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2025年度の税制改正で法人税はどう変わる?概要や変更点を解説

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2025年度の税制改正で法人税はどう変わる?概要や変更点を解説

2025年(令和7年)度の税制改正では、防衛特別法人税などの新しい税制度の導入に加え、中小企業者等の法人税軽減税率の見直しや企業版ふるさと納税の延長など、様々な点が改正されます。本記事では、今回の税制改正によって法人税がどう変わるのかについて解説していきます。

2025年度の税制改正の概要

2025年度の税制改正は、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」という方針のもと、以下のような問題に対処することを目指しています。

  • 物価の上昇に伴う税負担
  • 老後の資産形成の促進
  • 国際環境の変化
  • 防衛力を強化するための財源
  • 中小企業の成長支援
  • 就業調整対策

改正される主な項目は、基礎控除などの個人所得の見直し、国際課税の制度、新しい税制の導入、法人課税の見直しなどです。これらを通して経済成長と豊かな社会実現を図ります。

関連記事:法人税・法人事業税・法人住民税の違いと計算方法

税制改正による法人税の変更点

変更点

2025年の税制改正によって、法人税の観点では以下のような点が変更されました。

  1. 中小企業等の法人税軽減税率の見直し
  2. 中小企業経営強化税制の拡充
  3. 企業版ふるさと納税の継続
  4. 地域未来投資促進税制の見直し・延長

以下では、それぞれの変更点についてより詳しく解説していきます。

1.中小企業者等の法人税軽減税率が見直された

法人税の税率は原則23.2%ですが、中小企業者等に関しては年800万円以下の部分については15%に軽減されています。この制度は2025年3月31日で終了する予定でしたが、今回の税制改正では2027年3月31日まで延長されました。

ただし、所得金額が10億円を超える事業年度については15%から17%へ引き上げられます。また、グループ通算制度を利用している通算法人は本制度の対象外です。これにより、規模の大きな中小企業や通算法人の税負担が増えることになります。具体的な法人税率の区分は中小企業庁のHPを参考にしてください。

参考:法人税率の軽減|中小企業庁

関連記事:【税理士監修】法人税率の「実効税率」とは?年所得800万円以下の中小企業の計算式はどうなる?

2.中小企業経営強化税制が拡充された

中小企業経営強化税制とは、経営力向上計画の認定を受けた企業が対象となる設備の取得や制作を行った場合に即時償却または取得価額の10%の税額控除が受けられる制度です。

これまでは、生産性向上設備のA類型収益力強化設備のB類型、デジタル化設備のC類型、経営資源集約化設備のD類型の4種類でしたが、今回の税制改正でC類型が廃止されてB類型の対象が拡充されました。この制度の対象は以下の通りです。

資産の種類

1台(1基)の取得価額

販売を開始した時期

機械、装置

160万円以上

10年以内

工具

30万円以上

5年以内

器具、備品

30万円以上

6年以内

建物付属設備

60万円以上

14年以内

ソフトウェア

70万円以上

5年以内

具体的な手続きや細かな条件については申請する類型によって異なるため、中小企業庁が出している手引きなどを参考にしましょう。

参考:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き|中小企業庁

3.企業版ふるさと納税が継続へ

市区町村が独自に行う地域創生に対して寄付することを企業版ふるさと納税と呼びます。企業版ふるさと納税では、個人で行うふるさと納税のように返礼品はなく、損金算入や税額控除できる仕組みになっています。下限額は10万円です。

本来、企業版ふるさと納税は2024年度まででしたが、今回の税制改正によって2027年度まで延長されることになりました。また、期間の延長に加え、地方公共団体におけるチェックの強化や活用事業の公表などといった制度自体の透明化を図るルールも新たに設けられています。

参考:令和7年度税制改正 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長|内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生

関連記事:法人も寄付金控除は適用される?法人税の損金算入についても解説

4.地域未来投資促進税制の見直しおよび延長

地域未来投資促進税制とは地域の長所を活かした事業である地域経済牽引事業を促進するために設けられた制度です。地域経済牽引事業計画を作成し、承認された事業者は最大50%の法人税等の特別償却または最大6%の税額控除が受けられます。

期間も2024年度末までから2027年度末に延長されています。

地域経済牽引事業計画の承認は都道府県から受けなければなりませんが、承認には要件が設けられています。具体的な要件は以下の通りです。

  • 地域の特性を活用した事業である
  • 基準以上の高い付加価値を生み出している
  • 地域の事業者に対する経済的な効果がある

上記の要件を満たしている場合は本制度の対象となります。より詳しい内容や手続きについて知りたい方は、経済産業省のHPを確認しましょう。

参考:地域未来投資促進税制|経済産業省

新設された税や制度

リース会計基準

2025年度の税制改正では、新しい税や制度が導入されることになりました。新設された主な税や制度は次の通りです。

  1. 防衛特別法人税
  2. 高度な資源循環投資促進税制
  3. 新リース会計基準
  4. 国内ミニマム課税
  5. 軽課税所得ルール

以下では、それぞれの内容について詳しく解説していきます。

1.防衛特別法人税

防衛特別法人税とは、防衛力を高めるための財源確保を目的として創設されました。適用開始時期は2026年度からと予定されています。防衛特別法人税は、基準法人税額から500万円を差し引いた金額に対して4%の税率を課す仕組みです。

