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個人事業主から法人成り後に建設国保を継続するには?

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個人事業主から法人成り後に建設国保を継続するには?

個人事業主として建設国保に加入していた方が法人化(法人成り)した場合、一定の条件を満たせば、法人設立後も引き続き建設国保に加入できます。社会保険に切り替えるのではなく、建設国保の継続も検討したい方に向けて、この記事では建設国保のメリット・デメリット、建設国保と社会保険の違い、継続の条件や注意点などを解説しています。この記事を読めば、自身に合った選択肢を判断できるでしょう。

建設国保の仕組み

建設国保(建設国民健康保険組合)は、建設業に従事する事業主や従業員などを対象とした業界特化型の国民健康保険制度です。

主な加入対象は個人事業主や少人数の法人など小規模な事業所で、一般的な国民健康保険とは異なり、同業者によって組織・運営されています。

保険料は給与額ではなく年齢や家族構成、被保険者の立場(事業主・従業員など)によって決まり、所得による変動が少ないため、安定した保険料体系がメリットです。

また、全額自己負担方式であるため、事業主や会社側が保険料を負担する必要がない点も多くの加入者から支持されています。

なお、適用除外制度により、一定の条件を満たせば一般の健康保険への加入義務が免除され、建設国保に加入することが可能です。

全国には複数の建設国保組合があり、地域や業種に合わせた保険サービスがあります。よって、加入者は建設業に特化したサポートを受けられるうえ、健康管理や福利厚生も充実しています。

さらに医療保障や生活支援などの幅広いサービスが利用できる点も、多くの利用者に支持されている理由のひとつです。

法人成り後の社会保険の加入義務

個人事業主が法人化すると、原則として社会保険への加入が義務となります。これは法人の代表者が1人だけの場合でも例外ではなく、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。

加入先は一般的に全国健康保険協会(協会けんぽ)および日本年金機構です。従業員を1人以上雇用する場合は社会保険への加入義務がより明確で、法人化したタイミングで所定の手続きを行う必要があります。

社会保険料は会社と加入者(役員や従業員)が原則として折半で負担する仕組みです。これにより、一般的に法人代表者の保険料負担は、個人事業主のときと比べて増加します。

加えて、40歳以上の加入者には介護保険料も加算されるため、保険料負担はさらに大きくなるでしょう。

このように、法人成り後の社会保険加入は義務であると同時に、経営コストにも影響を与えます。制度の内容を事前に理解し、法人化後に慌てることのないよう準備しておきましょう。

関連記事:社会保険とは?種類や加入条件、負担割合などを解説

「協会けんぽ」と「建設国保」保険料の違い

雑損控除における確定申告のイメージ

協会けんぽと建設国保は、保険料の計算方法や負担方法が異なります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを説明しますので、迷ったときの参考にしてください。

協会けんぽの保険料

協会けんぽの保険料は、標準報酬月額×保険料率で計算され、給与や賞与の額によって毎月の保険料が変動します。たとえば、東京都の場合、保険料率はおおよそ9.96%前後で、さらに介護保険料(40歳以上65歳未満)も加算されます。

保険料は事業主と従業員で折半するため、事業主にとって負担割合は大きなポイントです。給与額が上がるほど保険料も増える仕組みのため、従業員の報酬水準や賞与額を見誤ると、企業側の保険料負担が予想以上に膨らむリスクがあります。

協会けんぽは、厚生年金や傷病手当金などの社会保障制度が充実しており、従業員の福利厚生を重視する企業には適しています。ただし、保険料は比較的高いため、資金計画とのバランスを考えることが大切です。

建設国保の保険料

建設国保は年齢や家族構成など被保険者の状況に応じて保険料が決まり、定額制に近い保険料体系が特徴です。収入に左右されにくいため、年間を通して保険料の見通しを立てやすいでしょう。

また、建設国保は建設業に特化した組合が運営しており、業界特有のサポートや給付制度が利用できるメリットもあります。

建設国保の保険料は加入者が全額自己負担する仕組みとなっており、法人側の経費負担が発生しません経費を抑えたい小規模法人にとってコスト管理しやすい選択肢です。

ただし、加入者は所得が低い場合でも一定額の保険料が必要になるため、収入によっては割高に感じるかもしれません。

このように、保険料の計算方法や会社・従業員の負担割合は両制度で異なります。事業規模や役員報酬、従業員構成などを踏まえ、自社にとって負担が少なく、メリットが高い保険制度を選択することが安定した経営につながるでしょう。

関連記事:法人成り後の労働保険の手続きについて社会保険との違いも解説

法人成り後も建設国保を継続する条件

個人事業主が法人化(法人成り)したあとも、引き続き建設国保を利用したいと考える方は少なくありません。

法人化後も継続して加入するには、いくつか条件があります。ここでは、建設国保を継続する条件と注意点を見ていきましょう。

建設業として事業を営んでいること

建設国保は建設業に従事する事業者を対象とした制度のため、法人の主たる事業内容が建設業であることが必要です。申請時には、建設業を証明する資料(事業目的や許可証など)の提出が求められます。

所属している健康国保組合の規約に適合していること

各建設国保組合には加入条件や業種に関する規定があり、要件を満たしていない場合は加入できない可能性があります。

法人設立後の必要書類を提出していること

法人設立登記簿謄本や従業員名簿など、法人であることを証明する書類を期間内に提出しなければなりません。不備や提出遅れがあると、継続が認められない場合もあります。

法人情報の変更があった場合は速やかに届け出ること

法人名、代表者、所在地などに変更があった場合は、すみやかに組合へ届け出る必要があります。

これらの条件を満たすことで、法人化後も建設国保への継続加入が可能です。従業員数の変動や事業内容の変更に注意し、加入している建設国保組合との連絡をスムーズに行いましょう。

