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法人税率の軽減税率15%が2年延長!2025年度の税制改正について解説

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法人税率の軽減税率15%が2年延長!2025年度の税制改正について解説

2025年度の税制改正におけるポイントの1つが、法人税の軽減税率15%の延長および見直しです。法人税率だけでなく、2025年度の税制改正では法人税に関するさまざまな変更が行われます。正しい会計処理や税務申告を行うためには、税制改正による変更点の確認が欠かせません。

今回は法人税の軽減税率に関する内容を中心に、2025年度の税制改正における法人税の変更点について解説します。

法人税率の軽減税率15%に関する基本事項

2025年度の税制改正について詳しくみる前に、まずは法人税率の軽減税率15%に関する基本事項を解説します。

法人税の軽減税率15%は時限的な特例措置

普通法人に適用される法人税の税率は、資本金1億円以下の中小企業者等とそれ以外の法人で以下のように異なります。

区分

税率

資本金1億円以下の法人など

所得のうち年800万円以下の部分

下記以外の法人

15%

適用除外事業者

19%

年800万円超の部分

23.2%

上記以外の普通法人

23.2%

出典:No.5759 法人税の税率|国税庁

このように中小法人は、所得のうち年800万円以下の部分には原則的な税率である23.2%よりも低い税率が適用される仕組みです。

年800万円以下の所得には低い税率が適用される仕組みは本則でも定められています。しかし、本則の軽減税率は19%であり、現在適用されている軽減税率15%は時限的な特例措置です。今回の軽減税率の延長期間の終了後は、年800万円以下の所得に適用される税率は19%になります。

参考:中小法人に対する課税に関する資料|財務省

関連記事:【税理士監修】中小企業の法人税率とは?ざっくり計算!

軽減税率15%の適用対象外となる中小企業者等

資本金1億円以下の普通法人であっても、以下のいずれかに該当する場合は軽減税率の適用対象外です。

  • 相互会社および外国相互会社である
    (相互会社:保険会社にのみ設立が認められた特殊な会社形態)
  • 大法人による完全支配関係がある
  • 複数の大法人との間に支配関係があり、支配関係にある大法人に発行済み株式数の3分の2以上を所有されている
  • 投資法人
  • 特定目的会社
  • 受託法人
  • 大通算法人

また、適用除外事業者に該当する場合の軽減税率は15%ではなく19%となります。適用除外事業者に該当するのは、直近3事業年度の平均所得金額が年15億円を超える事業者です。

参考:No.5759 法人税の税率|国税庁

【2025年税制改正】法人税率の軽減税率15%の適用期限が2年延長

税制改正

法人税率の軽減税率15%は時限的な措置であり、当初は2025年3月31日までに開始する事業年度までが対象の予定でした。

しかし、2025年度の税制改正によって法人税率の軽減税率15%の適用期限が2年延長されました。すなわち、2027年3月31日までに開始する各事業年度までは引き続き軽減税率15%の適用を受けられるのです。

軽減税率15%の適用期限の延長が行われた背景

軽減税率15%の適用期限の延長が行われた背景に存在するのは、昨今の人手不足や物価高騰です。財務省による資料には、「賃上げや物価高への対応に迫られている中小企業の状況を踏まえた」上での対応と案内されています。

参考:令和7年度税制改正-2.法人課税|財務省

法人税の軽減税率はリーマン・ショック時の経済対策として導入された仕組みです。今回の税制改正では延長になりましたが、時限的な特例という前提のため、いずれは軽減税率の廃止も起こり得るでしょう。

関連記事:【税理士監修】法人税率の変動:各国との比較を交えた推移についての解説

適用期限の延長とあわせて2つの見直しも実施

2025年度の税制改正に際して、軽減税率の適用期限の延長とあわせて以下2つの見直しも実施されます。

  • 所得10億円を超える年の軽減税率は17%に引き上げ
  • グループ通算制度の適用を受けている中小企業は法人税の軽減税率の適用対象外とする

なお財務省の資料によると、見直しの対象になるのは現行の特例税率の適用対象企業のうち0.3%です。中小企業全体でみると0.1%程度となります。

参考:令和7年度税制改正-2.法人課税|財務省

【法人税関連】2025年度の税制改正によるその他の変更点

2025年度の税制改正では、軽減税率の延長や見直し以外にもさまざまな変更が行われます。以下では2025年度の税制改正によるその他の変更点のうち、法人税に関するものを3つ紹介します。

