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不動産業の事業区分は?判定が難しい区分や簡易課税制度の基礎を解説

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不動産業の事業区分は?判定が難しい区分や簡易課税制度の基礎を解説

不動産業を営むうえで欠かせないのが「事業区分」の正しい理解です。特に簡易課税制度を適用する場合、事業内容に応じた正確な区分が求められます。さらに誤った判断は消費税の申告ミスや税務リスクにつながるおそれがあるので要注意です。本記事では、不動産業における代表的な事業区分の種類や判断基準、区分ごとの税務上の取扱いについて詳しく解説します。事業内容の区分の判断が正しいか不安な方は、ぜひ参考にしてください。

簡易課税制度には事業区分が必要

簡易課税制度は事業者の選択により、売上げに係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。中小事業者の納税事務負担に配慮する観点から、本制度が発足されました。

易課税制度では、事業の形態に応じて第1種から第6種までの6つの事業に区分されます。そしてそれぞれの事業の課税売上高に対し、国が定めたみなし仕入率を適用して、仕入れにかかった消費税額(仕入控除税額)を計算します。

参考:No.6505 簡易課税制度|国税庁

参考:No.6509 簡易課税制度の事業区分|国税庁

不動産業の一般的な事業区分

税理士に相談をする開業医のイメージ

不動産業における簡易課税制度の事業区分は、原則として「第6種事業」に該当しますただし、実際の事業内容によっては、日本標準産業分類に基づき、より細かく区分されるため注意が必要です。

この後詳しく解説しますが、不動産業に関連する業務の中には「第5種事業」に該当する場合があります。もし簡易課税制度を適用する際は自社の事業がどの区分に該当するか実際の取引内容や業務実態に基づいて判断する必要があります。

場合によっては、税務署や税理士などの専門家に確認するのがおすすめです。

関連記事:不動産業の節税対策まとめ|仕組みや注意点も解説

簡易課税制度のメリット・デメリット

簡易課税制度を活用するメリット・デメリットを以下の表にまとめました。

メリット

  • 取引によっては実際に支払った消費税額よりも納める消費税額が少なくなり、消費税の節税につながるケースがある
  • 実際の仕入れ税額を計算する必要がないため、経理処理が楽になる可能性がある
  • 領収書や請求書の管理、個別仕入れの消費税計算が不要になるため、事務負担が軽減される
  • 実際の仕入れ税額に関わらず、みなし仕入れ率に基づいて納付税額が決まるため、納税額が予測しやすい

デメリット

  • 課税仕入れが課税売上を上回る場合でも、消費税の還付は受けられない
  • 一度選択すると、原則として2年間は継続適用が必要(事業を廃止した場合などを除く)
  • 設備投資などで多額の課税仕入れがあった場合でも、その消費税額が納税額に反映されない

制度の適用により納税額が増える可能性もあるため、実際の仕入額や業種の特性を踏まえて、原則課税と比較検討しましょう。

簡易課税制度の申請要件と手続き

簡易課税制度を利用するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 基準期間における課税売上高が5,000万円以下であること
  2. 「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出していること

簡易課税を適用したい期間の2年前(法人なら前々事業年度、個人事業主なら前々年)を「基準期間」と呼びます。

この基準期間における「課税売上高」(消費税が課税される取引の売上高)が5,000万円以下である必要があります。準期間の課税売上高を算出する際は、売上全体から非課税取引と不課税取引を除外して計算するのが一般的です。

また消費税簡易課税制度選択届出書は、適用を受けたい会計期間の初日の前日までに所轄の税務署へ提出しなければなりません。ただし、事業を始めた初年度であれば、その会計期間中に提出することで要件を満たせます。

不動産業におけるインボイスの影響

インボイス登録の取り消しイメージ

インボイス制度が不動産仲介業にどのような影響を与えるかについて、事業者の種類別にまとめました。

事業者の種類

インボイス制度開始後の影響

対応策・注意点

免税事業者(基準期間の課税売上高1,000万円以下)

  • 消費税の納税額自体は変わらない
  • 取引先からインボイス登録を要請される可能性が高い
  • インボイスを発行できないと、取引先の税負担が増えるため、取引の継続や値引き交渉、売上減少につながる可能性がある
  • インボイス発行のために課税事業者になるか、免税事業者のままで影響を受け入れるか、検討が必要
  • 課税事業者になると納税義務が生じる

課税事業者(基準期間の課税売上高1,000万円超)

消費税の納税額が変わる可能性がある

特別な理由がない限り、インボイス発行事業者として登録し、顧客からの発行依頼に対応する

課税事業者(簡易課税を選択)

  • 「みなし仕入れ率」で納税額を計算するため、インボイスの受領は必須ではない
  • 納税額に直接的な影響は少ない

将来的に原則課税に切り替える可能性も考慮し、支払い先がインボイス登録をしているか注視しておく

課税事業者(原則課税を選択)

  • 仕入れにかかる消費税を控除するために、取引先からインボイス(適格請求書)の発行が必要
  • インボイスがない場合、仕入税額控除ができず、自社の消費税負担が増える

取引先がインボイス登録をしていない場合、登録を依頼するか、今後の取引継続を検討する必要がある

このようにインボイス制度は事業の形態によって対応が大きく変わります。企業の状況と照らし合わせて、適切な対応を検討しましょう。

関連記事:【税理士監修】インボイス制度について「よくある質問」を図解でわかりやすく解説!

不動産業の事業区分に関するよくある質問

親族が役員をしている会社

最後に、不動産業の事業区分に関するよくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

複数の事業を展開している場合は?

複数の事業を展開している場合、簡易課税の消費税額は、原則として事業区分ごとに計算します。しかし特定の事業の課税売上高が全体の75%以上を占めるといった一定の条件を満たせば、特例が適用されます。この特例により、その主要な事業のみなし仕入率を使って全体の消費税額を計算できるようになりました。

不動産管理の簡易課税の事業区分は?

不動産管理業は、駐車場管理業も含めて第6種事業となります。またマンションの居住者(区分所有者・組合員)から受け取る管理費収入は、消費税において基本的には「不課税」とされています。不課税の場合は、課税売上には含まれません。

したがって、たとえ管理費収入が1,000万円を超えたとしても、他に課税売上がなければ、消費税の納税義務は発生しないでしょう。

原則課税と簡易課税のどちらがお得?

簡易課税と原則課税は計算方法が異なるため、どちらを選ぶかで納める税額も変わってきます。実際の仕入れにかかった消費税額よりもみなし仕入れ率で計算した税額の方が小さい場合は、簡易課税の方が税負担を抑えられます。

しかし、常に簡易課税が有利とは限りません。仕入れコストが高い事業や、高額な設備投資などの支出がある場合は、原則課税を選んだ方が税額を抑えられるケースもあります。

関連記事:簡易課税・原則課税はどっちがお得?損しないために知っておきたいポイント | 会社設立の基礎知識

まとめ

不動産業における簡易課税制度では、事業内容に応じた正確な「事業区分」の判断が不可欠です。代表的には第6種事業に該当しますが、売却先や取引形態により別の区分に分類される場合もあります。

誤った区分は申告ミスや税務リスクにつながるため注意しなくてはいけません。また簡易課税制度は事務負担が軽減する一方、還付が受けられないなどデメリットもあるため、原則課税と比較検討を行いましょう。

簡易課税制度や事業区分の判断でお困りごとがあれば、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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