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法人税は累進課税を採用している?税率と計算方法をわかりやすく解説

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法人税は累進課税を採用している?税率と計算方法をわかりやすく解説

法人税は企業が得た所得に対して課される税金で、法人の種類や売上を問わず、原則すべての法人に適用されます。法人税は一律の税率に加え、累進課税を一部取り入れているのが特徴です。この記事では、法人税の基本から累進課税をどのように採用しているのかまで、税率の仕組みや計算方法をわかりやすく解説します。経営者はもちろん個人事業主の方にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

法人税についての基本知識

節税相談に関するイメージ

法人税とは、法人の事業活動によって得た所得に対して課される税金です。国税として徴収されるほか、一部は地方税とあわせて経済活動を支える財源として活用されています。

課税の対象となるのは、株式会社や合同会社、医療法人など、法人格を有する事業体です。法人税は、企業の益金から損金を差し引いた所得をもとに計算されるため、納税額が大きくなると事業運営や資金計画に影響を与えることもあります。

法人税とはどんな税金か

法人税は企業が得た所得に対して国が課す税金で、日本の税制の中でも重要な収入源のひとつです。法人が社会の一員として利益を得る以上、一定の税金を負担して社会に貢献するという仕組みと言えます。

法人税は上場企業のような大企業だけでなく、中小企業にも幅広く適用されている税金です。この税金は企業の所得に基づいて計算され、納税額が決まります。

日本では法人税率は一律ではなく、所得や資本金が一定以下の中小企業には軽減税率や減税措置が設けられているなど、企業の規模などによって適用される条件が異なります。

法人税の対象となる所得

法人税の対象となるのは、企業が事業活動によって生じたすべての所得です。例えば、商品やサービスの売上から仕入れ・人件費・広告費などの経費を引いた後の収益がこれにあたります。

加えて、商品やサービスの販売だけでなく、金融商品の運用による利息収入や、保有資産を売却した際に発生した利益なども法人税の課税対象となります。

企業が複数の収益源を持つ場合はそれぞれの収入から得られる利益を合算したうえで、法人税が計算される仕組みです。

関連記事:【税理士監修】法人税とは?税率や計算方法、申告などをわかりやすく解説

法人税と累進課税の仕組みの違い

法人税と累進課税制度は仕組みが異なります。法人税は企業の所得に対して一律の税率を適用し、利益の大小にかかわらず同じ税率がかかるという特徴があります。

一方、累進課税は所得の額に応じて段階的に税率が上がっていく仕組みです。この違いを理解しておくことは、経営における税務戦略の見直しや節税対策にもつながるでしょう。

累進課税とは何か

累進課税とは、所得が増えるほど税率も高くなる課税方式です。この制度は、所得税や相続税、贈与税などに広く採用されており、高所得層に対する課税を強化する役割を担っています。

富裕層からの税収を増やし、社会全体の所得格差を解消し、経済的に公平性を保つことにつながります。

なお、超過累進課税は一定の所得を超えた部分だけにより高い税率が適用されるため、すべての所得が一律に高税率になるわけではありません。

累進課税によって、納税者ごとの負担が段階的に調整されるため、税負担の公平性が担保されやすいのが累進課税の特徴です。ただし、計算がやや複雑になることもあり、理解するためには一定の知識が必要と言えるでしょう。

法人税は累進課税ではない理由

法人税が累進課税ではないのは、比例課税方式を採用しているためです。日本の法人税率は原則23.2%に設定されており、所得がどれほど多くても税率は変わりませんただし、一定の条件を満たす中小企業に対しては、軽減税率が適用されることもあります。

法人税が個人の所得税のような累進課税を採用していない背景には、税制が企業活動の促進や投資の安定化を重視していることが挙げられます。

企業に対して一律の税率を適用することで納税計画を立てやすくし、税負担によって成長を妨げないよう配慮されているのでしょう。

一方で、法人税には累進課税のような所得再分配の機能はあまり期待されていません。そのため、社会的公平性の確保については、他の税制や政策によって補完する必要があると言えます。

関連記事:【税理士監修】累進課税の税率は?目的や種類も解説

法人税と他の税金との比較

法人税は企業の所得に対して課される税金であり、国や地方自治体の重要な財源の1つです。

法人税の仕組みを正しく理解することは、戦略的な経営判断を行ううえで欠かせません。ここでは、法人税とその他の税金の違いについて解説します。

法人税と所得税の違いとは

法人税と所得税の最も大きな違いは、誰が納税するかという点です。法人税は企業が支払う税金であり、所得税は個人の所得に対して課されます。

また、税率の仕組みにも違いがあり、所得税は所得額に応じて税率が段階的に上がる累進課税が採用されています。これにより、高所得者ほど高い税率が課されるため、一定の再分配効果が期待できるでしょう。

