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2025年の税制改正のポイントは?増税・減税それぞれ該当する項目を解説

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2025年の税制改正のポイントは?増税・減税それぞれ該当する項目を解説

2025年の税制改正では、所得税や法人税に関するさまざまな変更が行われました。税制改正による変更のなかには実質的な増税と呼べるものもあれば、税負担の軽減につながるものもあります。税制改正の内容すべてを把握するのは困難ですが、生活や事業とのかかわりが深い変更については把握するべきでしょう。今回は2025年の税制改正による変更点の中でも、特にインパクトの大きい項目を増税・減税に分けてそれぞれ紹介します。

2025年度の税制改正で増税に該当する主な項目

増税

はじめに2025年度の税制改正による変更のうち、増税に該当する主な項目を4つ紹介します。

1.【所得税】iDeCo受取時の退職所得控除に関するルールが変更

2025年度の税制改正により、これまでiDeCoの「5年ルール」と呼ばれていた仕組みが「10年ルール」に変わりました。2026年1月1日以降に支払われる分から適用されます。

5年ルールはiDeCoなどの確定拠出型年金を退職金として受け取り、かつ、会社からの退職金も受け取る場合に関係します。

以前までは、iDeCoと会社からの退職金の両方で退職所得控除の適用を受けるためには、以下の手順を踏む必要がありました。

  1. iDeCoの一時金を先に受け取る
  2. 一時金の受け取りから5年以上の期間を空ける
  3. 2の期間が経過してから会社からの退職金を受け取る

前述のように、2025年の税制改正によって5年ルールが10年ルールに変更となります。すなわち、iDeCoの一時金と会社からの退職金の両方で退職所得控除の満額適用を受けるには、10年以上の期間を空ける必要があります。

関連記事:退職金の5年ルールを活用して所得控除を受ける方法

2.【法人税】所得年10億超の事業年度の軽減税率を17%に引き上げ

法人税に関する変更です。

前提として、資本金1億円以下の中小企業者等は、所得のうち年800万円以下の部分には原則的な税率よりも低い税率が適用されます。具体的な税率は以下の通りです。

区分

税率

資本金1億円以下の法人など

所得のうち年800万円以下の部分

下記以外の法人

所得10億円以下:15%

所得10億円超:17%

適用除外事業者

19%

年800万円超の部分

23.2%

上記以外の普通法人

23.2%

出典:No.5759 法人税の税率|国税庁

従来の税法ではその年の所得額に関係なく、資本金1億円以下の普通法人には一律で軽減税率15%が適用されました。しかし今回の税制改正により、所得が年10億円を超える場合、所得のうち年800万円以下の部分に適用される税率が17%になります。

参考:令和7年度税制改正の大綱(3/9) : 財務省

3.【法人税】2026年4月に防衛特別法人税を開始

2026年4月1日以後に開始する事業年度から、防衛特別法人税が適用されます。

防衛特別法人税は防衛力強化に係る財源確保を目的とした税です。課税標準法人税額(基準法人税額から500万円を控除した金額)に4%を乗じて計算します。申告および納付期限は法人税等と同一です。

参考:令和7年度税制改正の大綱-78ページ

4.【法人税・所得税】5G導入促進税制・DX投資促進税制の廃止

5G導入促進税制は、5G情報通信システムに係る一定の設備を導入した場合に特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。5G基地局の導入促進に一定の役割を果たしたとの判断により、2025年3月31日をもって廃止されました。

DX投資促進税制とは、DXの実現に必要なデジタル関連投資に対して特別償却または税額控除の適用を受けられる制度です。先進的なDX事例の普及に一定の役割を果たしたとの判断から、同じく2025年3月31日をもって廃止されました。

2025年度の税制改正による主な減税項目

減税

続いて、2025年度の税制改正による主な変更点のうち、減税に該当する項目を3つ紹介します。

1.【所得税】各種控除の引き上げ

2025年の税制改正により、基礎控除と給与所得控除の引き上げが行われました。

【基礎控除】

2025年の税制改正により、以下2つの変更が行われています。

  • 最高48万円から10万円引き上げて最高58万円
  • 所得階層ごとに最高37万円の控除額の上乗せを実施

控除額の上乗せは、今のところ2年間の時限措置とされています。

【給与所得控除】

最低保障額が55万円から65万円に10万円引き上げられました。物価上昇への対応や就業調整への対応の観点から実施された変更です。

参考:令和7年度税制改正-1.個人所得課税|財務省

2.【所得税】特定扶養控除の見直し・特別控除の創設等

所得税の特定扶養控除等について、以下の変更が行われています。

  1. 19歳以上23歳未満の子等の合計所得金額が85万円までは、親等が特定扶養控除と同額である63万円の所得控除を受けられる
  2. 扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件が48万円以下であったところを、基礎控除引き上げを踏まえて58万円に変更

