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医療法人化はいつする?メリット・デメリットと適切なタイミングを解説!

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医療法人化はいつする?メリット・デメリットと適切なタイミングを解説!

医療法人化は、医療事業(病院やクリニック)を「法人」として運営することです。法人化することで資金調達が容易になったり、節税になったりなどのメリットがあります。一方で、設立や運営にはコストや手続きの煩雑さが伴うため、正しい知識を身につけることが必要です。本記事では、医療法人化のメリット・デメリットと、適切なタイミングについて解説します。

医療法人とは?

病院の外観

医療法人は、医療事業を行うことを目的として設立される法人の形態です。病院や診療所だけでなく、介護老人保健施設なども含めた幅広い医療関連施設を運営できる点が特徴です。

また、医療法人には「社会医療法人」と呼ばれる特定の要件を満たす形態もあり、さらに公益性の高い医療サービスを提供できます。

医療法人化4つのメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

医療法人化にはさまざまなメリットがあります。法人になることで社会的信用が増し、税制優遇を受けられるだけでなく、事業の承継や人材採用にも有利に働きます。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

社会的信用が向上する

医療法人になると、患者や取引先、金融機関からの信用が高まります。個人経営のクリニックよりも安定した経営体制であると評価されやすくなるためです。また、信用度が高まることで、新規の患者や契約先を増やすチャンスも広がるでしょう。

また、地域医療に貢献する責任も明確になり、地域住民からの信頼も得やすくなります。その結果、地域とのつながりも深まり、長期的に安定した経営基盤を築けるでしょう。

税制優遇が受けられる

医療法人化すると、法人税率が適用されるため、個人事業よりも税負担を軽減できる可能性があります。特に、年間の課税所得が1,800万円を超える場合は、税率が40%に上がるため、医療法人化したほうが節税になるのです。

さらに、法人化すると経費として計上できる範囲が広がり、医療機器の購入や事業拡大のための投資もしやすくなります。財務管理の自由度が増し、安定した資金運用ができるようになるでしょう。

事業承継がスムーズになる

個人事業主の場合、院長が引退すると事業の引き継ぎの手続きが複雑になり、多額の相続税が発生することもあります。

しかし、医療法人化すると、理事長の交代がスムーズに行えます。そのため、患者や職員への影響を最小限に抑えながら、事業を継続できることにつながるのです。

また、次世代の経営者が運営を引き継ぎやすいよう、事前に経営の学びや準備を進められる点もメリットと言えるでしょう。法人化することで、事業の継承がスムーズになるだけでなく、長期的な経営の安定を図れます。

人材採用・維持しやすくなる

医療法人になると、法人としての信頼性が高まり、医療従事者の採用がしやすくなる点もメリットの一つです。特に、優秀な医師や看護師を確保する上で、法人化による安定した経営基盤は大きな魅力になります。

さらに、法人化することで、職員の給与や福利厚生を充実させやすくなり、働きやすい職場環境を整備できます。これにより、採用がしやすくなるだけでなく、定着率も向上し、長期的な雇用の安定につながるでしょう。

医療法人化3つのデメリット

税理士に丸投げするデメリットのイメージ

医療法人化には、多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。経理や税務、労務管理などの事務作業が増え、運営が複雑になる点には特に注意が必要です。

さらに、法律の法人化に伴いさまざまな手続きや報告義務を履行する必要がある点も理解しておきましょう。

運営管理が複雑になる

医療法人化すると、経理や税務、労務管理などの事務作業が増え、運営がより複雑になります。法人税の申告や財務諸表の作成、年度ごとの決算報告などの義務が発生し、個人事業主のときよりも多くの手続きを行わなければなりません。

また、法律の改正や制度の変更にも対応する必要があるため、専門的な知識が求められます。単純に時間やリソースを消耗するだけでなく、経営者にとって精神的な負担となることも少なくないでしょう。

そのため、適切な運営のために、税理士や社労士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

関連記事:税理士との契約形態|顧問契約・スポット契約の特徴と料金相場

社会保険と厚生年金への加入が義務化される

医療法人化すると、全従業員の社会保険と厚生年金への加入が義務化されます。これにより、法人が負担する保険料が増え、経営コストが増大するリスクが発生するのです。

ただし、従業員にとっては福利厚生が充実し、安心して働ける環境が整うため、人材の採用や定着の面ではプラスに働くこともあります。

とはいえ、特に従業員の多いクリニックでは、保険料の負担が経営を圧迫する可能性もあるため、事前に試算し、対応策を検討しておく必要があるでしょう。

関連記事:社会保険の加入条件は?2024年10月から拡大される範囲について解説

事業の自由度に制約が生まれる

医療法人になると、法律や定款の規定に従った運営が求められ、個人事業主のような自由な経営が難しくなる可能性があります。

例えば、新しいサービスを始める際には法人としての手続きや行政への申請が必要になるため、スピーディーな意思決定がしにくくなると言えるでしょう。

医療法人化を検討すべきタイミング

「法人化にはメリットがあるけれど、いつにするのがベスト?」と迷う方も多いでしょう。次の4つのタイミングが、法人化の目安です。

年間所得が1,800万円を超えたとき

年間所得が1,800万円を超えた場合は、医療法人化を検討すると良いでしょう。個人事業主として年間1,800万円以上の課税所得があると、累進課税の影響で税率が約40%に上がります。つまり、所得が増えるほど税負担も大きくなるのです。

