0120-469-383受付時間 平日 09:00~18:00 お問い合わせ
会社設立の基礎知識

ものづくり補助金とは?公募要項や採択事例などをわかりやすく解説

更新日:2022.12.16

コロナ禍の影響や働き方改革、被用者保険の適用拡大など、中小企業等を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。このような制度変更に対応するため、中小企業等が行う新商品やサービスの開発等にかかる設備投資を支援する制度が「ものづくり補助金」です。この記事では、ものづくり補助金に関する基礎知識や申請方法、採択事例などについて詳しく解説していきます。本補助金の申請を検討しているという方は、ぜひとも参考にしてみてください。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業等が生産性向上のために取り組む、革新的サービスの開発や生産プロセス改善にかかる設備投資などを支援する制度です。中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構によって制度化された補助金で、働き方改革やインボイス制度導入等の制度変更に対応するため、新たな挑戦に取り組む事業者を支援しています。また、業況の厳しい事業者や、デジタル・グリーン分野で生産性向上に取り組む事業者に対しても積極的に支援を行っていることが特徴です。

「ものづくり」というワードから、主に製造業などを対象とした補助金だと考える方が多いかもしれません。しかし、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という名称であり、生産性向上につながる設備投資であればさまざまな業種が対象となります。さらに、条件を満たしていれば個人事業主でも申請可能です。

ものづくり補助金はさまざまな事業形態、業種で活用することができ、補助内容が充実していることからも注目を集めています。

ものづくり補助金の対象

ものづくり補助金を申請するためには、まず日本国内に本社または補助事業実施場所をかまえている必要があります(類型によっては事業実施場所が海外でも認められる場合がある)。そのうえで、以下に記載する要件のいずれかを満たす事業者でなければなりません。

  • 中小企業者

資本金または常勤の従業員数が、下表の数字以下となる事業者でなければなりません。

業種

資本金

従業員数

製造業・建設業・運輸業・旅行業

3億円

300人

ゴム製品製造業

900人

サービス業

5,000万円

100人

旅館業

200人

ソフトウェア業・情報処理サービス業

3億円

300人

小売業

5,000万円

50人

卸売業

1億円

100人

その他

3億円

300人

業種によって、資本金と従業員の数字にかなり差があります。なお、ゴム製品製造業において「自動車または航空機用タイヤ・チューブ製造業および工業用ベルト製造業」は除かれています。

  • 中小企業者(組合関連)

企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合などの法人も対象となります。ただし、財団法人や医療法人、社会福祉法人や法人格のない任意団体などは補助対象外です。

  • 一部の特定事業者

従業員数・資本金が下表の数字以下である特定事業者は補助対象となります。

業種

従業員数

製造業・建設業・運輸業

500人

卸売業

400人

サービス業・小売業

(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く)

300人

その他

500人

その他、一定の要件を満たす組合等も対象に含まれます。詳細については、事前に公募要領で確認しておきましょう。

  • 特定非営利活動法人

中小企業の振興・発展に、広く直結し得る活動を行っている特定非営利活動法人も対象です。ただし、従業員数が300人以下であることや、認定特定非営利活動法人ではないことなどの要件が定められています。

ものづくり補助金の公募要項

ものづくり補助金は5つの類型に分類されていますが、受給するためには以下の基本要件をすべて満たす事業計画を策定しなければなりません。

  • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均5%以上増加させること。
    (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が、制度改革に先立って任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上の増加)
  • 事業計画期間に、補助事業を実施する事業場内における最低賃金を、地域別最低賃金プラス30円以上の水準にすること。
  • 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させること。

これらの基本要件に加えて、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル展開型」では、個別に設けられた要件もクリアする必要があります。

どの類型に該当するのか、公募要領をしっかりと確認しておきましょう。

ものづくり補助金の補助金額・補助率

ここでは、ものづくり補助金の補助内容を類型ごとにご紹介していきます。

通常枠

通常枠では、革新的なサービス・製品の開発や、生産プロセス・サービス提供方法の改善に要する設備投資等について支援を受けることができます。

項目

内容

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円

従業員数6人~20人:100万円~1,000万円

従業員数21人以上 :100万円~1,250万円

補助率

小規模企業者・小規模事業者:1/2

再生事業者:2/3

設備投資

税抜き単価50万円以上の設備投資

対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

回復型賃上げ・雇用拡大枠

回復型賃上げ・雇用拡大枠とは、厳しい業況下においても賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者に対し、生産性向上を実現するための経費について支援を行う枠組みです。申請するためには、前年度の課税所得がゼロであるなどの要件を満たす必要があります。