保険料を抑えるためのポイント

投資家が法人化する目安のイメージ

保険料の負担をできるだけ抑えることは、健全な事業運営のためにも大切です。無駄な支出を防ぐためには、各保険制度の特徴を理解し、自社に合った制度を選びましょう。

ここでは、保険料の見直しや削減に役立つポイントを説明します。

保険制度の仕組みを把握する

加入している保険制度(建設国保・協会けんぽなど)の仕組みや保険料の計算方法を正しく理解しましょう。制度ごとの特徴を把握することで、自社にとって最も負担の少ない選択肢が見えてきます。

役員報酬を適切に設定する

協会けんぽでは、保険料は役員報酬の金額に応じて決まるため、報酬額を過度に高く設定してしまうと保険料も大きくなります。適正な金額を設定することで、毎月の保険料負担を抑えることが可能です。

家族構成・扶養状況の見直しをする

建設国保では、年齢や家族構成が保険料に大きく影響します。家族の独立などを踏まえ、定期的に扶養状況を確認することで、保険料の適正化が図れます。

手当や経費の支給方法を工夫する

給与以外の手当の支給方法を見直したり、会社側で保険料分を経費として計上したりすることで、実質的な負担を抑えることができます。節税効果も期待できるため、税理士等の専門家に相談することもおすすめです。

これらのポイントを意識して保険制度や報酬体系を見直すことで、保険料のコントロールがしやすくなり、事業全体のコスト効率化にもつながります。経営や事業の成長に応じて、定期的な見直しを行いましょう。

関連記事:会社設立は税金対策に効果的?期待できる節税効果と会社設立のポイント

建設国保と社会保険のメリット

プライベートカンパニーの作り方のイメージ

建設業で働く方にとって、建設国保と社会保険のどちらを選ぶかは生活に大きく影響します。それぞれ特徴があり、加入者の立場や事業の状況に応じて適した制度は異なります。

ここでは、それぞれのメリットを見ていきましょう。

建設国保のメリット

  • 建設業に特化した制度で柔軟なサポートが受けられる
  • 保険料が安定しているため、収入の変動による影響を受けにくい
  • 経営者の負担が少ないため、小規模経営でも導入しやすい

社会保険(協会けんぽ・厚生年金)のメリット

  • 収入に応じた保障が充実しており、高所得者は手厚い保障が受けられる
  • 保険料を会社と従業員で分担しており、従業員の負担が軽減される
  • 公的保障など充実した福利厚生制度がある

このように、建設国保は保険料の安定性や事業者負担の少なさがメリットであり、社会保険は充実した保障内容が従業員に魅力的です。

関連記事:個人事業主から法人化をするメリットは?タイミングと手順

建設国保と社会保険のデメリットと注意点

両制度にはメリットだけでなく、注意すべき点やデメリットもあります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合った判断をしましょう。

建設国保のデメリット

  • 低所得者にとっては割高になる可能性がある
  • 法人化や人員の増加で継続が難しくなる
  • 加入者が全額自己負担するため、保険料の負担が増加する

社会保険のデメリット

  • 保険料を会社と従業員で折半するため、事業者側の経費負担が大きくなる
  • 保険料の計算や届出業務、各種変更手続きなど、管理に手間がかかる
  • 従業員が一定数を超えると加入が義務化されるため、保険料の負担も増える

両制度のメリットとデメリットを比較し、会社の成長フェーズや従業員構成、今後の事業計画にそって、適切な制度を選択しましょう。

建設国保を継続するための手続き

法人化後に建設国保を継続するためには、速やかな手続きが必要です。継続申請の期限は組合によって異なりますが、多くの場合は法人登記が完了してから1か月以内が目安です。

期限を過ぎると、継続が認められないケースもあるため、注意しましょう。

申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 法人登記簿謄本(最新のもの)
  • 代表者の印鑑証明書
  • 従業員名簿(従業員数が条件内であることの確認用)
  • 法人の事業内容を証明する書類(例:建設業許可証)
  • 継続申請書(建設国保組合所定の様式)

申請は郵送またはオンラインで行います。組合によって受付方法が異なる場合があるため、事前に確認しましょう。手続きの流れは以下の通りです。

  1. 必要書類を揃える
  2. 加入予定の建設国保組合に連絡し、提出方法や追加資料の有無を確認する
  3. 書類を提出する
  4. 組合による審査が行われる
  5. 審査通過後、建設国保の継続が正式に認められ、保険料などの案内が届く

また、法人の所在地変更や代表者交代があった場合には、速やかに届けましょう。

従業員数が増減した場合も同様で、継続条件を満たしているか確認してください。

関連記事:【事業主向け】社会保険料を抑える7つの方法と3つのデメリット

建設国保の継続に関するまとめ

個人事業主から法人化する際には、建設国保と社会保険のどちらに加入するかを慎重に検討しましょう。建設国保は所得に左右されにくく、保険料が安定しているのが特徴です

一方、社会保険は給与額に応じて保険料が決まるため、手厚い保障が受けられる反面、事業者・従業員ともに負担が大きくなる傾向があります。

法人化すると、原則として社会保険への加入が義務付けられますが、一定の条件を満たせば建設国保の継続も可能です。事業内容が建設業であることなどが要件に含まれますので、条件を事前に確認しましょう。

保険制度の選択は、保険料だけでなく、福利厚生の充実度や経営プランにも影響します。判断に迷う場合は、建設業に詳しい税理士や社労士に相談することをおすすめします。

建設国保についてのお困りごとやご相談は、ぜひ小谷野税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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