基準法人税額とは各種控除を適用する前の法人税額を指します。つまり、防衛特別法人税に付帯して新たに500万円の控除が適用されるのです。したがって基準法人税額が500万円以下の場合は防衛特別法人税は課されません。

防衛特別法人税の具体的な計算例は以下のようになります。例えば、基準法人税額が3,000万円の企業の場合は以下のように計算します。

(3,000万円-500万円)×4%=100万円

上記のケースで納める防衛特別法人税額は100万円です。

参考:令和7年度税制改正の大綱(6/9)六防衛力強化に係る財源確保のための税制措置|財務省

2.高度な資源循環投資促進税制

高度な資源循環投資促進税制(再資源化事業等の高度化のための事業に係る特例措置)は、脱炭素社会を実現するための資源循環を促進するために新設されました。廃棄物処理事業者の負担軽減および、製造業・小売業とリサイクル業・廃棄物処理業とが連携ができる環境整備を促すために、企業に対して特例措置が設けられたのです。

この制度では、高度分離・回収事業計画または再資源化事業等高度化法の高度再資源化事業計画の認定を受けた青色申告を利用している法人を対象としており、対象となる資産の取得価額の35%の特別償却が可能です。本制度の対象となる資産は以下の2種類となっています。

  • 1基または1台の取得価額が200万円以上の器具装備
  • 1基または1台の取得価額が2,000万円以上の機械装置

ただし、対象となる資産の取得価額の合計額のうち20億円を上限としています。

参考:再資源化事業等の高度化のための事業に係る特例措置(高度な資源循環投資促進税制)の創設|環境省

3.新リース会計基準

リース取引の会計処理の会計基準について定めた新リース会計基準は、2027年度の連結会計年度または事業年度の期首から適用されることになりました。新リース会計基準は、主に投資家たちが企業の実態をより正確に把握できることと、日本基準と国際基準の辻褄を合わせることを目的としています。新リース会計基準の対象となる企業は以下の通りです。

  • 金融商品取引法が適用される企業(関連会社子会社を含む)
  • 会計監査を設置する企業とその子会社

新リース会計基準では、リース取引となる判断基準が以下のように変更されています。

  • 資産が特定されている
  • 資産の使用を指示する権利を有している
  • 特定の資産の使用から生じる経済的利益のほぼすべてを享受する権利を有している

上記に該当する場合は、契約書にリースと明記されていなくても新リース会計基準が適用される点に注意しましょう。

関連記事:リースは節税に効果的?節税に結びつく理由と注意点を徹底解説

4.国内ミニマム課税

国内ミニマム課税は、グループ全体の売上高が7億5000万ユーロ以上の多国籍企業を対象とした制度です。日本にある企業グループ全体の実効税率が15%未満の場合、国際的に定められた最低税率の15%に至るまで追加課税する仕組みになっています。

多国籍企業に対しては所得合算のルールが設けられており、海外の子会社の実効税率が15%未満の場合は現地国の親会社に対して最低税率の15%に至るまで追加課税することになっています。これが適用されてしまうと国内の税収が下がってしまうため、国内での適切な課税ができるように今回の改正で法制化されました。

日本で国内ミニマム課税が課された場合は、所得合算ルールと軽課税所得ルールによる追加課税はありません。

関連記事:【税理士監修】タックスヘイブン対策税制とは?概要や仕組みなどを解説

参考:第2の柱(グローバル・ミニマム課税)の考え方|国税庁

5.軽課税所得ルール

軽課税所得ルール、通称UTPRは海外に所在する親会社の実効税率が15%に満たない場合に、日本にある子会社に対して15%になるまで上乗せ請求される仕組みになっています。これは、多国籍企業全体で15%の課税を確保する目的で作られたルールで、グローバル・ミニマム課税の未導入国など所得合算ルールが適用されない場合に用います。

関連記事:従業員の所得税はどう処理すればいい?源泉所徴収税の計算と納付方法

税制改正による変更点や新たな制度を把握しておこう

2025年度の税制改正のうち法人税と関連のあるものには、中小企業等の法人税軽減税率の見直しや中小企業経営強化税制の拡充、防衛特別法人税の創設などが挙げられます。また、これらに加えて国際的に国内ミニマム課税や軽課税所得ルールなどが新たに設けられており、対象となる企業には新たな税制に対応することが求められます。

新たな制度に対応することは労力が必要ですが、企業としてこれらに対応することは持続可能な社会を実現するために重要であるため、税制改正による変更点や新たな制度についてしっかりと理解を深めましょう。

税制改正についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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