1.中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制の適用期限の延長

中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の適用期限が2年間延長されます。どちらの制度も適用期限が2027年3月31日までになりました。

中小企業投資促進税制・中小企業経営強化税制それぞれの特徴は以下の通りです。

中小企業投資促進税制

中小企業経営強化税制

特例の内容

一定の要件を満たす設備投資を行なった場合に、30%の特別償却または7%の税額控除を受けられる

一定の要件を満たす設備投資を行なった場合に、取得価額全額の即時償却または最大10%の税額控除を受けられる

必要な手続き

【特別償却の場合】

確定申告書等に、償却限度額の計算に関する明細書を添付する

【税額控除の場合】

確定申告書に控除を受ける金額を記載し、金額の計算に関する明細書を添付する

【特別償却の場合】

確定申告書等に以下2つを添付する

  • 償却限度額の計算に関する明細書
  • 経営力向上計画に係る認定申請書の写しおよび経営力向上計画に係る認定書の写し

【税額控除の場合】

確定申告書に控除を受ける金額を記載し、かつ、以下2つを添付する

  • 税額控除の金額の計算に関する明細書
  • 経営力向上計画に係る認定申請書の写しおよび経営力向上計画に係る認定書の写し

適用期限の延長以外の変更点

みなし大企業の判定方法に関する変更

100億企業を目指す中小企業に対する措置を拡充(対象資産に建物を追加)

中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制は、これまでにも複数回の変更が行われてきた制度です。制度を適切に活用し正しい税務申告を行うため、税制改正の内容も含め、必ず最新情報を確認しましょう。

関連記事:【税理士監修】特別償却と税額控除とは?節税のポイントや中小企業向けの控除について解説

2.デジタル投資関連の税制2つの廃止

2025年3月31日をもって、デジタル投資関連の以下2つの税制が廃止されました。

  • 5G導入促進税制
  • DX投資促進税制

5G導入促進税制では特別償却、DX投資促進税制では特別償却または税額控除の適用を受けられました。

これらの税制廃止によりデジタル投資をした際の控除を受けられなくなるため、実質的に法人税の負担が重くなるといえるでしょう。

3.地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長

地方創生応援税制とは、一定の要件を満たす事業に対して企業が寄附を行なった場合に税額控除の適用を受けられる制度です。一般的には企業版ふるさと納税と呼ばれています。ただし、個人のふるさと納税と違い返礼品の仕組みはありません。

企業版ふるさと納税は時限的な特例措置であり、適用期限は2025年3月31日までの予定でした。しかし、2025年度の税制改正により適用期限が3年間延長され、令和9年度(2028年3月31日)までに変更されています。

参考:令和7年度税制改正 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の延長|企業版ふるさと納税ポータルサイト‐地方創生推進事務局

税制改正に関する疑問や不安は専門家に相談

税理士変更

2025年度の税制改正により、法人税率の軽減税率15%の適用期限が2年間延長になりました。ほかにも各種税制の適用期限の延長や、デジタル投資関連の税制の廃止など、さまざまな変更が行われています。

15%の軽減税率は2027年3月31日で廃止されるのか、再び延長されるのか、現時点では推測できません。税務申告や納税、そして節税対策を正しく行うためには、常に最新の税務情報を把握する必要があります。

とはいえ、税制改正に関する膨大な情報をすべて把握するのは容易ではありません。また、税制改正大綱だけでは変更点を把握しにくい部分も存在します。

税制改正に関する疑問や不安があれば、税務の専門家である税理士に相談するのが安心です。

法人税をはじめ、税制改正についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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