昨今の人手不足の状況を踏まえ、特に大学生のアルバイトの就業調整に対応するために導入されました。

なお1について、合計所得金額が85万円を超えた場合は親等に適用される控除額が段階的に逓減されます。

参考:令和7年度税制改正-4ページ|財務省

関連記事:勤労学生控除とは?親の税金は増えるの?条件や申告方法など学生が知るべき税金の節約術をご紹介!

3.【法人税】軽減税率15%の延長

法人税の軽減税率とは、中小法人の所得のうち年800万円以下の部分には原則的な税率よりも低い税率が適用される仕組みです。

2025年現在の軽減税率は15%(適用除外法人は19%)ですが、この15%という税率は時限的な特例措置です。本則の軽減税率は19%であり、リーマン・ショックの際の経済対策として一時的に15%へ引き下げられました。

軽減税率15%の適用期限は、本来は2025年3月31日までに開始する事業年度以前が対象の予定でした。しかし2025年の税制改正により、軽減税率15%の適用期限は2年間延長されました。したがって、2027年3月31日までに開始する各事業年度までの軽減税率は引き続き15%になります。

ただし、軽減税率15%の延長と同時に以下の見直しも行われています。

  • 所得10億円を超える年の軽減税率を17%に引き上げ
  • グループ通算制度の適用を受けている場合は軽減税率の適用対象外とする

一部の中小企業者等は実質的な増税となります。財務省の資料によると、当該見直しの対象になるのは、現行の特例税率の適用対象となる企業のうち0.3%程度です。

参考:令和7年度税制改正-2.法人課税|財務省

関連記事:【税理士監修】中小企業の法人税率とは?ざっくり計算!

2025年度の税制改正では先送りとなった項目

税金

最後に、2025年の税制改正では具体策が決まらず先送り・保留となった項目3つを紹介します。

1.【所得税】退職金課税制度の見直し

会社からの退職金を一時金として受け取る場合、退職金は退職所得として扱います。退職所得には勤続年数に応じた退職所得控除が適用され、勤続年数が長いほど退職所得控除の額も増える仕組みです。

このように同じ会社での勤続年数が長いほど退職所得控除が増える仕組みについて、2023年から何度か見直しの提言がありました。しかし国民からの批判もあり、現在に至るまで抜本的な議論には至っていません。2025年税制改正においても議論はされず、退職金課税制度の見直しは先送りとされています。

関連記事:退職金のお得な受け取り方は?「一時金」「年金」の選ぶポイント

関連記事:退職金にも税金がかかる?節税効果の高い受け取り方

2.【所得税】防衛特別所得税の導入

2026年4月1日以後に開始する事業年度から、防衛特別法人税が適用されると紹介しました。そして同じように、所得税も防衛増税と呼ばれる「防衛特別所得税」の導入予定があります。

防衛特別所得税は当初2027年1月から導入予定でした。しかし政府と与党の合意により、導入時期は延期・未定とされています。

3.【ガソリン税】暫定税率の廃止時期未定・具体策なし

ガソリン暫定税率とは、本則税率と1974年に上乗せされた税率をあわせた税率の呼称です。ガソリン1リットルあたり本則税率が28.7円、上乗せ税率が25.1円です。

暫定税率のうち上乗せ部分については、すでに2024年末に自民、公明、国民民主の3党会談で廃止の合意がされています。しかし廃止時期は未定であり、2025年度の税制改正でも特に動きはない状態です。

適切な納税・節税対策のために税制改正のポイントを押さえよう

税制改正により毎年多くの変更が行われています。税制改正による変更を「知らなかった」は残念ながら通用しません。適切な税務申告や納税、効果的な節税対策を行うためには、税制改正について十分に理解する必要があります。

とはいえ、税制改正の内容すべてを完璧に把握するのは困難です。まずは自分に関係する変更点や、特にインパクトの大きい内容から押さえましょう。

税務の専門家である税理士は、税制改正を含む最新の税務情報を考慮したアドバイスやサポートが可能です。税制改正の疑問や不安については税理士に相談することをおすすめします。

税制改正についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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