項目

内容

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円

従業員数6人~20人:100万円~1,000万円

従業員数21人以上 :100万円~1,250万円

補助率

2/3

設備投資

税抜き単価50万円以上の設備投資

対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

デジタル枠

デジタル枠とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的なサービスの開発等による、生産性向上に必要な経費について支援を受けられる枠組みです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対してDX推進に関する自己診断結果を提出していることなど、デジタル枠独自の要件をすべて満たす必要があります。

項目

内容

補助金額

従業員数5人以下:100万円~750万円

従業員数6人~20人:100万円~1,000万円

従業員数21人以上 :100万円~1,250万円

補助率

2/3

設備投資

税抜き単価50万円以上の設備投資

対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

グリーン枠

温室効果ガスの排出削減に資する革新的なサービスの開発等による、生産性向上に必要な設備・システム投資にかかる経費を支援する枠組みです。3~5年の事業計画期間内に、事業場または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であることなど、すべての要件に該当する必要があります。

項目

内容

補助金額

従業員数5人以下:100万円~1,000万円

従業員数6人~20人:100万円~1,500万円

従業員数21人以上 :100万円~2,000万円

補助率

2/3

設備投資

税抜き単価50万円以上の設備投資

対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費

グローバル展開型

グローバル展開型では、海外事業の強化・拡大を目的とした革新的なサービスの開発等に要する設備・システム投資等を支援しています。事業内容が海外直接投資や海外市場の開拓などに分類されており、いずれかの類型で条件を満たす投資であれば、補助を受けることが可能です。

項目

内容

補助金額

1,000万円~3,000万円

補助率

1/2

小規模企業者・小規模事業者:2/3

設備投資

税抜き単価50万円以上の設備投資

対象経費

機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費、海外旅費

ものづくり補助金のスケジュール

ものづくり補助金では、13次締切分の公募が開始されています。申請から補助金が受給されるまでのスケジュールをまとめましたので、申請を検討している方は把握しておきましょう。

項目

スケジュール

公募開始

令和4年10月24日

申請受付期間

令和4年11月7日17時~12月22日17時

採択結果の通知

令和5年2月中旬予定

交付申請・交付決定

採択結果通知の後、約1か月後

補助事業実施期間

交付決定後、約10か月以内

※令和5年12月20日が最終期限

確定審査(交付額確定)

補助事業実施期間の終了後、約1か月

補助金交付請求

補助金の支給

事業化状況・知的財産権等報告

毎年4月に依頼

このように、ものづくり補助金は申請から支給までに多くの時間を要します。活用を検討する際は、スケジュールを把握したうえで慎重に資金計画を立てていきましょう。

ものづくり補助金の採択率はどれくらい?

ものづくり補助金の1次締切~10次締切までの採択結果を、以下にまとめました。

締切回

応募件数

採択件数

採択率

1次

2,287

1,429

62.5%

2次

5,721

3,267

57.1%

3次

6,923

2,637

38.1%

4次

一般型

10,041

3,132

31.2%

グローバル展開型

271

46

17.0%

5次

一般型

5,139

2,291

44.6%

グローバル展開型

160

46

28.8%

6次

一般型

4,875

2,326

47.7%

グローバル展開型

105

36

34.3%

7次

一般型

5,414

2,729

50.4%

グローバル展開型

93

39

41.9%

8次

一般型

4,584

2,753

60.0%

グローバル展開型

69

27

39.1%

9次

一般型

3,552

2,223

62.6%

グローバル展開型

61

24

39.3%

10次

一般型

4,224

2,584

61.2%

グローバル展開型

70

28

40%

応募件数は4次締切分をピークに、約5,000件前後で推移しています。また、採択率についても徐々に向上しており、一般型では60%前後で安定しているようです。しっかりと準備してから申請することで、十分に採択される可能性がある補助金だといえるでしょう。

ものづくり補助金の採択結果はいつわかる?

