上の問題が生じる可能性も。

建物や土地の時価基準

土地の時価算定方法としては、固定資産税評価額、近隣の公示価格や基準地価を基に算定する方法、取引事例比較法、不動産鑑定評価、路線価に基づいて評価額を割り戻す方法などがあります。

建物の時価については、未償却残高(売却時の帳簿価額)を時価とみなせるケースもあります。

どの評価を基に時価を割り出すかは、専門家への相談も視野に入れ、慎重に検討しましょう。それぞれの評価基準については、次の項で詳しく解説します。

時価より低い価格や高い価格で売買した場合の税務リスク

同族会社間や親族間売買において、不動産を時価より低い価格で売却した場合、売主と買主の双方に税務上のリスクが発生します。

  • 売主側:時価で譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が課される可能性がある。
  • 買主側:時価との差額を受贈益とし、法人税が課される可能性がある。

逆に、時価より高い価格で会社が役員から不動産を買い取った場合は、時価を超える部分が役員賞与とみなされ、売却側に所得税が課税されるリスクがあります。

参考:国税庁|同族会社

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不動産の時価を算定する主な方法

利益計算のイメージ

不動産の時価を算定するにはいくつかの方法があります。それぞれの取引の状況や不動産の特性によって、適切な方法を選択しましょう。税務署から問題視されないためには、客観性のある方法で時価を算定し、その根拠を明確にしておくと安心です。

固定資産税評価額による算定方法

固定資産税評価額は、市町村(東京23区は都)が固定資産税を課税するために算定する評価額で、一般的に時価の7割程度とされています。

しかし、この評価額をそのまま不動産の時価とするのはあまりおすすめできません。特に、土地のように市場価格との乖離が大きい場合は、税務上のリスクを伴う可能性があります。

一方、建物の場合は、再建築価格を基にした固定資産税評価額が時価に近いと考えられています。

不動産鑑定評価書を活用する方法

不動産鑑定評価書は、不動産鑑定士が客観的な視点から不動産の経済価値を判定したもの。時価の根拠として、税務署に対して高い説明力を持つ資料となります。

特に、恣意的な価格設定が疑われやすい同族会社間の不動産取引では、この評価書の取得によって適正な時価での取引であることを明確に示せます。ただし、評価を受けるには一定の費用がかかるというデメリットもあるので注意しましょう。

相続税路線価や地価公示価格を利用する方法

相続税路線価は、相続税や贈与税の算定に用いられる土地の評価額で、一般的に時価の8割程度とされています。これを0.8で割り戻すと時価に近い価格が算出できますが、不動産の特性によっては市場価格と乖離する場合もあるので注意しましょう。

一方、地価公示価格は、国土交通省が毎年公示する土地の価格で、一般の土地取引の指標とされています。

売買実例価格をもとにした算出方法

近隣の類似する不動産の売買実例を収集し、その取引価格を参考に時価を算定する方法もあります。時間的、場所的、物件的な条件が類似する事例を比較検討することで、より実勢価格に近い時価を把握できます。

ただし、事例の数や質によって算定される時価にばらつきが生じる可能性もあるため、複数の事例を比較検討することが重要です。

不動産仲介業者の査定書の活用

不動産仲介業者が作成する査定書も、時価を把握する際の参考になります。仲介業者は市場動向や周辺の取引事例に基づいて査定を行うため、ある程度の客観性があると考えていいでしょう。

しかし、査定価格はあくまで目安であり、実際の取引価格を保証するものではありません。税務署が時価として認めるかどうかは、査定の根拠や市場の実勢価格との比較によって判断されるため、これのみを時価の根拠とするには不十分な場合もあります。

同族会社間や親族間で不動産取引をする際の注意点

疑問を持つ男性

同族会社間や親族間で不動産売買や譲渡を行う際には、税務上のリスクに気をつける必要があります。

適切な手続きを踏み、客観的な根拠に基づいた価格設定を行いましょう。特に、土地などの不動産は高額になることが多いため、税務署のチェックが厳しくなる傾向も。本項では、取引を行う上での注意点について、具体的に解説していきます。

みなし譲渡と認定されないようにする

時価よりも著しく低い価格で譲渡が行われた場合、「みなし譲渡」と認定される可能性があります。みなし譲渡と判断されると、実際の取引価格ではなく、時価で譲渡が行われたものとみなされ、売主に対して譲渡所得税が課される場合も。

特に「個人から法人への譲渡」「時価の2分の1未満の価格」などのケースは、適用の可能性が高まります。このような事態を避けるには、客観的な根拠に基づいた適正な時価で取引を行う必要があります。

税務署の調査が厳しくなる恐れも

同族会社間や親族間の不動産取引は、第三者間の取引と比べて価格が恣意的に決められる可能性があるため、税務署は特に注視しがちです。税務調査で取引価格の根拠を明確に説明できないと、時価との差額分に課税されるリスクが高まります。

適正な時価を算定し、不動産鑑定評価書や複数の査定書など、算定の根拠となる資料を準備しておくと、税務署からの指摘を受けた際にも適切に対応できるでしょう。

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まとめ

同族会社間や親族間での不動産取引は、税務上のトラブルを避けるためにも、適正な時価での売買が欠かせません。

特に土地などの不動産は評価が難しいうえ、同族会社間や親族間の売買では税務署の目が厳しくなりがちです。客観的な根拠に基づいた時価の算定を心がけましょう。

時価の算定方法には、固定資産税評価額、路線価、地価公示価格、不動産鑑定評価、売買実例価格などがありますが、取引内容に合った適切な算定方法を選択しましょう。

時価より著しく低い価格や高い価格で取引すると、みなし譲渡と認定され、売主・買主双方に思わぬ税負担が生じる可能性もあるので、注意が必要です。また、税務調査に備え、算定の根拠を明確にしておきましょう。

同族会社間や親族間での不動産取引にお困りの方は、ぜひ小谷野税理士法人までご相談ください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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