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防衛特別法人税とは?いつから適用?導入の目的や計算方法も解説

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防衛特別法人税とは?いつから適用?導入の目的や計算方法も解説

2025年度(令和7年度)の税制改正により、防衛特別法人税が創設されました。通常の法人税を課税標準として計算する税金であり、いわゆる付加税の位置づけにあります。そんな防衛特別法人税について「いつから適用されるの?」「どれくらい課税される?」など疑問をお持ちの人も多いでしょう。

今回は防衛特別法人税について詳しく解説します。

防衛特別法人税とは

防衛特別法人税

防衛特別法人税とは2025年度の税制改正によって創設された税金です。法人税額を課税標準として計算するため、実質的には法人税の増税となります。

防衛特別法人税の導入目的

防衛特別法人税は「防衛力強化に係る財源確保のための税制措置」の1つです。

2022年(令和4年)に決定された国家防衛戦略に従い、防衛力整備計画が策定されました。2023年度から2027年度までの5年間で、本計画の実施に必要な防衛力整備の水準に係る金額は43兆円程度とされています。この膨大な資金を調達するために防衛特別法人税が創設されたのです。

参考:「国家安全保障戦略」・「国家防衛戦略」・「防衛力整備計画」|防衛省・自衛隊

参考:防衛力整備計画-ⅩⅢ 所要経費等|防衛省・自衛隊

防衛特別法人税の申告および納付期限

防衛特別法人税の申告および納付期限は、法人税の申告および納付期限と同じです。

法人税の申告時期は原則として決算日の翌日から2ヵ月以内とされています。土日祝と被っている場合は翌平日が期日となります。

関連記事:【税理士監修】法人税の申告期限は?基礎知識から注意点まで詳しく解説

関連記事:【税理士監修】法人税申告書とは?別表の概要や必要書類、作成手順まで詳しく解説!

法人税の中間申告書を提出するべき法人は、防衛特別法人税の中間申告書の提出も必要です。前事業年度の確定法人税額が20万円を超えた場合に中間申告の義務が発生します。中間申告書の提出期限は、事業年度が開始した日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内です。

関連記事:中間申告と予定申告はどう違う?申告方法についても解説

なお、4月14日の官報で防衛特別法人税の申告書の様式が公開されました。ただし、法人税申告書の記載様式にどのような変更が加わるかは2025年5月時点では未定です。税務申告を適切に行うため、今後公開される情報も随時確認しましょう。

参考:防衛特別法人税が創設されました|国税庁

防衛特別法人税はいつから適用される?

防衛特別法人税は2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

なお、2025年5月時点では適用終了時期は未定です。

防衛特別法人税の計算方法

防衛特別法人税の計算式は以下の通りです。

防衛特別法人税の額=課税標準法人税額(課税標準)×4%

課税標準法人税額とは、基準法人税額から基礎控除額500万円を差し引いた額です。したがって、計算式は「(基準法人税額-基礎控除額500万円)×4%」と表すこともできます。また、税額控除の適用も行われます。

基準法人税額が基礎控除である500万円以下であれば防衛特別法人税は発生しません。そのため防衛特別法人税は法人税額が500万円を超える法人、すなわち大企業や大きな利益を出している中小法人を対象とした税金といえるでしょう。

なお、基準法人税額とは所定の税額控除制度を適用しないで計算した法人税の額です。法人税の納付額と防衛特別法人税の計算に用いる金額が異なる点にご注意ください。

参考:令和7年度税制改正の大綱(6/9)-六防衛力強化に係る財源確保のための税制措置|防衛省

関連記事:【税理士監修】法人税とは?税率や計算方法、申告などをわかりやすく解説

防衛力整備に向けた資金調達を目的としたその他の制度の導入はいつから?