法人税と他の税金との役割の違い

法人税以外にも、企業が負担する税金がいくつかあります。例えば、消費税、事業所税、固定資産税などが挙げられ、それぞれ目的や課税の仕組みが異なります

消費税は、商品の販売やサービスに対して課される税金で、消費者がその負担を担う仕組みです。この税金は経済活動の消費に焦点を当てており、法人税とは異なる観点での課税と言えます。

事業所税は、企業が活動する地域で発生する税金で、事業規模や従業員数などに応じて地方自治体に納める仕組みです。地域経済への貢献度に応じて課税されるため、自治体によってその内容は異なります。
固定資産税は、企業が保有する土地や建物などの資産に課される税金であり、資産に対する保有コストとも捉えられるでしょう。この税金は企業の資本計画や戦略に大きく影響を与えることもあります。

関連記事:【税理士監修】中小企業の法人税率とは?ざっくり計算!

【具体例付】法人税の税率と計算方法

法人税の税率は企業の規模や課税所得によって異なります。日本では法人税の基本税率は23.2%ですが、中小企業に対しては軽減税率が適用される場合があります。

例えば、資本金が1億円以下の中小法人で課税所得が800万円以下の場合、15%の軽減税率が適用される仕組みです。よって、通常の税金よりも負担が軽減されるため、事業計画や資金繰りにも良い影響を与えます。

税率の違いを正しく理解し、自社に合った対策を取ることは経営をより効率的に進めるための有効な手段となるでしょう。法人税の税率は、以下の通りです。

企業の規模

法人税率(2024年度)

中小法人(資本金1億円以下)

所得800万円以下:15%

所得800万円超の部分:23.2%(通常税率)

法人(資本金1億円超)

23.2%

※中小法人であっても、適用条件により軽減税率が使えないケースもあります

(例:特定の業種や子会社など)

資本金が1億円を超える法人には、課税所得に対して一律23.2%の法人税率が適用されます。例えば、資本金が2億円で課税所得が1,500万円の場合は、1,500万円すべてに23.2%をかけて法人税を計算します。

1,500万円×23.2%=348万円

よって、今回の場合の法人税額は348万円です。

このように、企業の規模に応じた税率が設定されていることで、税の負担が公平になるよう配慮された制度となっています。

法人税の計算手順を詳しく見ていきましょう。

1.課税所得を算出する

企業の益金から損金を差し引き、課税対象となる所得を求めます。

2.適用税率を確認し、法人税額を算出する

課税所得に応じて、軽減税率または標準税率を適用して法人税額を計算します。

3.税額控除や軽減措置などを反映する

中小企業投資促進税制や研究開発費の税額控除などの制度がある場合、それらを差し引いて最終的な納税額を決定します。

4.確定申告を行い、納税する

算出した税額に基づき、決算後に確定申告を行い、所定の期限内に納税します。法人税は翌期の経営にも影響を及ぼすことがあるため、正しく計算し、法律に則って納税しましょう

参考:国税庁ホームページ 法人税の税率

関連記事:法人税が無申告だとどうなる?5つの罰則について解説

法人税におけるよくある疑問

最後に法人税におけるよくある疑問について、それぞれわかりやすく回答していきます。

法人税に累進課税が採用される可能性はある?

現時点では日本の法人税は比例課税を基本とし、企業の所得にかかわらず一定の税率が適用されています。しかし、将来的に累進課税の導入が検討される可能性も否定できません

例えば、所得格差の拡大が社会的な問題として注目されるようになれば、法人税の仕組みを見直す動きが出てくるでしょう。

累進課税が適用される他の税金は何?

累進課税が適用されている代表的な税金は所得税です。所得額に応じて段階的に税率が上がる仕組みで、高所得者ほど税負担が重くなります。

その他にも、相続税や贈与税なども累進課税方式を採用しています。これらの税金では、相続財産や贈与額が大きくなるほど税率が高くなり、結果として資産の再分配や格差是正の役割を果たしています。

このように、個人に対する課税では累進課税が広く導入されているのに対し、法人税では経済活動などへの配慮が必要とされるため、一律税率が基本とされています。

まとめ

法人税は、企業が得た所得に対して課される重要な税金であり、企業経営に影響を与える税制の1つです。

基本的には一定の税率による比例課税が採用されていますが、資本金や課税所得が少ない中小企業には軽減税率制度が設けられており、税負担を抑える仕組みもあります。

また、将来的には法人税への累進課税の導入がされる可能性もあります。社会的な公平性や格差是正の観点から、法人税制度を見直す声が高まるかもしれません。

一方、個人に対する所得税・相続税・贈与税では、すでに累進課税が適用されており、所得や資産に応じた税負担のバランスが意識された設計と言えます。

企業にとって、税制度を正しく理解し適切な納税計画を立てることは、経営の安定や成長につながります。制度の変化にも柔軟に対応できるよう、法人税制度についての理解を深めていきましょう。

法人税についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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