ヤフオクなどのネットオークションで収益を得ているのに、適切な申告や納税をせず、税務署が来たケースをご存知でしょうか?気軽に利用できるといった理由から、ネットオークションの利用者が増えています。ネットオークションで得た収益は、金額によっては確定申告が必要です。この記事では、無申告が税務署にバレてしまう理由、確定申告の必要性、税金の注意点と税務調査の対策まで紹介します。
目次
ヤフオクでの収益が税務署にバレてしまう理由
一定の収益を、ヤフオクなどのネットオークションで得ている場合、確定申告が必要な場合があります。しかし、納税が必要なほどの収益を得ていながら、インターネット上での取引はバレにくいと判断し、確定申告をしない人もいるでしょう。しかし、ヤフオクでの収益は、インターネット上でのやりとりであってもバレてしまうことは多いです。まずは、ヤフオクでの収益が税務署にバレる理由について紹介します。
専門家による調査
ヤフオクでの収益が税務署にバレる理由として、比較的多いのが専門家による調査です。インターネットを介した取引について、国税庁は専門で調査するチームを立ち上げ、脱税チェックに力を入れています。
ヤフオクを含めたネットオークションの利用者は年々増加していますが、その収益を税務署に申告していない人も増えているのが現状です。
そこで、国税庁は悪質な脱税を摘発するために、インターネットの取引やネットオークションに詳しい人材を集めた専門チーム「電子商取引専門調査チーム」を作りました。
以下のようなインターネット上の取引を行っている全国の法人、個人を対象に、取引の実態を調査しています。
- ネット通販
- ネットオークション
- ネット広告
- ネットトレード
- コンテンツの配信
- 仮想通貨
そのため、ネットオークションで得た利益は税務署にバレてしまいます。ネットオークションを利用しているなら、利用状況を税務署が把握していると認識した方がいいでしょう。
ヤフオクの運営側からの情報収集
ヤフオクなどのネットオークションサイトの運営側からの情報を得ることで、無申告者を把握しています。
国税庁は、ヤフオクなどのネットオークション利用者について、資料提出を求める場合があります。
運営側からの情報をもとに、ネットオークションで利益を得ている人が確定申告をしているかどうかを調べることで、無申告者をあぶり出すことが可能です。
ヤフオクの利用や出品者のブログ(SNS)から情報を得る
より正確な情報を得るために、疑わしい出品者から商品を購入したり、出品者が管理していると思われるブログ(SNS)をチェックしたりします。
出品者から実際に商品を購入することにより、出品者の居住地や名前を特定できるはずです。
また、出品者が運営している可能性が高いブログ(SNS)をチェックすると、ヤフオクなどのネットオークションに関する記事が見つかるかもしれません。それらの情報から、おおよその収益額などを把握できることがあります。
匿名からの情報提供
ネットオークションで莫大な利益を得ている出品者を妬む匿名の人物からのタレコミで、無申告がバレることもあります。
さまざまな方面からの情報を入手し、調査することによって、無申告の可能性が高まったときに、税務署から連絡が来てしまうのです。
関連記事:税務署へのタレコミの方法とは?密告を受けた税務署はどんな方法を取るのかを詳しく解説!