しかし、医療法人化すると、法人税の適用を受け、税率は約15〜23.2%に抑えられます。そのため、法人化することで大幅な節税が可能になり、手元に残るお金を増やせます。高所得の医療従事者にとって、法人化は重要な節税対策の一つといえるでしょう。

社会保険診療報酬が5,000万円を超えたとき

社会保険診療報酬が一定額を超えると「概算経費」を利用できなくなります。概算経費は、実際の経費よりも経費を多めに計上できる可能性がある制度ですが、一般的には社会保険診療報酬が5,000万円以下の事業者しか対象になりません。そのため、報酬が5,000万円を超えると、経費計上の方法が変わり、税負担が増える可能性があります。

また、患者数が増えると、経費の管理が複雑になり、資金繰りの調整も難しくなります。こうした状況を避けるためにも、一定額を超えた段階で医療法人化を検討するのが賢明と言えるでしょう。法人化することで、より柔軟な経費管理ができるようになり、税負担の軽減にもつながります。

開業から7年ほど経過したとき

開業から7年目を迎える時期には、これまで導入した医療機器の減価償却が終わるため、医療法人化を検討する良い時期と言えます。医療機器の償却期間は、6年目までと定められているためです。医療機器の減価償却が終わると、経費が減るため、利益の増加に伴って税負担も大きくなります。

このタイミングで法人化を進めると、税金の負担だけでなく資金運営の効率化にもつながるでしょう。開業から7年目は、経営を見直す良い機会でもあります。法人化を含め、事業運営を見直し、より安定した経営基盤を整えることが重要です。

事業拡大や後継者への引き継ぎを考えたとき

事業の拡大や事業継承を視野に入れ始めたときも、法人化を検討する一つの目安です。個人事業主の場合、院長が引退すると、事業の引き継ぎ手続きが複雑になります。しかし、医療法人化すると「理事長の交代」という形でスムーズに事業を承継できるのです。

さらに、個人事業主として事業を引き継ぐと、多額の相続税がかかるケースが一般的ですが、医療法人は条件を満たせば相続税の対象とはなりません。

また、個人事業主が運営できる施設は一カ所のみですが、医療法人になると複数の施設を運営できるため、事業の拡大もスムーズに進められるでしょう。

関連記事:効果的な事業承継とは?税制デメリットへの対処法

医療法人化の手続きと進め方

医療法人化のイメージ

医療法人化を進めるには、いくつかのステップを踏む必要があります。法人化すると経営の安定や節税のメリットが得られますが、スムーズに進めるためには事前の準備が欠かせません。ここでは、医療法人を設立する流れを分かりやすく解説します。

設立準備と要件の確認

まず、医療法人を設立するための条件を確認しましょう。医療法人を運営するには、人的要件、施設・設備要件、資産要件を満たす必要があります。

人的要件

医療法人を設立するためには、社員や役員の人数、資格に関するルールを守らなければなりません。

  • 社員(出資者)は3人以上必要
  • 役員は「理事(理事長含む)3名+監事1名」の合計4名以上が必須
  • 理事長は必ず医師または歯科医師でなければならない
  • 役員(理事・監事)は、法的な欠格事由に該当しない人が対象
  • 法人の理事になる予定の人や、医療機関の職員は監事になれない
  • 医療機関の管理者(院長など)は、必ず理事に含める必要がある

施設・設備要件

医療法人として運営するには、必要な医療施設や設備の確保が求められます。

  • 病院・診療所・介護老人保健施設のいずれかを一カ所以上設置する
  • 診療に必要な設備や医療機器を備える

施設や設備の基準は地域や診療科によって異なるため、事前に自治体のルールを確認しましょう。

資産要件

医療法人は、設立後安定した運営ができるよう、「設立後2ヵ月の運転資金を現預金として確保する」という資金面の条件も満たさなければなりません。

資金計画をしっかりと立て、法人化後の経営がスムーズに進むよう準備しておきましょう。

定款の作成と設立申請

医療法人を設立するためには、定款を作成し、所管の行政機関に申請する必要があります。定款は法人の基本的なルールを定めたもので、以下の内容などを記載します。

  • 法人の目的
  • 役員の構成と選任方法
  • 医療機関の運営方針

この定款をもとに、設立申請を行いましょう。申請には所定の書類を提出し、承認を得るまでに数カ月かかる場合もあるため、スケジュール管理が重要です。

申請後の進捗にも注意を払い、必要な追加書類が求められたらすぐに提出できるようにしておきましょう。

関連記事:定款変更とは?必要なケースから登記申請の流れ・費用、注意点までを解説

関連機関での手続き

医療法人の設立が認められた後も、各種の届出が必要です。具体的には、以下のような手続きを行います。

  • 税務署への届出(法人税の申告準備)
  • 社会保険・厚生年金の加入手続き
  • 地方自治体や医療行政機関への登録

これらの手続きを完了させると、正式に医療法人としての運営が可能になります。

まとめ

医療法人化には、社会的信用の向上、税制優遇、事業承継の円滑化など多くのメリットがあります。しかし、運営管理の負担が増えることや社会保険・厚生年金加入の義務化、事業の自由度が制限されるなどのデメリットも考慮しなければなりません。

適切なタイミングで法人化を進め、必要な準備を整えることが、法人化成功の鍵となります。医療法人化を検討する際は、専門家の意見を参考にしながら、自院の状況に合った最適な選択をしましょう。

医療法人化についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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