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【例題あり】消費税の端数処理の基本ルールと税務調査での注意点を解説!

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【例題あり】消費税の端数処理の基本ルールと税務調査での注意点を解説!

消費税の端数処理は「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」など複数の方法があり、いずれを選んでも法律違反にはなりません。しかし、処理方法の不統一や業界慣行との不一致は、税務調査で指摘される原因となります。本記事では、消費税の端数処理に関する基本ルールから、請求書の記載例、税務調査での注意点までをわかりやすく解説します。適切な端数処理の方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

消費税の端数処理における基本ルール

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端数処理の方法は、以下の3種類が主に使用されます。

  • 切り捨て
  • 切り上げ
  • 四捨五入

企業はこれらの方法のいずれを採用するかを定め、各取引で一貫して使用することが求められます。

消費税の端数処理について法的な決まりはなく「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」のいずれの方法を選択しても構いません。一般的には、納税額を抑えるために切り捨てが選ばれる傾向があります。

事業者間の売上や仕入の際の端数処理も自由に選択できますが、事前に取引先間で取り決めておくことが一般的です。

関連記事:消費税の非課税と不課税、免税の違いは?取引における対象品目は?

消費税の端数処理を反映した請求書の記載例

以下では、消費税の端数処理を反映した請求書の例を3つご紹介しましょう。

【例題①】端数処理:切り捨ての場合

項目

内容

発行日

令和7年4月30日

請求書番号

INV-0001

発行者名・登録番号

株式会社サンプル物流(T9876543210987)

宛先

サンプル製造株式会社御中

品目

配送サービス(5回×5,001円)

小計(税抜)

25,005円

消費税(10%)

2,500円(※切り捨て)

合計金額

27,505円

備考

消費税は税抜価格に対して切り捨て処理を実施。

1円未満の端数をすべて「0」として処理します。税額が少なくなるため、課税売上が多い場合に選ばれることが多いです。

【例題②】端数処理:切り上げの場合

項目

内容

発行日

令和7年4月30日

請求書番号

INV-0002

発行者名・登録番号

株式会社サンプル(T1122334455667)

宛先

株式会社例題御中

品目

業務委託料:記事作成(1本あたり11,001円×3本)

小計(税抜)

33,003円

消費税(10%)

3,301円(※本来3,300.3→切り上げ)

合計金額

36,304円

備考

消費税は1円未満を切り上げ処理しています。

1円未満の端数を「1円」として処理します。税額が大きくなりやすいため、仕入側には有利ですが、請求先とのトラブルに注意が必要です。

【例題③】端数処理:四捨五入の場合

項目

内容

発行日

令和7年4月30日

請求書番号

INV-0003

発行者名・登録番号

株式会社テスト(T1234567890123)

宛先

株式会社クライアント御中

品目

商品A(5個×1,981円)

小計(税抜)

9,905円

消費税(10%)

991円(※四捨五入)

合計金額

10,896円

備考

消費税額は四捨五入により計算しています。

端数が0.5円以上なら「1円」に、未満なら「0円」として処理します。公平性が高いため、多くの企業で採用されている方法でもあります。

関連記事:消費税対策として有効な節税方法は?インボイス制度との関連も解説

税務署の調査で指摘される端数処理のポイント

せどりで税理士に依頼するイメージ

続いて、消費税の端数処理について税務署の調査で指摘されやすいポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてください。

端数処理方法の一貫性があるか

消費税の端数処理においては、一貫した処理方法を採用しているかどうかが重要です。税務署の調査では同一法人内で処理方法が混在していると、過少申告や過大請求といった疑義が生じやすくなります。

一貫性を保つためには、社内で端数処理のルールを明文化し、すべての部門・担当者に周知徹底しましょう。

業界ごとの慣行に適合しているか

税務調査では、業界慣行に合致した端数処理が行われているかどうかも見られることがあります。消費税の端数処理は法令で定められておらず、業種ごとの「通常の商慣習」に沿っていることが多いです。