ヤフオクで収益を得たときに納税が必要なケース
ヤフオクなどのネットオークションで得た収益は、その金額によって確定申告が必要です。ここでは、確定申告の必要性を判断する基準について、詳しく紹介します。
会社員の場合
会社員の場合は、ヤフオクで得た所得が年間で20万円を超えるときは、確定申告が必要です。逆に、年間で20万円以下の収益であれば、確定申告は必要ないでしょう。
なお、給料の額に関わらず、年間20万円を超える場合は例外なく確定申告が必要です。
個人事業主の場合
個人事業主は、ヤフオクでの収入を含め、年間の収入から経費を引いた所得が48万円を超える場合は確定申告及び納税が必要です。会社員とは異なり、本業とヤフオクでの収入を分けることはありません。
そのため、事業での収入はもちろん、ヤフオクでの売却益も合算させた額から経費を差し引き、所得として申告する義務があります。
ただし、所得区分が異なる場合は、本業とヤフオクの所得を区分する必要があります。
主婦や学生の場合
アルバイトやパートをしていない主婦・学生は、ヤフオクでの所得が48万円超となった場合、確定申告が必要です。
主婦も学生も、基礎控除として48万円が適用されるため、所得額が48万円以下であれば課税対象とはなりません。
参考:国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
ネットオークションの収益で課税対象となるもの・ならないもの
ネットオークションで得た収益の全てが課税対象ではありません。例えば、自分で使用していた生活用動産を売却した際は、課税対象外です。正しく確定申告をするためにも、課税対象となるもの、ならないものを把握しておきましょう。
課税対象となるもの
自分で仕入れたものや、制作(製作)したものをネットオークションで販売して得た売却益は、課税対象です。
生活のために使っていたものではなく、利益を得る目的でネットオークションに出品したものとみなされるからです。
課税対象とならないもの
日常生活で使用している物品(生活動産)を、ネットオークションで売却した場合、その収益に対する課税はありません。
生活用動産は、以下のものが該当します。
- 衣類
- 家具
- 家電
- おもちゃ
- 書籍
他にも、生活必需品として使用しているものを売却した場合は、原則非課税です。ただし、自宅の土地や建物は異なります。
また、生活に必要なものではありませんが、自分で使用している貴金属や骨とう品、絵画などを30万円以下で売却した場合は、非課税扱いです。しかし、1つあたりの売却価格が30万円を超える貴金属や骨とう品は、課税対象です。
課税対象となるもの、ならないものを見極め、自身の職業とネットオークションでの年間の売上額に応じて、確定申告の必要性を見極めましょう。
ヤフオクで得た収益を確定申告する手順
ヤフオクなどのネットオークションで相当の収益を得て、確定申告の必要性が出てきた場合は、適切な手順に従って手続きを進めましょう。ここでは、ヤフオクの収益を確定申告する手順について紹介します。
年間の収益を計算する
確定申告が必要であるかどうかを見極めるためにも、まずは年間の収益を正しく計算しましょう。売却したものの中で、課税対象となるもの、ならないものが混在しているときは、課税対象となるものだけを選定して計算します。
ネットオークションでの収益額を計算するときは、出品したものの売却代金を総計します。ヤフオクだけでなく、複数のネットオークションで収益を得ている場合、全ての収益を合算しなくてはいけません。
必要経費を計算する
ネットオークションの利用時にかかった経費を計算します。経費として認められる出費として、以下の費用が該当します。
- 手数料
- 送料
- 資材・梱包にかかった費用
- 仕入れにかかった費用
- 材料費
また、以下の費用については、ネットオークションで収益を得るためにかかった費用を按分することで、経費にできる可能性が高いです。
- 取引に使用したパソコン、スマホなどの端末購入費用
- 取引で発生した通信費
- 取引で使用した車のガソリン代や電気代
按分してみると経費はわずかとなるかもしれません。しかし、経費を少しでも増やすことで税負担を減らすことにつながります。
所得金額と所得税を計算する
収益から経費を引いた額が、課税所得です。会社員の場合、原則としてネットオークションで得た収益は、雑所得として申告します。
会社員、パートやアルバイトとして給与所得がある場合、個人事業を営んでいて事業所得がある場合は、それぞれの該当欄に記載します。
次に、課税所得に応じた所得税を計算します。給与所得を受けている場合、年末調整で源泉徴収されているため、先に計算した所得税から源泉徴収額を差し引いた額が納税する額です。
確定申告をするやり方が分からない、納税額が正しいか不安なときは、税理士に相談してみましょう。
関連記事:確定申告を税理士に頼む際の費用とは?相場と費用対効果を知ろう
ヤフオクで収益を得たときに注意しておきたいポイント
不用品を売却したり、副業をしたりして、ネットオークションで収益を得ることもあるでしょう。安全な取引と適切な納税のためにも、ヤフオクで収益を得たときの注意点について紹介します。
収益の額で税務調査の有無を判断しないこと
本来納税するべき額が少なくても、税務署から連絡が来る、もしくは税務調査が入る可能性はゼロではありません。
収益の額がそれほど多くない場合、無申告でも税務調査が入る可能性は低いと考えてしまうでしょう。
確かに、脱税額が多い人を税務調査の対象にする確率の方が高いのですが、正しい納税を促すために収益が少ない人にも税務調査が来ることは十分にあり得ます。
ネットオークションでの収益額が少ない人にも税務調査が来たということをアピールできれば、収益の額に関係なく納税の必要性を実感してもらえるからです。
収益が少ないため申告しなくてもバレない、税務調査が来ないと思うのは危険です。確定申告での納税が必要であれば、適切な申告を心がけましょう。
関連記事:税務署のお尋ねの確率とは?いつ来るのか・時期や内容・無視した場合のリスクなどについて解説!