ものづくり補助金の採択結果については、公募要領に正確な発表日が記載されていません。発表予定時期についてのみ記載があるため、結果を早く知りたい方は公式サイトにて最新の情報を確認するようにしましょう。

ものづくり補助金の採択事例

ものづくり補助金では、採択事例の一覧が公表されています。採択事例を確認することで、傾向と対策を知ることが可能です。通常枠などの一般型で採択された事例には、以下のような事業があります。

  • 肥料や燃料の価格高騰対策及び環境に配慮したスマート農業の実現
  • 3Dフリーザーの瞬間冷凍技術導入による生産能力向上計画
  • 立体的画像診断の導入による歯周外科治療および顎関節治療の強化
  • 最新ポテトハーベスター導入による労働力不足と生産ラインの改善
  • 最新デジタル紙面検査機導入による品質・生産体制向上計画
  • 脱炭素化に向けて需要の拡大するEVトラック部品の生産体制構築
  • AI・デジタル技術の活用による革新的な自動測定体制の新構築事業
  • 院内DX化を通じた訪問治療、予防治療の拡充

このように、最新のツールを導入することで生産性向上や生産プロセスの改善などを目的とした取り組みが採択されています。また、グローバル展開型の採択事例には以下のような事業があります。

  • 究極のサステナブル素材を使用したファッションブランドの確立
  • Webシステムを利用したフィリピンにおける中古トラック等販売
  • 木質チップ破砕機を導入してバイオマス燃料の製造・販売事業
  • 機械学習を活用した日本語広告コピー生成システムの開発
  • 最新のCMS開発による革新的なプラットフォームサービスの展開
  • 言語学習アプリ連携型就業マッチングシステムの海外共同開発

グローバル展開型では、海外展開に必要な基盤が整っているかという点や、国際的な競争力を持っているかという点から事業内容が評価されます。なお、これらの採択事例は一部に過ぎないため、他の事例も気になる方は公式サイトを確認しましょう。

ものづくり補助金の申請の流れ

続いて、ものづくり補助金の申請の流れについて概要を解説していきます。

  • gBizIDプライムアカウントの取得

ものづくり補助金は、「Jグランツ」という補助金申請システムを利用して電子申請を行います。申請には「gBizIDプライムアカウント」の取得が必要となりますが、アカウント取得には3週間以上の期間を要する場合があります。申請期間に間に合うよう、事前にアカウント取得手続きを進めておきましょう。

  • 必要書類を作成し、申請手続きを行う

gBizIDプライムアカウント取得と並行して、事業計画書などの必要書類の作成を進めていきます。申請する類型によって必要書類が異なりますので、公募要領をしっかり確認しておくことが重要です。また、事業計画策定の際は、上述した採択事例なども参考にしてみてください。

  • 審査

2か月程度で審査が完了し、申請者に採択結果が通知されます。なお、補助金は基本的に後払いとなります。無事に採択されたとしても、その時点で補助金が支給されるわけではないため注意が必要です。

  • 補助事業実施期間

交付決定を受けると、10か月程度の補助事業実施期間に移行します。対象経費の契約・支払いはこの期間に完了しなければなりません。期間外に行った支出は、たとえ対象経費であったとしても補助されない可能性があるため注意しましょう。

  • 補助金交付請求

補助事業実施期間を終えたら、補助金の交付請求を行いましょう。このとき、実績報告書や対象経費の支払い証明書なども提出する必要があります。その後、提出書類に不備がなければ補助金が支給されるという流れです。

なお、ものづくり補助金では補助事業終了から5年間、事業化状況の報告を求められます。補助金を受給できれば手続き終了というわけではないため、受給後もしっかりと対応していきましょう。

ものづくり補助金を有効活用したい・申請代行を依頼したい場合は専門家へ相談

ものづくり補助金は手厚い支援を受けることができ、生産性向上のために投資を検討している中小企業等にとって大変魅力的な制度です。しかし、新たな類型の創設や再生事業者の取り扱いが追加されるなど、制度内容が複雑になっています。「ものづくり補助金を活用したいけど、手続きが複雑でよくわからない」という方は、ぜひとも専門家への相談を検討してみてください。

この記事の監修者

会社設立専門の税理士による
オンライン面談を実施中!

今野 靖丈

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更について相談する 24時間受付中

税理士変更のご検討は
オンライン面談からお願いします!

お電話でのお問い合わせ

0120-469-383 受付時間 平日 09:00~18:00

Webからのお問い合わせ

税理士変更について相談する 24時間受付中
オンライン面談