例えば、スーパーなど小売業では税込価格からの逆算による四捨五入が一般的でしょう。それに対して建設業では請負単位で税率ごとに端数処理する慣習があります。

このように業界とかけ離れた処理をしていると、税務署から「妥当性を欠く」と判断される可能性があります。そのため自社業界の一般的な処理方法を調査・確認し、適切な処理方法を選択しましょう。

端数処理方法の変更を適切に報告しているか

端数処理方法を変更した際には、社内だけでなく外部にも適切に報告することが必要です。税務署では、処理方法の変更がいつ行われたか、合理的な理由があったか、変更後の処理が継続して適用されているかを確認します。

もし期中に四捨五入から切り上げに変更し、明確な社内議事録や通知がなかった場合は追徴課税されるリスクもあります。変更時には文書で記録を残し、顧問税理士や主要取引先にも共有しておくのが安全です。

関連記事:消費税の小数点以下はどう扱う?インボイス制度における端数処理や注意点

端数処理をめぐる税務調査での注意点

端数処理をめぐる税務調査での注意点をまとめたので、税務リスクを避けるためにこちらもぜひ参考にしてください。

端数処理ルールを取引単位でバラバラにしないように注意する

消費税の端数処理は、統一して行うことが原則です。

A社への請求では切り捨て、B社には切り上げを適用していた場合、「取引先によって税額を操作している」と疑われかねません。こうした事態を避けるために、取引単位ではなく社内全体で統一されたルールを設けておきましょう。全社共通のマニュアルとシステム設定の整備が、税務調査でも信頼される対応につながります。

税率ごとの端数処理に気をつける

消費税の端数処理は、税率(10%と軽減税率8%)ごとに別々に行う必要があります。税務調査では、税率ごとの処理が正しく分かれているかが重点的に確認されます。

例えば税率を合算してからまとめて端数処理をしていた場合、本来の税額と乖離が生じ、申告誤りと指摘される可能性があります。軽減税率の対象品目が多い飲食業や小売業では特に注意が必要です。

税率ごとに小計を出してから、それぞれで端数処理を行い、合計する方法が正しい手順です。

システム設定ミスに注意する

会計ソフトや請求書発行システムの端数処理設定が誤っていると、意図しない税額計算が行われる可能性があります。税務調査では、帳簿と請求書の計算方法が一致しているか、システムに適切な処理設定がされているかが問われます。

過去は「切り捨て」に設定していたのに、システム移行後に「四捨五入」に変わったことに気づかなかったというケースもあり得ます。こうしたミスを防ぐためにも定期的なシステム設定の確認、マニュアルとの整合性チェックを徹底しましょう。

取引先とのルール不一致に気をつける

端数処理の方法を自社と取引先で異なるまま運用していると、請求金額の相違やトラブルの原因となります。税務調査では「請求金額の差異の理由を説明できるかどうか」も見られます。

例えば仕入先が四捨五入、自社が切り捨てで処理していると、受取請求書の金額と自社帳簿でズレが生じます。こうしたズレを放置しておくと、消費税申告書全体に影響を及ぼす可能性があるので要注意です。

まずは契約書や注文書に端数処理方法を明記し、取引先ごとに取引開始時に確認しておくようにしましょう。

関連記事:インボイスで消費税の計算が変わる!端数処理や計算方法について

まとめ

消費税の端数処理においては企業に合った方法を選び、一貫した運用を行うことが求められます。

端数処理の方法を決めておけば会計ミスを防ぎ、税務リスクを最小限に抑えられるでしょう。まずは経理担当者と税務担当者の連携を強化して業務フローを見直しながら、消費税の端数処理を行いましょう。

もし消費税の端数処理に関して不安な点があれば、税理士などの専門家に相談するのもおすすめです。小谷野税理士法人では、消費税の端数処理や税務・会計に関する知識が豊富な税理士が在籍しております。

「消費税の端数処理に関して相談したいことがある」とお考えの方は、ぜひ一度「小谷野税理士法人」までお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
  • 会社設立の基礎知識 特集「法人のための確定申告」
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