領収書やレシートを保管しておくこと
ヤフオクなどのネットオークションで得た収益から経費を引いた額に課税されるため、経費を証明するための領収書やレシートを保管しておきましょう。
経費として計上する際には、領収書やレシートの原本が必要です。領収書やレシートがない場合、経費計上できず、課税所得の額が上がり、納税額も増えます。必要以上に税金を支払わないようにするためにも、領収書やレシートは適切な保管が求められます。
申告漏れや無申告にはペナルティがある
確定申告の義務を怠った場合、ペナルティが課されます。期限後の申告には、最大で40%の重加算税が課されることもあるのです。
ペナルティについては原則、軽減がありません。不要な税金を支払わないようにするためにも、無申告ではなく適切な申告が求められます。
関連記事:修正申告とは?税務調査で修正申告が発生するのはどんな時なのか詳しく解説
ヤフオクの収益が理由で税務署が来たときの対応
ヤフオクで得た収益を確定申告しなくてはいけなかったのに、していない場合、税務調査が入ることがあります。ここでは、税務調査が入ったときの適切な対処法について紹介します。
素直に応じて必要な情報を提供する
税務調査が入ったときは、素直に応じることです。税務調査が来るときは、税務署から事前に連絡を受けているはずです。収益の証拠となるようなものを隠蔽したり、嘘をついたりするのは控えましょう。
税務調査に来たということは、税務調査官が申告漏れに関する情報を持っている可能性が高いからです。そのため、調査官から情報提供を求められた際には、素直に応じ、情報提供に協力しましょう。
丁寧な対応を心がける
税務調査官は、丁寧に対応することを心がけましょう。横柄な態度をとったり、情報を隠蔽したりするのは控えるのが望ましいです。それは、より厳しい調査が実施されたり、経費を認めてくれなかったりと、不利な状況に陥る可能性が高いからです。
自分に有利になるように、媚を売る必要はありません。ビジネス相手と接するような感覚で、税務調査官に対して失礼のない言動をしましょう。
税理士に相談する
自身で税務調査に対応する自信がないときは、税理士に相談、税務調査への立ち会いを依頼しましょう。
現場の状況、税務調査官の雰囲気や対応は多様であるため、適切な対応もその都度異なるからです。対応を誤ることで、不利な状況に陥ることもあり得ます。
税務調査の立ち会い経験がある税理士に依頼しておくと、何かと心強いです。税理士に相談や依頼をしても、無申告の事実はなくならないものの、依頼者ができるだけ不利益を被らないように対処してくれるはずです。
まとめ | ヤフオクの収益を理由に税務署が来たときは適切な対応を
ヤフオクなどのネットオークションで得た売却益は、金額などの状況に応じて確定申告が必要です。国税庁では、インターネット上での取引を専門的にチェックするチームがあるため、無申告がバレる可能性は十分にあり得ます。収益額を正しく計算し、経費を差し引き、適切な手順で確定申告をしなくてはいけません。確定申告のやり方や税務調査への対応が心配なら、税理士に相談してみましょう。
ヤフオクなどで得た収益の確定申告や税務署への対応に関する相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」にお気軽にお問い合わせください。