たばこ税

防衛特別法人税以外にも、防衛力整備のための資金調達を目的とした変更事項が2つ存在します。

  • たばこ税に関する税制改正
  • 防衛特別所得税の創設

このうち適用開始時期が確定しているのは、たばこ税に関する税制改正です。

以下よりそれぞれの変更事項について詳しく解説します。

【適用開始時期確定】たばこ税に関する税制改正

たばこ税に関する税制改正として以下の2つが行われます。

  • 加熱式たばこの課税方式の見直し
  • たばこ税の税率の特例

1について、「加熱式たばこ」の紙巻たばこへの本数の換算方法が変更となります。計算方法は複雑なため割愛しますが、従来の課税方式に比べて税額が増える見込みです。

加熱式たばこの課税方式の見直しは、激変緩和等の観点から2段階に分けて行われます。スケジュールは以下の通りです。

  • 第一段階:2026年4月1日
  • 第二段階:2026年10月1日

参考:加熱式たばこに係る課税方式の見直しについて(令和8年4月1日~)|国税庁

2について、たばこ税の税率が当面の間たばこ1,000本あたり8,302円(本則税率:6,802円)になります。ただし激変緩和等の観点から、3回に分けての段階的な引き上げとなります。

税率改正の実施時期および適用税率は以下の通りです。

実施時期

税率(1,000本あたり)

第一段階

2027年4月1日

7,302円

第二段階

2028年4月1日

7,802円

第三段階

2029年4月1日

8,302円

参考:令和7年度税制改正の大綱(6/9)-六防衛力強化に係る財源確保のための税制措置|防衛省

第三段階まで引き上げが完了すると、本則税率に比べて1本あたり1.5円の増税となります。2025年5月時点において、特例の終了時期については公表されていません。

【時期未定】防衛特別所得税の創設

防衛特別所得税の案自体は令和5年度の税制改正大綱ですでに登場しています。現時点で確認できるポイントは以下の2点です。

  • 当面の間、所得税額に対して税率1%の付加税を課す
  • 復興特別所得税の税率の1%引き下げおよび課税期間の延長を行う

参考:令和5年度税制改正の大綱(10/10)-Ⅱ防衛力強化に係る財源確保のための税制措置|財務省

ただし、2025年度の税制改正に防衛特別所得税の創設は含まれていません。2025年5月時点でも、防衛特別所得税の適用開始時期は未定とされています。

2025年税制改正による法人税のその他の変更事項

ふるさと納税

2025年の税制改正により、防衛特別法人税の創設以外にもさまざまな変更が生じました。以下では法人税に関する主な変更事項を紹介します。

中小法人等の軽減税率の特例の延長

法人税の原則的な税率は23.2%です。しかし、資本金1億円以下の中小企業等は年800万円以下の所得部分について低い税率が適用されます。この仕組みが軽減税率です。

現在適用されている軽減税率は15%ですが、こちらは時限的な特例であり、本則の軽減税率は19%です。軽減税率15%の特例は令和6年度末(2025年3月31日)で終了予定でしたが、税制改正により令和8年度末まで延長が決まりました。

参考:令和7年度税制改正-2.法人課税|財務省

企業版ふるさと納税の延長

企業版ふるさと納税とは、一定の要件を満たす事業に寄附を行なった場合に税額控除を受けられる制度です。正式名称は「地方創生応援税制」ですが、一般的には企業版ふるさと納税と呼ばれています。

企業版ふるさと納税は2025年3月31日に終了予定でした。しかし2025年度の税制改正により、適用期限が令和9年度(2028年3月31日)までに延長されています。

参考:令和7年度税制改正 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長|企業版ふるさと納税ポータルサイト‐地方創生推進事務局

5G導入促進税制・DX投資促進税制の廃止

5G導入促進税制とDX投資促進税制は、いずれも一定の要件を満たす設備を導入した場合に特別償却または税額控除を受けられる制度です。設備の導入促進に一定の役割を果たしたとして、2025年3月31日をもって廃止されました。

中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制の延長

中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制は、いずれも一定の要件を満たす設備投資をした場合に受けられる優遇税制です。2025年3月31日に廃止予定でしたが、税制改正により2027年3月31日まで延長されました。

関連記事:【税理士監修】特別償却と税額控除とは?節税のポイントや中小企業向けの控除について解説

防衛特別法人税適用開始に向けて最新情報を確認しよう

防衛特別法人税は2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。申告および納付期限は法人税と同じく決算日の翌日から2ヵ月以内です。

防衛特別法人税は基準法人税額が500万円以下であれば発生しません。したがって、法人税額が500万円を超える大規模な法人を対象とした税金と考えられます。中小規模で防衛特別法人税が発生する企業は少数派でしょう。

ただし、納付義務が発生する可能性が低いからといって無関係なわけではありません。適切な税務申告を行うため、防衛特別法人税について理解を深めることが大切です。

防衛特別法人税についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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